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Benediction of God in Solitude
譲れないものXIII
「お願い!スコール!」
「ごめん。」
(これは……?)
「お願い!行かないで!」
「リノア、、、わかってくれ。」
「わかんない!わかんないよ!」
(リノア……)
不意に視界が揺らぎ、スコールは自分が寝ていたことに気付いた。
(…ったく。朝から嫌な夢を見せてくれたものだな。)
『夢は本心の表れ』という事を知りつつも、それを認めたくない気持を持っていたために気だるく起床し、それを忘れるか如く乱暴に顔を洗い始めた。
(生徒に怒りをぶつけないようにしないとな。……今日はエルオーネの査察が入る日か。)
心の中で軽く舌打ちをし、スコールは朝食を取ってから足取り重く部屋を出ていった。
いつもと何も変わらないように授業をしていくスコール。しかし、あまりにも余裕の無さ過ぎる姿で、エルオーネだけでなく、生徒達にも不審に思われていた。
「ヒソヒソ(なぁ、なんかスコール先生変じゃないか?)」
「ヒソヒソ(やっぱお前もそう思う?なんか切羽詰まってる感じがするよな。)」
「ヒソヒソ(うん。なんからしくないよな。)」
「そこ、私語は慎め。」
生徒達がそんな会話をしてるとは思わず、スコールは教師を演じていた。
(やっぱりおかしいわね。この間よりさらに酷くなってるわね。昨日電話を使ってから不機嫌になってたぐらいだからキスティス達ならなにか原因を知ってるかも。後で聞いてみるか。)
恐ろしく正しい推測をエルオーネがしているとは思わず、スコールは冷静で淡々と授業をすることに努めた。
全ての査察が終り、報告書も全て書き終えたエルオーネは内線でキスティス達を呼び集めた。
「ねぇ皆。本当にスコールの調子がおかしい理由知らないの?」
「………知らないわよ。」
「そう?なら今の間は何かな?それに…。」
「それに…?」
「あなた達なんで皆そんな不機嫌そうな顔をしているの?」
(やっぱりおねえちゃんには叶わないわね。)
「知ってるんでしょ?教えなさい。」
まるで悪戯した子供を怒る母親のような態度でエルオーネは皆に詰め寄った。
「僕達も教えてあげたいけどさ…こればっかりはプライベートな事だから許可無く言うことはできないんだよね~。」
「そう、、、なら、、、自分で見るわ。」
「えっ!ちょっやるんならゼルで」
「全員から見せて貰うわね。」
キィーン
頭の中に音鎖のような音が響き渡り、五人の意識は薄れていった。
「ごめんね、」
昨日のリノアと話してる記憶をエルオーネは全て読み取った。
「成程。そう言うことがあったわけか。」
もはやエルオーネの表情は憤怒と化していてこうなると誰も手を付けられない状況になっていた。
「皆ありがとう。私スコールの所へ行ってくるわね。」
「スコールなら部屋じゃなくて訓練場に行ったぜ。」
「ありがと、ゼル」
スタスタとエルオーネは歩き去っていった。
「スコールには悪いけどああなったおねえちゃんは止められないわね。」
「そうやな。堪忍してもらお。ホンマはうちらも色々言いたいけんな。」
「……さて、部屋に戻りましょうか。」
「そうしよっか~。」
一行は部屋に向けて歩き出した。あと何分でエルオーネの怒鳴り声がガーデン中に木霊するのかを予測しながら。
「スコール、どこにいるの?」
不機嫌並びに怒り全開の声を出しながらエルオーネは訓練場を歩いていた。
暫く歩くとスコールがモルボル八体に囲まれているのを見付けた。反応しなかったのはそのせいだったことを知り、エルオーネは佇んで見守っていた。
スコールは目にも止まらぬ早さでモルボルを切り付け、ものの一分で全て片付けた。
「相変わらず凄いわね。」
「別に普通だろ。ところで何のようだ?」
「あなたに話があるの、ちょっと来なさい。」
「ここじゃまずいのか?」
「少しまずいわね。あなたにとっては。」
(どういう事だ?)
「とりあえず来なさい。」
エルオーネはスコールを連れて訓練場をあとにし、エアーステーションに向かった。
「ここでいいわね。」
周りには誰もおらず、そこは静寂に包まれていた。
「話はなんだ?任務か?」
「いいえ。あなたのことよ。」
「俺の事?」
「えぇ。……あなた………リノアちゃんと別れたんだって?」
「!!!」
「図星ね。」
「あんたには関係ない。用件はなんだ?」
「まだ不確かな部分もあるから、少しあなたの記憶も見してね。」
キィーン
エルオーネはスコールの別れた日の記憶を全て読み取り、全てを理解した。
「成程。そう言うことだったのね。」
「………。」
「スコール、いいものを見してあげる。」
キィーン
「うっ!」
スコールはエルオーネの力でその時にダイブした。
「これ以上…スコールに……迷惑……かけたくないんだ………。」
「リノア、、、」
「ごめんね。けど、スコールを攻めないで。元々は私が悪いんだから。」
(違う。もともとは俺が一番悪いんだ。中途半端な行動で、あいつを惑わした俺に非があるんだ。)
急に自分の存在がはっきりし、スコールはエルオーネの方を見た。
「こんなものを見せて一体どうしろと言うんだ?」
この一言に耐えに耐えていたエルオーネの堪忍袋の尾が切れた。
パァーーーン
「っ!いい加減にしなさい!この馬鹿っ!!」
ガーデン中に響きそうな声で、エルオーネは怒鳴りつけた。
「何でそんなに卑屈なの?自分でやった行いがどれだけ彼女を傷付けたのかわかってるでしょう!?いつまでそうやって子供のままでいる気なの?」
スコールは答えられなかった。反論できる部分が全く無いのだから。
「他人を気遣うのは大切よ。けどやり方があるでしょう?あなたのやった事はただ傷付けただけよ。それくらいわかるでしょう?」
(わかってるさ。)
「あなた……彼女を守るって決めたんじゃないの?」
スコールの瞳が大きく揺れ動いた。
「守る者が傷付けてどうするのよこの馬鹿!」
スコールはなにも聞きたくなく心を閉じようとしていた。しかし、あまりにも的を射すぎた言葉が、スコールの心にグサグサ刺さり、とてもそうはできなかった。
「スコール、『あなた』はどうしたいの?あなたが今一番したいことは何か、よく考えなさい。」
そう告げるとエルオーネは去っていった。
「俺は………。」
スコールはそこに立ち、ひたすら考えていた。
written by eoh
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