きょうのめいぷる

きょうのめいぷる

繋がる情報のカケラ



夢の世界へ旅立ちそうな楼羅は、自分の頬を2,3発叩いた。


楼「・・・眠・・・」

余計に眠気が襲ってくる。

デスクの上に乗っていたコーヒーをがぶ飲みしてみた。

楼「・・・苦・・・」

数秒後、抵抗も空しく、楼羅は夢の世界へ。
あっ、あんな所に中尉さんが~・・・

うふふふ、ちゅ~いさ~ん・・・


中尉さんに抱きつこうとした、その時。



カンカンカン・・・


事務所の階段を駆け上がってくる音と、


バァン!


「こんちわー!」



ボロい癖に音だけは大きい入り口のドアが開いた音と、大きな声。
楼羅は飛び起きずにいられなかった。


楼「な、な、何ッ!?」


目を白黒させながら入り口に目をやると、筋骨隆々な男が立っていた・・・


ト「おー!角じゃないか!久しぶりだなー」
角「おお、トーティス・・・お前変わってないなー・・・」


昔の親友と会話するように、二人は話していた。
あの無表情な所長にも自然と笑みが零れる。

ト「・・・お前の目は節穴だ。知的に変わっただろう?」


机の上の資料を指差して、得意げな顔で所長は言った。


こ「・・・それ、俺がまとめた書類・・・っ痛!」

気持ち悪いくらいにっこりと微笑んだ所長が、こうたさんの足を踏みつけているのが見えた。

こ「そ、それは・・・っそれは所長が一人で仕上げた書類です・・・」
ト「そうだよな~。俺はいつもちゃんと仕事してるもんな?」

サッと目線をこちらのほうに移した所長の目は、「話を合わせろ!」と語っている。

楼羅は、軽くはにかんで言った。
楼「いつも所長は寝る仕事だけ長けてますよね~。」

所長の顔が青ざめるのが見えた。

ト「こ、こいつってばいつも寝てる癖に何を言ってるんだか・・・」
楼「なんなら証拠写真でも挙げましょうか?」
ト「 な!・・・盗撮か?趣味悪いな、お前・・・」
楼「・・・ああ、あったあった、この写真は写りがいいぞ~・・・」

ト「 ごめんなさい。


更に追い討ち。


楼「嘘はよくありませんよ。」
こ「全くですな。」

うな垂れる所長を見て、角は呟く。

角「やっぱり変わってないな・・・」


ト「・・・っと、忘れる所だった。」

自分の机の上の、こうたさんが徹夜して書いた書類を、楼羅と角さんに手渡す。

角「・・・これは?」
ト「依頼人と現場の周辺調査だ。」
こ「警察から近頃起きたストーカー被害の事例も書いてあります~・・・」
楼「・・・こうたさん、お疲れ様です・・・」
こ「徹夜したよ・・・ 所長が手伝ってくれないから・・・」

ト「・・・それでだな。」
楼「(流した・・・)」
ト「ここ最近現場周辺でストーカー行為が多発しているらしい。」
こ「そして、殺人事件も一件起こっています・・・」
角「殺人事件・・・」

ト「被害者は現場付近のマンションに住んでいた女子大生だそうだ・・・」
こ「その女子大生もストーカーの被害に遭っていたようです。」
楼「ストーカーがエスカレートした後の犯行、ですか。」
角「そう考えるのが懸命のようだな・・・」

ト「で、だ。」
こ「煉さんが現場で会話を聞いた日と、女子大生が殺された日は同じなんです・・・」
ト「しかも、極めて近い時刻でな。」

楼「・・・殺人事件とストーカーの犯人は、煉さんの後をつけている奴と・・・」
こ「同一犯の可能性が高いと思われます・・・」

ト「更にこうたの奥さんを付回してる輩も・・・」
こ「そいつかも・・・しれないんです・・・」


楼「・・・殺人事件ともなると、私達の安全も保証できませんよね・・・」
ト「うむ。」
こ「・・・対策は?」
ト「そん時はあれだ。 楼羅にお任せする。
楼「・・・お任せ、ですか?」
ト「任せる。」
楼「・・・ふ、ふふ、ふふふふ・・・」

角「おいトーティス、この娘大丈夫なのか?」
ト「何がだ?」
角「調査ならともかく、命の安全が保障できないような場所に連れて行くって事がだよ。」
ト「うん、心配いらん。」
角「・・・言い切れるのか?」
ト「お前はアレを見てもまだ心配するのか?」

所長が指で示した方向を見てみると。

楼「・・・実弾持っていくとして・・・ゴム弾も一応持っていこう・・・。炸裂弾と催涙弾は、どっちにしようかな~♪」

まるでピクニックに持っていくおやつを選ぶような感覚で、銃器や火器を漁る楼羅の姿が。

角「・・・」
ト「な?」
角「別の意味で心配なんだが・・・」


燃える楼羅を遠巻きに。
トーティス、こうた、角の3人は、これから起こりうる事に不安を覚えざるをえなかった・・・。


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