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Benediction of God in Solitude
譲れないものXIV
「一体どうなったのかしら?」
「さ~ね~。けどおねえちゃんに怒鳴られたんだからなにかしら変化するんとちゃう?」
「昨日のおねえちゃんの怒鳴り声、凄かったね~。幼少部の子達なんか泣き出しちゃって大変だったよ~。」
「……幼少部の部屋って確か防音設備完璧だったよな?」
「えぇ。けどおねえちゃんが本気になって怒鳴ったらそんなものただの壁よ。」
「そやね~。エアーステーション近くの窓ガラスもかなり割れたらしいからな~。」
「……一応聞くけどよ、確か防弾処理してあんだよな、この学校の窓ガラスって。」
「してあったからステーション付近だけで済んだんでしょう。」
「……」
意外な凄さに初めて見た人は大変驚くだろう。今朝の食堂での生徒の会話も、その事でもちきりだった。
「相変わらずよね。おねえちゃんも。さて、授業に行きましょうか。」
「そうするか。」
スコールの事は敢えて口に出さず、五人はそれぞれ向かっていった。
スコールはと言うと、まだ部屋で考え込んでいた。
(確にリノアに会いたい。けど自分からああ言っといて今更解消して欲しいなんて虫がよすぎるよな。だが、、、)
昨夜からずっとこんな調子だった。もうすぐ授業が始まるというのに、それにも気付かずに考えていた。
「スコール先生、スコール先生。まもなく授業が始まる時間です。」
そういう電話が入って、初めてスコールは今が朝だという事を知った。
「朝だったのか、、、。……授業の開始まであと一分しかないじゃないか!」
自分がどんな顔をしてるのか全く気にかけずにスコールは教室まで全力疾走した。
バタン!
「授業始めるぞ。ハァハァ。席につけ。」
談笑していた生徒達はスコールの顔を見て驚愕した。目の下には隈がはっきり浮き上がり、目は充血していた。
「先生、大丈夫ですか?」
「問題ない。始めるぞ。」
いつもと変わらず授業をしていた。しかし、スコールの頭の中はリノアの事で一杯だった。
「クソッ!」
突然大声を出し、生徒達は皆驚いた。
「悪いがみんな、今から訓練場に行ってくれ。今日は実技にする。ノルマはモルボル四体、ルブルムドラゴン二体、トライフェイス五体、エルノーイル二体だ。くれぐれも無理をするな。」
それだけ言い残すとスコールは足早に教室を出ようとすると、そこにアーウ゛ァインが立っていた。
「おねえちゃんに頼まれてね。もしかしたらこうなるかもしれないからって。授業は僕に任せて早く行ってきな。あ・これ、ラグナロクのキーだよ。」
驚きはしたが今はそれどころじゃないスコールは鍵を受け取りエアーステーションに向かって疾走した。
「(熱いねぇ。)さ、みんな、訓練場に行くよ~。」
ラグナロクに乗り込み、オートでバラムガーデンに向かい、その時間の間、スコールは仮眠をとった。
赤い機体は太陽の光りに反射して輝いていた。
バラムガーデン上空に到着した途端にスコールはまだ五メートルはあるであろう高さから飛び降り、難無く着地しリノアを探し始めた。
部屋を見、図書室を覘き、リノアがいそうな所は全て探したが、何処にもいなかった。
(リノア、何処にいるんだ?リノア!)
呼び掛けに答えるかの様に、風にのって歌声が微かにやってきた。
「この歌は、、、こっちか。」
進むに連れて、確に歌ははっきり聞こえるようになった。
階段をかけ登り、スコールは扉を開けた。
そこにいたのは一人の女性。自分が一番会いたかった女性。彼女に向かってスコールは一言、その人の名前を呼んだ。
「リノア!!」
「リノア!!!」
呼ばれてリノアは振り返った。
「ス……コー…ル?」
「リノア!」
スコールはリノアに抱き締め、息をつかずに話出した。
「すまない、リノア。俺はあんたを傷付けただけだった。自分の気持に嘘をついていただけだった。俺はあんたなしじゃ、リノア無しじゃ駄目なんだ。何を今更、と思うかもしれない。だが、もし構わないなら俺の側にいてくれ。」
そこまで言いきると、スコールは肩で息をし、リノアを離した。
「私、私、とっても辛かった。スコールにあんなことを言われたのが。私、あなたがいなかったらどうすればいいのかわからなかった。もう、魔女として生きるしかないと思ったりもしたんだよ。」
「すまない。」
「いいよ。来てくれたから。」
「本当にすまなかった。」
「だからもういいってば。」
「だが、」
「それ以上言ったら怒るよ。」
スコールは言うのを止め、リノアの目を見て言った。
「リノア、もし構わないなら俺と一緒にいてくれ。俺のお前に対する気持、これだけは絶対に譲れないものなんだ。」
今まで堪えていた分だろうか。リノアの黒真珠のような瞳から涙が堰を切って溢れ出した。
「うん。……私は、もう離れろって言われても絶対に離れないからね。」
お互いに微笑み合い、抱き締めた。
スコールは自分のポケットに入ってる物を思い出し、リノアを離し手をとった。
「今一度言おう。リノア、俺と一緒に歩いてくれるか?」
「喜んで。」
その言葉を聞き、スコールは左手の薬指に一度は押し返された指輪を、そこにはめた。
リノアはスコールに抱きつき、スコールはしっかりと受け止め、強く抱き返した。
二人のその姿を、太陽だけが祝福していた。
written by eoh
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