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Benediction of God in Solitude
譲れないものXII
「ねぇ、スコールは一体どうしちゃったの?」
エルオーネの唐突な質問に一同は呆気に取られつつも、サラッと答えた。
「リノアと離れて悲しいだけじゃな~い?」
「期間が長いからそれだけ心の方に大きく影響してるのよ。」
「そう?な~んか今までになく後ろ姿が悲しかったし、昨日も突然話しかけただけなのにかなり動揺してたけど。」
「動揺?あのスコールが?」
「えぇ。手に持ってた指輪まで落とすし……」
「…指輪?」
「えぇ。あのライオンの奴よ。」
「変だね~。今日いつもと同じの全部付けてたよ~。それにあれ外さないはずだし~。」
「まぁ大丈夫じゃない?直に元通りになるわよ。」
「けどそのイライラをうちらに向けんでほしーわ~。」
「確に。」
ひとしきり笑い、彼等は解散した。エルオーネも皆の態度を見て納得したようだ。
一方スコールは、、、
「はぁ、落ち着かないな。だがこれからずっとこうなんだ。慣れなきゃな。」
リノアといることに慣れすぎた事に気付くスコール。珍しく独り言を漏らし、部屋にいても落ち着くことは出来ず、イライラは募るばかりだった。
(…もうすぐ慣れるはずだ。今すぐには無理でも、絶対平気なはずだ。)
早く忘れる為に何も考えないように努めた。
無駄なあがきとは微塵にも思わずに……
その頃リノアは、部屋のベッドの上で伏せっていた。
「スコール、、、どうして…?」
「所詮そんなものだったの……?」
「スコール、、、会いたいよ……。」
声は最早微かに空気を震わせるだけだった。
あれからリノアは何も飲まず食わずだったが、生徒からリノアが部屋に篭り続けてることを聴いたカドワキ先生が部屋に押し入り、あまりの顔色の悪さに強制連行したのだった。
「やっぱり…魔女の側になんか……いたくない………ですよね。」
「なーに馬鹿を言ってんだい。ほら!食べて元気になりな。」
「…食べたくないです。」
「…ハァ、、、気持ちがわかるなんておこがましいことは言わないけど、もう少し自分をいたわりな。それにあの四人からならメールが来てるよ。」
「えっ……冗談ですよね?」
「……嘘言ってどうするんだい。ほら、これだよ。」
「………」
リノアは黙って読み始めた。
【スコールが近くにいなくて寂しいだろうけどへこんでたらリノアじゃないわよ。】
【元気でやってっか?この間に料理上手になっちまえ!】
【泣いちゃ駄目だよ~。】【リノアはリノアらしく元気にやるべきだ!】
一通り読み終えるとリノアは堰を切って泣き出した。
(ありがとう、皆。ありがとう)
「わかったかい?あんたは独りじゃないだろう?」
「グスッ はい。」
「わかればいいよ。それでも泣きたくなったり話を聴いて欲しくなったら私の所においで。」
「はい。ありがとうございました。」
そう告げる食事を軽く取り、リノアは保健室を後にした。泣いてすっきりしたのか、その顔は夕日に映え、壮麗だったという。
(クソッ!落ち着かないな。今は授業中だぞ。しっかりしろ。)
スコールは相変わらず苛立ちと戦っていた。発散に訓練場でSeeD特性のレベルで戦っても、すぐ倒してしまい苛立ちは全く解消されないのだ。
「いっ!…生!先生!スコール先生!」
半怒鳴られるようにしてやっとスコールは生徒に呼ばれてるのに気付いた。
「…悪い。(ボッとしてたみたいだな。)何のようだ?」
「今放送で呼ばれてましたけど行かなくていいんですか?」
「……すまないが何処に来るように言ってたかわかるか?」
「はい。来賓室二だそうです。」
「そうか。ありがとう。」
スコールは教室を後にし来賓室二に向かった。
(来賓……?誰だ?リノア……なはずはないな。まぁ行けばわかるか。しかし、生徒の前であんな失態を見せるとわな…。気を付けないと。)
そんなことを考えつつ、スコールは部屋に入って行った。
「失礼し………。」
「なんだよスコール!会ってそうそう人を『何か見てはいけない物』を見るような目で見んじゃねーよ。」
(相変わらず煩い奴だな。)
「睨むなって。話をしに来ただけなんだからよ。」
「話すことは何もない。」
「ひっで~な~。とうちゃん泣いちまうぞ。」
ギロッ
「さぁラグナ君。それくらいにしておきたまえ。それ以上変なことを言うと真二つにされてしまうよ。いや、それならまだいい方だな。」
「わかってるって。キロス、席を外してくれ。」
キロスは頷くと何も言わずに部屋を出て行った。
「スコール、今日の用事はお前のことだ。」
(こいつは何をわけのわからないことを言ってるんだ。)
「エルに相談されてよ~。最近スコールの様子がおかしいってよ。」
「………俺から話すことは何もない。帰って仕事しろ。」
「そう言うなって。」
(面倒だな……。)
絶好のタイミングでチャイムが鳴り響いた。
「…授業だ。俺は行くぞ。」
「だ~~なら一事言わせろ!」
「なんだ?早くしろ。」
「ちゃんとリノアちゃんに連絡してやれよ。」
「……。」
何も語らずスコールは部屋を後にした。馬鹿に騒いでるラグナを置いて。
スコールは苛立った思いを抱いたまま授業を始めた。
(クソッ!あの馬鹿大統領のせいだ。またムカついてきたな。)
イライラを抑えつつ、なんとか過ごしていた。
その日の授業も一通り終え、皆と夕食を取ってるとき、、、
「ねぇスコール、ちゃんとリノアと連絡を取ってるの?」
たったその一言でスコールはとうとうキレてしまった。
「煩い!皆して同じ事ばかり言うな!」
言葉だけですんだのは不幸中の幸いだろう。仲間は冷たく光る瞳に睨まれ氷付いた。
「なんでそんな他人事に首を突っ込みたがるんだ!?放っといてくれ!」
そう言葉を残しスコールはろくに食べずに皆を後に残し、部屋に帰っていった。
(クソッ!無理だって言うのは本当はわかってたはずなんだ。あの時告げた言葉が嘘をついてるって言うのも。
……会いたい、リノアに。会って話がしたい。声を聴きたい。……駄目だ。諦めないと。俺から振ったんだ。そんなことはもう許されないんだ。)
スコールは壁を殴りつけ、なんとか抑えようとしていた。
スコールが苦悩している頃に食堂では、、、
「恐かった~。」
「キレたね~。」
「ガンブレードを抜かれなかったのは不幸中の幸いだよな。」
「………変ね。」
「は?」「へ?」「ん~?」
「今まで仕事でイライラしててもあそこまでいったことなんてあった?」
「ねぇな。」「僕もないよ~。」「私も~。」
「……リノアと仲直りしてないのかしら。」
「聞いてみる~?」
「そうしようぜ。どの道リノアじゃねぇとスコールは止められねぇしよ。」
「それもそうね。セルフィ、お願いできる?」
「まっかせて~。」
「待った!折角だからTV電話にしないか~い?顔も見たいしさ~。」
「あ!それい~ね~。」
「そうしましょう。」
一同はパソコンルームに向かい、バラムガーデンにかけリノアを呼び出して貰った。
「ハァハァハァ」
「ヤッホ~リノア!」
「あ!皆~!久しぶり~。元気?」
「皆元気は元気よ。」
「よかった。あ・メールありがとね。」
「気にすんな。さて、本題に入るね。」
「何かな?」
「スコールと仲直りしないのか?」
スコールの名前を聞いてリノアの表情が一瞬固まった。
「……………。」
「スコールの機嫌が滅茶苦茶悪くてよ~。なんとかしてくんねぇかな、と思ったんだけどよ。」
「リノア~頼むよ~。」
「ごめんね。私じゃ役に立てないや。」
「え~?」
「本当にごめん。」
「……なら仕方ないかな。強調するわけにはいかないもんね~。ところで目の下腫れてるけど大丈夫か~い?」
「もう平気だよ~。ところでエスタガーデンはどう?」
「綺麗で広くてかなり凄いよ~。今度写真撮って送ったるよ。」
「わーい、ありがとう」
機械越しではあるが久々に皆に会えたのがよっぽど嬉しかったらしく、互いに色々な事を話、気付いたら一時間が過ぎていた。
「あ・もうこんな時間か~。」
「そろそろ仕事しないとまずいわね。けど………」
「私なら気にしなくていーよ。皆ありがと。」
「そう……?じゃ最後に一つだけいいかしら?」
「な~に?」
「リノア……スコールと………わかれてしまったのね?」
「!!」
「キスティス、何言ってんだよ。この二人がそんなわけないじゃんか。」
「………。」
「ならリノアの指を見てご覧なさい。」
「え?あっ!」
「おねえちゃんが言ってた指輪は多分リノアのでしょう?」
「成程。」
「納得してる場合じゃないよアーウ゛ィン。なんとかし………。」
「止めてっ!!!」
今まで口をつぐんでうつ向いていたリノアが涙目で大きな声を出した。
「これ以上…スコールに……迷惑……かけたくないんだ………。」
「リノア、、、」
「ごめんね。けど、スコールを攻めないで。元々は私が悪いんだから。」
「……わかったわ。」
「キスティス!」
「仕方ないでしょう?リノアたちの問題を私たちが意見を無視して何かするわけには行かないわ。」
「………。」
「……キスティス」
「ん?」
「ありがとう」
「気にしないで。悲しんじゃ駄目よ。」
「そうだぜ!リノアは明るくな!」
セルフィとアーウ゛ァインも頷きリノアは満面の笑みを浮かべ、いつもの顔に戻った。
「それじゃぁね!また連絡するよ。」
「うん!待ってるよ。」
通信を切ったが、誰もそこを動こうとは思ず、沈黙が辺りを包んだ。しかし、怒りに震え始めた皆の中で、セルフィが一番始めに沈黙を破った。
「もう!はんちょってば何やってるのさ。リノアをあんなに悲しませて!」
「しかしリノアは強いね。そこからもう立ち直ろうとしてるんだから。」
「そうね。………ところでこの話は」
「わかってるって。誰にも言わねぇよ。」
「そう、安心したわ。」
「さ、もう遅いし部屋に帰ろうか~。」
「そうだな。明日も早いんだしな。」
真相を知ったが何もできないことに無力感を覚えたが、四人はのろのろと部屋に帰って行った。
ただただこれが悪夢であり、一時的なもので会って欲しいと願いつつ………。
written by eoh
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