Benediction of God in Solitude

Benediction of God in Solitude

中秋の名月



久々のオフ。それでもスコールがリノアより朝早く起きるのはいつものことだが、今日は珍しく(普段はリノアが立たせない。自分がやる。並びにスコールにやらせないため。)台所に立っていた。

「起きたか。もう昼だぞ。」
「(…本当だ。随分寝すぎちゃったな。)とりあえずおハロー。」
「…。」
「スコール?」
「おはようと言う時間じゃない気がするが。まぁいい。そこにある朝食、というか昼食を食べろ。」
「うん。(スコールの作ったご飯って私より美味しいんだよね。嬉しいんだけどなんか複雑な感じ。)」

そう思いながらスコール手作りのご飯を食べ始めた。
感嘆と悲しみの要り混じった息を吐き、リノアはご飯を食べ終えた。

「食べ終ったみたいだな。」
「あ・うん。ごちそうさま。」
「あぁ。今日は買い物に行くか?」
「うん。」
「なら洗っておくからさっさと準備してこい。」
「わかった。」

なんか今日のスコールは変だな。と思いつつも、遅くまで寝ていた身であるから言葉には出せないリノアだった。
それでもなるたけ早く身支度を整え、リノアは声をかけた。

「終ったよ。」
「よし。行くぞ。忘れ物はないな?」
「うん。」

二人は午後のエスタに買い物に出かけた。



リノアは久々のスコールとの外出だったのでうかれていた。スコールの禁める声が出るが、聞いているのかいないのか。少なくとも態度には出てなかった。
禁める声を出しつつも、スコールもリノアと外に出たのは久々なせいか、柔らかい表情だった。
目撃した生徒の話では教師と生徒という役職を捨てた二人がそこにいたという。

「スコール、こんな服着たくない?」
「…興味ない。(絶対ごめんだ。そんな派手な服。)それはラグナの方が似合うんじゃないのか?」
「それはそうかもね~。でもスコールが着る姿見てみたいな~。」

負けそうになったが何とかリノアに「もしその服を俺に着せようとしたら毎回物理の時間に当ててやる。」と言っていいくるめ、(リノアにとっては脅迫だろう。)その場を逃げ出したスコールだった。



全ての物を買い終え、部屋に戻った二人は台所に入っていった。

「ねぇ、この粉何に使うの?」
「?団子を作るに決まってるだろ。」
「お団子?」

全くわけが判らない。と言いたげなリノアの顔を見て、スコールは付け加えた。

「前に話しただろう。今日は中秋の名月だ。」

その言葉がリノアに過去を思い出させた。

「中秋の名月って言ってな、その日は毎年完璧な満月になるんだ。確か陰暦の十五日だから毎年変わるんだよな。」

(そう言えばそんなことゼルが言ってたな。)
「あんた星とか月を見るのが好きだろう。だから夜見ようと思ってな。」
「(…スコール)ありがとう。」
「さ、さっさと作るぞ。」
「うん!」

スコールは一瞬顔を赤らめたが、巧みなポーカーフェイスでリノアには悟られずにすんだ。
そんな会話をした後、二人は作業を始め、九時頃にはかなりたくさんの団子を作り終えていた。

「(よし。こんなものだろう。)もういいぞ。」
「ふ~疲れた…。」

少量しか作ってないのに随分時間が過ぎていた。

「疲れているとは思うが…そろそろ行くぞ。」
「うん!」

二人はエスタガーデンの最高地にある展望台へと向かった。



「うわ~綺麗~。」

秋欄万。と言わんばかりの満点の星空が二人の上に広がっていた。

「すっごーい。バラムよりたくさん見えるかもね。」
「そうだな。」
「…ねぇ。」
「なんだ?」
「固くなっちゃわないかな?お団子。」
「(…やっぱり花より団子、か)そうだな。食べていいぞ。」
「スコールは食べないの?」
「…もう少ししたら食べる。」
「じゃぁ私もそうしよ。」
「リノア?」
「一緒にいるんだから。何事も一緒にやらなきゃ。」
「……そうだな。」

二人は暫く肩を寄せ合い空を見ていた。
広大に広がる星の海を。
その美しさを目に焼き付けるかのように。

「ねぇ。」
「…なんだ?」
「どうしてスコールから星を見ようなんて言ったの?普段はそんなロマンチストじゃないのに。」
「…聞きたいのか?」
「うん!」
「…こっちに来たとは言え、未だにあまり構ってやれないからな。特に最近忙しくて一人にさせてしまったからな。折角だから喜ばせてやろうと思ったんだ。」
「ふ~ん。それって私と一緒にいたかったって事かな?」

そう言われてスコールは顔や態度にこそ出さないが、照れ始めた。
言い換えれば確にそうなのだが、恋愛や他人との関係に疎いスコールには、そこまで考えが回っていなかったようだ。

「そう、、、かもな。」

その言葉を聞くや否や、リノアはスコールに後ろから飛び付いた。

「ありがとう」

二人はそのまま暫くそのままでいた。ススキが揺れる音と月と星の光が、二人を包み祝福していた。

fin



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