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僕は今、道なき道を走っている。 こんな書き出しです。全部で 16章 の短編連作風ですが、冒頭の 「今」 に始まって 16章 の 「今」 まで、 「僕」 の体験が、 「僕」 自身によって、ほぼ、時間の流れに沿って書き綴られている作品です。
餞別にとおじさんがくれたオンボロ自転車は、大人用だった。自分で望んだことだけど、やっぱり僕の体には大きすぎる。爪先をまっすぐ伸ばさないと、ペダルに足が届かない、茶色く錆びたチェーンからは、ひっきりなしに耳障りな音が響いている。 (P5)
今だ。 引用中の ×××× は 「僕」 の新しい名前です。 グランマ の好きなロシアかどこかのスープの名前のようです。このサーカスの登場人物たちは、皆さん、自分の好きな食べ物で名乗っていらっしゃるわけで、 「僕」 も食べものの名前を手に入れたわけです。
誰かがぼくの耳元でささやいた。ぼくは、綱雄上に爪先をかける。
一本の細い綱が鮮やかな虹になるのをジメージした。虹が、ふわりと柔らかく、ボクの体を受け止める。その瞬間、僕は虹の上の××××になる。
僕は、虹の上をそっと歩く。そしてこれからもずっと、未来を見つめて歩き続ける。
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