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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第10話「それぞれの転機」皇帝を怒らせた淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)はその夜から南宮に軟禁された。荒れ果てた屋敷を見た侍女・碧紫(ヘキシ)と碧紅(ヘキコウ)は幽霊の住処のようだと怯えたが、緹蘭はこの静けさがむしろ心地よいという。「愈安(ユアン)宮のように身をすくませて過ごすことも、陛下に会うこともない…桃源郷よ」緹蘭は確かに王宮で育ったが、決して贅沢な生活ではなかった。一方、正式に世襲を認められた方鑑明(ホウカンメイ)は清海(セイカイ)公の爵位を取り戻した。霽風(セイフウ)館も昭明宮へ移ることになり片付けが終わったが、療養中だった方海市(ホウカイシ)の部屋だけ着手できずにいる。陳哨子(チンショウシ)は小公子が回復したので片付けさせるか尋ねたが、鑑明は必要ないと言った。「私に考えがある…」海市は師匠が自分だけ置いて行くつもりだと気づいていた。すると鑑明は海市がもう大人になり、男だらけの昭明宮に移るのは何かと不都合になるという。「不都合とは何ですか?!…私は一生、師父や師兄のそばにいます!」しかし鑑明はいずれ海市も任務から外れて女子に戻る日がくると諭した。「話は終わりだ、下がれ…」綾錦司(リョウキンシ)では典衣・鞠七七(キクシツシツ)が刺繍に没頭していた。何日も寝ていない叔母を心配して付き添う鞠柘榴(キクシャリュウ)、するとついに刺繍が完成する。一方、朝議を終えた旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は鑑明を連れて書斎に向かっていた。「荷を運び入れたのになぜ越して来ない?」「やはり分不相応ですし、不都合も多々生じます」しかし褚仲旭は堂々と越して来いという。すると回廊で鞠七七と柘榴が待っていた。鞠七七は清海公が朝廷に復帰した祝いとして皇帝に刺繍を献上し下がった。顔色ひとつ変えない鑑明だったが、褚仲旭は七七が綿の花の刺繍を贈って来た理由を知っている。実は方家の故郷・流觴(リュウショウ)では嫁入り道具の中に花嫁が刺繍した綿の花の枕掛けを用意する風習があった。綿の花には花嫁が夫と共に風雨に耐え、生涯、愛を貫くという意味がある。「そうでしたか?」「アイヤー、七七は朕とお前に訴えているのだろう?…腹をくくれ」「…他にお話がなければ失礼します」海市がひとり霽風館で不貞腐れていると方卓英(ホウタクエイ)が帰って来た。「海市!殿選で3位だって?!明日の参内で殿中郎に封じられるな 今後は街を歩くと大変だぞ?美女たちが放っておかない、憧れの的だからな」それにしても蘇鳴(ソメイ)も卑怯なことをする。師匠に刺客を送り、武挙で海市に毒を使うとは…。海市は師匠が無事ならそれでいいと話し、卓英が持ち帰った母の差し入れに喜んだ。しかしふと自分だけ皇宮に引っ越せないことを思い出し、意気消沈してしまう。「なんだって?!だめだ!お前がいなきゃつまらん!」「哥!掟を忘れたのか?師父の言葉は絶対だ」「いつも逆らってたくせに~」「でも師父は恩人だし、それに…迷惑をかけてばかりだったから…」その夜、卓英は師匠に越州での引き継ぎが終わったと報告した。「師父…あえて海市を連れて行かぬのですか?」鑑明は黙っていたが、卓英はせめて海市が傷つかないよう説明してやって欲しいと訴える。しかし鑑明は決して自分の本心を明かせなかった。…男ばかりの中では不都合が生じる…不都合って何ですか?!私は一生、師父や師兄のそばにいたい!鞠柘榴は綾錦司の中庭でひとり、目隠しをしながら刺繍を修練していた。そこで卓英は屋根からそっと飛び降りたが、柘榴はわずかな足音も聞き逃さず、″風神様″が来たと気づく。しかし何事もなかったかのように刺繍を続けた。卓英はそっと柘榴に近づき、海市の母にもらった真珠の腕輪を布に乗せる。すると腕輪は布を滑り落ち、柘榴の手元へ届いた。柘榴は驚いて腕輪を手探りで確認、思い切って目隠しを外したが、すでに″風神様″の姿はない。朝廷に復帰した鑑明は左衛にこもりきりだった。暇を持て余した褚仲旭は堤防決壊の件で諫言してきた大臣を呼んだが、結局、ただの受け売りで浅慮だと分かる。仕方なく宮中を散策しながら穆徳慶(ボクトクケイ)に愚痴をこぼしていると、やがて侘しい南宮が見えた。褚仲旭が南宮に入ってみると、前庭は綺麗に掃除され、どこからともなく琵琶の音が聞こえていた。「穆徳慶?…自省のための幽閉のはずが、お前はのどかな別邸を用意してやったのか?」すると簡素な殿内で緹蘭が琵琶を弾いていた。「古い琵琶だ、今では滅多に見ない、宮中でも弾ける者はごくわずかだ」「(はっ)お越しと知らず無礼を…すぐ衣を整えて参ります」しかし褚仲旭は今さら礼について考えても遅いと嫌味をいう。その時、机の上に彫りかけの龍尾神(リュウビシン)を見つけた。褚仲旭は大方、黄泉営の湯乾自(トウカンジ)か方海市の平穏無事を祈って彫っているのだろうと難癖をつけたが、緹蘭は自分のためだと否定する。「身分が低かった生母に言い聞かされてきました… 自分自身を見つめ、身の程をわきまえ、人の助けを当てにせず、自分の身は自分で守れと…」「…朕も庶出だ、亡き生母はひたすら耐え忍べと言った、だが耐えるだけでは駄目だとのちに悟った」褚仲旭は緹蘭と思わぬ共通点があることを知り、皇子だった頃の屈辱を思い出した。「陛下?」「(はっ)…紫簪(シサン)は出征する兵たちのために形代(カタシロ)を彫り、兵らの無事を祈った 紫簪にならい、3万の新兵一人一人に龍尾神を彫ってやれ」驚いた侍女たちは無茶だと訴えたが、緹蘭は拝命した。「…朕を喜ばせるためなら紫簪を演じると申したな?よく覚えておけ 紫簪亡き今、朕が喜ぶことは未来永劫、起こりえぬ」鑑明は政務を理由に遅くまで霽風館に戻らなかったが、本当は海市と顔を合わせづらかった。いよいよ明日は海市が皇帝に拝謁し、殿中郎として挨拶する。海市は今夜も師匠の帰りを待ちわびていたが、結局、参内用の衣装が届いただけだった。翌朝、海市は参内までの時間、街に買い物に出た。そこで如意坊で玉飾りを選ぶ。「これと…あとこれを」「お目が高い!この白玉は天啓に1つしかありません」するとどこかの令嬢が店に入って来た。ヒソヒソ(*´・д・)(・д・`*)<あの方、長兄と一緒に武挙に出ていた方海市よ!(」゚ロ゚)」<みなさ~ん!方公子よ~!キィャア~!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ )))))┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・!今や有名人となった海市はあっという間に娘たちに囲まれ、2つ目の佩玉を受け取る間もなく逃げ出してしまう。周幼度(シュウヨウド)は友人の裁縫鋪にやって来た。するとちょうど店から飛び出して来た美しい海市に目を奪われてしまう。「おう幼度!…ああ~残念だがあれは男だぞ?買ったばかりの女の衣に着替えてさっさと出て行った」「男だと?…全くお前ときたら、見る目がないな」海市は面倒から解放され、山査子(サンザシ)を食べながら歩いていた。すると突然、卓英が現れる。「哥の言葉通りになって散々な目に遭ったよ」「参内の時間を間違えて伝えていたそうだ、お前は巳の時1刻に参内せねばならぬ」「え?!でも衣が…」結局、海市は紫宸殿に現れなかった。鑑明は仕方なく毒の後遺症なのか急に具合が悪くなったと取り繕う。こうして海市は不在のまま、卓一凡(タクイツハン)と共に北府軍の殿中郎に封じられた。海市は参内の時間に間に合わないと分かり、諦めて卓英と酒楼にいた。「遅れたから行かぬとは…無礼も甚だしいな」「最近、私はついていない、万事そつない霽風館の使用人が重要な刻限を誤るなんて… この姿も私の過ちに数えられるな…叱られたくないから師父が眠った頃に帰る」しかしその時、店に師匠が入って来た。卓英はすぐ気づいたが、背を向けている海市はうっかり口を滑らせてしまう。「師父の瞳はまるで黒曜石のようだ、冷え冷えとした光を放ち、一瞬で光を奪う 師父に近づきたくても遠くから敬慕するしかない、こたびの大失態でますます遠ざけられるな…」(Ŏ艸Ŏ).oO(ハイシー…後ろ後ろ!「あ~分かってる、師父に叱られたんだろう?…昭明宮のことはもう口にするな」(  ̄꒳ ̄)<誰が叱っただと?ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ<師父!…面壁します!「…すぐ荷物をまとめなさい」あれ?(´・д・)(・д・`)え?「お前を独りにするわけにいかぬ…昭明宮に越せ」「ほえ~(はっ!)謝謝、師父!」外は雨になった。3人は軒下で雨宿りしていたが、海市の荷物を持っていた卓英がうっかり化粧箱を落としてしまう。「あ、それは哥に贈る玉だ」「私に?!」卓英は早速、玉を出して喜んだが、鑑明は面白くない。「私がいては気詰まりだろう」はっ?(´・д・)(・д・`)まさか?!師父海市は確かに掟を持ち出されると窮屈だが当然のこと、師匠の教えをいつも胸に刻んでいると言った。「ところで海市、師父の分は?」「あ?…買わなかった、師父にふさわしい品は街では見つからない」「何だって?!…誕生日までには準備しておけよ!」鑑明は居たたまれなくなり、自分はいらないと言って歩き出してしまう。無神経な卓英に怒り心頭の海市、しかし卓英は何が悪いのか分からなかった。雨はすぐに止んだ。卓英は微妙な雰囲気を察し、前を歩く師匠に聞こえるよう海市に大きな声で話しかける。「越してからしばらく別々に過ごそう、だが様子を見てまた3人で一緒に住めばいいさ!」つづく(  ̄꒳ ̄)師父ったら…まあ~卓英は悪くないんだけど、いるよね、こういう間の悪いタイプw
2022.07.30
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第9話「外れた仮面」武挙も最後の試験となる殿選、今回は旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)の提案で舞台を霜平湖(ソウヘイコ)に移した。方海市(ホウハイシー)は湖上に配置された太鼓に乗って待機していたが、幼い頃の海での惨劇が蘇り、立ちくらみに襲われてしまう。しかしあの時、自分を助けてくれた鮫人族・琅嬛(ロウケン)の姿を思い出し、不思議と心が落ち着いた。旭帝が淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)を連れて会場に到着した。すると方諸(ホウショ)が命に背いて護衛についている。「来るなと言ったはずだが?」「″臣下は主君から離れるな″と言います」「…おもしろい、どういつもこいつも朕に従おうとせぬ」褚仲旭の言葉は隣に着席した緹蘭への当てこすりだった。湖にはやぐらが建てられ、その周りを取り囲むように太鼓が浮かんでいた。参加者はそれぞれ策を練り、競争相手を蹴落としながらやぐらにぶら下がった箱の中にある玉棒を奪い合う。緹蘭は試合が始まっても伏し目がちだったが、褚仲旭は心ここに在らずかと嫌味を言った。しかし緹蘭は注輦(チュウレン)の掟で妃嬪は臣下の前で顔を覆い、ましてや武芸など直視してはならないという。「注輦は細かいことにこだわらぬはずだが…大徴の掟より厳しく聞こえる」「おっしゃる通りですね」緹蘭は面紗を外し、皇帝の意に従って堂々と試合を見ることにした。その時、ちょうど海市が足を蹴られ、やぐらから落ちてしまう。驚いた緹蘭は思わず肘掛けをつかむ手に力が入ったが、海市は太鼓につかまり無事だった。蘇鳴(ソメイ)の間者・何冲(カチュウ)は方海市に協力を持ちかけた。まず2人で敵を蹴落とし、最後に一対一で決着をつけようという。何冲の作戦が功を奏し、ついに海市は玉棒を奪い取ってやぐらに上がった。その時、何冲が下から氷の暗器を放ち、海市は突然、ばったり倒れて湖に落ちてしまう。方諸は慌てて湖に飛び込み、海市を抱き上げて無事に助け出した。しかしその際、仮面が外れ、素顔を衆目に晒してしまう。あれは清海(セイカイ)公だ!>ʕ•̫͡•ʕ*̫͡*ʕ•͓͡•ʔ-̫͡-ʕ•̫͡•ʔ*̫͡*ʔ-̫͡-ʔ<ザワザワ…会場で黒い血痕が見つかり、方海市を襲ったのが毒の暗器だと分かった。褚仲旭はすぐ霜平湖と科挙会館を封鎖し、暗衛営の中郎・陳哨子(チンショウシ)に調査を一任、黒幕を暴くよう命じる。その頃、宮中では鞠七七(キクシツシツ)が鞠柘榴(キクシャリュウ)に頼んでおいた腰帯を取りにやって来た。「玉蘭花?…慣例では猛獣のはずよ?精緻(セイチ)で美しいけれど殿方にはふさわしくない」「小公子はとても美しいお顔立ちで、普通の殿方より動きもしなやかです あの俗世に染まらぬ雰囲気には玉蘭花がぴったりだと思ったのですが…やり直します」「…確かにそうね、いいわ、柘榴の見立てなら間違いない」鞠七七は早速、霽風(セイフウ)館にお祝いの品として腰帯を届けることにした。2連続で第一甲だった方海市のこと、今日は恐らく首席に選ばれるだろう。方諸は海市を抱いて急いで霽風館に戻った。解毒薬を届けるよう指示したが待っている時間はなく、方諸は海市の抱き起こして背中の傷をあらわにする。「耐えろ、痛いぞ…」方諸は傷口を短刀で切り裂き、自ら毒を吸い出した。その艶めかしい様子を偶然にも腰帯を届けに来た鞠七七が見てしまう。陳哨子は調査を終えて指揮使に報告した。参加者全員と科挙会館を調べても手がかりはなかったが、何冲が厠で自害したという。遺書には方海市がいなければ首席になれると思い、陥れたとあった。2人は裏があると気づいていたが、証拠がなければ追及はできない。一方、褚仲旭はこれを機に方諸を朝廷に戻すと決め、暗衛営を連れて皇宮に越して来るよう命じた。戦乱で壊される前は皇宮の護衛たちが寝起きする麒麟(キリン)台があり、鑑明の父も住んでいたことがある。そこで褚仲旭は許嫁の鞠七七との婚礼も早々に済ませるよう勧めた。鞠柘榴は夜になっても中庭にいる叔母を心配し、外套を届けに行った。すると鞠七七は姪の手を握りしめ、しみじみ広大な皇宮で温かいのは柘榴の手だけだという。「姑姑(グォグォ)?どうかしましたか?」「いいえ…昔のことを思い出していただけよ あれは″儀王の乱″よりも昔のこと、ある名家の若君が両親の命に従い家臣の娘と婚約したの」あの時、鑑明は自ら婚姻を辞退すると申し出た。確かに七七とは幼なじみだったが男女の情はなく、色恋にかまけず国のために身を捧げたいという。結局、双方の親は約束だけで婚姻を先延ばしにしたが、そのまま未だに2人は独り身だった。「歳月だけが過ぎ娘は老いていく、あの人はいつになったら自分を見てくれるのか… その日が来ることをずっと願い続けているの」殿選での事件は何冲による単独の犯行だったと断定、結審した。これにより第一甲1位だった何冲の成績が取り消され、合格者は2位の卓一凡(タクイツハン)、3位の方海市、2名に決まる。主管・蘇鳴は過失責任を問われ、職務怠慢により2階級下の北府軍の都尉に降格、3年間の減給となった。すると死んだと思われていた清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)がついに朝廷に復帰、使持節大都尉および左衛将軍として文武軍を管轄し暗衛営を率いるよう命じられる。しかも霽風館は三皇子の寝宮だった昭明宮に移されることになり、大臣たちは異例の厚遇に驚きを隠せなかった。方鑑明が再起を果たし、蘇鳴は今以上に手を出しずらくなった。…殺すのがさらに難しくなった…屋敷に戻った蘇鳴は打ち込み台を斬り付け憂さ晴らししていたが、そこへ突然、方鑑明が飛び込んでくる。すると鑑明は見事な剣さばきで蘇鳴を追い詰め、警告した。「今度、私の弟子に手を出したら命をもらう」海市がふと目を覚ますと、師匠の顔があった。ちょうど海市に薬を飲ませていた鑑明は動揺を隠せず、慌てて薬を置いて出て行ってしまう。実はあの時、湖の底へ沈みながら海市はこのまま死ぬと思っていた。…死の直前には最も大切な人の姿が目に浮かぶと聞いたことがある…私の愛する人は師父だったのね海市は師匠の幻覚だと思い、思わず師匠に口づけしてしまう。驚いた鑑明は咄嗟に海市を突き放し、その時、仮面が外れていた。緹蘭の侍女・碧紫(ヘキシ)が急いで愈安(ユアン)宮に戻って来た。方海市は峠を越えたようで、清海公も外出しているという。緹蘭は安堵したが、そこへ突然、皇帝が現れた。「また臣下に興味を?」実は碧紫と衛兵が何やら話している姿を偶然、皇帝に見られていた。緹蘭は恩人である方海市を友だと説明、心にいるのは皇帝だけだと取り繕う。すると褚仲旭は緹蘭を試すように夜伽を命じた。その夜、緹蘭は水心苑(スイシンエン)で身を清めてから皇帝の元へ向かった。緹蘭は皇帝の着替えを手伝うことにしたが、褚仲旭は自分に触れるなと怒鳴りつける。「私のどこが間違っているのか教えて下さい」「何を教えろと?!厚かましい!」「…紫簪(シサン)姐を忘れられぬなら私が演じて見せましょう」「っ!恥知らずめ!」紫簪の名前を出された褚仲旭は烈火の如く怒り出し、穆徳慶(ボクトクケイ)を呼んだ。「淑容妃珂洛爾提(カラクジテイ)氏は嫉妬から無礼を働いた…ワナワナ… 南宮に軟禁せよ!2度と顔を見せるな!連れて行け!…ゼエゼエ…」つづく(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ キィッ!2度と見たくないのは皇帝の顔だっつー!
2022.07.30
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※原作はBL作品ですが当ブログでは非対応です山河令 Word of Honor第26話「最後の浄土」夜も明ける頃、温客行(ウェンコーシン)はまた昔の夢を見ていた。…師兄から預かった子犬の一鍋(イーグォ)甄衍(ジェンイェン)はとても可愛がっていたが、ある日、近所の子供たちに囲まれ、子犬を奪われてしまうすると見知らぬおじさんが現れ、子犬を取り返してくれた『君の姓は″甄″かい?』驚いた甄衍は思わず首を横に振ったが…「はっ!」温客行はそこで目を覚ました。部屋には安眠できるよう香が焚いてある。しかし酔生夢死(スイセイムシ)を嗅ぐと、どういうわけか妙な夢を見るようになった。温客行が外に出ると、まだ卯の刻だというのに張成嶺(ジャンチョンリン)が中庭で稽古に励んでいた。実は悪夢で眠れず、早く武芸の腕をあげて鏡湖(キョウコ)派を襲撃した鬼谷に復讐したいという。温客行は何も知らない成嶺の姿に自分を重ね、拳法のコツを伝授した。すると朝から誰かが屋敷の門を叩く。男は平安銀荘の者だと名乗り、葉白衣(イエバイイー)から文を預かっていると伝えた。一方、江湖では五湖盟が各門派に″群鬼冊(グンキサツ)″を配布、鬼谷の谷主と十大悪鬼の素性を暴いた。身動きが取れなくなった無常鬼(ムジョウキ)たちは蝎王に詰め寄るも足蹴にされ、追い返されてしまう。悪鬼たちを始末しようと構えていた毒菩薩(ドクボサツ)は肩透かしを食った。「大王、また主上に楯突く気で?…そうだ、柳千巧(リウチエンチャオ)から文が届きました」それは蝎王が所望していた孟婆湯(モウバトウ)の処方だった。↓黒無常が地味にイケメンな件w周子舒(ジョウズーシュー)たちは昆州にある平安銀荘へやって来た。すると奥から懐かしい顔が現れる。「周荘主!」「平安(ピンアン)?!お前が開いた銀荘なのか?」「とんでもない!七爺(チーイェ)に代わり、私が中原の56軒を管理し、南疆(ナンキョウ)は別の者が…」周子舒は全土に展開する平安銀荘が実は七爺の店だと知って驚いた。しかし銀荘とは名ばかりで、主要な任務は大巫(ダーウー)のための情報収集だという。今も周子舒直伝の機関雀(キカンジャク)を活用、平安は七爺が来るという情報をいち早く入手していた。「てっきり荘主が葉先生を遣わし、大巫を昆州にお呼びになったとばかり… 荘主の不調を知って七爺も同行するそうです、あ、これが葉先生からの文です」文にはいきなり″バカ野郎″と一言、そして2枚目に″冬至に会おう、白菜と豚肉の餃子を作れ″とあった。銀荘を出た周子舒たちは茶屋で一休みした。すると温客行と張成嶺は葉白衣が誰を呼んだのか教えて欲しいという。実は葉白衣が頼ったのは周子舒の旧知の間柄である七爺と大巫だった。2人とは晋州で知り合ったが、主人だった晋王に深く傷つけられ、2人は南疆へ旅立ってしまったという。確かに大巫は医術に精通し、南疆の巫蠱(フコ)の秘術も会得していた。あの慎重な七爺まで来るというなら勝算があるのだろう。温客行は安堵し、なぜ早く頼らなかったのか聞いた。「早く?…死ねば本望だった」これでは葉白衣が文で悪態をついたのもうなずける。説得できるかも分からない相手を遠路はるばる訪ねたが、その相手は周子舒に恩があったのだ。「長明山の剣仙が使い走りにされたのだからな」温客行は老妖怪が顔を真っ赤にして怒っていると思うとおかしくてたまらない。しかしふと気がつくと周子舒が向かいにある露店を見つめていた。その視線の先には驚いたことに顧湘(グーシアン)の侍女・雲栽(ユンザイ)がいる。「阿絮(アシュー)、せっかく下山したのだから絵を修復できる者を探してみる、先に戻ってくれ」周子舒はあえて引き止めず、なるべく早く戻るよう言った。雲栽は谷主を隠れ家に案内した。洞窟では食屍鬼(ショクシキ)が何とか助け出した鬼衆と薄情司の娘たちと共に身を隠している。温客行は巷に出回っている″群鬼冊″を目にし、すでに自分の正体が暴かれたことを知った。柳千巧は約束通り孟婆湯の処方を蝎王に届け、自由になった。しかし再び蝎王の元へ戻り、仕える代わりに主人と于丘烽(ユーチウフォン)を助けて欲しいと懇願する。蝎王は2人を殺さないと約束したが、釈放するには千巧が有用かどうかにかかっていると言った。「お前が処方箋を献上しなければ孟婆湯と忘憂草が結びつかなかった 酔生夢死という香を知っているか?」実は昆州の忘憂草という薬草は7種の毒虫を配合すると孟婆湯に、7種の花を配合すると酔生夢死になる。両者は相生相克しており、酔生夢死を大量に与えることで孟婆湯を消せるというのだ。蝎王は錯乱した喜喪鬼(キソウキ)・羅浮夢(ルオフーモン)を薬室に閉じ込め、酔生夢死を吸収させているという。「もう7日間もこもっている、そろそろ目覚める頃だ…」その時、突然、羅浮夢の悲鳴が聞こえた。一方、曹蔚寧(ツァオウェイニン)は顧湘(グーシアン)を連れてついに清風(セイフウ)山に到着した。すると下山した師叔・莫蔚虚(モーウェイシュー)と師兄・范懐空(ファンホワイコン)が2人を暖かく迎えてくれる。実は掌門・莫懐陽(モーホワイヤン)が山を封鎖して部外者が入れなくなり、顧湘には山腹に小院を用意していた。莫師叔から身の上を聞かれた顧湘は、孤児のため両親がおらず、師匠も隠居の身で名を明かせないと上手くごまかす。そこで曹蔚寧は山を封鎖した理由を尋ねてみたが、莫師叔はなぜか話をそらした。趙敬(ジャオジン)が来客中だというのに蝎王が現れた。仕方なく趙敬は話を切り上げ、蝎王に本堂へ来るなと何度も言ったはずだと呆れる。すると蝎王はいつまで自分の存在を隠すつもりかと迫った。「戯言で鬼谷のクズどもを欺くならともかく、私をごまかすとは…侮辱ですか?」これまで義父のために汚れ仕事を一手に引き受け、日陰の身に甘んじて来た蝎王、だからこそ義父の裏切りは見逃せない。「″君 我を裏切らざれば 我 君を裏切らず″と…」蝎王は于丘烽から届いたと嘘をつき、羅浮夢の血書を見せた。趙敬は羅浮夢と因縁があることを認めた。当時、羅浮夢は霓光宮(ゲイコウキュウ)の若宮主で趙敬は没落した傍系、当然、羅家は2人の婚姻に反対し、両親は娘を幽閉してしまう。その時、羅浮夢はこの血書を趙敬に送り、自分の決意を伝えたのだ。「愛し合っていたのですね…なぜ裏切ったのです?」「全ては李瑶(リーヤオ)のせいだ…」「義母の?」「そんな呼び方はやめろ!あくどい女だ!」名家の令嬢だった李瑶は趙敬に横恋慕、しかし哀れに思った趙敬は無下にできなかった。しかし趙敬と羅浮夢が困難を乗り越え婚儀を挙げる時になり、李瑶は武庫にまつわる窃盗で趙敬を脅してきたという。武庫の件は義兄弟たちにも関わるため趙敬はやむを得ず婿入りを決意、婚儀当日に捨てられた羅浮夢は気が触れて大虐殺を行った。実は趙敬は羅浮夢が錯乱したと知って何とか探し出し、神医谷に連れて行ったという。その時、取り押さえようとして身体の根幹を傷つけられ、これが原因で武芸が上達しない身体になっていた。「蝎児…これは私の生涯で最大の心痛であり、最大の恥辱でもある 墓場まで持って行く話だったが、お前の頼みゆえ、ためらわず教えた 隠していたのには理由がある…李瑶を殺したのは私だ…」「やはり…」「かつての弱腰で情義を重んじる趙敬は死んだ ここにいるのは妻を手にかけ、義兄弟を殺すことさえいとわなかった男… 江湖を害して許されぬ罪を犯した趙敬だ、世間が欺くなら世間を欺いてやる だがお前だけは別だ、私の蝎児… 私の心は死んだも同然だが、わずかに残った善意となけなしの愛情を全てお前に与える これは私の心に残された最後の浄土だ…約束してくれ、浄土を守ると」蝎王は義父を詰問したことを深く反省し、柳千巧と一緒に薬室にいる羅浮夢を訪ねた。すでに記憶を取り戻した羅浮夢、そこで蝎王に答えを得られたか聞いてみる。「彼が言うには李瑶が武庫の件で脅迫してきたと…」「あはははは~!相変わらず趙敬はでまかせが得意だことっ 脅迫したのは私の父よ?なぜ李瑶に罪を着せるの?」「李瑶を殺したからだ」確かに李瑶は愚かな娘だった。嫉妬することもあったが、今になって思えば殺されていたのは自分だったかもしれない。実際は趙敬が李瑶に鞍替えし、羅浮夢を捨てたという。涙に暮れる娘を見た羅父は武庫の秘密で趙敬を脅迫、宮主の座で娘と婚姻するよう迫った。まさか趙敬が霓光宮に内通者を見つけていたとは知らず、婚儀の当日、門弟たちは皆殺しにされてしまう。霓光宮の大虐殺は羅浮夢ではなく、趙敬の仕業だった。しかし今となっては証拠がなく、蝎王はそもそもそれほど冷酷なら羅浮夢を生かすはずないという。「あなたは趙敬のことを何も分かっていないのね? あの男は陰謀を巡らせて人を陥れたことを何よりも誇りに思うの 陰謀が成功するたびに戦利品を1つ残すわ 思い当たるのは自分の師父の指輪、容炫(ロンシュエン)の剣…信じないなら探してみるといい 李瑶の物も残しているはずよ?恐らくは愛の証しの品ね 私の推測が正しければ…趙敬はあなたに特別な証しの品を預けている 自分の真心を表すものとしてね?どう?」確かに蝎王は義父から託された琉璃甲を肌身離さず持っていた。 明日はついに冬至、葉白衣が四季山荘へやって来る日だ。張成嶺は約束通り白菜と豚肉の餃子を作ろうと言ったが、それより稽古だと師匠に叱られてしまう。すると周子舒は温客行に買い出しを頼んだ。しかしその夜、温客行は独りで山荘を出て行ってしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)趙敬~どこまでクズなのwwwでも悪役はこうでなくちゃ〜
2022.07.28
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※原作はBL作品ですが当ブログでは非対応です山河令 Word of Honor第25話「悪夢」山荘の片付けも終わり、ようやく自分たちの寝所に落ち着いた周子舒(ジョウズーシュー)たち。その夜、周子舒が釘の痛みでふと目を覚ますと、外は雨だった。起きたついでに炭を取りに行くことにしたが、ちょうど回廊に出ていた温客行(ウェンコーシン)と出くわす。「悪夢を見て寝付けず、外の空気を吸いに来たんだ」「…眠れないなら飲むか?」最近、周子舒は良く眠れるようになった。これも山荘に残っていた酔生夢死(スイセイムシ)を見つけたおかげだという。「そう言えばお前は酔生夢死の香にあたった後、初めて俺を″周子舒″と呼んだな… あの時、何を見たか今なら話せるだろう?」「幻覚の中で私はまだ7歳の子供だった…一家で四季山荘へ移り住み、麓で小さな医館を開いていたよ 私は昼間、師父に武芸を教わり、夜は家へ食事をしに帰るんだ あの薬人たちは幻覚の中では野犬だった お前が時に周子舒として、時に一鍋(イーグオ)として私を守ってくれた」一鍋とは初対面の時、周子舒が抱いていた子犬の名前だった。「忘れたのか?…子犬を飼いたいと言ったら師父が″鍋で煮てやれ″と言ったと…それが名前の由来だ」実は温客行は越州で流れ者の流雲九宮歩(リュウウンキュウグウホ)を見た時、周子舒を探す手がかりを見つけたと思ったという。そこで後をつけてみると、驚いたことにその流れ者が白衣剣を持っていた。「姓が″周″だったな…″子(ナンジ)の手を執りて雲の舒(ノ)ぶるを眺める″か…」「ならば″温客行″の由来は?」「…父の旧姓が″温″だ、神医谷を追放された以上、他人の姓を名乗る道理もあるまい 私は天涯孤独で根無しの行客(コウカク)だ、ふさわしい名に改めたと言えるだろう?」周子舒は天窗(テンソウ)を抜けた後の自分も放浪者だったことを思い出した。どこかで野たれ死にするものと思っていたが、こうして四季山荘へ帰って来られたのは感慨深い。周子舒はこれで″天涯孤独な根なしの行客″にも帰る家ができたと安堵したが、温客行はどこか複雑そうな面持ちだった。清風(セイフウ)山への旅を続ける顧湘(グーシアン)と曹蔚寧(ツァオウェイニン)。すると水汲みから戻って来た曹蔚寧が緑柳(リューリゥ)と桃紅(タオホン)夫婦を見かけたと報告した。2人は密かに後をつけてみると、確かに良く似た夫婦が娘を荷台に乗せて歩いている。「緑柳と桃紅は昔、吊死鬼(チョウシキ)の纏魂糸(テンコンシ)で腕を失っているんだ 今、見た2人も袖で腕を隠していただろう?」しかし顧湘は自分の正体がばれることを恐れ、あまり関わりたくなかった。曹蔚寧は顧湘が怖がっていると誤解し、独りでも高小怜(ガオシャオリエン)を救出に行くと訴える。「待って…だから無駄死にしないように策を練るのよ」仕方なく顧湘は曹蔚寧に尾行を任せ、ここから近い断剣山荘から助っ人を呼んで来ると言った。(´・ω・`).oO(ホント、バカなんだから…私が去ったらどうするの?緑柳と桃紅たちの前に突然、丐幇(カイホウ)の長老・黄鶴(ホアンホー)が現れた。本来なら大石鎮の古廟で落ち合う約束のはず、しかし黄鶴は道中で毒蝎に襲われたという。「我らは趙敬(ジャオジン)にだまされ、正邪双方に狙われている… 人質との交渉条件を伝えても返事も寄こさぬ してやられた、高崇(ガオチョン)を死に追い込んだのも奴かも知れぬな」予想だにしなかった高崇の自死、しかも小怜には何の価値もないと知り、黄鶴は悔し紛れに妓楼へ売ると脅した。これに桃紅が猛反発、下品な嫌がらせだと呆れ果てたが、黄鶴の鬱憤は晴れない。「姑娘に教えてやろう 20年前、無数の死者を出した″青崖(セイガイ)山の戦い″は五湖盟が天下の群雄を騙したことが発端だ 奴らは容炫(ロンシュエン)の琉璃甲を狙い、魔を除くと言う偽りの大義で多くの命を犠牲にした! 緑柳と桃紅の1人息子もこの戦いで深手を負い死んだのだ!」その話を物陰から曹蔚寧が聞いていた。曹蔚寧は小怜の身が危険だと察し、思わず飛び出した。無謀にも独りで小怜を助けるという若輩者に失笑する桃紅、しかし曹蔚寧から江湖の正道派が小怜を捜索中だと聞いて驚く。「黄鶴、馬脚を現したね?!」黄鶴は緑柳と桃紅を切り捨て、小怜を奪って自分の手柄にしようと企んでいた。黄鶴たちが仲間割れ、いきなり戦いが始まった。曹蔚寧はその隙に小怜を連れて逃げ出したが、黄鶴を倒した緑柳と桃紅に追いつかれてしまう。果敢に戦いを挑むも卒倒する曹蔚寧、しかし危ないところで顧湘が沈慎(シェンシェン)を連れて戻って来た。顧湘は倒れていた曹蔚寧を木陰で休ませた。すると小怜を取り返そうとした緑柳が沈慎に刺されてしまう。桃紅は覚悟を決めて一緒に殺せと迫ったが、小怜が沈慎を止めた。「黄長老の話は本当なの?一人息子を死なせたって…」「ゥッ…その話なら沈慎にお聞き!五湖盟は私たち夫婦に一人息子を見送らせ、心身ともに傷つけた …生きて恨みを晴らせぬなら、死んで亡霊となり高崇とケリをつけるまで!」小怜は深く同情し、夫婦を助けて欲しいと懇願した。そもそも自分をさらったのは黄鶴で夫婦は利用されただけ、桃紅は黄鶴からかばってくれたという。「いつまで恨み合うの?…五湖盟がお2人から息子さんを奪ったなら、今日こそ償うべきでは?」桃紅は息子の償いにはならないと激怒したが、緑柳はけじめをつけることにした。「江湖を去ろう」沈慎は確かに前世代の恨みを子供たちには引き継げないと納得、剣をおさめて2人を見逃した。小怜は沈慎を呼んでくれた顧湘に感謝した。すると沈慎は改めて顧湘に温客行の居場所を教えるよう迫る。「何度、聞かれても知らないわ…さあ、私を殺して、でも曹大哥にはこのことは…」「阿湘、何の話?」小怜は意味が分からず困惑したが、沈慎は顧湘と話をするなと止めた。「この娘は鬼谷の谷主の腹心だ…なぜ曹蔚寧と一緒にいる?」「鬼としてさまよう日々を終わらせ、人の道に戻りたかったの…この人と一生を共にしたかった」しかし顧湘は危険を承知で沈慎に助太刀を頼んだ。愛する人が自分の命より義理を重んじる人である以上、仕方がないという。「私を殺したと言わないで、黄鶴に殺されたと言えば私の嘘も隠せる、いいでしょう?」一方、四季山荘では周子舒が張成嶺(ジャンチョンリン)の稽古を始めようとしていた。まずは基本の八卦掌(ハッケショウ)を教えることにしたが、成嶺が鍛錬の前に太師匠の墓参りに行きたいという。張成嶺は亡き太師匠・秦懐章(チンホワイジャン)と小師叔・秦九霄(チンジウシャオ)の墓前で叩頭した。これまでに至る経緯を切々と訴える成嶺、すると周子舒は温客行を気遣い、そろそろ切り上げるよう告げる。「太師父もくたびれてしまうだろう、これから何度でも来ればいい」すると温客行は独りで静かに考えたいと頼み、周子舒と成嶺を先に帰した。温客行は師匠に合わせる顔がなかった。「師父、いいえ、秦伯伯…秦前輩、天上で両親に会えましたか? 死者の魂を信じたいのですが、見られるのが怖い… 私がどう生きて来たかを知ったら、四季山荘を汚したと思うでしょうね」この20年間、温客行を突き動かして来たのは復讐の念だけだった。激しい恨みが温客行を地獄から這い上がらせ、鬼の主へと押し上げ、蠱(コ)王の座にまで登り詰める。老谷主はさぞや驚いたことだろう。あの言葉通り甄衍(ジェンイェン)は20年後、両親を殺した鬼たちを全て死に追いやったのだ。しかしいくら殺しても心の恨みが消えず、温客行はついに谷を出ることを決意する。「我らを裏切り、見放し、追い詰めた者たち…人の皮を被った悪鬼を私は断じて許さぬ! 世間が欺くなら天下の者、すべてを殺す! 谷を出る時、己に誓いました、江湖の偽善者を焼き尽くし、魑魅魍魎を地獄へ送ると… これが天に背く大罪ならば、独りで罪を引き受けよう!それなのに… すでに地獄に落ちてから、なぜ人の道を示すのです?」温客行は初めて自分の心をさらけ出し、献杯してから墓前で叩頭した。「破滅を選んだ私はあなたを師父とは呼べません、来世があれば必ず恩義に報います もし来世がなく永遠に地獄にいようとも、あなたがくれたひと時の光に感謝します」沈慎は顧湘を見逃し、高小怜を連れて帰った。実は群鬼冊に″無心紫煞(ムシンシサツ)″顧湘の名はなかったという。その夜、顧湘が焚き火で饅頭(マントウ)を焼いていると、ようやく曹蔚寧が目を覚ました。顧湘は沈慎のことには触れず、断剣山荘が駆けつけ小怜を助け、五湖盟に帰ったと嘘をつく。「助かったんだ…阿湘は本当に賢いな」しかし顧湘は曹蔚寧の笑顔を見ると切なくなった。「ねえ、私たちは相性が悪いと思わない?私と出会ってからあなたは怪我ばかりしてる」「それは私が弱過ぎるからだ…しっかり鍛練して君を守るよ」「でもどちらかが死ぬかもしれないわ」「その時は私の命を君に…阿湘…ただその前に何か少し食べさせてくれないか?」すると顧湘は笑顔になり、2人で仲良く饅頭を分け合った。つづく( ;∀;)阿湘〜このまま幸せが続くでしょうか
2022.07.26
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※原作はBL作品ですが当ブログでは非対応です山河令 Word of Honor第24話「天窗の光」周子舒(ジョウズーシュー)は温客行(ウェンコーシン)と張成嶺(ジャンチョンリン)を連れて四季山荘に戻った。風光明媚な山荘は四季を通じてそれぞれの味わいがあり、春はつつじ、夏は鳳凰木(ホウオウボク)が咲き乱れ、秋は木犀が香り、冬は寒梅が雪に映えるという。山荘へ続く広大な桃林には師娘が飼っていたウサギの末裔が走り回っていた。しばらく進むとそびえる山から滝が流れ落ち、その山肌には師匠・秦懐章(チンホワイジャン)が彫った字が見える。…不思帰(帰るを思わざる)…四季山荘は長年、空き家だったせいですっかり寂れていた。周子舒は何ともわびしくなったが、中庭のからくりの陣を見て懐かしくなる。そこに配置された庭石や植木は飾りではなく、二十八宿の陣形を敷いて敵の攻撃から防御できるようになっていた。実はこれも龍雀(ロンチュエ)の設計だという。周子舒は2人を議事堂に案内した。かつてここで師匠から勉学の試問を受け、年越しの時は門徒全員で炉を囲んで新年を迎えたという。その時、周子舒は埃まみれになった掛け軸に目を留めた。温客行と張成嶺は周子舒の思い出の品だと気づき、2人で広げてみる。書画には″四季 花は常にあり 天下の事情を知り尽くす″と書いてあった。この絵は師匠が描いたもので、81輪の梅は門徒たちを表しているという。「だがもう独りになってしまった…全員、俺の手で葬った」周子舒の思わぬ言葉に温客行と成嶺は驚き、思わず顔を見合わせた。一方、顧湘(グーシアン)は曹蔚寧(ツァオウェイニン)と清風(セイフウ)山へ出発したものの、不安が拭えずにいた。宿場町に入り食事でもしようと言う曹蔚寧、しかし悶々としていた顧湘は急にヘソを曲げてどこかへ行ってしまう。( ゚д゚)<阿湘〜!私とウマーはどうすれば?!ぁ…行っちゃった曹蔚寧はなぜ顧湘の機嫌が悪いのか分からず困惑した。(´・ω・`)<女子は男の告白を喜ぶと聞いてたけど、なぜ冷たくされるのかな、ウマー?顧湘は何も知らず能天気な曹蔚寧を見ると苛立ちを隠せなかった。すると街中で偶然、断剣山荘の荘主・穆思遠(ムースーユエン)に襲われる岳陽派・祝邀之(ジューヤオジー)を目撃する。穆思遠は未だ師匠をかばう祝邀之を厳しく追及し、高崇(ガオチョン)と鬼谷が結託していた動かぬ証拠があると迫った。「鬼谷の谷主・温客行は英雄大会で高崇を助け、張成嶺をさらった! 鏡湖(キョウコ)派は温客行が滅ぼしたのだ! なのに恩人づらして五湖盟に潜り込めたのは高崇と示し合わせたからだ!」顧湘は主人の素性がばれたと知って愕然となった。聞けば趙敬(ジャオジン)が絵図を作らせ、温客行の配下である十大悪鬼の姿を江湖に示したという。顧湘は祝邀之を助けたいが、なかなか決心がつかなかった。その時、運良く沈慎(シェンシェン)が現れ、祝邀之を救ってくれる。「手を出せば私が許さぬ!」|ω・`).oO(あのバカも一度は役に立ったわ〜顧湘は早く町を出ようと慌てて戻った。すると曹蔚寧が同じ場所に座っておとなしくウマーと一緒に待っている。( ´ ▽ ` )ノ<阿湘~!曹蔚寧は阿湘が自分を見失わないよう動かずに待っていたと笑った。しかしその優しさがかえって顧湘を追い詰める。「ねえ、本気で私を娶るつもり?師父が反対したら?だって私は何処の馬の骨かも分からないし…」「誰が反対しても関係ないさ…阿湘、君と添い遂げられないなら、今生で何をしても無意味だ 大丈夫、師父たちも必ず君を気にいるよ!」「…じゃあ、行きましょう」顧湘はいずれ曹蔚寧も自分の正体を知る時が来ると分かっていた。…目の前に想い人がいる時ほど尊い時はない…少しでも長く過ごせれば、もう他のことなどどうでもよくなるのあの時はまだ柳千巧(リウチエンチャオ)の言葉の意味が分からなかった顧湘、それが今となっては痛いほど胸に沁みていた。温客行は周子舒をしばらく独りにするため、張成嶺を連れて里まで買い出しに行った。しかし師匠が四季山荘の弟子たちを葬ったと言ったことが気になり、成嶺は思わず温客行に聞いてしまう。温客行は何にせよ師匠にとって深い心の傷だと話し、無理に聞いてはならないと釘を刺した。「無理はするな」すると成嶺は以前、師匠からも同じことを言われたという。「人の傷口に触れるのは義に反するから、温大侠夫婦のことは聞くなって… それに温叔が認めるまで″師叔″と呼ぶなとも言われました、無理はするなと 互いに気遣うなら話してしまえばいいのに~」成嶺はやはり温客行を″師叔″と呼ぶと決め、腹の探り合いは嫌だと訴えた。その夜、周子舒たち3人はひとまず片付いた部屋で床に就いた。すると温客行はまた幼い頃の夢を見てうなされてしまう…扮装術で別人となり、秦懐章の迎えを待っていた甄如玉(ジェンルーユー)夫妻しかし鬼谷が夫婦の居場所を突き止め、襲撃した谷妙妙(グーミャオミャオ)は夫をかばって背中に三叉鉾を突き刺されて絶命かろうじて息があった甄如玉は舌を噛んで自死してしまうその時、甄衍(ジェンイェン)が中庭にふらふらと入って来た『正直に言え、両親が持っていた鍵はどこだ?!』『知るか!殺すなら殺せ!幽鬼になってお前ら全員を呪い殺してやる!』喜喪鬼(キソウキ)・羅浮夢(ルオフーモン)は谷主に反抗する少年を変わった性格だと指摘、いっそ鬼谷へ連れて帰ろうと提案した喜喪鬼はかろうじて少年だけは救出できた『あなたの父君は名医だったわ、残念だけど私には助けられなかったの これを飲んで、何もかも忘れられるから…』しかし甄衍は決してこの恨みを忘れるものかと誓った…温客行はそこで目を覚ました。「はっ!」その時、発作の時間になったのか、隣で眠っていた周子舒がうなされながら突然、苦しそうに飛び起きる。温客行はすかさず自分の内力を使って手当てすると、周子舒は落ち着きを取り戻した。「阿絮(アシュー)、さっき寝言でずっと″師弟″と呼んでいたが…言いたくなければ別にいい」「…老温(ラオウェン)、俺たちの間に話せないことなど何もない」すると周子舒は重い口を開いた…若くして荘主になった周子舒は晋(シン)王から蔣(ジアン)大人の暗殺を命じられたしかし弟子たちは猛反発、たとえ荘主と決別しても恩義ある蔣大人を無事に脱出させるという『段鵬挙(ドワンポンジュー)が追ってくるなら命懸けで防ぎます!』亡き師匠の息子・秦九霄(チンジウシャオ)も考え直すよう懇願し、周子舒は結局、蔣大人を救うと決めたそこで弟子たちと壮行の酒を飲み交わしたが、弟子たちは急に倒れてしまう周子舒は弟子たちを守るため、酔生夢死(スイセイムシ)を混ぜた酒を飲ませた弟子たちは5日も眠り続け、目が覚めた時には全てが終わったと知る深く失望した九霄は黙って姿を消し、周子舒と次に会えた時は棺の中だった周子舒が捕われたという流言を聞いて助けに向かい、城下で戦死したという九霄の亡骸を苦難の末に周子舒の元まで送り届けてくれたのは九霄の想い人だった周子舒はその娘が誰なのか知らぬまま、やがて毒薬を突きつけた相手がその娘だと知ることになる…「九霄は幼い頃から俺を尊敬してくれた、師父も俺を実の息子のように大切にしてくれた 四季山荘の兄弟たちも、皆が俺を本当の家族や兄のように敬い、愛してくれた だがそれも本当の俺がどんな人間なのか知らなかったからだ…本当は逃げてばかりの臆病者だ」秦懐章は病で世を去った。臨終の間際に四季山荘を周子舒に託したが、年若い荘主につけ込む輩も多かったという。2年間は何とか耐えたが、四季山荘を守ろうと師叔や師兄が亡くなり、周子舒もついに心が折れた。「逃げたんだ…」「自分を責めるな…それでどうした?」周子舒の父は先代の晋王の右腕で、今の晋王は周子舒の従兄に当たる。当時、晋王がまだ世子だった頃、信頼できる腹心が欲しいと四季山荘に文が届いた。驚いた周子舒が駆けつけると、世子の信頼する老師が讒言により獄中で自害、壁や床には世を憂う血書が残されていたという。世子は父王に深く失望し、老師の末路を嘆いた。そこで周子舒は野に捨てられた老師の遺体を盗んで埋葬すると約束し、憔悴する従兄を支えようと決断する。こうして周子舒は弟子を連れて四季山荘を離れ、世子の元に身を寄せた。しかし権力欲の泥沼は一度、入ったら抜け出せず、兄弟たちは1人、また1人と目の前で死んでいったという。「そして最後に九霄までも…ゥッ…俺は生きる意味を失い、またしても逃げたんだ…」周子舒に残ったのは身体の中に打ち込んだ7本の釘だけだった。守りたかった人も成し遂げたかったことも、手の中の砂のようにこぼれ落ちて行ってしまったという。しかし幸いなことに天が転機を与えてくれた。「だがあの子の成長を見届けられるかどうか…」周子舒は張成嶺の寝顔を眺めながら残り短い命に思いを馳せた。どんな結末が待っているか想像もできないが、こうして温客行が一緒に帰ってくれたことが心から嬉しいという。「師弟…」「…もうすぐ夜が明ける、少し休んだ方がいい」温客行は居たたまれなくなって外へ出ようとした。「老温、お前は名目上の師弟に過ぎない、自分を門徒と認めないなら仕方がない 温夫妻の子が四季山荘に戻っただけでいいんだ、あの世で師父も大いに喜んでいるはずだ」周子舒は温客行を引き止めなかった。すると中庭から温客行の心地よい簫の音が聞こえて来る。そのおかげで周子舒は深い眠りにつき、翌朝、目が覚めるとすでに午(ウマ)の刻だった。温客行は周子舒が寝ている間に師匠の書画を表装し直していた。すると張成嶺がようやく起きて来た師匠を連れてやって来る。「これで巻いて持って行ける、腕のいい絵師を探し、師父の画風に沿って補おう、元通りになる」感激した周子舒は思わず温客行を抱き締めると、張成嶺も2人に抱きついた。一方、周子舒を治すと約束した葉白衣(イエバイイー)は昆(コン)州にいた。すると露店で茶を飲んでいる男たちが鬼谷の谷主の噂をしている。「温とかいう悪鬼はこの若さで谷主なのか?」「知らないのか?鬼谷には若返りの妖術があるんだ 温客行も絵では若いが、本当は70歳の爺さんかもな?」驚いた葉白衣は流言を控えろと叱ったが、男たちは五湖盟が鬼谷の頭目たちの絵図を配ったと教える。「疑うなら見て来いよ」つづく:;(∩´﹏`∩);: あ~ついにバレちゃう…
2022.07.24
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第8話「師匠からの贈り物」武挙の会選、今日の試験科目は論文だった。「各々が時の政(マツリゴト)について論述せよ、主君への忠言として忌憚なき意見を述べること!」そこで方海市(ホウハイシー)は″鮫珠(コウジュ)論″と題し、自身の辛い体験と故郷の惨状を訴え、″真珠税″を厳しく批判した。武挙の主管・蘇鳴(ソメイ)はわざと方海市の論文を皇帝に届け、何者かの意図があるようだと讒言した。しかし予想外に旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は海市の論文を褒め、第一甲(上位3名)に選出する。実は真珠税は旭帝が″儀(ギ)王の乱″を平定した年、国力を回復すべく設けたものだった。″豊漁の年は10分の1を納め、上納した真珠に応じて褒美を出す″というもの、当初は民も歓迎していたが、いつの間にか汚職の温床になっていたとは…。何も知らなかった褚仲旭は朝議で官吏を糾弾、論文を読まなければこの由々しき事態を知らないままだったと激怒した。そこで調査のため直ちに廷尉(テイイ)・姚傑(ヨウケツ)を越州へ送り、越州刺史・呂柯(リョカ)と白依港(ハクイコウ)刺史・丁志偉(テイシイ)を投獄してしまう。こうして海市の論文は朝廷に大波を起こし、結果、第一甲の1位を獲得した。武挙の次の会選は5日後、それまで科挙会館は手入れのため閉鎖になり、参加者は一度、帰宅した。海市は師匠の反応が気になったが、師匠は入れ違いで参内したという。その頃、方鑑明(ホウカンメイ)こと方諸(ホウショ)は真珠税の一見で皇帝に呼び出されていた。「方海市が朕に刃を向けたのは父親の死が原因だったのか…」「当時すぐお伝えしなかったことをお詫びいたします あれから調査を続け、ようやく解決のめどが立ったところでした」そこで褚仲旭は方諸も姚傑に同行するよう命じたが、方諸は科挙の期間中につき皇帝を警護するため、方卓英(ホウタクエイ)を送ると言った。褚仲旭は自分ではなく方海市が心配なのだと見抜いていたが、その時、方諸の腰飾りの巾着に気づいて目を丸くする。「ひどい出来だな、綾錦司(リョウキンシ)がこんな物を?…そろそろ典衣を代えるべきか?」 「綾錦司ではありません…」「まるで男が刺繍したようだ」「気に入っています」( ゚д゚)え? え?(^ꇴ^*)方卓英は海市の論文がきっかけで皇帝が東南の調査を命じ、自分も越州へ同行すると教えた。実は師匠は海市を連れ帰ってから、悪徳官吏を逃さぬよう慎重に調べを続けて来たという。「お前の故郷もじき変わる」翌朝、海市はちょうど出かけるところだった師匠と出くわした。(^ꇴ^)ノ″<しふぉ!しかし師父の腰飾りには巾着ではなく玉がついている。「…急いで出るので巾着は置いて行く」(ヾノ・∀・`)<いいんです、いいんです、みっともないから付けないでくださいwすると方諸は次の馬射も頑張るよう励まし、自分の玉板指を海市に贈った。師匠から返礼の品をもらった海市はすっかり舞い上がり、ふと女子の姿に戻って方諸と口づけする妄想にふけってしまう。すると翌朝、方諸は海市の顔を見るなり眠れなかったのかと指摘した。「くまができているぞ?」「ぁ…師父からもらった弓懸けの指輪が少し大きくて、自分の指に合わせて糸を巻いていたんです」「…新しく買えばよいものを」「とんでもない!師父から頂ければどんな品も宝物です!」方諸は海市の言葉が嬉しかったが、決して表情に出すことはなかった。「遅れるぞ?もう行け」弓馬騎射は海市の得意な種目だった。何の心配もない海市だったが、なぜか急に馬が暴れ出してしまう。実は蘇鳴の配下が鞍に細工し、海市がまたがると馬の背中に釘が当たるようになっていた。海市は振り落とされそうになりながらもくらいつき、師匠の言葉を思い出して冷静さを取り戻す。…馬に自分を合わせよ、馬が怖がっても慌てるな…安定した姿勢を保てばお前の射る矢も思い通りに飛ぶだろうそこで海市は馬の動きに合わせながら一度に3本の矢をつがえ、まとめて的の中心を射抜いた。海市は弓馬騎射でも第一甲1位となった。当初は敵意剥き出しだった同室の任勇(ジンユウ)たちも方海市に感服、海市の配下になるという。「これからは大哥と呼ぶよ!」一方、方諸も陳哨子(チンショウシ)から海市の活躍を聞いていた。しかし馬におかしな点があり、調べさせているという。次はいよいよ殿選、皇帝が来臨するため、敵は必ずや海市を阻もうとするはずだ。方卓英は武挙で忙しい海市に代わり、愈安(ユアン)宮の淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)を訪ねた。実は海市から贈り物を預かっているという。ひとつは龍尾神(リュウビシン)の代わりに白雲寺で手に入れた数珠、もうひとつはウサギだった。卓英はウサギを抱いた淑容妃の嬉しそうな笑顔を見ると、思わず女子ならウサギをもらうと誰でも喜ぶものかと聞いてしまう。「可愛いから嫌がる人はいないわ…方大人(ダーレン)?どなたかにウサギを送りたいの?」( ゚д゚)はっ!<没有めいよ~しかし方卓英は早速、綾錦司に出かけ、ちょうど鞠柘榴(キクシャリュウ)が庭に独りでいる時を狙い、ウサギを放した。柘榴は確かに嬉しそうにウサギを抱き上げると、もしやこれも″風神大人″の仕業かと気づく。すると柘榴はお供物がまだだったと思い出し、いつものように菓子を置いた。塞ぎ込んでいた緹蘭はウサギのおかげですっかり元気になった。その日は庭園で衣の刺繍の柄を選んでいたが、ふと気づくと小乖(ショウカイ)がいない。緹蘭は侍女たちと探しに出かけたが、小乖は運悪く皇帝に捕まっていた。咄嗟にきびすを返した緹蘭、しかし時すでに遅く、皇帝に見つかってしまう。「待て!…こちらへ」緹蘭は仕方なく御前へ参上し、無礼を詫びて寝宮に戻り反省すると申し出た。皇帝が何も言わないことから見逃してくれたと思った緹蘭、そこで徳慶(ボクトクケイ)から小乖を引き取り、下がることにする。「戻っていいと言ったか?…こちらへ」褚仲旭はウサギを受け取った緹蘭の手首に数珠があることを見逃さなかった。「白雲寺に行ったのか?」「まさか…白雲寺の場所も存じません」実はこの数珠は白雲寺でしか入手できない貴重な数珠で、簡単には手に入らない代物だという。焦った緹蘭は蔵から届いた服飾品の1つだろうと誤魔化したが、褚仲旭はならばウサギはどこから来たのかと聞いた。「女官がくれました」「女官?…ふん、正直に話せば罪には問わぬ、そればかりかウサギを飼うことも許してやるぞ?」緹蘭はうつむいたまま黙っていたが、褚仲旭は方海市だと言い当てた。驚いた緹蘭はその場でひざまずき、全て自分の罪だと方海市をかばう。すると褚仲旭は2人の仲を疑い、明日の殿戦に緹蘭を連れて行くと決めた。その夜、蘇鳴は武挙に参加させた何冲(カチュウ)を呼んだ。実は皇帝の発案で殿選の課題が変わったという。「受験者は太鼓の上でそれぞれに策を練り、やぐらに登る その太鼓の位置を把握しておけば有利に戦えるはずだ」すると蘇鳴は毒を仕込んだ氷の針を渡し、皇帝や審査官に決して疑われずに方海市を仕留めるよう命じた。方卓英は巡回中に密書を拾い、師匠に届けた。「師父の疑い通り、何者かが東南と連絡を取っています」すると方諸は越州に着いたら引き継ぎだけ済ませ、すぐ都に戻るよう命じた。卓英は皇帝の命に逆らって護衛に向かう師匠を心配したが、方諸は海市の無事が今は一番、大事だという。翌朝、緹蘭は殿選を見学するため、皇帝の敬誠堂(ケイセイドウ)にやって来た。面紗で顔を隠した緹蘭は紫簪(シサン)の生き写しのよう。褚仲旭はしばし見惚れていたが、ようやく席を立った。「…では霜平湖(ソウヘイコ)へ向かうとしよう」つづく( ๑≧ꇴ≦)哥www卓英のキレ芸が面白いでも皇帝が出てくると早送りしたくなるわ( ̄▽ ̄;)
2022.07.23
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第7話「不恰好な巾着」皇帝から冷遇され、宮中でも軽んじられる淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)。侍女の碧紫(ヘキシ)と碧紅(ヘキコウ)はそんな主の境遇を嘆きながら庭園を歩いていた。「平穏に暮らしたいお気持ちは分かるけど… でも幼なじみが遠方へ行くというのにお見送りもしないつもりかしら?」2人はまさかその会話を旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)が聞いているとは夢にも思わなかった。褚仲旭は緹蘭と湯乾自(トウカンジ)の仲を怪しみ、わざと黄泉関へ出立する将軍の見送りを許可した。しかし大徴では妃嬪と臣下が親しくすることは御法度、そこで緹蘭は水風呂に入って体調を崩し、逃れることにする。結局、湯乾自は見送りもなく寂しい出発となった。褚仲旭は緹蘭が具合が悪く見送りに出なかったと聞いて愈安(ユアン)宮に出かけると、確かに緹蘭は高熱を出して激しく咳き込んでいる。「妙だな、元気だったのになぜ突然、病に?…見送りを命じられて怖くなったのか?」緹蘭は皇帝に疑われていると気づき、確かに湯乾自とは旧知の間柄だが、特別な情はないと否定した。2人だけで会ったこともなければ、節度を守って来たと訴える。「お疑いなら私を牢に入れて取り調べを…」「本当に牢に入ると?」「…無実を証明いたします」「ふん、つまらぬ」褚仲旭が寝宮をあとにすると、緹蘭はばったり倒れた。科挙が近づき、霽風(セイフウ)館は参加者に不審者が紛れ込まないよう万全の体制を敷いた。方鑑明(ホウカンメイ)こと方諸(ホウショ)は卓英(タクエイ)に懇願され、武挙を前に久しぶりに海市(ハイシー)の稽古に付き合うことにする。しかしその時、海市の剣先がわずかに方諸の佩玉の紐に届き、玉が落下して割れてしまう。卓英と海市は師匠が手加減したと思い込んだが、方諸の様子がどこか気まずそうに見えた。そこで卓英は自分の官服が完成したので海市を連れて出かけたいと頼む。「師父、海市にも気分転換が必要です」方卓英は海市を連れて参内したが、実は理由があった。すると宮道で急に腹が痛いと言い出し、卓英は逃げるように引き返してしまう。٩(¨ )ว=͟͟͞͞. ピューッ!<厠へ行ってくるから官服を頼む!はあ?さっき行っただろう?>∩(゚ロ゚∩)綾錦司(リョウキンシ)では鞠柘榴(キクシャリュウ)がちょうど中庭で目隠しをしながら刺繍を練習していた。「実に見事な刺繍だ…」「…姑娘、何か?」柘榴は目隠しを外すと、実は青年だと気づいて謝罪する。そこへ典衣・鞠七七(キクシツシツ)がやって来た。海市は官服を受け取り帰って行った。すると鞠七七はなぜ小公子を″姑娘″と呼んだのか尋ねる。柘榴は足音や雰囲気が女子のようだったが、間違いだったと答えた。「霽風館に女子がいるはずないですよね~機嫌を損ねなくてよかった」「そうね…女子が霽風館にいられるはずがない…」鞠柘榴が刺繍した官服を胸に抱き、幸せに包まれる卓英。一方、綾錦司で柘榴が作った巾着を見かけた海市はある事を思いついていた。するとその夜、卓英は偶然、海市が部屋でこっそり針仕事をしているのを見つける。焦った海市は拾った物だと誤魔化したが、卓英は綾錦司にこんな下手な女官はいないと笑った。どうやらついに師弟にも好きな相手ができたのだろう。卓英は兄としてその相手を自分が連れて来てやると言ったが、海市に追い出されてしまう。翌朝、海市は師匠の部屋の前で行ったり来たりしていた。結局、勇気を出せずに戻ることにしたが、窓紗に映る海市の影を見ていた方諸が戸を開ける。「海市?…何を持っている?」「その~あの~…師父の佩玉を壊してしまったので、お詫びにこれを…」海市は師匠に巾着を渡すと、気恥ずかしくて逃げるように帰って行った。↓(  ̄꒳ ̄)これは…酷いw海市は身体検査をどうやり過ごそうか悩んでいた。そこで卓英に代わりに行って欲しいと頼んだが、卓英は今や要職に就く身、さすがに下手な嘘はつけないと断る。「あ~あ、武挙を受けるのは無理だな~仕方ないから暇つぶしに皆に話そうかな~ 誰かさんの綾錦司での怪しい行動とか~厠に逃げたこととか~好きな女子でもいるのかな?」( ๑≧ꇴ≦)ノ<ハイシーっ!…兄さんに行かせてくださいっ身体検査になぜか3年前に合格した射声(シャセイ)校尉が紛れ込んでいた。試験官たちは弟の付き添いかと尋ねたが、卓英は自分が方海市だと押し通してしまう。困り果てた試験官は武挙の主管を任された蘇鳴(ソメイ)に相談した。「理解に苦しむ…まあ会選まで進んだのだし、とりあえず通過させよ、真偽はいずれ分かる」すると蘇鳴は配下に指示した。「私も方卓英には迂闊に手を出せぬ…何を企んでいるのか、方海市たちの動きを見張れ」海市は愚策であっさり身分証を手に入れた。恐らく師匠が根回ししてくれたに違いない。海市は方諸の教えを胸に必ずや合格してみせると奮起したが、科挙会館の居所に入って早々、同室となった参加者たちから偽物だと糾弾されてしまう。しかし試験官はなぜか名簿に間違いはないと問題にしなかった。不満が募る参加者たち、すると名家の参加者から地方出身者には方家がいかに名門か分からないのだろうと揶揄されてしまう。その夜、陳哨子(チンショウシ)は指揮使を訪ね、手配を済ませたと報告した。「ただ…霽風館を憎む者がこの機に乗じて何かしでかすのでは?」「心配はいらぬ、向こうは身分を偽った海市をそのまま通過させた、武挙も合格させるだろう」方諸は海市が陥れられないよう、常に様子を見張らせろと命じた。夜も更けた頃、海市は部屋の男臭さで気分が悪くなり外へ出た。回廊で夜風に当たりながら居眠りを始めた海市、すると後をついて来た参加者たちがいきなり襲い掛かる。しかし海市は見事な武功で4人を退けた。「大した腕前もないのに参加するつもりか?…これでも手加減して遊んでやっただけだ」参加者たちの喧嘩騒ぎは試験官の知るところとなった。しかし海市は厠に行っただけで何も知らないと嘘をつく。4人は海市にやられたと訴えたが、その時、静観していた見知らぬ参加者が証言すると申し出た。「確かに方海市が4人を殴っているのを見ました…しかし悪いのは4人で方海市は反撃しただけです」すると兵士から新しい証言が届き、4人が結託して方海市を挑発したと分かった。こうして海市は無実だと断定され、4人は次に何かあれば受験資格を剥奪するとお灸を据えられてしまう。海市は庇ってくれた参加者に感謝した。参加者は何冲(カチュウ)と名乗り、一緒に酒でもどうかと誘う。しかし海市は武挙が終わったら朝まで飲み明かそうと笑った。つづく( ๑≧ꇴ≦)師兄www面白すぎるwwwそして師父は甘すぎるw
2022.07.22
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※原作はBL作品ですが当ブログでは非対応です山河令 Word of Honor第23話「黄泉の路」張成嶺(ジャンチョンリン)は沈慎(シェンシェン)を見送りに出た。これから沈慎は高小怜(ガオシャオリエン)を探し出し、大孤山(ダイコザン)派へ連れて帰るという。「成嶺、五義兄弟は温(ウェン)家に借りを作った、お前が温公子に孝行すればいくらか埋め合わせになる それから…いつか私も死ぬ、その時は小怜を世話して欲しい、四季山荘に迎えてくれるか?」「言われなくとも世話をします」喀血して昏睡した温客行(ウェンコーシン)はなかなか目を覚さなかった。心配した周子舒(ジョウズーシュー)は顧湘(グーシアン)に昔からこんなことがあったか聞いてみる。顧湘は自分が幼い頃は寝込むことがあったが、今は健康体だと言った。「いつから一緒に?」「物心がついた頃からよ」「では…いつその場所へ?」「どの場所のこと?」「まあいい…」その頃、温客行は鬼谷の夢を見ていた。…谷主は殺した夫妻の息子を青崖(セイガイ)山に連れて帰った『阿行、鬼谷はただの山間の谷(グウ)ではない、蠱虫の蠱(グウ)だと思え ここでは勇猛で残忍な蠱王だけが生き残る資格がある 食うか食われるか、生き残るためには他を殺さねばならぬ』谷主はどんなに罰を受けても享受する少年の強い精神力に期待していた…↓まさかその少年に皮を剥がされることになろうとは…:(;゙゚’ω゚’):温客行が目を覚ますと周子舒がいた。周子舒は脈が正常なため薬は飲ませなかったと話し、沈慎を追い払ったという。「老温、憎むべきは趙敬(ジャオジン)だ、他の者たちは苦しんでいた」「私の両親は苦しまなかったとでも?!」温客行は沈慎をみすみす逃したと激怒し、復讐できるなら地獄に堕ちても構わないと声を荒げた。「老温…すまない…お前の私怨なのに勝手なことを言って…悪かった ただ手を汚して欲しくないんだ…お前が快復したら趙敬を成敗しに行こう」周子舒の謝罪を聞いた温客行はふと我にかえり、照れ隠しに喉が乾いたと甘えた。すると顧湘がやって来る。「主人~っ!心配しましたよ!」そこで周子舒は顧湘に世話を頼み、厨房にいる張成嶺の様子を見に行った。「…主人、もしかして?」「孟婆湯(モウバトウ)のせいだ」蝎王は分舵の地下牢に閉じ込めた喜喪鬼(キソウキ)・羅浮夢(ルオフーモン)の様子を見に来た。喜喪鬼がうわ言のようにつぶやいている″敬郎″とは義父のことなのか、それとも…。蝎王は喜喪鬼の脈を見ながら、錯乱したのは孟婆湯のせいか聞いた。艶鬼(エンキ)・柳千巧(リウチエンチャオ)の話では孟婆湯は執着を断ち切るだけ、恐らくかつて患った離魂病が何者かに刺激されて再発したのだという。そこで蝎王は解毒法を聞いたが、実は千巧は解毒したのではなく、孟婆湯を飲んでいなかった。千巧は自害寸前で主人に拾われて青崖山に入ったため、谷主が例外を認めてくれたという。主人は″古より男は薄情で女は薄命″だと教え、薄情者に傷つけられた女子に代わって浮気者を殺し尽くすのが薄情司だった。「わははは~人は生まれつき薄情だ、男も女もない、滑稽だな…誰もが裏切り、裏切られる」すると蝎王は孟婆湯の処方箋を探し出せば解放すると約束して帰った。温客行の症状は孟婆湯が原因だった。当時はまだ7歳か8歳、しかし家族を殺された恨みは孟婆湯を飲んでも決して消すことができなかったという。顧湘は主人が幼い頃に頭痛や吐血で苦しんだのは、孟婆湯に抗った代償だと知った。「近頃、過去を思い出させることが多く、再発したのだろう…いつか正気を失うやもしれぬ その日が来る前に仇敵たちを皆殺しにしてやる」すると温客行は顧湘を守るため、曹蔚寧(ツァオウェイニン)と一緒に明日、清風(セイフウ)山へ発てと命じた。掌門・莫懐陽(モーホワイヤン)は切れ者ゆえ一門を騒乱から遠ざけるはずだという。「私が歩むのは黄泉への路だ、お前は図らずも鬼谷に入った、生き直す機会をふいにするな 奴と一緒になり人の世に戻れ、平穏に暮らせるだろう」「主人…曹蔚寧が言ってたんです、高崇(ガオチョン)は琉璃甲を清風剣派に渡しただろうって… だから主人のために琉璃甲を見つけたくて彼に同行したんです…だけど… なぜか…私、恋仲になってしまって…」顧湘は曹蔚寧への気持ちを認めたが、叶わぬ夢だと分かっていた。「主人、清風剣派は見逃してもらえませんか? 彼に恨まれたくない…結ばれなくても無事でいて欲しいんです 正体を知られるのが怖い…優しくされればされるほど、すべてが嘘に思える… あの時の雪だるまと一緒です、陽が昇った途端に跡形もなく消え失せてしまった…ゥッ…」「新しい雪だるまを作ってやっただろう?泣くな」「最初の雪だるまがいい!(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ ならもし主人が周絮(ジョウシュー)に正体を知られたら、殺して新しい友を探しますか?!」温客行は言葉を失った。そこで曹蔚寧を欺き通すよう助言し、清風剣派には手を出さないと約束する。「琉璃甲はもういらぬ、そもそも口実に過ぎなかったのだ」温客行は曹蔚寧を呼び、昔話を始めた。「私は年端もいかない頃に阿湘を拾った…私たちが育ったのは悪夢のような場所だ 私は生きるのに精一杯で煩わしい阿湘を何度も捨てようとした だがあの子は言葉も発せぬうちからしぶとい獣のようにどこへでもついて来た… ふっ、私と過ごしたのにまっすぐな子に育ってくれた 阿湘は私に恩義を感じて仕えてくれたが、今になって思えば救われたのは私の方だ 失いかけていた心をあの子が温めてくれなければ私は…」すると温客行は自分にとって顧湘は妹であり、大袈裟に言えば娘も同然だと言った。数少ない恩人の1人であり、顧湘には平穏に暮らして欲しいと願って止まないという。「曹蔚寧、お前に頼めるか?」「…もちろんです!」「ならば明日、阿湘を連れて出立しろ、だがこれだけは約束してくれ、阿湘を決して裏切らないと…」「ご安心を、天地神明に誓います、死ぬまでいつ何時も阿湘を裏切りません!」「いいのか?知り合ってから日も浅く、阿湘は想像とは異なるやもしれぬ 阿湘を裏切れば私が必ずこの手でお前を殺す」「日が浅くとも見極めました、阿湘と初めて会った時、生涯を共にすると決めたのです もし私が裏切るようなことがあれば、喉をかき切りお詫びする覚悟です」一方、鬼谷に襲撃された仙霞(センカ)派の生き残りは少林寺に泣きついた。こうして趙敬の目論見通り、慈穆(ツームー)和尚は各門派へ鬼谷討伐の号令を出し、五湖盟にも参加を嘆願する文が届く。蝎王は義父にどうするつもりか尋ねた。すると趙敬は誠意を示さねば自分たちを動かすことはできないという。「名門や正道派にも討伐させたいなら名分だけでは釣れないし、利益だけでも釣れない 台本を練り、名分も利益も盛り込んでこそ誘い出せるのだ」翌朝、顧湘は曹蔚寧との別れを決め、見送ることにした。しかし温客行が乱暴な侍女なので曹蔚寧に譲ると押しつけてしまう。「温兄…私は阿湘を侍女だと見なしことはありません 託されたからには嫁入り道具を揃えて阿湘を娶ります」「…嫁入り道具は妻側が準備するものだよ?」張成嶺が思わず茶々を入れると、顧湘は急に恥ずかしくなって屋敷の中に戻ってしまう。↓老温と阿湘って顔が似てるw一方、趙敬は蝎王に″群鬼冊(グンキサツ)″を作って武林に配布するよう命じた。蝎王は今さら悪鬼たちを切り捨てることに驚いたが、趙敬はもはや用済みだという。「鬼谷を滅ぼす時、鬼衆が外にいては困るだろう? 私の庇護を失った鬼衆は必ずや鬼谷に戻るはずだ…」「ですが鬼衆が流言を広めるのでは?」「誰が信じると?…機を見て悪鬼に証言させる ″鬼谷が五湖盟を陥れた、江湖を分裂させるため五湖盟に罪を着せた″とな 潔白を証明されたところで高崇はもういない、各門派は後ろめたさを感じるだろう その時、各門派を率いて鬼谷を滅ぼせば、私の威光と仁徳はさらに増す 各門派も罪悪感を抱いている、武林の盟主に選ばれるのは?…ふっ、私しかいない」( ̄∀ ̄)<義父も悪よのぉ~ ぶははは~>( ̄∇ ̄)しかし趙敬には気掛かりなことがあった。未だに急色鬼(キュウショクキ)から音沙汰がない。…まあどのみち全門派が鬼衆を探し始める、どこへ隠れるか見ものだ…つづく( ๑≧ꇴ≦)趙敬のシナリオ恐るべしいよいよ鬼谷の正体がバレるのね~阿湘の無事を祈るばかり
2022.07.20
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※原作はBL作品ですが当ブログでは非対応です山河令 Word of Honor第22話「連環計」張成嶺(ジャンチョンリン)を連れて四季山荘に帰ることにした周子舒(ジョウズーシュー)と温客行(ウェンコーシン)。すると偶然にも道中で清風(セイフウ)山に向かっていた顧湘(グーシアン)と曹蔚寧(ツァオウェイニン)と合流、一緒に次の町へ向かった。一行は客桟で食事することにしたが、温客行は相変わらず曹蔚寧が気に入らない。しかし曹蔚寧が緑柳(リューリゥ)と桃紅(タオホン)夫婦に襲われたと聞いて脈を診てやることにした。実は高小怜(ガオシャオリエン)を岳陽(ガクヨウ)派から連れ去ったのは緑柳と桃紅だという。「あ!成嶺、小怜は許嫁でしょう?助けてあげなきゃ!恋敵もいなくなったことだしね~?ふふ」顧湘は鄧寛(ドンクワン)が小怜と恋仲だったが、英雄大会の日に消えたと話した。温客行は周子舒を外へ連れ出した。高崇(ガオチョン)を弾劾した鄧寛が一介の弟子ではなく小怜と親密だったとは…。そうなると黒幕は一体どんな手を使って鄧寛を操ったのだろうか。2人が考えあぐねていると、驚いたことに前から大孤山(ダイコザン)派の掌門・沈慎(シェンシェン)が現れた。図らずも因縁の相手と再会した温客行、すると3人は民に紛れて潜入していた刺客たちから挟み撃ちにされてしまう。刺客は毒蝎だった。周子舒たちは敵を撃退、しかし助太刀した沈慎が腕に暗器を受けてしまう。「沈掌門、それは蝎尾刺(カツビシ)だ、毒が塗ってある」周子舒は自分を信用できるなら飲んで欲しいと解毒薬を渡した。すると沈慎は迷わず薬を服用し、英雄大会で長兄を助け、張成嶺を救ってくれたと感謝する。「ところで成嶺は?」同じ頃、客桟に残った顧湘たちも刺客に襲われていた。剣術ができない張成嶺だが、流雲九宮歩(リュウウンキュウグウホ)の習得が功を奏し、何とか攻撃を回避する。そんな中、顧湘と曹蔚寧が刺客に応戦、成嶺を連れて客桟を飛び出した。通りでは思わぬ騒ぎに民たちが逃げ惑っている。すると客桟の前にいた物乞いがなぜか成嶺に助けを求めようと飛び出して来た。顧湘は咄嗟に物乞いを殺したが、周子舒はただの流れ者をなぜ殺したのかと驚いてしまう。しかし実はその物乞いも袖口に暗器を隠し持っていた。周子舒たちが客桟へ急いでいると、ちょうど逃げて来た顧湘たちと鉢合わせになった。一行は人里離れた李家の廃家を見つけ、しばし休むことにする。物乞いの返り血を浴びた顧湘は庭で汚れを落としながら、しみじみ曹蔚寧とは生きる世界が違うと実感していた。「私は食うか食われるかで、わずかな危険も見逃さないよう生きて来た…そうじゃなきゃ死んでたわ」「阿湘…君の生い立ちを初めて聞いた、なんて酷いところで育ったんだ」すると顧湘は居たたまれなくなって飛び出して行ってしまう。沈慎は張成嶺が周子舒に弟子入りしたと知って安堵した。すると成嶺が聞きたいことがあるという。「沈叔叔、答えずとも嘘は付かないでください、高伯伯が鬼谷と手を組んで父を殺したのですか?」「天に誓って言う、高伯伯はお前の父を決して害したりしない 過去に何があろうと高伯伯はお前の父をずっと案じていた だからお前に小怜を嫁がせ、両派の武芸を習得させて大成するよう願っていたのだ 盟主の地位も継がせるつもりだった」「では英雄大会で鄧寛が暴露したことは真実ですか?」「まさか!…20年前、大哥は琉璃甲(ルリコウ)を壊すか、武林に全て公表すると主張した 反対したのは我々だ、義兄弟たちの琉璃甲も望めばもっと早く奪えたはず…」高崇は確かに口下手だったが、何より情義を重んじていた。しかし沈慎にもなぜ鄧寛が敬愛する師匠を陥れるような発言をしたのか分からないという。その時、周子舒はふと何かを思いつき、温客行を探しに行くことにした。すると沈慎がその前に聞きたいことがあると引き止める。「温公子は五義兄弟の旧友によく似ている、温公子は…甄(ジェン)姓では?」周子舒は黙っていたが、動揺した成嶺がうっかり茶碗を落としてバレてしまう。周子舒は独り桟橋で考えを巡らせていた。そこへ温客行がやって来る。ノシ^ω^)ノシ☆ドン!ヾノ。・ㅅ・)ノシ<うわっ!「考え事か?」「…龍孝(ロンシアオ)が薬人(ヤクジン)を操っていたが、操縦法は伝説の攝魂蠱(セツコンコ)と関係が?」「確かに…義荘の一件は長舌鬼(チョウゼツキ)の仕業だ、背後に毒蝎がいる 阿絮(アシュー)、天窗(テンソウ)にいた頃、毒蝎の首領を見たか?」「毒蝎の首領は姿を現さぬ」「ならば芝居上手の″玄徳″趙敬(ジャオジン)が首領だな…」「ただいくつか釈然としない部分もある もし趙敬が首領なら高崇の剣に毒を塗って容炫(ロンシュエン)夫妻を陥れたのも趙敬だろうか?」「うむ…(´-ω-`)」「で…長舌鬼とは何者だ?」「(´゚艸゚)oops!…確か吊死鬼(チョウシキ)から纏魂糸(テンコンシ)を継承したヤツだ 鏡湖派を襲ったのも長舌鬼らしい」すると周子舒はさすが見識が広いと感心した。温客行はうっかり口を滑らせ、動揺していた。周子舒は聞き流してくれたようだったが、もし自分の正体を知ったらどうなるか。…人と鬼の道は決して交わらぬ…蝎王は張成嶺の行方を突き止めた。しかし腕利きの周子舒と温客行が側にいるため密偵は接近できず、尾行を続けさせている。それより龍雀(ロンチュエ)と龍孝が死んでしまい、蝎王は武庫の鍵が手に入らなくなったと心配した。「あれは龍孝を欺くための嘘だ、実はこの20年、武庫の鍵は最も危険で最も安全な場所にある」「鬼谷ですね?」鏡湖派の滅亡、三白山荘での窃盗、傲崍子(アオライズー)の横死、全ては趙敬の連環の計だった。これも江湖を欺き、鬼谷が琉璃甲を奪ったと見せかけるためだったという。偽物の琉璃甲は予想外だったが、その混乱でかえって高崇を早々に破滅させることに成功した。蝎王は義父の見事な策略に敬服したが、なぜそこまで高崇を憎んでいるのか聞いてしまう。すると趙敬の顔はみるみるこわばり、末弟として我慢を強いられて来た苦い過去を思い出した。「私を身勝手だと?!私欲から高崇を排除したと思うのか?!ギギギギ… いいか?…五湖盟は私の手中にあってこそ輝きを放てるのだっ!」( ̄▽ ̄;)<ぁ…義父…余計なことを申しました結局、趙敬は成嶺のことは自分が策を練ると決め、蝎王も喜喪鬼(キソウキ)と艶鬼(エンキ)を捕らえたことは報告しなかった。その夜、周子舒はひとり星を眺めながら考え事をしていた。すると顧湘がこっそり酒を持って露台に出て来る。ω-`)ヌ~ ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ<周絮ったら!驚かせないでよ!おかげで周絮は酒にあり付けたが、顧湘は不味くて吐き出した。🍶(´゚ω゚):;*.’:;.. ブハーッ! (・・;)<無駄にするな顧湘の話では主人が気落ちするたびにお酒を飲むのだという。「どのみち機嫌は直らないのに… ねえ?主人が言ってたけど、あなたは自分で寿命を縮めたって本当? あなたが死んだら主人が悲しむわ、長い間、一緒にいたけどあんなに悲しむ姿、初めて見た 唯一の友人なんだから死んじゃダメ、主人を独り残して死んだら黄泉まで追っかけて絞め殺す!」「まったく、女じゃなければ殴っているぞ?!…口の悪さはそっくりだな(ブツブツ」そこへ立ち聞きしていた温客行が現れた。周子舒のせいで酒瓶が空になり、顧湘は主人のために酒蔵を探しに出かけた。すると沈慎と張成嶺がやって来る。沈慎は張成嶺の様子から温客行が甄衍だと確信していた。「衍児?…父上たちは息災なのか?」激しく動揺した温客行は顔から血の気が引き、頭が痛くなって来る。「ゥゥ…私の父は手足の筋を断たれ破門されたのだぞ? 正道派の圧迫を受け、邪道派の襲撃を逃れながら、板挟みになっても情義を全うし耐え忍んだ! いわゆる″義兄弟″のためにな!息災だと思うのかぁぁぁ!」沈慎は涙ながらに詫びたが、取り返しがつかないことも分かっていた。「もう遅い…2人は死んだ…あの時、甄衍も一緒に死んだんだぁぁぁぁ〜!」あの時、村は鬼谷に襲われ、甄如玉(ジェンルーユー)と谷妙妙(グーミャオミャオ)は惨殺された。温客行は当時の光景が蘇り、激しく血を噴き出して倒れてしまう。驚いた周子舒は温客行を腕に抱いて縁側に腰掛け、口についた血を拭き取った。「すまない…」すると温客行はそのまま意識を失ってしまう。温客行は翌朝になっても目覚めなかった。沈慎は甄衍も秦懐章(チンホワイジャン)の弟子だと聞いて喜んだが、周子舒は″温客行″として生きることを尊重してやって欲しいという。それにしても大弟子の自分がなぜ五義兄弟と師匠の交友を知らなかったのだろうか。実は青崖(セイガイ)山の戦いの後、秦懐章は義兄弟の不義理に腹を立て、関係を断っていた。すると張成嶺が龍(ロン)師匠から聞いた容炫(ロンシュエン)の一件だと気づく。「まさかあなたが?!あなたが容伯伯に毒を?!」「何だと?!」周子舒と張成嶺は容炫の一件を知っていた。驚いた沈慎は自分ではないと否定、確かに容炫の死や甄夫妻の苦難を座視したが、決して義兄弟に手を下すことはないという。どうやら沈慎は未だ誰の仕業か見当がついていないようだった。「現在の五湖盟の盟主は?」「まさか…趙大侠ですか?!」周子舒の問いに真っ先に答えのは曹蔚寧だった。到底、信じられない沈慎は温客行を起こして問いただすと言い出したが、周子舒が阻む。「容炫前輩を見捨てたのは仕方がないとしても、五義兄弟に良心があれば師弟を助けられたはずだ!」「皆、青崖山で重傷を負い構えなかったのだあ〜」「釈明など要らぬ!」周子舒は結局、五義兄弟も報いを受けたと突き放した。今さら過去は変えられないが、温客行が恨みで苦しむ姿を見たくないという。「もう2度と再会しないことを願う…成嶺、客人を見送ってくれ」「はい」つづく( ;∀;)やだ〜何この悲しい話…
2022.07.19
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※原作はBL作品ですが当ブログでは非対応です山河令 Word of Honor第21話「夢幻泡影(ムゲンホウヨウ)」蝎王は義父の命で仙霞(センカ)派の掌門・白啓峰(バイチーフォン)の始末を悪鬼に頼んだ。しかし仙霞派と鬼谷は無関係、無常鬼(ムジョウキ)は難色を示したが、蝎王から遠回しに脅されてしまう。「拒むならいっそ決別すれば平和を保てる…しかし次に会う時、敵か味方かは別問題だがな」すると無常鬼はしぶしぶ了承して引き上げた。蝎王は念のため俏羅漢(ショウラカン)を同行させると決め、何人か生かすよう指示しておく。そうすれば仙霞派が鬼谷に滅ぼされたと武林界に広まり、誰もが他人事ではないと恐れるだろう。開心鬼(カイシンキ)は十大悪鬼の首領ともあろうものが蝎王の言いなりかと揶揄した。急色鬼(キュウショクキ)も趙敬(ジャオジン)の手先になったところで先は知れていると冷ややか、しかし無常鬼は温客行(ウェンコーシン)に背いた今、趙敬の庇護を受けるしか生きる道はないという。「温客行に許しを請うて受け入れてもらえるとでも? お前は谷に入ってまだ何年も経っていない、温客行がいかにして谷主となったか知らぬだろう? …あの男はな、皆の目の前で老谷主の皮を生きたまま剥いだのだ」↓ヤンチャな頃の温さん龍淵閣から飛び出した温客行はその夜、行く当てもなくふらふらと歩いていた。すると偶然にも林の中で暖を取っている周子舒(ジョウズーシュー)たちの姿を見つける。その時、ちょうど周子舒が張成嶺(ジャンチョンリン)と葉白衣(イエバイイー)に話の続きを聞かせていた。あの時、秦懐章(チンホワイジャン)は急用で重症の甄如玉(ジェンルーユー)を連れて行けず、3ヶ月後に迎えに来ると約束したという。しかし約束通り戻ってみると、村が一面の焦土と化していた。この一件は秦懐章の心の傷となり、息子の秦九霄(チンジウシャオ)が成人した時も″三番目の弟子″と言ったという。趙成嶺は温客行が初めから師匠に気づいて付きまとったのだと分かった。ならばなぜ甄衍(ジェンイェン)だと認めようとしないのだろう。すると葉白衣が温姓の理由を教えた。「甄如玉は神医谷の谷主の養子なのだ、元の姓は″温″、だからあいつは甄姓を拒むのだ」恐らく甄夫妻は亡くなったのだろう。周子舒は成嶺に師叔が何も言わないなら何も聞いてはならないと言った。「悲しいです…師父、善人ほど報われないのはなぜですか? 父も龍(ロン)師匠も甄家の人たちも、容(ロン)伯伯だって…」「天意は測れず、運命は人をもてあそぶ…善人に限らず、生きるものには苦しみがある」その時、いつもの飄々とした様子で温客行が現れた。「お、老妖怪もいたか」温客行が甄夫妻の忘れ形見だと知った葉白衣は、師匠として弟子の過ちを償いたいと申し出た。死者を生き返らせること以外、できないことはほとんどないという。「情けではない、これはお前が持つべき権利だ、願い事を言ってくれ」「…私の願いは1つだけ、阿絮(アシュー)の傷を治せるなら過去は帳消しにする ただし元の寿命と武芸は残すのだぞ?」すると葉白衣は自分に治せなくても治せる者がいると思い出した。ピューッ!٩(¨ )ว=͟͟͞͞ <四季山荘で私が戻るのを待て!(」゚ロ゚)」<前輩ーっ?!やれやれ、あれで100歳とは英雄大会に顔も見せず、消息も分からなかった華山(カザン)派の掌門・于丘烽(ユーチウフォン)がひょっこり岳陽に現れた。どういう風の吹き回しかと訝しむ趙敬、すると于丘烽はある噂を聞いたという。「喜喪鬼(キソウキ)は元の名を羅浮夢(ルオフーモン)といい、哥哥の許嫁だったとか? しかし婚姻当日、哥哥は富豪の浙西(セッサイ)観察使の娘と出奔した 恥をかかされた新婦の怒りは激しく、浮気男を殺す鬼女に生まれ変わったとか…」于丘烽はもちろん噂をしていた輩を懲らしめたと笑い、名誉を守るため警戒するよう助言した。于丘烽は自分の過去をどうやって知ったのか。あの日、喜喪鬼を移送させるため遣わした腕利きは皆、岳陽派内で死んでいた。もしや于丘烽が喜喪鬼を奪ったのだろうか。趙敬は于丘烽に怒り心頭だったが、自分と面会してすぐ殺されれば体裁が悪い。そこで謝無恙(シエウーヤン)を呼び、悪鬼たちに連絡を取るよう命じた。しかし悪鬼たちは仙霞派を討ちに行ったため、急色鬼しかいないという。「十分だ」温客行は周子舒と張成嶺に客桟探しを任せ、独りで酒を買いに出かけた。すると酒売りの露店で暗号を見つけ、薄情司の娘たちがこの町にいると知る。聞けば五湖盟の襲撃から逃れ、娘たちは食屍鬼(ショクシキ)がかくまっていた。しかし食屍鬼に昔の病気が出て食べられそうになり、酒に酔わせて逃げ出したという。その後、艶鬼(エンキ)・柳千巧(リウチエンチャオ)から文が届き、主人が療養につき軽挙は慎めと命じられていた。寄る辺のない娘たちは青崖山に戻って谷主の帰りを待つと言ったが、温客行は食うか食われるかの鬼谷で娘たちが生き残れるとは思えない。「どこへ行こうと構わぬが青崖山には入るな…背けば死を」「はい」…人生とは夢のごとく儚い…人々が追い求めるのはわずかばかりの蜂蜜の甘さに過ぎないのだ華山派の山荘に急色鬼が現れた。于丘烽は早々に逃げ出し、柳千巧は独り応戦するが歯が立たない。やがて動きを封じられた千巧は主人に逃げるよう訴えたが、気が触れた喜喪鬼には通じなかった。「″君 我を裏切らざれば 我 君を裏切らず″…敬郎?どこなの?ブツブツ…」すると突然、蝎王が毒菩薩(ドクボサツ)を連れてやって来る。「蠍王…なぜこちらへ?」「私に尋ねる気か?…于丘烽は?」「ああ~この女を捨てて逃げました」この女とは絶世の美女と評判の十大悪鬼・艶鬼だった。蝎王は顔に傷があると首を傾げたが、毒菩薩は扮装術を使う艶鬼に多少の傷など関係ないと教える。その時、奥の部屋にいた喜喪鬼が叫び出した。「敬郎?…敬郎?!どこなの?!」蝎王は驚いて駆け寄ると、急白鬼が勘違いして口を滑らせた。「なんと!蝎王は熟女系ですか?!」っ'-')╮ =͟͟͞͞🔪シュッ! バタッ!(:3_ヽ)_ 蝎王が放った暗器は急色鬼の喉を貫通した。羅浮夢は愛しい人の姿を探して外へ出ていった。すると柳千巧は蝎王の足にすがりつき、主人を見逃してほしいと懇願する。蝎王は艶鬼の首に手をかけたが、その時、逃げたはずの于丘烽が戻ってきた。「やめろ!…放せ!」于丘烽は琉璃甲(ルリコウ)の隠し場所へ案内することを条件に千巧を解放させ、今度は逃げないと千巧に誓う。三文芝居に呆れる蠍王と毒菩薩、そこで毒菩薩は主上に昔話を教えた。「この女が″淫乱″と呼ばれて江湖に名が知れ渡ったのは于丘烽にだまされ、その手に落ちたから 于丘烽の妻は嫉妬深くて有名だった 小娘だったこの女は衣を剥ぎ取られ、裸のまま華山から長安まで引き回されたのよね? この一件は世間を驚かせた、でも何が笑えるってこの男、最初から最後まで黙ったままだったとか 女は江湖に身の置き場を失い鬼谷へ去った、でもまたこの女を愛人にしたのね 姐妹?顔だけでなく、頭にも傷があるんじゃない?」しかし千巧は于丘烽を利用しただけだと言った。「琉璃甲は偽物よ、主人を救うためこの男を利用したの、意外にもこの男との関わりが役に立った …烽郎、だましたのはお互い様、私は許されないとでも?」そこで千巧は主人を見逃す代わりに蝎王に仕えると誓った。「世を震撼させた鬼女が今やうつけとなったのか…」「主人は離魂病を患い、孟婆湯(モウバトウ)も飲んでいます、意識も記憶も曖昧ですでに廃人なのです」鬼谷に入る前には必ず孟婆湯を飲み、飲めば執着を忘れることができるという。蝎王は毒菩薩に誰にも知られぬよう毒蝎の分舵に女2人を連れて行くよう命じた。「″君 我を裏切らざれば 我 君を裏切らず″…」翌朝、周子舒たちは客桟を出発した。すると郊外で立ち寄った茶屋に偶然、仙霞派の門弟たちがやって来る。門弟たちは怪我をしている様子、給仕の話では数日前に鬼谷に放火され、掌門が亡くなっていた。付近には無惨にも殺された仙霞派の亡骸が転がっていた。すると見慣れない死体と死臭のせいで張成嶺はすっかり気分が悪くなってしまう。そこで周子舒は成嶺を休ませ、温客行を連れてその場を離れた。「仙霞派の屍は喉をかき切られたか、もしくは即死ばかり、殺し専門の者の仕業だ 鬼谷の名で邪魔者を排除し、さらにその罪を鬼谷に着せようとする者とは?」温客行は英雄大会まで高崇(ガオチョン)が黒幕だと思っていたが、どうやら陰謀を巡らす者は他にいたらしい。五義兄弟で残ったのは趙敬と沈慎(シェンシェン)、どちらも真の力を隠し、十分に怪しかった。「あーっ!主人?!」その声は曹蔚寧(ツァオウェイニン)と一緒に清風(セイフウ)剣派へ向かっていた顧湘(グーシアン)だった。つづく(ヾノ・∀・`)いやいや〜婚儀当日に令嬢を捨てて令嬢と逃げたら大事になってるはずだよね?
2022.07.17
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第6話「風神のいたずら」その晩、方卓英(ホウタクエイ)は霽風(セイフウ)花の木の下で物思いにふける方海市(ホウハイシー)を見つけた。「ハイシー!戻ってたのか?!」卓英はこれでやっと退屈な日々から抜け出せると喜んだが、海市の様子がおかしい。「哥…何が正しいか分からなくなった」実は海市の任務とは趙(チョウ)叔の始末だった。卓英はこれも因果応報だったとなだめ、自分も最初は任務に戸惑ったという。すると海市は自分を殺そうとした父が自分に噛まれて血を流したせいで鮫に襲われ死んだことも因果かと聞いた。突き詰めれば漁村の貧しさも因果、結局、弱き民は運命を諦めて因果を受け入れるしかない。ならば旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)の命は他の者のそれより尊いというのか。「忠義のためにかつて交わした想いも秘めなくてはいけないのか?」「ハイシー、お前は任務を遂行しただけ、過ちを犯したわけではない」しかし卓英は傷ついた海市のため、師匠に答えを確かめることにした。方卓英は珍しく師匠を非難した。趙叔は海市が幼い頃から世話になっていた家族のようなもの、せめて理由を説明すべきだという。何より師父は女子である海市をこれまで大切に守り続けて来たはずだ。「なのになぜこんなむごいことを…」「忘れたのか?…初めて会ったあの日、海市が自分で男として生きる道を選んだのだ」確かに方諸は海市を任務から遠ざけようとして来たが、海市自ら強く望んだという。「死を覚悟して陛下に刃を向けたのだぞ?みくびるな」「陛下に刃を?…私たちの復讐のために…」卓英は海市の忠誠心を思うとやり切れなくなった。「他の任務を与えるべきだった、なぜ趙叔を殺させたのですかっ?!」「黙れ!」「…師父は非情すぎます」翌朝、海市は書き置きを残し、師匠に黙って出て行った。…師父、再三にわたり師父の命に逆らいました…育てていただいた恩に報えなかったと恥じるばかりです…師父の教えを胸に瀚(カン)州へ向かいつつ、館内の間者について調べ、不当なものは正します…いつか帰れる日まで、くれぐれもご自愛ください…徒兒海市より暗衛営の陳哨子(チンショウシ)は小公子にとってこれも修行だと分かっていたが、やはり心配だった。「経験が浅いため面倒に巻き込まれるのでは?」しかし方諸は失敗したら自分が責任を取ると安心させた。一方、綾錦司(リョウキンシ)では鞠柘榴(キクシャリュウ)が忙しい毎日を送っていた。その日は淑容(シュクヨウ)妃の衣に使う紗(シャ)を温泉で洗ってから乾かそうとしたが、突風に飛ばされてしまう。すると偶然にもその紗は高楼の渡り廊下にいた方卓英の元に飛んできた。卓英は慌てて顔から紗を剥がしたが、その時、紗を探して宮女がこちらへ走って来るのが見える。その宮女は灯会の夜、一目惚れしたあの美しい娘だった。(>人<;)<風神様…持ち去った紗をどうぞお返しください…ナムナム…しかし鞠柘榴が綾錦司へ戻ると、中庭の石桌子の上に綺麗に畳まれた紗が置いてある。その様子を屋根から卓英が見ていた。海市は日が暮れる前に客桟に部屋を取った。しかし客も女将もどこか様子がおかしい。その夜、女将と客たちは寝静まった海市の部屋に乗り込んだ。寝たふりをしていた海市はすぐ反撃したが多勢に無勢、そこで2階の窓を破って脱出する。すると納戸で監禁されている本当の店主を発見した。海市は罠だと知らず店主を解放したが、待っていたかのように官兵が駆けつける。そこで店主は納戸から飛び出し、海市を賊だと言いつけた。もはや逃げ場のない海市、そこへ突然、仮面姿の師匠が現れ、海市を連れて屋根まで飛び上がる。「お前たちの主は恥を知らぬ…罠を仕掛けるとは先祖の名を汚す所業だ 命が惜しくば戻って主に伝えよ、再び姑息な真似をしたらこちらも容赦せぬ」彡 シュバッ!方諸は海市を連れて霽風(セイフウ)館へ帰った。「師父、昨夜の官兵は北府軍ですか?…北府軍を動かすとは大物のはず、何者です? 元宵節の刺客もそやつが?」「…古い知人の私怨だ、案ずることはない」方諸は瀚州行きをやめさせ、皇帝に手出ししないことを条件に霽風館に残ることを認めた。陳哨子は小公子が戻ったと知り、寡黙な指揮使の代わりに趙叔の真相を教えた。実は趙叔は北方の出身、唯一の兄弟が亡くなって甥が独り北方に残っていたという。そのため毎年こっそり甥に銭を送っていたが、鵠庫(コクコ)に嗅ぎつけられ、甥が人質に取られた。趙叔は甥を守るため機密を流すようになり、確かな証拠もあるという。「表向きは病死したことになっている、そうしないと趙叔の甥に身の危険が及ぶからな 納得し難い気持ちも分かるが、だが世は無情だ、この先の人生は長い」鞠柘榴は誰が紗を届けてくれたのか分からなかったが、風神様に感謝して中庭に供物を置いた。すると不思議なことに供物の菓子が消えている。戸惑う鞠柘榴、その様子を綾錦司の屋根の上で方卓英が菓子を食べながら眺めていた。それ以来、鞠柘榴は庭先に菓子を備えるようになる。「これからもたくさんお供えします、どうかみんなの刺繍の腕が上がりますように… それから私が刺繍する官服を射声校尉が気に入ってくれますように…」卓英はそんな優しくも美しい鞠柘榴を陰ながら見守るようになった。海市は自分の過ちに気づき、師匠に謝罪した。「これからはよく考えて行動します、表面だけ見ず、師匠の期待に応えます だから許して頂けませんか」すると方諸は海市が客桟で負った傷を放ったらかしていると気づき、薬を渡した。「反省は自室でしなさい…明日からは稽古に励め、怠ってはならぬぞ」「はい、師父!」海市は左腕の傷のせいで上手く弓が引けなかった。すると突然、方諸が現れ、介添えしてくれる。「師父…私が心配で客桟までついて来たんですか?」「…的から目をそらすな」2人は一緒に弓を引いて矢を放つと、見事に的の中心を射る。その時、音に驚いたのか鳥が飛び立ち、真っ白な羽根が舞い落ちた。霽風館に戻った卓英は嬉しそうに菓子を眺めながら歩いていた。うっかりつまづいて菓子を落としそうになる卓英、その時、ちょうど稽古を終えた海市がやって来る。「あ、哥!…ニヤけちゃって何?何を隠したの?!」「何でもない、お前こそ何だ、羽根なんか持って」「(あ…)軽くて薄いから矢に使おうかと思って…」「機嫌がいいな、どうしたんだ?」「…師父を許してあげたの」「逆だろう?許すのは師匠だw」すると卓英は皇帝が海市に武挙を受けるよう命じたと教えた。蘇鳴(ソメイ)は朝議で武挙の名簿を提出した。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は蘇鳴を武挙の主管に任命、さらに黄泉関の主将に封じた湯乾自(トウカンジ)に直ちに出発するよう命じる。その時、居眠りしていた昶(チョウ)王・褚季昶(チョリチョウ)がうっかり卵を落とした。グシャッ!大臣たちは四皇子の愚鈍さに呆れていたが、褚仲旭は何も言わず退朝を命じた。海市は武挙に参加するなど突拍子もないと思ったが、やはり受けたいと師匠に申し出た。「自分の武芸の程度を確かめてみたいのです」方諸は女の身では何かと不自由だと警告したが、受けたいなら受ければいいと認める。「…武挙の場には陛下が来臨なさいます、なのに許してくださるのですか?」「陛下のご意志だ、それに陛下に手出しせぬと約束したであろう?」方諸は今日の大徴があるのは皇帝の功によると言ったが、海市は真珠税のせいで大勢が亡くなったと反論した。「国事と私事は別であり、上と下の間には隔たりがある…じきに理解できるだろう 今は武挙に専心せよ」「…全力を尽くして武挙の準備に取り組みます」卓英は鞠柘榴が気になり、当番でもないのに皇宮へ行くことにした。しかし稽古していた海市に見つかり、皇妃が目当てかと揶揄される。驚いた卓英は否定し、それより海市の騒ぎ以来、淑容妃が愈安(ユアン)宮に幽閉されたと教えた。「まあかえって身の危険は少なくなったがな」すると海市は卓英に3年前の武挙について聞いた。武挙の考査は初選・会選・殿選と進められるが、皇帝から指名された海市は初選が免除される。どれも3つの科目で選抜され、科目は毎年、違った。海市は論文まであると知り、天文や地理まで学ばねばいけないとうんざりする。|ω・`)<ん?それでよく哥が通ったね…つづく(  ̄꒳ ̄)んー方諸と卓英は師弟に見えないよね〜これもヤンミー社長を少女設定にした弊害でしょうか?www
2022.07.16
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第5話「復讐の殺意」皇帝から理不尽な罰を受けて倒れた方鑑明(ホウカンメイ)こと方諸(ホウショ)と方卓英(ホウタクエイ)。その夜、方海市(ホウハイシー)は付き切りで師匠を介抱していたが、いつの間にかうたた寝していた。翌朝、海市はふと目を覚ますと、師匠に拝礼してから自分の部屋に戻る。…師父、あなたたちを守るため、暗君を殺します…その手には故郷の網針があった。海市が霽風(セイフウ)館の令牌で参内した頃、方諸はようやく目を覚ました。方卓英が峠を越えたと知って安堵する方諸、しかし海市が自分たちの無事を知った後に去ったと知る。…まずい、宮中へ行ったか…一方、旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)の顔が忘れられず、朝議でも上の空だった。大臣たちは万一に備えて兵の増員を上奏していたが、褚仲旭は急に退朝してしまう。すると書房へ続く回廊で禁足を命じたはずの緹蘭が待っていた。その手にはかつて紫簪(シサン)が作ってくれた懐かしい菓子・蓮花糕(レンカコウ)がある。褚仲旭は突然、心の傷をえぐられたようで怒りが爆発、菓子の皿をひっくり返した。「誰にこうしろと言われた?!誰にこの菓子を使えと吹き込まれたのだ?! 言ったはずだ、愈安(ユアン)宮から勝手に出るなと!」「…首飾りを返して欲しいのです」首飾りと聞いた褚仲旭はさらに興奮し、いきなり緹蘭の首をつかんだ。しかし悲しげな緹蘭の顔を見た褚仲旭はふと我にかえり、手を離して書房へ入ってしまう。海市は目立たぬよう庭園を抜けて敬誠堂(ケイセイドウ)を目指した。すると偶然、寝宮へ戻る淑容妃と出くわす。「方大人(ダーレン)?!」「拝謁いたします(ハッ)首にアザが…」敬誠堂に戻ってようやく落ち着くかと思われた褚仲旭、しかし机の上にある龍尾神(リュウビシン)の首飾りを見て怒りが再燃した。どうやら掃除をした者が拾って置いたようだが、褚仲旭は激怒して側仕えの穆徳慶(ボクトクケイ)に首飾りを投げつけてしまう。「命が惜しければこれを2度と見せるな!」:;(∩´﹏`∩);:<今すぐ捨てて参りますそこへちょうど方諸がやって来た。「ふん、まだ生きていたのか…穆徳慶!」ヽ( ̄д ̄;)ノ=3=3=3 <はいっ!「先ほど渡したものは捨てるな…」_:(´ཀ`」 ∠)_: <はい、びぃしゃ~一方、海市は愈安宮いた。淑容妃が冷遇されていると知った海市は憤慨、やはり暗君を殺すしかないと決意も新たにする。しかし思いがけず皇帝の使いがやって来た。淑容妃は直ちに参内するようにという。褚仲旭は淑容妃を書房に呼び、方諸に会わせた。確かに驚くほど亡き紫簪に似ている。「どうだ、お前に下賜してやろうか?」「陛下、なりませぬ、このお方は注輦(チュウレン)の公主、それに私は一生、誰も娶らぬと誓いました」書房に潜入した海市はこっそり話を聞いていたが、うっかり物音を立てた。「(ギシッ!)誰だ?…出てこい!」皇帝に見つかった海市は仕方なく飛び出し、いきなり襲い掛かった。しかし方諸が現れ阻止、取り押さえられてしまう。「(はっ)方大人?」緹蘭の侍女がうっかり口を滑らせ、褚仲旭はその刺客が公主を救った方海市だと分かった。褚仲旭は方海市が愛する女のために戦ったと誤解し、今度は淑容妃を方海市に与えると言い出した。これに海市は猛反発、何の罪もない淑容妃への辱めを非難し、師匠と師兄を罰したことへの不満をぶちまける。「仁道を失った君主を民は認めぬ!…お前を殺すまで!」退屈だった褚仲旭は威勢の良い海市を面白がり、方諸との手合わせを命じた。しかし師匠に勝てるはずもなく、海市は結局、また取り押さえられてしまう。「続けろ、勝った方に淑容妃を与える」すると緹蘭は皇帝の暴挙に失望し、かんざしを抜いて自害しようとした。褚仲旭は咄嗟に阻止したが、緹蘭は自分が憎いなら死なせて欲しいと嘆願する。「わざとらしい芝居だ…出て行け」穆徳慶は皇帝の気が変わらないうちに淑容妃を見送り、侍女にこっそり首飾りを返しておいた。褚仲旭は堂々と自分への殺意を認めた海市を気に入り、師匠の下で腕を磨いて出直せと命じた。「方諸と弟子の手合わせは実に見事だった、方諸に鎧と馬を、方海市には槍を授ける」方諸が海市を連れて霽風館に戻る頃には激しい雨になっていた。「お前は破門だ、もう弟子ではない」しかし海市は食い下がった。皇帝からの長きにわたる嫌がらせ、それでも師匠は黙って任務に励んでいる。2人の間に一体、何があったというのか。すると方諸は海市の胸に剣を突きつけた。実はずっと出仕を認めなかったのは海市が頑なに皇帝への恨みを捨てられなかったからだという。「陛下は命より大切な友だ、忠誠を尽くすと誓った」「私も師父に忠誠を誓いました」海市は自ら胸に剣先を突き刺し、殺すなら早く殺して欲しいと訴えた。海市のまっすぐな瞳、方諸は急に居たたまれなくなり、剣を捨てて部屋に戻ってしまう。その夜、海市はびしょ濡れになりながらひざまずき、師匠の許しを待った。すると夜も更けたと言うのに穆徳慶が皇帝の聖旨を届けにやって来る。皇帝の勅命とは方海市に科挙の武挙部門への参加を命じるものだった。そこで方諸は海市の元へ向かい、皇帝が許したと教えて密書を渡す。「10日以内に任務をこなせ、さもなくば追放だ」綾錦司(リョウキンシ)では典衣・鞠七七(キクシツシツ)が姪・鞠柘榴(キクシャリュウ)の上達ぶりに目を細めていた。そこで新任射声校尉(シャセイコウイ)の官服の刺繍を任せることにする。鞠柘榴は校尉なら杖刑に処されたと噂で聞いていたが、七七は叱責だけで任務は解かれていないと教えた。「淑容妃の衣の仕立てもあるけど官服も急いでね」すると鞠柘榴は校尉の外見の特徴を聞き、どんな刺繍を選ぶか想像を膨らませた。「目力が鋭く、鼻筋が通っていて彫りが深い…方卓英…」あれから数日後、卓英は無事に回復した。すると思いがけず海市が任務に向かったと知る。海市を心配する卓英だったが、任務の内容を知ることは御法度だった。海市は竹林の奥深くで標的を見つけた。しかしそれが趙(チョウ)叔だと知って愕然となる。海市は何かの誤解だと思ったが、趙叔は確かに大罪を犯したと認め、小公子が見送ってくれることを感謝した。すると趙叔は突然、短剣を取り出し、海市に襲い掛かる。驚いた海市は咄嗟に趙叔の腕をつかんだが、趙叔はその手を握って自ら腹を刺した。海市は任務を終えて戻った。「師父、今日でちょうど10日です」「…よくやった」方諸はそれ以上、何も言わなかったが、海市は納得がいかない。あの時、趙叔は任務の詳細を知らず、緹蘭公主が乗る馬車も当日に知ったはず、間者に情報を売る隙などなかったという。しかし方諸は任務に疑念を抱くなら出て行けと厳しかった。「…残してくれて感謝しています」「陛下がお許しくださったのだ」「師父…今日の師父の言葉にはとても失望しました」「お前は情にもろい、任務には向いていない …ここに残ったのはお前の意思だ、残るなら覚えておけ 2度と陛下を狙うな、余計な口は挟まず、命に従うことだけを考えろ 私はお前よりも多くの苦い経験をしてきたのだ」方諸は回廊で風に舞う花びらを見かけ、ふと海市との稽古を懐かしんだ。『師父、霽風花はきれいですね!なぜ植えたのですか?』『″東欄(トウラン)の一株(イッシュ)の雪 人生 看得るは幾清明″…』※蘇軾:東欄の梨花『師父?どう言う意味ですか?』つづく( ๑≧ꇴ≦)穆徳慶が不憫すぎるw
2022.07.15
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※原作はBL作品ですが当ブログでは非対応です山河令 Word of Honor第20話「天意」龍雀(ロンチュエ)は葉白衣(イエバイイー)の話で全てを悟った。「単純な話だった…人の親たるもの、一番良いものを我が子に与えようとする 与えないならそれ相応の理由があるのだ…」しかしそんな父の言葉も龍孝(ロンシアオ)の心には響かない。すると龍雀は周子舒(ジョウズーシュー)についに書庫の場所を明かした。「地図にある竹楼の右端、独立した棟が書庫だ その中に地図が2枚ある、1枚は龍淵谷、もう1枚は武庫のからくり図だ 武庫の図は私に代わって葉前輩に渡してくれ それから龍淵閣の技が絶えるのも惜しいと思い、2巻の書にまとめておいた、それも中にある 後継者を見つけてはくれぬか?」「龍伯伯(ボボ)、申し遅れましたが、張成嶺(ジャンチョンリン)は四季山荘6代目の弟子です」そこで周子舒はこれも天意だと感じ、成嶺を弟子にするよう提案した。龍雀は快諾、成嶺はその場で弟子入りの叩頭を済ませ、鏡湖(キョウコ)派・四季山荘・龍淵閣3つを継ぐことになる。その時、龍雀が激しく咳き込んだ。「子舒よ、白衣剣を持っているか?」龍雀は白衣剣で鎖を切るよう頼んだ。しかしすでに経脈が枯渇しており、鎖を外せば真気の奔流が身体を破壊してしまう。龍雀は百も承知していたが、盟友が死に、妻も弟子たちも死に絶え、これ以上、生きている意味はなかった。「ようやく解脱できる…生きることの方が無限の苦しみだ」周子舒は誰よりその気持ちが分かった。そこで白衣剣を出したが、温客行(ウェンコーシン)に差し出す。「お前がやれ」呪縛から解かれた龍雀はもはや虫の息となった。すると周子舒は呆然としている温客行に耳打ちする。「…甄衍(ジェンイェン)、本当に龍伯伯に黙ったままでいいのか?」ついに温客行の正体に気づいた周子舒、しかし温客行は認めようとしなかった。そこで周子舒は温客行の素性を隠したまま龍雀を安心させる。「実は甄如玉(ジェンルーユー)夫妻は素性を隠して生き延び、平穏に暮らしました 師父が容姿を変えたのです そして2人の息子を弟子に迎え、私の師弟となりました… もう大人です、憎らしい時もありますが、そう悪くない奴です、武芸の腕も達者ですよ」「それは良かった…」龍雀は秦懐章(チンホワイジャン)が甄一家を救ってくれたと知り、ようやくこの世からも解放された。一方、華山(カザン)派の別邸で療養していた曹蔚寧(ツァオウェイニン)は清風(セイフウ)剣派に帰ることにした。顧湘(グーシアン)はまだ安静にするよう叱ったが、実は華山派の弟子から英雄大会の悲劇を聞いたという。師匠が大会をあきらめて引き返し、師叔が弟子たちを連れて早々に撤収したのは、恐らく高崇(ガオチョン)の琉璃甲(ルリコウ)を持っているからだろう。「私でも察しがつくなら、皆も同じ考えのはずだ」曹蔚寧は清風派が危険だと心配し、顧湘を連れて帰りたいと懇願した。艶鬼(エンキ)・柳千巧(リウチエンチャオ)は岳陽(ガクヨウ)派から救出した主人をかくまっていた。しかし喜喪鬼(キソウキ)・羅浮夢(ルオフーモン)は収監されている間、薬が途絶えたせいで正気を失っている。于丘烽(ユーチウフォン)は羅浮夢が趙敬(ジャオジン)に裏切られて鬼女となったと知り、思わぬ切り札を手に入れたと喜んだ。これで趙敬を脅して琉璃甲を手に入れ、陰陽冊(インヨウサツ)で千巧の傷跡を治してやりたいという。「お前のためだ」すると急に顧湘が訪ねてきた。蝎王の脅しのおかげで武林の門派は次々と五湖盟へ加入した。求心力を強めた趙敬は良き叔父を演じるため、高小怜(ガオシャオリエン)と張成嶺を取り戻せるよう武林に協力を呼びかける。一方、柳千巧を訪ねた顧湘は曹蔚寧と一緒に清風剣派へ行くと伝えた。しかしどうしても于丘烽を信用できず、千巧を残していくのが心配だという。千巧はむしろ弱肉強食の悪鬼たちを警戒していた。今までは主人の武芸に守られ、谷主の庇護もあって無事だったが、これからどうなることか。顧湘は主人なら必ず守ってくれると言ったが、その時ふと千巧が于丘烽から離れられないのだと気づいた。「孟婆湯(モウバトウ)を飲んでないからバカな男を忘れられないんでしょう?!」「やめなさい、小娘に何が分かるの?」「もういいわ、でも羅姨をどうやって助けるの?」「打つ手がないの…」孟婆湯の効果は強く、忘れた記憶を呼び覚ますことが最も良くないという。しかも羅浮夢は離魂病も患って心が安定せず、混乱していた。今はともかくここに身を隠し、何とか治療法を探すしかないという。「大丈夫よ、安心して行って…年を重ねれば分かるわ、目の前に想い人がいる時ほど尊い時はない …少しでも長く過ごせたら、もう他のことなどどうでもよくなるの」趙敬が崇武(スウブ)殿から戻ると蝎王が待っていた。新しい盟主を迎えた岳陽派の無骨な屋敷は一転、三白(サンパク)山荘のように華やかで洗練されている。これもすべて蝎王が義父のためにあつらえたものだ。「そうだ、仙霞(センカ)派の掌門・白啓峰(バイチーフォン)は余計なことを知り過ぎた 再び英雄大会を開く前に永遠に口を封じたい、鬼谷に始末させてくれ」実はもう一人、このまま捨て置くわけにいかない人物がいた。蝎王は消息不明の龍孝だと気づき、すでに配下に探させていると安心させる。「そろそろ返事が来る頃かと…」その頃、龍孝は周子舒と温客行から誰の指示で嘘をついたのか追求されていた。しかし龍孝は自ら薬人(ヤクジン)の住処へ身を投げ、薬人たちの餌食になってしまう。周子舒たちは龍雀の亡骸を夫人・林羽追(リンユージュイ)の隣に埋葬した。これから書庫で地図を見つけてから出口を探すことにしたが、そこへ葉白衣が現れる。墓標には″恩師龍雀之墓 不肖弟子張成嶺″とあった。黙って龍雀の墓前にたたずむ葉白衣、そこで周子舒は先に行くことにする。その様子を物陰から毒蝎が見ていた。「あれは長名山の剣仙か…分舵(ブンダ)で張成嶺を奪った2人も… 雁首そろえて龍淵谷にいやがったのか!」周子舒は四季山荘へ帰ると決めた。温客行はアホの子を自分の師匠に紹介するのかと揶揄したが、周子舒は温客行の師匠でもあるという。(  ̄꒳ ̄)b<成嶺、もう″温叔″と呼んではならぬ、″師叔″と呼びなさい師叔!>(´・ω・)ノシバンバンヾノ。ÒㅅÓ)ノシ”<誰が師叔じゃ!すると周子舒は四季山荘で独り生き残った自分に天が弟子を与え、師弟と再会までさせてくれたと喜んだ。「あの世で師父も胸を撫でおろしているだろう…」…両親と共に神医谷を追われた甄衍母は手負いの父を背負って自分の手を引きながら必死に歩いていたしかしある夜、追っ手に見つかり、母はひとりで応戦するも追い詰められてしまうするとちょうど山に来ていた秦懐章が現れ、一家を救った秦懐章は甄一家を山荘にかくまったしかし甄衍は神医谷主が父の手足の筋を切るところを目撃したせいで秦懐章も敵ではないかと誤解してしまう残酷な仕打ちに憤る秦懐章だったが、甄如玉は師匠も自分を突き放すことで神医谷を守ったのだと理解を示したそこへちょうど薬草を採りに出掛けていた周子舒が戻って来る秦懐章は周子舒に歳の頃も近い甄衍の面倒を見るよう頼み、甄衍は周子舒と過ごすうちに子供らしい笑顔を取り戻して行った秦懐章は得意の扮装術で甄如玉夫妻の外見を変えた息子の甄衍さえも気づかない見事な術、すると甄如玉は息子を守るため秦懐章に託すと決める周子舒は弟弟子ができたと喜んだが、甄衍は両親が四季山荘へ来ないと知った…周子舒は張成嶺に昔話を聞かせた。あれから20年の月日が過ぎたが、師弟と再会できるとは何と幸運なのか。「私も長くない…今、お前が戻ってくれたのは天の配剤だ 四季山荘を再興し、成嶺を育て、師父の意志も継げる…俺も安心だ」「師父?長くないって…なぜ急にそんなことを?」その時、温客行が突然、怒り出し、再興したいなら一人でやれと声を荒げた。すると周子舒は師弟をなだめるように強く抱きしめる。「″衍″の字を分解すると客行、俺の師弟だったんだな…なぜ姓を″温″と変えた?」しかし温客行は周子舒を突き飛ばし、どこかへ行ってしまう。(」゚ロ゚)」<師叔~っ?!…師父、師叔はどうしたのですか?( ̄꒳ ̄)<戻るまで待とう〜ホトトギス♪温客行は居たたまれなくなり、独り川辺に出た。(´・_・`)<もう遅い…遅すぎる…つづく|ω・`)ちょっと蠍ちゃんを推し過ぎでしょうか?w今日の豆知識:弟子から見て師匠の弟弟子→師叔(シシュク)、弟子から見て師匠の兄弟子→師伯(シハク)ちなみに「″衍″の字を分解すると客行」という謎のセリフ本国の知恵袋みたいなところに答えがありました→衍=氵と行=水を行く人=旅人=行客=客行( ˙꒳˙ )何のこっちゃ?まあ本国の人が質問するくらいですから私に分かるはずありませんw
2022.07.14
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※原作はBL作品ですが当ブログでは非対応です山河令 Word of Honor第19話「陰陽の逆転」武庫に眠る神医谷(シンイコク)の秘宝・陰陽冊(インヨウサツ)。この陰陽冊をめぐり、龍雀(ロンチュエ)と龍孝(ロンシアオ)父子には大きな確執が生まれていた。龍孝はこの奥義で骨肉を蘇生することができると妄信、しかし龍雀は何度も打つ手はないと言い聞かせてきたという。実は龍孝の母は難産の末、息子を産み落として死んでいた。龍孝は父がその恨みで自分を不自由な身体のまま放置したと逆恨みし、父を監禁して弟子まで皆殺しにするという凶行に出てしまう。激しく父を罵倒する龍孝、すると妄言に耐えかねた温客行(ウェンコーシン)が思わず術を放ち、龍孝の声帯を止めた。龍雀が静かに20年前の話を始めた。「どこから話せばいいか…最後に高崇(ガオチョン)に会ったのは20年前のことだ」武林大会で龍孝は容炫(ロンシュエン)が父を欺いて武庫を作らせたと証言したが、全くのデタラメだった。龍雀は自ら望んで武庫を改造したという。容炫と最初に出会ったのは周子舒(ジョウズーシュー)の師匠・秦懐章(チンホワイジャン)だった。その後、縁あって交友を深めた者たちは共に弱きを助け、強きをくじいたという。龍雀は書厨の自分でさえ江湖を存分に楽しみ、輝かしいひと時だったと懐かしんだ。当時、確かに容炫は自分たちの支柱だったが武庫の主ではなく、武庫は仲間たち皆で建造したという。すると張成嶺(ジャンチョンリン)がその仲間の中に父もいたのか聞いた。その少年が張玉森(ジャンユーセン)の三男だと知った龍雀は喜び、そばに呼んで顔をよく見せてもらう。周子舒は実は張玉森も陸太冲(ルータイチョン)も高崇も琉璃甲がらみで亡くなり、今や江湖が恐怖に包まれていると伝えた。「争奪したところで何になる…琉璃甲は単なる錠に過ぎず、容兄弟の鍵がなければ武庫は開かぬ」えーっ?!>ʕ*̫͡*ʕ*̫͡*ʔ-̫͡-ʔ*̫͡*ʔ話が進むに連れ、周子舒は温客行の様子がおかしいと気づいていた。すると葉白衣(イエバイイー)は誰が容炫の鍵を持っているのか尋ねる。しかし龍雀は誰にも言わないと誓った以上、教えられないと拒んだ。引っ込みがつかない葉白衣は何としてでも白状させると脅したが、その時、急に温客行が無理強いするなと激怒し、葉白衣に襲い掛かってしまう。周子舒が温客行を制してその場は収まったが、葉白衣はどうしても容炫の死因を突き止めなければならなかった。「私の弟子だからな!」えーっ?!>ʕ*̫͡*ʕ*̫͡*ʔ-̫͡-ʔ*̫͡*ʔその頃、五湖盟を掌握した趙敬(ジャオジン)は秘密の霊廟に高崇の霊位を安置していた。「封山(ホウサン)剣に神医谷の二傑、で五湖盟の掌門と…高大哥、これでようやく皆を集合させられた かつてお前たちは私を見下して疎外し、使い走りにしていたな? 想像できたか?私がお前たちを弔おうとは…」この半生、必死に奮闘して貧乏人から太湖(タイコ)派の掌門に上り詰めた趙敬、しかし容炫の突飛な発想に心血を注ぎ、危うく転落しかけるところだった。「あの頃、お前は雲で私は泥だった…お前は常に正しく、私は常に間違っていたな? だがどうだ?お前は霊位になったが、私は生きている」趙敬はもはや自分だけが五湖盟を隆盛させ、輝きをもたらせると自信を見せた。その頃、洞窟では葉白衣が見事な封山剣法を披露していた。「まさか生きておられたとは…」龍雀は葉白衣が間違いなく容炫の師匠だと分かった。まさか天残地欠(テンザンチケツ)の六合(リクゴウ)心法で本当に不老長寿を実現できるとは…。「前輩、あなたの六合心法は今に至るまで武庫に保管されています! 容兄弟は道理をわきまえず、過ちを犯したと心から悔やんでいました」容炫は夫人・岳鳳児(ユエフォンアル)に琉璃甲の鍵を長明山に届けさせるつもりだった。そして師匠に経緯を全て話し、自分の代わりに土下座して詫びて欲しいと頼んでいたという。「それがまさかあんなことになるとは…子舒よ、酒はあるか?」すると温客行が駆け寄り、龍雀に酒を渡した。(´゚ω゚):;*.’:;.. ブハッ!←あまりに逸品すぎて吐き出してしまうおじいちゃんw…あれは容炫夫妻を囲んで楽しく酒を飲んでいた時だった酒席にいたのは秦懐章、陸太冲、張玉森、沈慎(シェンシェン)、龍雀、そして神医谷の甄如玉(ジェンルーユー)と谷妙妙(グーミャオミャオ)趙敬もその場にいたが和に入らず、独り離れて皆の話を聞いていたそこへ怒り心頭の高崇が現れる『泰山(タイザン)派に尻尾を捕まれた!』高崇は趙敬の不手際だと叱責、すると趙敬は自分で責任を負うというしかし容炫は武庫の発案者である自分が皆を守ると安心させた…容炫は常々、門派間の偏見や江湖の規則は無用の長物だと言っていた。真の武芸者は胸襟を開くべきだという。そこで仲間たちは数年かけて天下の奥義書を収集、しかし武庫の場所選びには苦労した。最終的には秦懐章が見つけた前王朝の地下宮殿を龍雀が改良して完成させたという。しかし容炫がなぜ死んだのか、それは龍雀でもまだ結論が出せずにいた。「一体、誰を恨むべきなのだろうか?」…五義兄弟は六合心法の修練を熱望したが、容炫は自分でも習得していないと禁止したそこで5人は奥義を賭けて手合わせを申し出る高崇はかろうじて容炫の腕にかすり傷を負わせたが、5人同時に挑んでも容炫が圧勝した『やはり私には勝てまい』降参です>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ<さすがですね~しかし容炫が急に腕を押さえて倒れた容炫は三屍毒(サンシドク)に冒されていた高崇の剣に血がついているのを見た岳鳳児は驚愕、すると趙敬がすかさず高崇に疑いを向ける『高大哥!なぜだ?!』『(はっ!)私ではない!濡れ衣だ!』しかし岳鳳児は五義兄弟を恨んで追い払った武庫は6人が集まらねば開けられず、この仲違いを機に武庫は2度と開かなくなったという…葉白衣は腑に落ちなかった。三屍毒は生気を奪うだけで正気を失うことはない。葉白衣は弟子の敵を討つと息巻いたが、龍雀は誰が敵かと言えば夫人だと言った。実は岳鳳児は深すぎる愛ゆえ、夫を救おうと禁術に手を出したという。骨肉を蘇生させる禁術、つまり陰陽冊とは誰かの命を犠牲にしなければならなかった。…岳鳳児は禁術である陰陽冊に手を出し、生者から取り出した心臓を夫に移植したこれで容炫は命を取り留めたが、禁忌を犯した岳鳳児は2度と神医谷へ戻れないと気づくそこで同門の甄如玉と谷妙妙夫妻に治療の調査と武庫の鍵を託し、神医谷へ帰したしかし目を覚ました容炫は気が触れるようになり、誤って夫人を殺してしまう容炫は痛悔のあまり、なけなしの正気まで失うと、最後は完全に軌道を逸して魔道に落ちた甄如玉は容炫の悲劇を知り、不眠不休で馬を駆け、青崖山に到着したすると英雄たちに追い詰められた容炫を発見するその時、容炫が急に頭を抱えながら倒れ、もがき苦しみ出した甄如玉は容炫のもとへ駆けつけ、これまで多くの病人を救ってきた功績に免じて容炫を見逃して欲しいと嘆願するしかし突然、背後から容炫に殴られ、気を失った…青崖山の戦いでは魔王の討伐を旗印に皆が容炫を追っていた。しかし本当の狙いは武庫の鍵…。結局、容炫を殺しても入手できず、その矛先が甄如玉に向かうのも想像に難くない。いわゆる正派たちは神医谷に乗り込み、邪道の排除を口実に谷主・甄落胤(ジェンラクイン)に弟子の処刑を迫ったという。この知らせが龍淵閣に届いた時には、すでに谷妙妙が手負いの甄如玉と幼子を連れて姿を消していた。そして間もなく谷主が亡くなり、名を馳せた神医谷は没落してしまう。江湖では神医谷の甄夫妻は自ら道を踏み外し、谷主に武芸を廃され、破門されたと言われていた。「道を失っただと?!広い江湖でも甄如玉ほど高潔な者はいなかった! あまりにも高潔で純真だったがゆえに、汚れた世から排除されたのだ」すると周子舒は龍淵閣が武庫を開けられると噂を流したのが龍雀本人だったと気づく。龍雀は諦めの悪い江湖の者が執念深く甄家を狙わぬよう、一切の面倒ごとを引き受けたのだ。周子舒は龍雀が大成する機会を捨てて龍淵閣を秘境に移し、災いを被ったと知って深く感銘を受けた。「苦肉の策に過ぎぬ…何とかしたかったのだ、だが未だに行方は知れぬ どこかで幸せに暮らしていて欲しいものじゃ~」その言葉を聞いた温客行は安堵したような悲しいよな、何とも複雑な表情を浮かべた。龍雀は実のところ自分にも鍵の所在が分からないと正直に話した。「武庫の鍵を葉前輩に渡すと約束しましたが、力不足で果たせませんでした どうか私をお許しください」「…謝罪はいらぬ」葉白衣はむしろ自分の弟子が龍雀に迷惑をかけたと詫び、望みがあるなら叶えるという。そこで龍雀はただ一つだけ分からないことがあると言った。容炫は天賦の才に恵まれていたが、なぜ葉白衣は弟子に六合心法を教えなかったのだろうか。すると葉白衣は感慨深げに長名山は孤独で物寂しいと言った。「容炫にはあらゆる武芸を教えた、六合心法を除いては… あいつは何度も抗議したあげく、奥義書を盗んで山を下りたよ 六合心法は天残地欠と呼ばれる、そう名付けられたのは後世の者に警告を与えるためだ 良い物なら教えないはずはない… 私と父君が甘やかし過ぎたのだろう、あいつは図に乗って一門に背いた 私たちの怒りが解けた頃に戻ってくればいい…最初の数年はそう思っていた だがまさか…いやもういい、六合心法を破棄しなかったことを後悔している」葉白衣は弟子の最期を知り、居たたまれなくなって出て行った。つづく
2022.07.13
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※原作はBL作品ですが当ブログでは非対応です山河令 Word of Honor第18話「無限の暗闇」龍淵(リュウエン)閣を探して蜀へ到着した周子舒(ジョウズーシュー)たち。これから山を登るため馬車と馬をあきらめ、葉白衣(イエバイイー)はカゴに龍孝(ロンシアオ)を入れて張成嶺(ジャンチョンリン)に背負わせた。途中の林には罠が仕掛けられていたが、葉白衣の機転で破壊することに成功する。それにしても閣主は本当にこんな辺鄙な場所にいるのだろうか。険しい岩山を登ると、やがて吊り橋の向こうに高楼が現れた。念のため先に独りで渡った葉白衣は無事に渡り切り、続いて3人が並んで渡り始める。しかしちょうど中間で温客行(ウェンコーシン)がカラクリを踏み、その瞬間、橋が壊れ、3人は落下した。張成嶺は周子舒と温客行が咄嗟に上に放り投げて助かったが、2人はそのまま谷底へ消えてしまう。「師父っ!」泣き崩れる成嶺、しかし葉白衣は龍孝が一緒に落ちたことから、きっと何か裏があると怪しんだ。「あの2人がそう簡単に死ぬわけないだろう?」周子舒と温客行は真っ暗な洞窟へ落ちた。温客行は気を失っていたが、周子舒の呼びかけで目を覚ます。しかし一緒に落ちたはずの龍孝の姿はなかった。まさか自分たちに打撃を与えるため、己の身を粉々にしたのだろうか。周子舒は龍孝が落ちたとは思えなかったが、その時、突如、明るくなり、洞窟に薬人(ヤクジン)がいると分かった。「くっくっくっく…どうだ?可愛いだろう?私の自信作、初めて精製した薬人たちだ」見上げると崖の上に車椅子に乗った龍孝の姿がある。龍孝は最初の薬人たちに思い入れがあって処分できず、この洞窟で養っていた。たまに人が通れば吊り橋のからくりで落とし、薬人たちに血を吸わせているという。周子舒はあの実直な閣主の息子とは思えないと呆れたが、父と比較された龍孝は急に取り乱した。「実直だと?!私は唯一の息子だ、病を治す方法を知りながら放置した! 神医谷(シンイコク)の至宝・陰陽冊(インヨウサツ)なら天下の奇病を治せる! ふっ、残念ながらお前たちは私が立ち上がる勇姿を見られぬがな~」すると温客行は道理に逆らえば容炫(ロンシュエン)のように正気を失って魔道に落ちてしまうと警告した。「陰陽冊の秘密を知ってる、だが教える気はないな~自分で何とかしろ」温客行はうっかり神医谷の末裔だと口をすべらせたが、龍孝は鼻で笑った。江湖では神医谷の継承者が死に絶えたと言われている。そこで更に薬人を投入、2人を始末することにした。一方、張成嶺は葉白衣と一緒に高楼へ入った。しかし葉白衣がカラクリに手こずっている間に成嶺が落とし穴へ落下、龍孝に捕まってしまう。葉白衣は入口を見つけられなかったが、実はこの高楼が目くらましで、本当の龍淵閣は深淵の底にあると分かった。薬人は倒しても倒しても尽きることがなかった。何とか洞窟を抜け出した周子舒と温客行、しかしそこは山腹で行き止まりになってしまう。そこで2人は一か八か隣の山腹にある洞窟めがけて飛び降りた。勢い余って2人は洞窟の中を転がり落ちて行ったが、やがて美しい草原へ放り出される。まさかこんなところに桃源郷があったとは…。すると偶然にも葉白衣が現れた。「前輩!成嶺は?!」「…はぐれた」葉白衣はなかなか龍淵閣のカラクリを解けなかった。ここにあるカラクリは全て紫流金(シリュウキン)で動いているが、紫流金は火ですぐ爆発、その威力で何もかも破壊するという。その時、車椅子に乗ったカラクリ人形が現れた。どこか龍孝に似ている人形は手に巻物を持っている。温客行が早速、その巻物を見てみると、驚いたことに龍淵閣の地図だった。龍孝は傀儡人形に命じ、張成嶺を台の上に縛りつけた。実は成嶺の父・張玉森(ジャンユーセン)と龍雀(ロンチュエ)も親友、龍孝は父と少なからず縁がある成嶺をいたぶろうとする。「人の目は精製時の良い薬剤となる…まずは目をくり抜くか なぜ私が地下を好むと思う?…私は生まれた時から無限の暗闇で生きてきた 暗闇に属する運命なら、暗闇を我が家とする」しかしその時、突然、天井に穴が空いて周子舒と温客行が現れた。周子舒は傀儡たちをぶちのめし、温客行は龍孝の首をつかんで車椅子から放り出した。「紫流金を解いたのか?!」「その通り、だが複雑に入り組んでいて地図を見ても分からぬ だから爆破して道を作ったのさ」温客行の手には傀儡の心臓があった。実は傀儡術で作ったカラクリ人形たちの心臓部には爆薬が使われている。龍孝は自分の子供たちを壊されたと激怒、しかし今やまな板の鯉だった。からくり人形を見た張成嶺は龍孝に似ていると驚いた。実はこの人形が周子舒たちに地下の入り口を教えてくれたという。すると人形が勝手に動き出し、周子舒たちをある洞窟へ案内した。洞窟の奥深くには驚いたことに龍雀が監禁されている。葉白衣は思わず抱えていた龍孝を投げ捨て、その姿に呆然となった。白髪の龍雀は両手首と穴を開けた両肩を鎖で繋がれ、動くことができない。「龍伯伯…?」「…子舒、本当にお前なのか?お前の師父は息災か?」周子舒は龍雀に駆け寄って再会を喜んだが、師匠はすでに世を去ったと伝えた。龍雀は膝から下を切断され、立つこともできなかった。罪深き息子に監禁され、何年経ったのだろうか。龍孝は陰陽冊なら生まれつきの障害も治せると信じて疑わなかった。しかし父はここまで追い込んでもまだ武庫を開けず、自分に不自由を強いていると逆恨みする。つづく( ̄▽ ̄;)これ…色々と大丈夫なのか?さて不思議なダンジョンが終わっていよいよ後半です
2022.07.12
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※原作はBL作品ですが当ブログでは非対応です山河令 Word of Honor第17話「最も憎い敵」深手を負った曹蔚寧(ツァオウェイニン)は華山(カザン)派の別邸で目を覚ました。付き添っていた顧湘(グーシアン)の話では何日も寝ていたという。「ずっと夢を見ていた…どの夢の中でも君を助けられなくて焦ったよ 最後の夢で僕は死んで三途の川で君を待っていた 70年は待つだろうと覚悟していたら君がすぐ来て…って、はっ!)違う違う! 阿湘は100年まで長生きするよ!」しかし高小怜(ガオシャオリエン)は結局、連れ去られてしまったと知った。顧湘は喜喪鬼(キソウキ)・羅浮夢(ルオフーモン)の救出に華山派の掌門・于丘烽(ユーチウフォン)が手を貸したことに驚いていた。恐らく艶鬼(エンキ)・柳千巧(リウチエンチャオ)が上手く丸め込んだのだろう。「何と言って騙したの?私も口裏を合わせるわ」「…五湖盟に殺された息子の敵討ちを手伝うと言ったのよ」「それだけ?…とにかく姐姐(ジェジェ)、あの男はズルそう、気をつけてね」緑柳(リューリゥ)と桃紅(タオホン)は丐幇(カイホウ)の長老・黄鶴(ホアンホー)に頼まれ、小怜を監禁していた。しかし小怜は無言の抵抗を続け、2人を手こずらせる。緑柳は小怜に知っていることを全て話すよう諭すが、小怜は頑なに口をつぐんだ。一方、周子舒(ジョウズーシュー)と温客行(ウェンコーシン)は過去の謎を解くため、葉白衣(イエバイイー)と連れ立って龍淵(リュウエン)閣を目指した。張成嶺(ジャンチョンリン)は道中を利用し流雲九宮歩(リュウウンキュウグウホ)の猛特訓、馬車はおろか馬にも乗せてもらえない。その頃、鬼谷十大悪鬼の無常鬼(ムジョウキ)は急色鬼(キュウショクキ)と開心鬼(カイシンキ)を連れて趙敬(ジャオジン)を訪ねていた。趙敬は悪鬼たちも今や身内同然だと再会を喜んだが、同席していた蝎王は面白くない。すると無常鬼がどうも腑に落ちない点を確認した。「温客行の琉璃甲(ルリコウ)を吊死鬼(チョウシキ)が奪ったそうですが… 五湖盟は確か5個の琉璃甲を1個ずつ持っていたはずでは?で、今は何個、持っているのです?」「無常兄、あなたが知るべきことは教えるが、知るべきでないことは気にしなくて良い」趙敬の顔は穏やかだったが、明らかに脅していた。開心鬼は無常鬼が趙敬と結託して何の得があるのか分からなかった。どう見ても趙敬と蝎王の性根は尋常ではない。無常鬼も重々承知していたが、希望を叶えるには仕方がなかった。「再び俗世に戻るのだ」しかし開心鬼は無常鬼や急白鬼と違って正体を隠すことができない。大きく裂けた口に息が漏れてしまう病、話もろくにできず、すぐ周りに見つかってしまうだろう。すると無常鬼は武庫に世の中のあらゆる重病を治療できる神医谷(シンイコク)の聖なる秘術が隠されていると教えた。その夜、周子舒たちは野宿になった。すると温客行が不思議そうになぜ周子舒は龍孝(ロンシアオ)を若閣主と呼ぶのか尋ねる。実は龍孝の父で龍淵閣の閣主・龍雀(ロンチュエ)は周子舒の師匠・秦懐章(チンホワイジャン)の親友だった。四季山荘のカラクリも龍淵閣から伝わったもの、龍雀に容炫(ロンシュエン)を紹介したのも秦懐章だという。今や五義兄弟以外に当時を知っているのは龍雀だけ、そのため葉白衣は遠く蜀まで赴くことにしたと説明した。しかし龍淵閣の場所は誰も知らないという。周子舒が入門した頃は龍雀が度々四季山荘を訪ねて来たが、ある時から急に消息を絶っていた。そんなある日、機関雀(キカンジャク)が助けを求める文を持ち帰り、異変を知った秦懐章が蜀に入ったが、結局、龍淵閣を見つけられなかったという。山の中に動く要塞があるとの噂だが、周子舒が天窗(テンソウ)に何度か探させても無駄だった。趙敬を新たな盟主とし、武林の各門派が集結した。中には脱退を検討して参加しない門派もあったが、趙敬はこんな事態では二心が生じても無理はないと心が広い。実はこの数日、英雄大会で高崇(ガオチョン)の死体を狙った者たちが襲撃され、大勢が亡くなっていた。江湖の人心は浮き足立ち、誰もが鬼谷による報復だと確信している。まさに趙敬の思惑通り、そこで何食わぬ顔で義兄弟の結束を呼びかけ、五湖盟のため全力を尽くして名声を取り戻してみせると訴えた。巨鯨(キョゲイ)幇は五湖盟の脱退を決めた。「趙敬など臆病な凡人、大業を成す器ではない!」しかしそこへ趙敬が毒蝎を引き連れてやって来る。幇主・汪默軒(ワンモーシュエン)は毒蝎との結託を非難したが、趙敬は毒蝎も五湖盟に帰順したと釈明した。今後は毒蝎も義兄弟となり、仲良くやって行くべきだという。「巨鯨幇が五湖盟の分裂を企むはずがない…きっとただの噂ですよね?」「ギギギ…我が巨鯨幇は五湖盟と完全に袂を分かつ!殺せるものなら殺してみろ!」✒︎″グサ!≡≡≡ ⊂⌒~⊃。Д。)⊃ ぁ…「蝎児(シェアール)!ぁぁぁ~殺しちゃダメだ!」「義父、度胸があるなら殺せと言ったのはこの男です」客桟へ到着しても張成嶺の鍛錬は続いた。周子舒の厳しい指導には理由があったが、温客行は可愛い成嶺に同情し、思わず口を出してしまう。「今はまだ内息を散じた方がいい…真気で身体を動かすんだ」すると温客行の言う通りにした成嶺の様子がおかしくなり、急に倒れそうになった。咄嗟に飛び出して助ける周子舒と温客行、そこでようやく温客行は成嶺が生まれつき経脈が人より広い特別な体質だと気づく。実は成嶺の習得の遅れは努力不足ではなく、経脈が広い分、時間がかかるだけだった。岳陽派で成嶺を目の敵にしていた弟子・謝無恙(シエウーヤン)は趙敬の密偵だった。あの日、毒蝎が喜喪鬼を連れ去るはずだったが、于丘烽と見知らぬ女が現れ、奪われたという。「女の姿を見るに20いくつほどですが、若い女とは思えぬ容赦ない武芸でした 私は戦いもせず、義父の期待に背きました」「お前では華山派の掌門にはかなわぬ、咎めはせぬ お前も宋懐仁(ソンホワイレン)も自慢の息子だ、哀れな懐仁は今日まで長らえなかったが…」そこへ蝎王がやって来た。義父のため寝殿の内装を一新した蝎王だったが、義父のそばにいる無恙に気づいて困惑する。「…義父、彼は?」しかし趙敬は黙って無恙を下げた。口喧嘩しながらも仲良く酒を飲んでいた温客行と葉白衣。そんな2人をよそに周子舒は発作の時間に備えて静かに瞑想している。すると温客行がすっかり泥酔し、周子舒は部屋に帰らせた。「最近は発作が少ないだろう?」葉白衣の指摘に驚く周子舒、実はすでに五臓六腑が衰弱し、内傷に抵抗する力もなかった。「私の道は2つだけ…まっとうな生か、悔いのない死か、他の道はないのです」周子舒が様子を見に行くと、温客行は部屋でまだ酒を飲んでいた。すると温客行はようやく心を許せる友と会えたのに死なないで欲しいと泣きつく。周子舒は頑なに本心を見せない温客行に苛立ちを隠せず、いつ死ぬやもしれない自分のために調子を合わせているのかと呆れた。「老温(ラオウェン)、それは俺への哀れみか?それとも辱めたいのか? …俺の余命を知りながら嘘で適当にあしらうな」「嘘じゃない、本気だ」ともかく周子舒は泥酔した温客行を寝台に寝かせた。「余生が短いからこそ大切にすべきだ、バカだな、言っただろう?お前に賭けたと… お前はいつか心を開き本心を見せてくれる、勝負がつくまでは天命が下っても離れないさ」しかし温客行は自分の本心を見たら、周子舒は友でなくなると不安だった。つづく( ๑≧ꇴ≦)老妖怪の「お前は口がデカい」笑ったwでもジュゴンw口がデカいと言うより、アヒル口なんだよね~( ˘ω˘ )
2022.07.11
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第4話「許せない罪」四皇子・褚季昶(チョキチョウ)と注輦(チュウレン)公主・緹蘭(テイラン)を都まで護送することになった方卓英(ホウタクエイ)と方海市(ホウハイシー)。しかし卓英が警護する第2隊が刺客に襲われた。卓英は公主と侍女2人を馬車から脱出させるも、公主をかばって背中を斬られてしまう。そこで兵士に公主を任せて逃がそうとしたが、次々と兵士が矢に射られた。その時、第3隊にいた海市が駆けつけ、公主を自分の馬に引き上げる。緹蘭は思わず海市にしがみついたが、その時、胸の膨らみで海市が女子だと気づいた。刺客は援軍が来たと誤解、慌てて逃げて行った。海市は師兄の怪我に驚いたが、卓英はかすり傷だと笑う。「それにしてもどこで兵を集めたんだ?」「あ~あれ?砂埃を上げながら旋回して大軍に見せているだけ」緹蘭は兄弟の砕けた会話を聞いて安堵し、面紗の下で思わず笑顔になった。その頃、宮中では旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)が方鑑明(ホウカンメイ)こと方諸(ホウショ)を呼びつけ、叱責していた。「またもやってくれたな! 方卓英の他に若い者がいたとか?…公主が都に現れたらその時、罪の所在を明らかにしよう」四皇子と公主は無事に野営で合流、都まであとわずかとなった。しかし海市は自分が公主を救ったせいで皇帝の逆鱗に触れ、師匠や霽風(セイフウ)館まで責められるのではと心配になる。卓英はもし四皇子だけ連れ帰っても無事に済むとは思えず、どちらにせよ自分たちが陥れられる可能性はあるとなだめた。その時、突然、幕営に暗衛営の陳哨子(チンショウシ)が現れる。海市は師父の反応が気になったが、陳哨子は功績が認められて海市の名も勤務名簿に加えたと教えた。「早速、最初の任務を命じられたぞ」予想外の展開に戸惑う海市、すると卓英は自分が霽風館に知らせたと安心させる。「じゃあ行ってくる!」四皇子と公主は無事、天啓に到着した。朝廷は丁重に出迎えたが、公主だけ皇宮ではなく駅館で待つよう指示されてしまう。こうして四皇子は湯乾自(トウカンジ)と一緒に皇帝に謁見、褚仲旭は四弟の帰朝を喜び、昶王に封じた。褚仲旭は大臣たちを下げ、四弟の元へ駆け寄った。すると褚季昶はなぜか大事そうに卵を持っている。「陛下、これは鷹の卵です、鷹を飼い慣らすには卵からかえすべしと聞きました 雛は母親だと思ってなつくのだそうです 取り柄がないのでせめて極上の鷹を育てて陛下に献上しようかと…」褚仲旭は弟の思わぬ贈り物に戸惑いながら、十分、尽くしてくれたと感謝した。通平城の戦いでは四弟が雷州から送ってくれた兵糧に救われ、何より長い間、注輦の内情を知らせてくれたという。しかし褚季昶はすべて湯将軍の手柄だと教えた。「幼い頃に国を離れ、哥哥の記憶も薄れてしまっただろう…我ら兄弟は多くのものを失った だが安心せよ、これからはもう今までとは違う、相応の物を必ず与えてやる」「皇兄…私は多くを望んでいません、おそばにいられればそれでいい」四弟の笑顔を見た褚仲旭は安心し、湯乾自を黄泉関(コウセンカン)の主将に抜擢した。褚仲旭は弟と感動の再会を果たしたが、次にもう一つの問題を解決することにした。書斎ではすでに方諸と卓英が控えている。「あと1人足りぬようだが?」褚仲旭は公主を助けた者がいないと指摘したが、方諸はすでに霽風館を去ってしまったと報告、罰は自分が受けると申し出た。面白くない褚仲旭は命に背いた方卓英に杖刑(ジョウケイ)200回を命じる。方諸は君主が臣下を軽んじれば君臣に確執が生まれると諫言し、卓英はあくまで自分の命に従っただけだとかばった。「どうしても罰するなら私が受けます」「よし、望み通り2人まとめて処罰する!連れて行け!」考える間も無く任務に駆り出された海市は道中、ようやく冷静になって来た。そこで馬を止め、陳哨子にかまをかけてみる。「師父が霽風館の反徒を捕らえろと?では人相書きは?」「ぁ…あったのだが燃やしてしまった」「身内なのに人相書きが必要なの?」海市はやはり公主の件で問題が起きたと察し、自分だけ逃げるわけにいかないと引き返してしまう。卓英は88回、打たれたところで意識を失った。背中の刀傷が大きく割れて出血がひどく、太医はこのまま続ければ目を覚まさないと報告する。驚いた方諸は残りを自分が受けると申し出たが、褚仲旭はそこで退席、見逃した。駅館に留まる公主に旭帝の聖旨が届いた。「注輦国公主珂洛爾提(カラクジテイ)氏を淑容(シュクヨウ)妃に封じる、直ちに入宮せよ、全て簡素に行うこと」旭帝のぞんざいな扱いに憤る緹蘭と侍女たち、そこへ公主の入宮を聞いた湯乾自がやって来た。湯乾自は注輦を守るには大徴の後ろ盾が必要だと訴え、亡き皇后に良く似た公主なら寵愛を得られるはずだとなだめる。一方、海市は霽風館に帰った。するとちょうど宮中から戻って来た方諸たちと回廊で出くわす。しかし卓英は意識がなく、医官が付き添って急いで部屋に向かった。「師父?…何があったんですか?!罰は明日、受けます、看病させてください!」「罰は与えぬ、去れ…出て行け」「師父、これには何か裏が…私が旭帝に説明します!」「旭帝だと?まだ分からぬのか?かばおうとして追い出すわけではない 頑固で無謀な性格を改めようとせず、師の命を軽んじる…霽風館を離れよ」事態の深刻さにようやく気づいたのか、海市はその場でひざまずいた。命令なら自害も辞さない覚悟だが、ただし一晩だけ卓英の看病をしたいという。「朝になったら出て行きます!」その頃、入宮した緹蘭はようやく謁見が許された。しかし旭帝はすでに酔っているのか、急に怒号を響かせる。「…今の挨拶は何だ?皇后が目に入らぬのか?!」困惑した緹蘭は顔をわずかに上げると、確かに机に聖文(セイブン)皇后の霊位が置かれている。「注輦珂洛爾提氏より陛下と皇后にご挨拶申し上げます…」「つまらぬ…」褚仲旭はよろよろと立ち上がって出て行こうとしたが、その時、緹蘭が紫簪(シサン)と同じ首飾りをしていると気づいた。何でも母の一族に伝わる吉祥のお守りで、幼い頃から身につけているという。褚仲旭は思わず緹蘭の首飾りを奪い取り、恐る恐る緹蘭の顔を確認した。すると緹蘭が愛する紫簪とうり二つだと知って驚愕する。「同じ顔をして同じ物を着けても紫簪にはなれぬ!…出て行け!出て行けぇぇぇ! 朕の許しなく愈安(ユアン)宮から出てはならぬっ!」夜も更けた頃、霽風館に突然、皇帝の使いがやって来た。もし方諸が休んでいたら床からひきずりだしても絵を鑑賞させよとの勅命だという。方諸は何とか重い身体を起こしたが、なかなか立ち上がれなかった。そこへ海市が駆けつけ、ようやく師匠も大怪我だったと知る。ともかく師匠を支えて正門まで連れて行くと、太監は淑容妃の姿絵を見せた。「こっ…これが淑容妃?!」方諸はしばし呆然、すると全てを察したように自ら夜が明けるまでひざまずくと言った。「皆は下がれ」海市は師匠のそばに付き添った。方諸は淑容妃の姿絵を見つめながら、取り返しがつかない罪を犯したことを思い出す。…肉体の痛みを感じられる者は幸せだ、それは喪失の痛みを知らぬ証し…この数年、私は繰り返し自責の念に苛まれて来た…儀(ギ)王の乱で一族を滅ぼされた私は怒りで我を忘れ、無謀な戦に出た…まさかそれが紫簪の死を招くことになろうとは…私が開戦の刻限を守ってさえいれば、褚仲旭は今頃、妻子と幸せに過ごしていただろう…だが時は巻き戻せない…褚仲旭のために敵を破り、覇権を得ることはできても、最愛の人を返してやることはできないのだ褚仲旭は紫簪との婚礼の夜を思い出していた。『注輦のしきたりは全然、違うわ 花嫁は18種の絹糸で織った面紗で顔を隠すの、夫君と向き合って初めて面紗を上げる …でも殿下に嫁ぐんだもの、大徴の礼にのっとらなくてはね ただこれだけは別、龍尾神(リュウビシン)は珂洛爾提氏の印、小さい頃から肌身離さずつけていたから』『18種の絹の面紗をつけた姿はさぞかし美しいだろうな、目に浮かぶよ』まさかその花嫁姿を紫簪ではなく緹蘭で見ることになるとは…。褚仲旭は紫簪の形見である龍尾神を取り出すと、緹蘭の龍尾神を床に投げつけた。「許さぬっ!」海市は一晩中、師匠の後悔の念に寄り添った。やがて夜が明ける頃、方諸は力尽きたように倒れてしまう。「誰か!手を貸して!」医官の懸命な治療が続いた。海市はその夜、師匠に付き切りで介抱する。つづく( ˶´꒳`˵ )いや~公主、可愛い♪如懿伝の時より美人になったような?声も同じかな?
2022.07.09
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第3話「もう一人の公主」注輦(チュウレン)で人質となっていた皇弟・褚季昶(チョキチョウ)の帰国が決まった。しかしその際、注輦公主・緹蘭(テイラン)が同行、和親のため皇帝に嫁がせるという。そこで旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は指揮使(シキシ)・方鑑明(ホウカンメイ)こと方諸(ホウショ)を呼びつけた。四弟の出迎えを霽風(セイフウ)館に任せ、同時に歓迎されない公主はいつも通りでいいという。「この世に紫簪(シサン)の変わりはおらぬ…」方諸は緹蘭公主に罪はなく、拒めば友好関係に溝ができると諌めた。確かに注輦は小国だが、大微(ダイチョウ)とは最も親しく、少なくとも南の国境の安定に貢献している。「陛下、公主は亡き皇后の妹、どうか皇后に免じて…」しかし紫簪を持ち出された褚仲旭は激高、思わず鑑明の胸ぐらをつかんでしまう。「忠実な臣下のつもりか?…ずうずうしい、あの頃の若君のままだとでも? …お前はドブの中を這いずり回る汚れたネズミ、日陰を生きる朕の手先だ!…うせろっ!」癒えることのない紫簪を失った悲しみ、兄弟も同然だった褚仲旭と鑑明の間には消すことのできないわだかまりがあった。一方、方海市(ホウハイシー)は師匠が留守の間を狙い、元宵節(ゲンショウセツ)に現れた刺客を探ることにした。その夜、霽風館を抜け出した海市は郊外の林まで曲者を誘き寄せる。木の根元で息を潜める海市、するとそっと近づいてきた黒衣の刺客がまんまと罠に引っかかった。「何をする!」「それは針金を入れて編んだ網、鮫でも破ることはできない」海市は焚き火を準備、その上に網に捕らえた刺客を吊り下げた。「主人は誰だ?」刺客は元宵節のことなど知らないと言ったが、海市は答えるまで紐をゆるめる。「あちちちち!分かった!俺たちは…」しかし突然、師匠が現れ、刺客を逃した。海市は″命に従って行動する″という霽風館の掟を破った。罰として掟を200回も書写したが、翌朝になっても師匠は口をきいてくれない。機嫌を直してもらおうと躍起になる海市、しかし師匠は取り付く島もなく任務で参内してしまう。方諸は海市の兄弟子・方卓英(ホウタクエイ)に皇弟の警護を任せることにした。「陛下の命に疑問を感じても従うように…」そこへ海市が現れ、自分が代わりに任務に行きたいと嘆願、功績で罪を償いたいという。すると驚いたことに師匠は卓英に剣術で勝てたら認めると言った。海市は詭計を弄した。勝負の最中、急に防御を止めると、驚いた卓英は振り下ろした剣を自分に跳ね返し、倒れてしまう。その隙を狙い海市は師兄に剣を突きつけた。「私の勝ちだ」しかし方諸はしつけ棒を出し、海市に手を出せと命じた。すると卓英が咄嗟に自分の手を出して代わりに打たれてしまう。「大目に見てやってください」方諸は相手が敵でも手加減するのかと卓英を叱責した。結局、兄弟の情で勝たせてもらっただけだと気づいた海市。方諸は再び掟の書写を命じ、書き終わるまで海市を書房に閉じ込めてしまう。殿中郎(デンチュウロウ)・方卓英は射声(シャセイ)校尉・親迎使に封じられ、兵符を授かった。すると褚仲旭は卓英を書斎へ呼び、連れ帰るのは皇弟だけでいいと釘を刺す。「親迎使とは名ばかり、注輦公主を天啓(テンケイ)に来させるな、よいな? 他のことは霽風館のやり方に任せる」卓英は余計なことは言わず、拝命して下がった。その帰り道、侍衛たちが入内した美しい娘に目を奪われ、うっかり転ぶところを目撃する。「困った奴らだ…ふっ」卓英にはその娘の後ろ姿しか見えなかったが、実はその娘こそ灯会の夜に一目惚れした美しい娘だとは知るはずもない。その娘の名は鞠柘榴(キクシャリュウ)、綾錦司(リョウキンシ)の典衣・鞠七七(キクシツシツ)の姪だった。西平港(セイヘイコウ)へ出立する朝、卓英は立派な鎧に身を包み、師匠に挨拶した。しかしどうしても解せないことがあるという。「公主を拒否して注輦を怒らせれば、注輦は西南の各部族と手を組むのでは? 北方には鵠庫(コクコ)の脅威もあるのです」実は鵠庫は西部の部族に大徴が注輦と一体となって各部族を併呑する気だと風聴していた。方諸はとにかく皇帝の命に従って皇弟を守り、他のことは自分に任せれば良いと言い聞かせる。そこへ暗衛営の陳哨子(チンショウシ)が駆けつけた。皇帝が水心苑(スイシンエン)へ行くため、指揮使と配下全員を護衛につかせろという。海市は師匠たちが任務に出かけた隙に館を抜け出し、師兄を追った。やがて今夜の野営に追いつき潜り込んだが、卓英に見つかってしまう。しかしすでに西南の国境、卓英は仕方なく自分の衛兵に潜り込ませて連れて行くことにした。四皇子と注輦公主は水路で無事、西平港に到着した。整列する兵士に紛れて出迎えの儀式を見学する海市。四皇子のそばにいるのは湯乾自(トウカンジ)という将軍らしい。一方、公主は大きな冠に真っ白な面紗(メンシャ)で姿を隠していた。顔ははっきり見えないが、海市でもそのたたずまいだけで美しいと分かる。その夜、海市は師兄とくつろいでいたが、明日の警固が心配だった。実はここへ来る途中、民たちが見知らぬ船や怪しい商人が増えたと噂していたという。「誰かが婚姻に水を差す気かも…」「…その話は師父も知っている」卓英は鵠庫と西南の部族たちが婚姻を警戒しており、今回の任務では四皇子だけを守るよう皇帝から命じられたという。そこへ刺史(シシ)・陳赫然(チンカクゼン)が訪ねて来た。卓英が弟弟子を紹介すると、陳刺史は親迎使と違って書生のようだと笑う。すると海市はふと思いついた。「陳大人(ダーレン)に兵を借りたら?」陳刺史が用意できた兵士は千人だけだった。そこで卓英は3隊に分かれて敵の目をくらます作戦を立てる。まず第1隊が四皇子を護衛、第2隊は注輦からの貢ぎ物の輸送を装い、卓英が公主を護衛する。そして最後は公主に扮した海市がいる第3隊だ。偽の公主の隊列は人数も多く目を引き、最も賑やかな東門から出て敵を引きつけるという。第3隊の長い隊列は穏やかに郊外を進んでいた。すると御者の趙(チョウ)叔はふと感慨を覚え、これが最後の任務だと漏らしてしまう。「小公子、別れを伝えるのは掟に反するのですがつい…」「気にしないで、困った時は私に知らせてね」しかし海市は道中、何も起こらないことにかえって違和感を感じ始める。思えばあの陳刺史の様子も不自然だった。…まずい、罠だ…海市の悪い予感は的中、卓英が護衛する公主の隊列は伏兵に襲われていた。つづく( ๑≧ꇴ≦)盛り上がってまいりました~w
2022.07.09
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※原作はBL作品ですが当ブログでは非対応です山河令 Word of Honor第16話「魑魅魍魎」五湖盟の盟主である岳陽(ガクヨウ)派の掌門・高崇(ガオチョン)。不器用だが生涯、真心を尽くし、天地にも江湖の兄弟にも恥じることはなかった。しかし英雄大会で陰謀を巡らされ釈明する余地もなく、もはや何を言っても無駄だと分かる。「この高崇、逃げも隠れもせぬ!首を取るがいい!」すると鬼谷(キコク)に息子を殺された断剣(ダンケン)山荘の荘主・穆思遠(ムースーユエン)がついに口火を切った。英雄大会は五湖盟と他門派の激しい争いになった。しかし高崇と懇意のはずの清風(セイフウ)剣派が真っ先に逃げ出してしまう。温客行(ウェンコーシン)は隣の峰から呆れて見ていたが、ふと高崇が反撃していないことに気づき、激しく動揺した。…まさか私の勘違いだと?そんなばかな、高崇にはきっと何か企みがあるはずだ…張成嶺(ジャンチョンリン)と太湖(タイコ)派の掌門・趙敬(ジャオジン)はなす術なく、呆然と立ちすくんでいた。そこへ帷帽(イボウ)で顔を隠した周子舒(ジョウズーシュー)が駆けつけ、成嶺を連れて逃げることにする。驚いた趙敬は成嶺を奪われまいと戦いを挑んだが、あっけなく敗れた。しかし黄鶴(ホアンホー)が駆けつけ、周子舒と丐幇を戦わせている隙に成嶺を連れ去ろうとする。その時、温客行が現れ、成嶺を守った。高崇は周子舒と温客行に気づき、成嶺を託すことにする。「成嶺を連れて逃げろ!」「高伯伯(ボボ)っ!」激しい戦いが繰り広げられる中、急にドーンと大きな音が鳴り響いた。驚いた高崇が振り返ると、封暁峰(フォンシャオフォン)を肩に乗せた巨人・高山奴(ガオシャンヌー)が棘球で五湖碑を叩いている。「やめろぉぉぉぉっ!」しかし時すでに遅く、五湖碑は倒壊した。封暁峰は高崇が唖然としているうちに鉄球を放ったが、咄嗟に高山(ガオシャン)が飛び出し、師匠をかばって暗器を受け死んでしまう。「高山ーっ!」高崇は悲鳴にも似た叫び声をあげると、迷わず弟子の敵を討った。周子舒と温客行は張成嶺を連れて隣の峰に避難した。するとこれまで静観していた趙敬が剣を収めるよう訴え、戦いを止める。「大哥、手を引いてください…琉璃甲(ルリコウ)を渡しましょう」趙敬は急先鋒となった黄鶴にひざまずき、琉璃甲と引き換えに高崇の命を助けるよう哀願した。二弟の裏切りに憤怒する高崇、しかし趙敬から自分の娘にこの罪業を背負わせるのかと言われ、決心がつく。「…琉璃甲を渡そう」「大哥!いけません!」沈慎(シェンシェン)は最後まで高崇の味方だったが、高崇は腹をくくった。「五弟…娘を頼む」「大哥!何とぞご再考を!」その時、高崇がいきなり沈慎の首を手刀で打ち、眠らせてしまう。やがて山は激しい雨になった。高崇はついに3つの琉璃甲を取り出したが、琉璃甲はこの通り江湖に危害を与えると訴える。「後患の根を絶つためだ、この場で破壊する!」「やめろぉぉぉ~!」英雄たちの叫喚の中、高崇は琉璃甲を粉々に砕いて投げ捨てた。そして倒れた五湖碑めがけて走り出し、刻まれた自分の名に頭をぶつけ、絶命してしまう。その頃、英雄大会を諦めて引き返した清風(セイフウ)剣派の掌門・莫懐陽(モーホワイヤン)の馬車は帰路を急いでいた。「師父、高盟主はとは懇意ゆえ参加した方が…」「黙れ、山に戻るのだ」掌門の手には高崇が破壊したはずの琉璃甲があった。周子舒たちはしばし洞窟で雨が止むのを待つことにした。ひとり外を眺めながら物思いにふける温客行、そこへ周子舒がやって来る。「阿絮(アシュー)…私は悪人だな」「心が正しければ悪人ではないさ」温客行は珍しく神妙な顔をしていた。「人を陥れるくせに、自分が策略にかかるとうろたえるのだな?不甲斐ないぞ?」「ふっ、今回は確かに失態をさらした…まさか自分も踊らされていたとはな」果たして裏で糸を引いているのは誰なのか、目的は一体、何なのか。温客行はいずれにせよ五湖盟は再起不能だと言ったが、周子舒は否定した。肝心な時に譲歩し、愚者を装ってまんまと責を逃れた者がいる。「天窗(テンソウ)の資料によれば趙敬には″孟嘗君(モウショウクン)″だけでなく″玄徳″という雅号もある 当時は気にも留めなかったが…ふっ、哀願しつつ人徳で皆を服させる芸当は見事だった」周子舒は老温を諭すように、緻密な陰謀もいずれ暴かれるものだと言った。しかし温客行は完璧な陰謀とは情勢に応じ刻々と変わるもの、首謀は方向を見定め、適切な時に実行すればいいという。「…人心は測り難いが、人性は分かりやすい 際限のない貪欲こそ人間の本性、これは紛れもない事実だ」「老温、人性を悟った気になるな、四賢と高崇の件で懲りたはずだろう? 思い込みは自分を誤導するだけ、確かに人は貪欲だが高潔でもあるはず 一体が何が望みなんだ?」「ふっ、言ったら手伝ってくれるのか? 私の望みは…この世に属さぬ魑魅魍魎(チミモウリョウ)を地獄に追い返すこと!」蝎王は義父の計画成功を喜んだ。実は蝎王の義父で今回の首謀者は何を隠そうあの愚鈍な二弟を演じていた趙敬。ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ@視聴者趙敬は20年かけて策略をめぐらせ、ついに高崇を失脚させた。しかし黄長老に出し抜かれるとは予想外、緑柳(リューリゥ)と桃紅(タオホン)に小怜を連れ去られてしまったという。蝎王は配下に追跡させているため、小怜を始末するか聞いた。「絶対にダメだ、小怜には息災でいてもらわねば…小怜が幸せに暮らすほど私の評判が高まる」すると趙敬は蝎王の手を取り、今回は大手柄だと褒めた。やはり蠱術(コジュツ)で操った鄧寛(ドンクワン)の偽証がきいたのだろう。それに比べ二重間者として暗躍していた宋懐仁(ソンホワイレン)には落胆したという。「だから信用ならないと私が忠告したのに、義父が宋懐仁を養子に迎えるから… やっぱり私が正しかったでしょう?」あの夜、義父の命で琉璃甲を盗み出した宋懐仁は于天傑(ユーティエンジエ)を殺した後、蝎王に消されてしまう。…私が仕組んだ陰謀に他人は干渉させぬ、大業を成すには私さえいれば十分だ…今やその琉璃甲は蝎王が肌身離さず持っていた。「一つ頼みがある、穆思遠をしっかり懐柔しておけ、使い道がある」「でも武芸は人並み、愚かで容貌も醜い男ですよ?」蝎王は乗り気でなかったが、趙敬は五湖盟を羊の群れと例え、その先導役が穆思遠だと説明した。周子舒と温客行が酒を分け合っているところへ、突然、大きな袋が飛び込んできた。投げ込んだのは長明(チョウメイ)山の剣仙・葉白衣(イエバイイー)、実は周子舒を追いかけて来たという。すると大きな音に驚いた張成嶺が奥から出てきた。周さん「前輩、私の弟子の成嶺です」剣仙「ふっ、アホの子か、代を追うごとにアホ度も上がるな~」温さん「ピキッ!うちの子はアホだが、口汚い妖怪ジジイよりマシだ!」剣仙「うちの子?お前も四季山荘か?!」(# ತ _ತ)ギギギギ…@ぐうの音も出ない温さんその時、大きな袋から声が聞こえた。温さん「中身は?」剣仙「誰がいい?」温さん「おまえ」剣仙「そりゃ残念だったね~だ」周さん「まあまあ~」温さん「ふん、色白の妖怪老いぼれガエルめ!」剣仙「やんのか?!表に出ろ!」周さん「そこまでそこまで~今は雨ですから、決闘は晴れてからにしましょ」成嶺はもしや小怜かと思い、師匠たちがもめている間に袋を開けた。すると中から龍淵閣の若閣主・龍孝(ロンシアオ)の顔がのぞく。成嶺は落胆したが、周子舒は後で小怜を探しに行こうとなだめた。計画通り小怜を連れ去った緑柳(リューリゥ)と桃紅(タオホン)、そこへようやく黄長老が現れた。高崇は死ぬ間際、琉璃甲を壊してしまったが、調べてみると偽物だったという。黄鶴の話では高崇は英雄たちに八つ裂きにされ亡骸も残っていないとか。その話をちょうど目を覚ました小怜が聞いていた。沈慎が目を覚ました時には全てが終わっていた。激しい雨の中、傘も差さずに崇武(スウブ)殿をあとにする沈慎、すると趙敬が追いかけてくる。「五弟(ウディ)!どこへ行くつもりだ?!」五義兄弟で残ったのは2人だけ、趙敬は沈慎が去れば五湖盟が終わってしまうと嘆いた。しかし沈慎は全て自分が招いた災いのせいだと責任を感じ、小怜を見つけたら大孤(ダイコ)山へ連れ帰り、2度と戻らないという。「二兄、五湖盟を頼んだ…役立たずな私を許してくれ」蝎王はずぶ濡れの義父に傘を差し出した。「私が追いかけて始末しましょうか」「絶対にダメだ!…分かってくれ、耐え忍び続けた私がついに日の目を見るのだ 過去の歩みを証言する旧友がいないと、これまでの努力が闇に埋もれてしまう」「私がいます!」「お前は家族であろう?(ヨシヨシ…」すると趙敬は名簿を渡し、一人残らず苛烈なやり方で葬り去れと命じた。「人心を操る手段は貪欲だけではない…恐怖もあると知っておけ」剣仙と顔を合わせれば喧嘩になる温客行、しかし葉白衣から痛いところを突かれた。葉白衣は温客行が容炫(ロンシュエン)と琉璃甲について事実を知りたがっていると見抜き、龍淵閣こそ過去を解く鍵だという。つづく( ๑≧ꇴ≦)あははは~温さんと剣仙、このままずっと仲悪いままでいて欲しいwww
2022.07.08
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※原作はBL作品ですが当ブログでは非対応です山河令 Word of Honor第15話「無恥の徒」顧湘(グーシアン)は岳陽(ガクヨウ)派に捕われた喜喪鬼(キソウキ)を助けるため、高崇(ガオチョン)の一人娘・高小怜(ガオシャオリエン)を人質にしようと思いついた。小怜は医館で今も意識が戻らない大師兄・鄧寛(ドンクワン)に付き添っている。そこで顧湘は具合が悪いふりをして小怜を頼った。しかし顧湘が熱を出したと聞いた曹蔚寧(ツァオウェイニン)が駆けつけ、計画は台無しになってしまう。英雄大会は思いがけない形で始まった。泰山(タイザン)派は沈慎(シェンシェン)こそ師匠・傲崍子(アオライズー)を殺した敵だと訴えたが、高崇は鬼谷(キコク)が殺したことは周知の事実だと一蹴する。「離間策にはまって足並みを乱しては悪党どもの思う壺だぞ?!」すると出端をくじかれた丐幇(カイホウ)の長老・黄鶴(ホアンホー)が約束通り琉璃甲の来歴を明かすよう迫った。一方、大会に紛れ込んだ周子舒(ジョウズーシュー)は怪しい男を発見、追跡した。しかし俏羅漢(ショウラカン)が咄嗟に暗器を放ち、周子舒が避けている隙に姿を消してしまう。「毒蝎か…」周子舒は高楼でひとり優雅に英雄大会を眺めている温客行(ウェンコーシン)を見つけた。そこで毒蝎も関わっていると警告したが、温客行はいずれにせよ大会は順調に進まないと意味ありげに笑う。しかし周子舒は琉璃甲の争奪に見え隠れする毒蝎の影が気がかりだった。毒蝎の役割は一体、何なのか。推測通りなら鬼谷と毒蝎は結託しているのだろう。生首がさらされた錦筵(キンエン)坊では魅曲秦松(ミキョクシンショウ)が西域の楽師に成り済まし、悪鬼が義荘で操っていた薬人(ヤクジン)は毒蝎の分舵(ブンダ)にもいた。「老温(ラオウェン)…この芝居の筋書きを立てた者は良からぬことを企んでいるようだ」「それが何か?ふふ、うぬぼれの強い複雑な筋書きだからこそ、お祭り騒ぎを楽しめる」「無実の者の血が流れるのだぞ?それも見たいと?」「ふん、無辜の者などひとりもいない」温客行は飢えた犬が獲物を奪い合い、盛大に血を流す騒ぎを見たいと平然と言いのけた。その頃、毒蝎の首領・蝎王は義父と一緒にいた。「義父、指示通り手配しました、そろそろお出ましに…」「勝負を決める頃合いだな」高崇は確かに五湖盟が琉璃甲を保存してきたと認めた。すると各門派は琉璃甲を分配し直せと激怒、黄鶴も鬼谷討伐なら武庫を開いて各門派が奥義書を取り戻してからでも遅くないと煽る。しかし高崇は琉璃甲だけでは武庫を開けられないと教えた。英雄たちはただの言い逃れだと追求したが、高崇は証人がいるという。岳陽派では何者かが喜喪鬼・羅浮夢(ルオフーモン)を連れ去ろうとしていた。しかし艶鬼(エンキ)・柳千巧(リウチエンチャオ)と于丘烽(ユーチウフォン)が駆けつけ奪還に成功する。同じ頃、屋敷の異変に気づいた小怜たちは医館を出て中庭にいた。「妙ね、弟子が1人もいない、なぜ誰もいないのかしら?」すると緑柳(リューリゥ)と桃紅(タオホン)が現れた。曹蔚寧は小怜と顧湘を守るため抵抗したが、激しく殴打されてしまう。( *`ω´)ノ″<こっの老賊婆!許さないから!」顧湘は激高し応戦、その時、緑柳と桃紅が卑怯にも暗器を放った。「危ない!」曹蔚寧は咄嗟に顧湘の前に飛び出し、身代わりになって倒れてしまう。「曹大哥!しっかりして!」顧湘が慌てて曹蔚寧に駆け寄ると、その隙に緑柳と桃紅が小怜をさらって行った。顧湘はもしもの時に持っていた秘薬を曹蔚寧に飲ませた。「こんなことなら他の人を利用するんだった…グスン」「馬鹿な子ね、私があげた保命丹(ホメイタン)を粗末して…」その声は千巧だった。顧湘が驚いて振り返ると、なぜか華山派の掌門が喜喪鬼を背負っている。「ぁ…羅姨…」英雄大会にからくり人形が御す馬車が到着、後ろの戸が開くと自動の車椅子で若者が降りてきた。すると趙敬(ジャオジン)と張成嶺(ジャンチョンリン)が車椅子を先導して高崇の元まで案内する。高崇の証人とは龍淵(リュウエン)閣の若閣主・龍孝(ロンシアオ)、龍淵閣と言えば皇帝も一目置くと言われる″からくり″の名門だ。江湖では龍淵閣が武庫を開けられるという噂もあった。龍孝は数々の奥義書を盗んだ容炫(ロンシュエン)が策を弄して閣主を欺き、武庫を作らせたと説明した。確かに武庫の仕掛けが複雑で琉璃甲だけで安全に開けることはできず、開け方を知っているのは父の龍雀(ロンチュエ)だけだという。ならば何のために龍孝は遠路はるばるやって来たのか。その時、突然、龍孝が高崇を弾劾した。「高盟主… 私たちはどんなに脅され、利で誘われようとも、あなたの私心を満たすために武庫を開けたりせぬ 武庫は天下のもの、横領は許されぬぞ!」↓ペッパー君2号w閣主を迎えに行ったのは趙敬だった。しかし閣主に断られ、若閣主が証言すると聞いて連れて来てしまったという。趙敬は自分の失態だと涙したが、その様子を見ていた周子舒は呆れた。「玄徳(ゲントク/趙敬)か…あの軟弱で愚か者がなぜ五義兄弟の一員に?」「沈慎もクズだろう?あいつらは皆、同類だ、ふん!忌々しい奴らめ」周子舒は温客行の過激な発言に面食らった。何者かが高崇を陥れようとしているのは火を見るよりも明らか、温客行は恨みで目を曇らせ、判断を誤ったのか。すると温客行は百も承知だと笑った。「黙って見ていろ、高崇がこの難局をどう挽回するか見ものだぞ?」会場は騒然となった。しかし高崇は二心などないと釈明し、鬼谷を滅ぼした暁には必ず武庫を開け、奥義書を各門派に分配すると誓う。どうやら龍淵閣とは行き違いがあった模様、高崇は早々に若閣主を下げ、今度は張成嶺を英雄たちに紹介した。実は娘を成嶺に嫁がせて岳陽派と鏡湖(キョウコ)派を託し、高崇は仏門に入って2度と江湖に関わらないという。温客行は高崇が保身のため張成嶺まで巻き込んだと呆れた。しかし周子舒は高崇が出家しても利益はなく、公に宣言しては撤回もできないという。何より琉璃甲を手放した成嶺に何の価値もないはずだ。高崇は英雄たちに″山河令″を示した。もし鬼谷が江湖を害した時は、この令牌を持つ者が剣仙の名義で天下に号令を掛けられるという。「武庫は天下の者たちに返そう!権力などくれてやるわ!」高崇の願いはただひとつ、鬼谷を平定して義兄弟の敵討ちをすることだった。そこで鬼谷討伐に加わる者とはこれまでの怨讐に関係なく、血の盟約を結んで義兄弟になるという。「盟約を結びたい者は残れ、立ち去りたい者は引き留めぬ!」黄鶴の企みもここまでか、武林の門派は次々と盟約を結ぶと決心した。しかしその時、四賢の敵である封暁峰(フォンシャオフォン)が声を上げる。「所有者が存在しない″六合(リクゴウ)心法″と″陰陽冊″はどう処理するつもりだ?」これは渡りに船、黄鶴は高崇が持ち主のいない奥義書をくすねるつもりだと非難した。高崇は″六合心法″と″陰陽冊″にも所有者がいると言い返した。武庫を開けた後は″六合心法″を容炫の師匠へ、″陰陽冊″は神医谷(シンイコク)に返すつもりだという。しかしある門派が20年前の青崖山での戦いを持ち出し、論功行賞で決めるべきだと言い出した。すると各門派は自分たちの功績が一番大きいと言い争いに発展、結束すると思われた武林が再びバラバラになってしまう。周子舒は老温の様子がおかしいことに気づいた。一体、老温は何者なのか。すると温客行は一触即発の様相となった会場をながめながら、なかなか殺し合いにならないと苛立ち始めた。「あれが正道か?やっていることは鬼谷と同じだ 仁義の皮を被っているが、血や肉を嗅ぎつけると犬のように暴れ出す… 騒々しい、反吐が出るわ!」温客行は常軌を逸していた。周子舒にその理由は分からなかったが、自分の信念を曲げることはできない。「はお…道が異なれば助け合えぬ、説得は無理なようだ、本心に従い、各自の道を行こう」一方、岳陽派には生首事件で捕まった男2人が収監されていた。男は壁に印をつけていたが、いよいよその時が来たと判断、笛を吹き始める。すると意識不明だった鄧寛がむっくり起き上がり、医館を出て行った。地下牢に突然、鄧寛が現れた。門番は大師兄が目覚めたと大喜びで駆け寄ったが、いきなり刺し殺されてしまう。その頃、俏羅漢は桟橋で無常鬼(ムジョウキ)と接触していた。「そろそろ私の出番かな?」「主上の計画に従うのよ」英雄大会に突如、冥銭が舞い始めた。そしてどこからともなく悪鬼の声が響き渡る。{{{高盟主は誠に極悪非道だ~}}}悪鬼の話では長舌鬼(チョウゼツキ)に鏡湖派を滅ぼさせて口封じしたのも、喜喪鬼が丹陽(タンヨウ)派の弟子を殺したのも、開心鬼(カイシンキ)が傲崍子を殺したのも全て高崇の指示だったという。当初の約束では鬼谷と武庫の宝物を分配するはずが、琉璃甲を3個入手した途端に立場を翻したというのだ。高崇は見えない敵に自分に汚名を着せるなと怒号を響かせた。その時、会場にふらふらと鄧寛が現れる。「皆さん、私は岳陽派の大弟子・鄧寛…私は高崇に軟禁されていた! あいつが私を鏡湖派に潜入させ、内外で呼応させたのだ! 長舌鬼を手引きして張家を皆殺しにするために!」すると鄧寛は加担した責任を取って自害してしまう。最も信頼し寵愛する鄧寛の裏切り、高崇はあまりの衝撃で身震いした。温客行は酒を飲みながら静観、見事な筋書きに感心する。「無常鬼よ無常鬼…恐れ入ったよ、これがお前の企みとはな」つづく( ๑≧ꇴ≦)まさか鷹の爪団が!それにしても丐幇の長老で卑怯なのって珍しい、変わり者はいても基本的に良い人なのにw
2022.07.06
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※原作はBL作品ですが当ブログでは非対応です山河令 Word of Honor第14話「死生契闊」温客行(ウェンコーシン)は周子舒(ジョウズーシュー)が葉白衣(イエバイイー)に襲われていると誤解、加勢した。葉白衣がまさか剣仙とは知らず、何かと無礼な温客行。すると葉白衣は自分が手を貸さねば周子舒の余命はわずかだとばらしてしまう。周子舒の経脈はもうすぐ老木の根が腐るように枯れるはず、神医谷の谷主でも朽ちた木は救えないだろう。寝耳に水だった温客行は激高、葉白衣と手合せになり、2人のぶつかり合う掌の威力で水路の水が舞い上がった。周子舒は事態を収拾するため、やむを得ず七竅三秋釘(シチキョウサンシュウテイ)を見せた。「…なるほど、脈が死にそうなのに動き回れるのはそういうわけか」葉白衣は周子舒の身体に打ち込まれた釘が枯渇した経脈を安定させ、内力が断たないことを見抜く。「で、この残酷な方法を考えたのは誰だ?」「私です」葉白衣は周子舒の脈を診た。どうやら自分なら10年ほど延命させることができそうだ。周子舒は10年もあれば十分すぎると喜んだが、そのためには外力も内力も全て取り除かねばならないという。「すでに3割程度しか残っておらぬのだろう?毎夜、内力が周天を巡る時に苦しいはずだ 釘を外せば内力が激しく打ち合い、枯れた奇経八脈を断とうとする 武芸の力を廃さねば身体がもたぬだろう」すると周子舒はこれも天命だと受け入れ、席を立ってしまう。驚いた温客行は後を追うことにしたが、葉白衣が周子舒とどんな関係か聞いた。関係ないだろう?!>ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘(」゚ロ゚)」<秦懐章(チンホワイジャン)の徒弟!このろくでなしとは距離を置け~!やがて激しい雨になった。周子舒に残された時間はわずかに2年、それでも天下の名酒を味わえる時間はたっぷりある。温客行はまず延命してから武芸を復活させる方法を探そうと説得したが、無駄だった。「幼ない頃、鍛錬を嫌う私に両親はよく言った、″大人になってからでは遅いんだ″と… だから私は″大人になってから野山で遊んでも遅い″と言い返したよ 思えば私の一生はこの繰り返しだ…まさに″時宜にかなわない″ 遊びたい時に遊べず、鍛錬したくとも師はなく、欲しいものは得られない 居て欲しい人も去って行くんだ…ふっ、それもいい」「温客行、いい加減にしろ!おれは自由を取り戻した まさかお前まで虫の息でも数年、長生きしろと?…ならこの出会いは無駄だった」一方、顧湘(グーシアン)は悪鬼の暗号を見つけ、慌てて本院に駆けつけた。そこには負傷した食屍鬼(ショクシキ)とかろうじて助け出した侍女たちがいる。顧湘は侍女の中に雲栽(ユンザイ)を見つけたが、紅露(ホンルー)の姿はなかった。食屍鬼の話では高崇(ガオチョン)が五湖盟を率いて喜喪鬼(キソウキ)の別院を襲い、喜喪鬼と2人で応戦するも手が足りず、娘たちが犠牲になってしまったという。「紅露が死んだ?…必ず守ると主人に約束したのに…ゥッ…」顧湘は薄情簿主が表に出ないことから、誰かが引き入れたと疑った。すると食屍鬼は無常鬼(ムジョウキ)や開心鬼(カイシンキ)、急色鬼(キュウショクキ)も近くにいたのに、駆けつけたのは自分だけだったという。「薄情簿主を売ったのは奴らかも?」顧湘は雷雨の中、谷主を探して駆け回った。すると温客行が橋の上でずぶ濡れになりながら簫を吹いている。「主人!羅姨の別院が五湖盟に襲われたんです!たくさん姐妹が殺されて…羅姨も捕まりました!」しかし温客行の様子がどこかおかしかった。「阿湘、あの者は間もなく死ぬそうだ…計略を巡らし、敵を討って晴れ晴れするはずだった だがあいつは死ぬ…ふっ、初めから分かっていたら、つきまとわなかったものを…」「誰が死ぬんです?…周絮(ジョウシュー)?!」温客行はまた時宜にかなわなかった怒りから思わず簫を叩き割り、そのままどこかへ飛んでいってしまう。(´・Д・)」ファ~!丐幇(カイホウ)の根城にまた珍しい客が訪ねて来た。泰山(タイザン)派の新掌門・青松(チンソン)は五岳剣派のよしみで華山派を頼ったが無下にされ、信じられるのは長老・黄鶴(ホアンホー)しかいないという。「師父の名誉のためなら命もささげる覚悟です!黄長老に従います!」黄鶴は思いがけず勢力を広げ、行動を共にする緑柳(リューリゥ)と桃紅(タオホン)夫婦にも協力を頼んだ。一方、太湖派の掌門・趙敬(ジャオジン)は喜喪鬼が捕われたと知り、独房へやって来た。はりつけにされた哀れな羅浮夢(ルオフーモン)、しかしどうやらもう自分を覚えていないらしい。鬼谷(キコク)に入る者はまず孟婆湯(モウバトウ)を飲み、俗世を断ち切って過去の執着を忘れると聞いた。ただの伝説だと思っていたが、まさか本当だったとは…。「私こそがお前の執着する者だ…だが浮夢よ、私にそんな価値があるか?」「…お前はなぜ私の名を知っている?!」「浮夢、私はお前を裏切った、名門の令嬢を鬼女に変貌させ、今では天下の浮気男を殺すまでに…ゥッ」趙敬は自分の罪の重さを実感しながら、どうか自分を忘れて欲しいと頼んだ。「今生、私はお前に多くの借りを作った、来世があるなら…決して関わらぬ」任務から戻った艶鬼(エンキ)は主人の別院が五湖盟に襲撃されたと知った。激しく動揺し、すぐにでも主人を助け出したいと懇願する艶鬼。すると温客行はもう一度、于丘烽(ユーチウフォン)に扮装して探ってくるよう命じた。「では私が主人を脱獄させても?」「お前の力で岳陽派から連れ出せるか?…喜喪鬼の命を守るだけでいい、敵を警戒させるな」温客行は自分に考えがあると言った。清風(セイフウ)剣派の莫蔚虚(モーウェイシュー)が岳陽派に到着した。曹蔚寧(ツァオウェイニン)は喜んで大師兄を出迎え、実は心から慕う人と出会ったと報告する。しかし莫蔚虚は話を遮り、父である掌門が急いで清風山に戻ったと教えた。「え?どうしてですか?」その時、岳陽派・祝邀之(ジューヤオジー)が現れ、顧湘が病で医館に入ったらしいと教えてくれる。居ても立っても居られず上の空の曹蔚寧、情けない師弟の姿に莫蔚虚は呆れたが、結局、見舞いへ行かせた。岳陽派は午後からの英雄大会に向けて五湖碑の準備に余念がなかった。その時、急に暗雲が立ち込め、突風と共に冥銭が舞う。「鬼谷か?!」一足先に下見に来ていた沈慎(シェンシェン)は付近を警戒したが、現れたのは泰山派と丐幇だった。艶鬼は于丘烽に成り済まし岳陽派へ潜入した。すると偶然、于丘烽本人と出くわしてしまう。「千巧?…千巧なのか?!なぜ私に成り済まして…」「烽郎、あなたこそ岳陽派が出払った隙に何をしているの? まさか、ご子息と同じように琉璃甲(ルリコウ)の行方を追っているとか?」すると艶鬼は帯の間から琉璃甲を取り出し、もし喜喪鬼の救出に手を貸すなら譲ってもいいという。于丘烽は喉から手が出るほど欲しかったが、、琉璃甲を取らず千巧の手を握りしめた。「早くしまえ、お前にはすまぬことをした、償うためには何でもすると言ったであろう? まずその扮装を外し、私と共に来い、牢に案内する」↓これは・・・w英雄大会に続々と各門派や武林の使い手たちが集結した。するとちょうど泰山派と丐幇が沈慎を告発、傲崍子(アオライズー)を殺したと追求している。沈慎は否定し、傲崍子を殺したのは鬼谷だと訴えた。しかし唯一の生き残りである青華(チンホワ)が証言する。…あの夜、弟子たちは暗闇に消えていった師匠を追いかけ、無惨な姿になった傲崍子を発見した師匠の死に泣き崩れる門弟たち、その時、無常鬼(ムジョウキ)が現れ、大孤山(ダイコザン)派の掌門に命じられて殺しに来たと宣告する青華も一撃を受けて倒れたが、運良く逃れて泰山へ戻ったあの晩、師兄たちが殺されたと聞いたのは後になってからだという…沈慎は濡れ衣だと否定したが、泰山派を追いかけ回し、太湖まで追い詰めたのも事実だった。激怒した青松は沈慎が師匠の琉璃甲を狙って殺したと非難、焦った沈慎はそれを言うなら琉璃甲は傲崍子ではなく陸太冲(ルータイチョン)のものだと反論してしまう。するとここぞとばかりに黄鶴が言葉尻を捕らえた。「罪を認めたな?!やはり琉璃甲のために傲崍子を惨殺したのだ!」その時、清風剣派・范懐空(ファンホワイコン)が冷静になるよう訴えた。そもそも依頼主を明かす暗殺者がいるだろうか。そこへようやく高崇が姿を現した。五湖碑に役者が揃った。周子舒は帷帽(イボウ)で顔を隠して大会に参加、様子をうかがう。その頃、温客行は遠目から会場を見ていた。「彩雲は散った、琉璃は砕けた…青崖山の鬼と泣く者は誰ぞ? ふっ…どんな大芝居を見せてくれるかな?」つづく( ๑≧ꇴ≦)明智小五郎シリーズだけかと思ったら、まさか火曜サスまで!
2022.07.05
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※原作はBL作品ですが当ブログでは非対応です山河令 Word of Honor第13話「剣と鞘」温客行(ウェンコーシン)は岳陽(ガクヨウ)派に潜入させた顧湘(グーシアン)を解放することにした。しかし周絮(ジョウシュー)こと周子舒(ジョウズーシュー)は顧湘と清風(セイフウ)剣派・曹蔚寧(ツァオウェイニン)が離れ難いことを察し、勝手に2人の仲を取り持ってしまう。女子はいつか家を出るもの、温客行は百も承知していたが、妹同然の顧湘を手放すのはやはり寂しかった。顧湘を託された曹蔚寧はしみじみ周兄と温公子のように生死を共にできる知己を得られたらどんなに幸運だろうかと羨んだ。「我が派の師叔(シシュク)は立派な方だが終生ひとり身だ 幼い頃、なぜ妻を迎えないのか聞いたことがある 師叔いわく人生には多くの縁があるが、真に響き合うのは1人だけだと… 運命の相手と巡り合えば、剣と揃いの鞘(サヤ)のようにぴたりと収まるような感覚を味わうらしい だから相手を失ったら2度と見つからないんだ」「ファ~( ᷇࿀ ᷆ )ᐝ たかが鞘でしょう?また作ればいいじゃない?」「剣はそうだが人だったら?」「(* ゚ェ゚)ぉぅ…まあ~確かに2人は仲がいいわ 主人(ヂゥレン)とは幼い頃から一緒だけど、あんなに生き生きとしている主人、初めて見るかも」曹蔚寧は自分と顧湘が剣と鞘のような関係だと伝えたかったが、顧湘にはぐらかされて話は終わってしまう。(´゚艸゚)<剣と鞘とか…何言ってんだかwその夜、艶鬼(エンキ)は谷主の任務で出かけることになった。「主人、薬は毎日、必ず飲んでください」「…雑事はよい、大事を誤るな、あの奇人がまた何を言い出すことか」「ご安心を、うまくやります」喜喪鬼(キソウキ)は艶鬼を見送ったが、ふと呼び止めた。「傘を持って行きなさい…明日は大雨になるわ」翌朝、丐幇(カイホウ)の根城に突然、華山(カザン)派の掌門・于丘烽(ユーチウフォン)が訪ねてきた。しかし丐幇は華山派と交情がなく、ましてや岳陽派と決裂したばかりだ。長老・黄鶴(ホアンホー)は思いがけない珍客に困惑したが、于丘烽から驚くべき話を聞いた。実は息子の于天傑(ユーティエンジエ)が五湖盟に殺されたという。しかも20年前、五湖盟は英雄たちと容炫(ロンシュエン)を討ちながら、自分たちだけで琉璃甲を分けていた。確かにこの件が武林に知れ渡れば五湖盟の威厳は失墜するだろう。黄鶴は臆病な于丘烽までも五湖盟に反旗を翻したことで、江湖(コウコ)の潮目が確実に変わってきたことを感じた。如意客桟の朝、周子舒は再び扮装すべく準備を始めた。高崇(ガオチョン)はなぜか張成嶺(ジャンチョンリン)から琉璃甲を得たと公表せず、まだ成嶺を狙う輩は多い。そこで武林大会まで目立たぬよう正体を隠すことにしたのだが、ちょうど部屋に温客行が現れ、止められてしまう。「安心しろ、私は″面倒の親玉″なんだ、あらゆる面倒は私を避ける、心配ないさ」「大善人のフリの次は面倒の親玉か?」「フリではない、私は本当に善人だ」温客行は扮装を嫌ったが、机に並ぶ化粧道具には興味津々だった。すると周子舒は叩頭して弟子になるなら扮装術を教えてやってもいいという。「ふっ、ただの小手先の技だろう?門外不出の秘術でもなし…(ボソッ で、お前の扮装術は誰にでもなれるのか?」「誰しも話し方や動きの癖があり特徴がある、だから成り済ます相手を熟知していないとバレてしまう ただし相手と面識のない者なら騙せるだろう」「では…私がお前に化けたら傻徒弟を騙せるな、ふっ」「お前にこの風格を醸し出せるかな?」ぶははは~♪(*≧∀≦)人(≧∀≦*)わははは~♪ ( ゚ェ゚)←視聴者 艶鬼こと柳千巧(リウチエンチャオ)は扮装術でかつての情人・于丘烽に成り済まし、丐幇を焚き付けた。谷主はまだ于丘烽を忘れられない自分にこの役回りを命じたが、いざ扮装してみると今でも于丘烽の全てを鮮明に覚えていると実感する。「やっと逃れたのに…どうしてこの思いは消せないの…」↓ベリベリベリ~って何て明智小五郎スタイル長明(チョウメイ)山から剣仙がお出ましになった。高崇は岳陽派総出で出迎えたが、門前にいたのは白衣の若い男で、誰もが剣仙の使いだと誤解する。「お前が高崇か?…すると隣が沈慎(シェンシェン)?ってパンダか?!(´゚艸゚)∴ブッ」すると白衣の男は高崇に″山河令″を投げ渡し、葉白衣(イエバイイー)と名乗った。山河令とは鬼谷討伐の令牌、かつて初代″山河令″の持ち主は鬼谷が江湖に危害を加えた時、山河令を持つ者が長明山の剣仙を招くことができると約束したという。「山河令の誓いが果たされる時、青崖(セイガイ)山は滅ぶ 剣仙は大会後に約束通り、令牌を持つ者と共に青崖山の鬼谷を討つであろう」高崇は若者に漂う威厳に面食らい、さすが伝説の達人である剣仙の継承者だと敬服した。その夜、張成嶺の部屋に突然、弟子に成り済ました周子舒が現れた。成嶺は感激のあまり思わず師匠に抱きつき、英雄大会のことを考えると眠れないと訴える。実は高崇は琉璃甲を手に入れてもなお、娘を成嶺に嫁がせるつもりだった。しかも英雄大会で2人が鏡湖(キョウコ)派を再建すると公表し、婚儀は数年後でいいという。成嶺は自分が消えたら高崇と高小怜(ガオシャオリエン)に恥をかかせてしまうと心配した。高崇の思惑が読めない周子舒はひとまず静観しようと言ったが、その時、門弟が食事の片付けにやって来る。<コンコン!張公子!食事の片付けを…( ゚ロ゚)<自分で片付けるよ!しかし師匠はそのわずかな隙にすでに消えていた。周子舒は高崇の行動に戸惑った。琉璃甲を渡した成嶺にもう価値はないはず、しかも高崇に息子はなく一人娘しかいない。成嶺を丸め込むにしても一人娘を嫁がせる必要はなかった。…まさか高崇、老いて悔い改めたとでも?それとも容炫を陥れた罪滅ぼしか?容炫と言えば周子舒は温客行の奇行が報復ではないかと考えた。…俺の読みが正しければ老温(ラオウェン)は容炫の子だ、機を見て過去の怨恨を解きほぐさねば山河令を手にした高崇たちはついに悪鬼たちが出入りする羅(ラ)府へ乗り込んだ。「白髪に朱の衣と言えば薄情簿主…お前が喜喪鬼だな!」高崇は主人の羅浮夢(ルオフーモン)を生捕り、英雄大会でその首を捧げると息巻いた。葉白衣が酒楼で食事をしていると、いつの間にか人だかりができていた。食事を初めてすでに3刻近く、葉白衣は黙々と食べ続けている。そこへちょうど周子舒と温客行が上階から降りてきた。すると葉白衣は銭を出してくれる者を募り、出してくれたら願いをひとつだけ叶えるという。驚いて蜘蛛の子を散らすように帰ってしまう野次馬、その時、温客行が名乗りを上げた。「私が出そう!…温客行だ」「私は葉白衣」温客行はまたも周子舒に銭を出せと強要したが、葉白衣はもし周子舒が出すなら断るという。「お前の頼みは聞けぬからな…なぜ瀕死なのにピンピンしている?」周子舒は一目で自分の状態を見抜いた男に困惑したが、それ以上に何も知らなかった温客行は呆然となった。「ふっ、次々と珍事が起こる、武林も盛り上がってきたな…いいだろう、帰って考えてみる 次は酒をおごってくれ、良い案が出るやも知れぬ」その日は激しい雨になった。于丘烽はまだ息子を見つけられず居所に戻ったが、その時、死んだと思っていた柳千巧が現れる。かつて千巧と于丘烽は恋仲だった。しかし2人の関係が武芸の達人である于夫人の知るところとなり、千巧は夫人から殴打と剣を浴びせられ、さらに衣も、顔の傷を隠していた扮装も剥ぎ取られて街を3日間も引き回されてしまう。江湖を追われ鬼谷へ逃げ込んだ千巧、すると于丘烽は雨の中で千巧を強く抱きしめた。「千巧、こうしてお前と再会できた、今ここで息絶えても悔いはない…」于丘烽はそのまま千巧の首に手をかけたが、結局、決断できなかった。「もうやめて、あなたには手を下せないわ…」千巧は于天傑が纏魂糸(テンコンシ)で死んだと教えた。纏魂糸と言えば吊死鬼(チョウシキ)の暗器、于丘烽は鬼谷に殺されたと分かったが、実は吊死鬼は反逆して悪鬼たちに追われる身になったという。「息子を殺されたあなたと共通の敵を追っている、だから私が訃報を伝えに来たの」于丘烽は鬼谷を敵に回すことを恐れ、慌てて千巧の手を握りしめ、情にすがった。「私には負い目がある、お前を疑うべきじゃない 誰が私を裏切ろうと、お前だけは私を傷つけない、そうだろう? お前に償うためなら何でもすると誓う!」しかし千巧は黙って帰ってしまう。…谷主の言う通り、早く断ち切るべきだった…こんなに傷つけられたのに、なぜ忘れられないの?…こんなことなら孟婆湯(モウバトウ)を飲めばよかったその夜、温客行は阿絮の部屋で酒を飲みながら、白衣の男の話を確認した。「時々、発作が出る例の古傷のせいか?…なぜ傷を負った?」「…長く生き過ぎて多くの罪を犯した、せめて生きている間に少しでも償いたい、自分でやった」「はあ?!」そこで今度は周子舒が核心に迫った。「老温、本当の姓は″容″では?…お前は容炫の子ではないのか?」周子舒は五湖盟と江湖に父を殺された老温が複製した琉璃甲を使って報復したと思っていた。しかし温客行の顔色が一変、自分の姓は″容″ではないと否定し、出て行ってしまう。「もういい、酒がまずくなった」周子舒は自分の見当違いだったと分かった。とは言え、老温の行動や五湖盟への敵視は他にどう解釈できるだろうか。すると突然、葉白衣が訪ねてきた。「ついて来い」葉白衣は周子舒を外へ連れ出した。「借りを返しに来た、傷を治す方法を考えたぞ、死んでも知らんがな」「私がいつ借りを返せといいましたか?」すると葉白衣がいきなり周子舒の胸ぐらをつかみ、2人は数手ほど交える。「四季山荘の秦懐章(チンホワイジャン)の弟子か?」「いかにも、師父は江湖の老大家(ロウタイカ)、普通は荘主と呼ばれる(ムッ」「老大家だと?ふん、ひよっこが私の前で粋がるか?」周子舒は困惑した。この葉白衣という男、若くても世紀の達人のような風格があり、確かに相当の腕前だ。しかし師匠を侮辱されて黙っているわけにいかない。「相手になろう」周子舒はついに宝剣・白衣を取り出した。葉白衣は周子舒の剣が見たいと言った。「もう忘れたか?私が葉白衣だ」…白衣?まさか、この剣の銘(メイ)はこの人の名なのか?…だが白衣剣は100年前の魔匠の作のはず、一体、今いくつだ?周子舒が困惑していると、その隙に葉白衣が剣を奪ってしまう。「うむ…この剣は確かに私がお前の師父に贈ったものだ」↓剣仙www目が寄り過ぎてwww葉白衣はしみじみ剣を眺めた後、周子舒に返した。↓返す時は普通wすると周子舒は剣を納め、拱手して謝罪した。「晩輩が失礼を、前輩への先の無礼をお許しください」「お前が傻小子の徒弟なら適当な治療で死なせるわけにいかぬな…傷の具合を見せてみろ」しかし周子舒は拒否、2人はふたたび手合わせとなった。そこへ温客行が現れ、阿絮を助け出す。「何をする?!」つづく( ๑≧ꇴ≦)あははは~!武侠もの楽しい!そしていきなり江戸川乱歩の2時間ドラマとかw
2022.07.04
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※原作はBL作品ですが当ブログでは非対応です山河令 Word of Honor第12話「孤勇」張成嶺(ジャンチョンリン)の厚い信頼に応えるべく、ついに弟子入りを認めた周絮(ジョウシュー)こと周子舒(ジョウズーシュー)。そんな2人の様子を見ていた温客行(ウェンコーシン)は思うところあり、独り川辺で月を眺めていた。すると周子舒が酒を持ってやって来る。「成嶺を弟子にした理由を知りたいか?」周子舒は幼い頃、師匠から人が貴ぶべき品性とは″仁″と″勇″だと教えられた。先賢は″勇″を気勇、血勇、骨勇、神勇に分けたが、一方、師匠が評価したのは″孤勇″だったという。″孤勇″とは不可能と知りつつも挑み、人心が測り難くともあえて信用する勇気のことだった。「老温(ラオウェン)、この年になれば誰かに心を開くのは難しい 自分ができぬことを求めはせぬ、だから先手を打とう…お前に賭けてみる!俺はお前を信じるよ」翌朝、周子舒は旅立つ前にまず張成嶺の身体から不吉な異物を取り出すことにした。琉璃甲(ルリコウ)に興味はないが、このまま放置しているのは成嶺の身体のために良くない。しかし成嶺にとって琉璃甲は父に関わる大事、英雄大会で語られる琉璃甲の来歴が気になっていた。すると温客行が来歴を知りたいなら教えてやるという。「私ほど詳しく知る者は天下におらぬ…」老温?(*´・д・)(・д・`*)温叔?…20年前、突如、江湖に現れた無名の達人、封山(ホウサン)剣・容炫(ロンシュエン)容炫は天下の武芸は源を同じくし、私心を捨てて武芸を教え合えば前人未到の絶技を編み出せるという奇説を唱えたこれに感銘を受けたのが若き日の高崇(ガオチョン)・趙敬(ジャオジン)・陸太冲(ルータイチョン)・張玉森(ジャンユーセン)・沈慎(シェンシェン)だ5人は容炫を中心に集まり、千年に及ぶ武林の伝統を改変して新体制を作ろうと躍起になったやがて幻想に取りつかれた容炫は奥義書の収集を開始、搾取や強奪など悪行を重ねてしまうそして傑出した若者はいつしか憎悪と非難の的に成り果てた容炫は度々、襲われ負傷、しかし幸いなことに妻である神医谷(シンイコク)・岳鳳児(ユエフォンアル)の医術で救われるこうして数年かけて集めた無数の奥義書は秘密の場所に作った武庫に収められた容炫は武庫を封鎖してその鍵を5個に分け、5人の親友に分けるしかし当時の五湖盟の盟主が容炫の殺害を号令逃げ場を失った容炫は青崖(セイガイ)山との境界線で虐殺を繰り広げ、最後は自害した…張成嶺は自分が聞いた話とは違うと困惑した。すると温客行はまだ続きがあるという。…容炫の自害後、悪鬼が青崖山を飛び出し、武林と戦いを繰り広げたこの戦いは凄惨を極め、双方の被害は大きく、武林は没落し、鬼谷も衰退してしまうそのおかげで20年間、平安が続いたのだ生き残った者は誰もが友人や家族を失っていたしかし戦いの発端はくだらぬこと、結末も輝かしくはないため、人々は真相を隠したという…張成嶺は武庫に眠る奥義書をめぐって大勢の者が死んだと知った。ここで自分だけが保身に走ることはできない。成嶺は琉璃甲を守ることが父の遺志だったと思い出し、英雄大会にも鏡湖(キョウコ)派の生き残りとして参加したいと訴えた。すると周子舒は戻るなら琉璃甲を五湖盟に渡すよう命じる。「人は生涯、尽力しても一門の武芸に精通できない 武庫を開けたところで何になる?欲念にたたられるだけだ」周子舒は張掌門がこだわったのは琉璃甲ではなく、義兄弟の絆だと指摘した。そもそも武庫に執着していたなら、20年前に開けていただろう。「容炫前輩も張掌門も亡くなり、2人はあの世でお前が自分の人生を歩むよう願っているはずだ 欲念にとらわれた人々は俺の手に追えぬ、しかしお前の世話ならできる 面倒ごとを引き起こす物は捨ててしまえ」一方、張成嶺が連れ去られた岳陽派では内通者の存在が疑われた。そこで高崇は昨夜、事件の起きた際に部屋にいなかった者を崇武(スウブ)殿に集める。顧湘(グーシアン)もその1人だった。「所在を明らかにして自ら嫌疑を晴らし、皆のわだかまりを解いてもらおう」すると高崇は真っ先に見慣れない娘に目をつける。「初めて見る顔だ、どの門派だ?」驚いた高小怜(ガオシャオリエン)は顧湘が曹蔚寧(ツァオウェイニン)の友人で、自分が面倒を見ていると説明した。( ≧ꇴ≦)b.oO(ナイスアシスト!しかし安心したのも束の間、小怜は顧湘が成嶺の旧友でもあると教えてしまう。( ꒪ͧ⌓꒪ͧ).oO(天然娘め、コイツッ!余計なことを…成嶺と顔見知りだと知った高崇は顧湘を怪しみ、昨夜どこにいたのか追及した。追い詰められる顧湘、その時、曹蔚寧が現れる。曹蔚寧は顧湘をかばい、実は顧湘は昨夜、自分と一緒だったと証言した。ワオ!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<ザワザワ…周子舒と温客行は張成嶺を岳陽派の近くまで送って行った。「成嶺、琉璃甲を渡したことをできるだけ大勢に広めろ、英雄大会の後、師父が迎えに行くからな」(*゚▽゚)*。_。)コク「傻小子、余計なことは言わずに曖昧な態度を貫け、五湖盟の奴らは悪賢い 奴らの企みは見て見ぬふりをしろ、英雄大会で立場を明かせ」温客行の助言を聞いた成嶺はまるで子供のように抱きついた。「温叔、ありがとう…これからも私たちと同行しませんか?阿湘姐姐も一緒に…」すると周子舒が成嶺を温客行から引き離した。「温叔のしつこさまで学ばなくていい、さあ行け」温客行は張成嶺が岳陽派に入る姿をじっと見つめていた。「五湖盟は悪人ばかり…お前の傻徒弟が心配でたまらぬ」それにしても毒蝎はどうやって周子舒の偽名や成嶺との関係を知ったのだろうか。すると周子舒は温客行が漏らしたのかと悪戯っぽく聞いた。温客行は気まずそうな顔をしたが、確か五湖盟に成嶺を届けた時、自分から周絮と名乗ったはずだと指摘する。「ふっ、まあいい、琉璃甲を手放した成嶺にもう用はないはず… 英雄大会が終わったら成嶺と高跳びする」しかし温客行はまだ不安そうに正門を見つめている。「ほら、行くぞ?…何だ、まるで子を心配する母親だな」「…で、これからどうする?」「酒を飲みながらひなたぼっこだ」周子舒と温客行は露店で酒を飲みながら、無意な時間を過ごした。「阿絮、思ったんだ…生き長らえ、ひなたぼっこをし、こうして誰かの名を呼べる…幸せだ」「幸せだな…」←加山雄三かっ?!wその頃、張成嶺は師匠の言いつけ通り高崇に琉璃甲の所在を明かし、自ら腹を切って取り出した。温客行は英雄大会までの間、何か暇つぶしがないか考えた。すると周子舒は同じ相手に割を食わされたのは初めてだと悔しがり、温客行に毒蝎への報復を持ちかける。一方、事情を知った小怜は慌てて成嶺の見舞いに駆けつけた。「苦労したのね…ゥッ…父は意固地で感情を表すのが苦手なの、でも私は知ってる この数年、父が日夜、心を砕いてきたのは五義兄弟の絆を修復して五湖盟の栄光を保つためだと… 父を信じて琉璃甲を渡してくれてありがとう」小怜は父を救うためにも成嶺との縁談を受け入れるつもりだと話し、慌てて出ていった。小怜と入れ違いに顧湘が成嶺の部屋にやって来た。「全部、聞こえたわよ~ふふ、でもどうして戻ったの?」「それが師父と温叔に勧められたんだ」「師父?…周絮に弟子入りしたの?!おめーっ!」すると成嶺はあの夜、自分をかばって怪我をした顧湘に薬を分けた。高崇はついに鏡湖派の琉璃甲を手に入れた。恐らく太湖(タイコ)派と丹陽(タンヨウ)派の琉璃甲は鬼谷の手に渡ったはず、そこで念のため大孤山(ダイコザン)派の琉璃甲も預ることにする。沈慎は渋々高崇に渡したが、そこへ龍淵(リュウエン)閣に出向いていた趙敬が戻って来た。「英雄大会で琉璃甲の来歴を話すため、人を遣わしてくださるそうです」安堵した高崇は二弟を労い、これも剣仙を呼び損ねた五弟のせいだという。すると沈慎は長名(チョウメイ)山で何日も呼びかけたが応答がなく、人の気配もなかったと釈明した。「そうだ、二弟よ、朗報だ…張家の琉璃甲を得たぞ」「おめでとうございます!大哥!」しかし高崇たちはまさか琉璃甲のひとつが晋(シン)王に渡ったとは知る由もなかった。周子舒と温客行は毒蝎が張成嶺を監禁した分舵に向かった。しかしすでに分舵の影も形もない。どうやら内情を発覚することを恐れた者が自ら痕跡を消したのだろう。周子舒には見当がつかなかったが、温客行は無常鬼(ムジョウキ)が自分の目を盗んで毒蝎と手を組んでいると気づいていた。…愚か者たちは気づくまい、奴らが暗躍するほど私は目標に近づくのだ…顧湘が清雲館に駆けつけると、上階で周絮と温客行が仲良く酒を飲んでいた。どうやら主人はまた病鬼とつるんでいるらしい。すると温客行は適当な理由をつけて岳陽派を出るよう命じた。「阿湘、暇を出す、避暑地にでも遊びに行っていいぞ」「…主人?私はこのまま岳陽派に残って、英雄大会まで成嶺を守ります、ほら?あの子マヌケだし…」その時、顧湘を付けていた曹蔚寧が現れた。実は誰かが阿湘を文で呼び出したと知り、きっと相手は温公子だと分かったという。「だから焦ったんだ、阿湘を連れて行ってしまうのではないかと…」周子舒は顧湘が岳陽派を離れたくない本当の理由に気づいた。そこで曹蔚寧に自分がすでに病が重く命も長くないと話し、動けるうちに知己と遊歴したいという。「だから阿湘を信頼できる者に託せるといいんだが…」「周兄、温公子…私ではどうですか?」つづく(  ̄꒳ ̄)武庫うんぬんの話…全然、意味が分からん…www
2022.07.03
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第2話「元宵節の夜」方海市(ホウハイシー)は暗衛営の指揮使(シキシ)である方諸(ホウショ)の直弟子でありながら、出仕を許してもらえなかった。不満が募る海市、そんなある晩、偶然、師兄たちの話を小耳に挟む。実は皇宮の東門から西に5丈の場所に木があり、その後ろがちょうど死角になっているというのだ。そこで早速、覆面に黒装束姿で皇宮に忍び込んだが、呆気なく兄弟子・方卓英(ホウタクエイ)に捕まってしまう。(,,Ծ‸Ծ,,)<私より武芸のできない新米が護衛の当番に選ばれてるのに…ブツブツ今年も元宵節(ゲンショウセツ)がやって来た。灯会で賑わう都・天啓(テンケイ)、実は旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)にとっても忘れることのできない大切な日だ。当時、褚仲旭は盟友の方鑑明(ホウカンメイ)と街へ出かけ、偶然、美しい娘とすれ違った。一目で心を奪われた褚仲旭は運命を感じ、その娘から強引に仮面を外してしまう。侍女は失礼な公子に激怒し、思わず声を荒げた。『無礼者!この貴人をどなたと…』『知っている、注輦(チュウレン)の紫簪(シサン)だ!…私は褚仲旭』それが2人の出会いだった。元宵節の晩、海市は師匠のため元宵を手作りするつもりだった。しかし暗衛営の陳哨子(チンショウシ)が指揮使を迎えにやって来る。落胆した海市はまた貴人のお出かけかとぼやいたが、師匠に叱られ、部屋から追い出されてしまう。「指揮使、護衛は必要ないという陛下の命に背いて暗衛営を動かせば、君臣の間に溝ができるかと…」「大微の皇帝は万世一系、血脈を守らねば…」方諸はその代わり皇帝に気づかれないよう配下たちに距離を保って護衛するよう指示した。褚仲旭は方諸と2人で賑やかな灯会に出かけた。しかしふと紫簪との出会いを思い出し、急に焦燥感に襲われて仮面を外してしまう。一方、海市も退屈しのぎに街へ出ていた。すると護衛当番のはずの卓英が現れる。「今日の持ち場は会仙楼(カイセンロウ)なんだが、賑やかな様子を見ていたらつい足がここへ…へへっ」その時、玉飾りの露店が目に留まった。店主の話では同じ玉から彫ったもので″永遠に共に…″という意味があり、恋人への贈り物に最適だという。卓英は霽風(セイフウ)館には独り身ばかりだと大量に買い占め、海市にもひとつ渡したが、海市はいらないと返した。褚仲旭が仮面を外したせいで人混みに紛れていた刺客が簡単に皇帝を見つけた。「陛下だ、そばにいるのは方鑑明だろう…今すぐ全員、ここに集めろ」その頃、褚仲旭は店先で元宵を食べている男女を見かけ、足を止めた。仲睦まじい2人の姿に自分と紫簪を重ねる褚仲旭、あの頃はこのまま2人の幸せな人生がいつまでも続くと信じて疑わなかった。「腹が減ったな…」褚仲旭は空いた席に座って元宵を食べることにしたが、方諸はいつ残党に狙われるかと気が気でない。その時、夜空に花火が上がった。海市は卓英と通りで立ち止まり、花火を見物していた。すると怪しい男と肩がぶつかり、海市はその男を追跡することにする。卓英はちょうど目の前の露店で絹糸を選んでいる美しい娘に見とれ、海市が消えたことにも気づかなかった。しかしふと目を離した隙に娘を見失ってしまう。付近を探し回る卓英、そこでようやく海市がいないと分かった。刺客が続々と集結、剣を片手に露店の方諸に襲い掛かった。方諸は皇帝を巻き込まないよう刺客を引きつけ通りで応戦する。その時、刺客を尾行して来た海市が露店にいる皇帝に気づいた。父の敵である皇帝に近づこうとする海市、しかし、突然、刺客に襲われてしまう。海市は瞬時に避けて後ずさりすると、師匠と合流した。「自分と陛下の身を守れ」「狙いは師父では?」「うるさい!」すると方諸は海市を元宵の露店まで放り投げた。恨めしそうに皇帝を警護する海市、そこへ待機していた暗衛営が駆けつける。「先に戻れ!」方諸は街から飛び出し、刺客を誘き出した。海市は師匠を追いかけようとしたが卓英が捕まえた。「戻れとの命だ」すると褚仲旭は自分を睨みつけていた少年に興味を持つ。「あの者も霽風(セイフウ)館の?」「名は方海市、指揮使の弟子です…まだ若く世間知らずです、無礼はお許しを」陳哨子(チンショウシ)は慌てて拝跪し、謝罪した。方鑑明の暗殺は失敗した。全員が鑑明に殺されたと聞いた蘇鳴(ソメイ)は情報を漏らさぬための口封じだと気づく。「恐らく私が黒幕だと気づいたやもしれぬ…しかし陛下にも知らせぬつもりだろう」かつて逆賊を討った六翼将(ロクヨクショウ)のうち、今も朝廷に残るのは蘇鳴ただ1人だった。誰よりも皇帝に信頼されていると自負する蘇鳴、いくら皇帝と共に育った方鑑明でも自分には敵わないだろう。「全員、慎重に行動するよう命じるのだ」卓英は師匠のため薬を準備した。しかし持ち場を離れていた後ろめたさから、怖くてなかなか届けることができない。海市は仕方なく代わりに持って行くことにした。「宮中に忍び込んだ件はこれで帳消しね」すると海市は師匠がちょうど衣を脱いで身体を拭いている姿を見てしまう。帷(トバリ)越しでも分かる師匠の鍛え抜かれた大きな身体…。海市は初めて胸のときめきを感じ、薬を置いて慌てて出て行った。海市はこの日を境に師匠を男性として意識するようになった。何とも居心地が悪くなり自然と師匠を避けてしまう海市、しかし方諸は海市の様子がおかしい理由が分からず困惑する。一方、宮中には外交関係を結ぶ注輦から奏状が届いていた。褚仲旭はどうせ銭か穀物の要求だろうと言い捨てたが、蘇鳴は吉事だと報告する。実は注輦王が人質だった四弟・褚季昶(チョリチョウ)の帰国を許したというのだ。褚仲旭は久しぶりに心からの笑顔を見せたが、まだ話には続きがあった。「四殿下と一緒に緹蘭(テイラン)公主がやって来ます 大徴と注輦は代々、姻戚関係を結んでおり、緹蘭公主を陛下に嫁がせたいと…」すると褚仲旭の顔色が一変、妃なら大勢いると和親を拒否する。しかし蘇鳴は破談にすれば褚季昶の身が危険だと説得した。「注輦が大徴に歯向かうとでも?ありえぬ…それより蘇鳴、元宵節の日、朕は刺客に襲われた そなたは黒幕を誰だと考える?」「分かりません!(即答)」「…誰の仕業かは知らぬが、標的は朕ではなかった、ふっ、実に面白い」「陛下の威光に刺客も怯えたのでしょう」蘇鳴は決して尻尾を出すまいとこらえた。「…蘇鳴よ、注輦王に伝えよ、すべての要求に応じるとな」綾錦司(リョウキンシ)の典衣・鞠七七(キクシツシツ)が方諸を訪ねた。「公爺…」「清海(セイカイ)公はもうこの世にいない」「失礼しました、指揮使は昔と変わらず、清らかで俗世にとらわれぬのですね」七七の報告では、鵠庫(コクコ)の情報筋から左菩敦(サホトン)王が黄泉関(コウセンカン)に向かったことが分かったという。しかし瀚(カン)州は春と言ってもまだ雪の日もあり、行軍に適した時期ではなかった。「引き続き調べてくれ」「はい…元宵節に刺客に襲われたと聞きました、生捕りした者から黒幕を?」「全員、始末した」すると七七は頼みがあると切り出した。実は近頃、目の調子が悪く、物がはっきり見えなくなったという。そこで両親がいない姪の鞠柘榴(キクシャリュウ)を宮中へ呼び、才能があれば自分の後継にしたいと頼んだ。方諸は信頼できる鞠七七の頼みとあって了承する。この時、卓英はまさか元宵節で一目惚れしたのが鞠典衣の姪だとは知る由もなかった。方諸が奥殿に戻ると、中庭で卓英と海市がじゃれ合っていた。2人にとってはよくある兄弟のたわむれだったが、方諸はこれが海市の異変の理由だと深読みしてしまう。「卓英、来なさい」方諸は卓英と海市が恋仲だと誤解した。「海市は弟弟だぞ、分かっているのか?「もちろん、だからからかっているんです」「では灯会で何をしていた?(2人で密会してたな?)「ぁ…(サボって玉を買ったり、美しい娘を見染めたことか〜)」「2人も年頃だ、恋することを禁じはしない、しかし職責を果たしてから…」「師父!誤解です!私は色恋にうつつは抜かしません! 兄としての立場を保ち、威厳を忘れません!」「まあ、それならいいが…」その夜、方諸が海市の寝殿にやって来た。(((ʘ ʘ;)))師父?!「最近、眠れぬのでは?」「はい…まあ」「座禅を組む、お前は部屋で」「はい」すると方諸は回廊に陣取り、的外れにも邪念を追い払うよう説いた。つづく( ๑≧ꇴ≦)しふぉ~www
2022.07.02
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第1話「 鮫人の涙」時は大徴王朝、漁師の娘・葉海市(ヨウハイシー)は父や叔父たちと海に出ていた。「父さんの指示は分かってるな?美女を見つけたら海面に誘い、鮫珠(コウジュ)をもらえ それで今年の真珠税を納められる」「うん!じゃあ潜ってくるね!」村一番の泳ぎ手である海市はこれから自分にどんな運命が待っているかも知らず、命綱をつけて海へ飛び込んだ。海市が海深く潜って行くと、やがて涙が斛珠になるという鮫人族と出くわした。美しい鮫人・琅嬛(ロウケン)に見とれる海市、すると息が続かなくなり苦しくなってしまう。驚いた琅嬛は少女の腕をつかんで海面まで送り届け、おかげで海市は無事に舟へ引き上げられた。しかし鮫人族を見つけた葉父たちは恐ろしい計画を実行する。葉父はいきなり娘の首を絞め、海市を殺そうとした。「父さんを許してくれ…すまない」琅嬛は娘の悲劇を嘆き、大粒の涙を流した。どうやら作戦は成功、金(キン)叔と柱(チュウ)叔は海に飛び込み、網で鮫珠を集め始める。一方、海市は必死で父の手に噛みついた。葉父はあまりの痛さに耐えかね娘から離れたが、勢い余って倒れ、腕が海に放り出されてしまう。すると血の匂いに誘われ、鮫の大群が現れた。葉父は娘を抱きしめ詫びた。「真珠税の取り立てがあまりにも厳しくて…鮫人の涙を集める最後の手段だったんだ…」その時、巨大な波が襲いかかり、海市たちの舟は転覆してしまう。琅嬛は鮫に襲われそうになった哀れな娘を助け、その手に鮫玉を持たせて舟に帰してやった。やがて日が暮れた。過酷な真珠税の取り立てに苦しめられる村人たち、その時、海市が戻って来る。海市は父たちが鮫に食べられてしまったと報告したが、持ち帰った鮫珠を将軍に納めて村人たちを救った。しかし将軍は見事な鮫珠に目が眩み、自分の懐に入れてしまう。「こんな貧しい村に鮫珠などあるはずない!陛下の命だ!真珠税が納められなければ身売りだ!」その時、漁村の近くを一台の馬車が通りかかった。将軍は証拠を消すため官兵に村ごと焼き払えと命じた。海市は将軍に捕まった母を助けるため、漁網の上に置いてあった鋏(ハサミ)で将軍の首を刺してしまう。「(はっ!)将軍が刺されたぞ!」「早くお逃げ!」葉母は海市を逃がしたが、後少しで山道へ出られるというところで転倒した。その時、突然、仮面の男とその弟子が現れ、九死に一生を得る。果たして仮面の男は味方なのか敵なのか。すると仮面の男は落ちていた鮫珠を拾って娘に返した。「そなたの名は?」「イェハイシィ」「うむ、私と共に都へ行くか?」海市は母や村人を守ってくれるならついて行くと条件を出した。そこで仮面の男は村人に手出しさせないと約束、海市に2つの道を示す。「私の館に来て女子として生きるなら安逸のみが得られよう だが、もし男子として生きるなら安逸以外の全てが得られる、どちらか選べ」「男がいい!」海市は迷わず男として生きる道を選んだ。仮面の男は海市を馬車に乗せると、唯一の弟子・方卓英(ホウタクエイ)に後始末を任せた。「あの子は当時のお前のようだ、正しく導けば必ずものになる」実は卓英も四年前、紅薬原(ベニヤクゲン)の乱のさなか、仮面の男に拾われていた。「村人の安全を確保せよ、霽風(セイフウ)館の密偵に官兵の素性を調べさせ、真珠の行方を突き止めよ」「はい、師父!」海市は恩人の馬車に揺られながら、いつか必ずこの恩に報いると約束した。「なぜ仮面をつけているのですか?」「怖いか?」「怖いです」すると恩人は黙って仮面を外し、その端正な顔立ちを見せてくれる。恩人の名は方諸(ホウショ)、皇帝直属の警護団・暗衛営の長である指揮使(シキシ)だった。その日、旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)はお忍びで狩りに出た。皇帝に危険が及ばぬよう狩り場には鳥や兎などの小動物が放たれたが、褚仲旭の狙いは暗躍するかつての政敵の残党だ。その時、草むらの間を抜けて走って行く鹿に気づいた。褚仲旭は衛兵たちが止めるのも聞かず鹿を追って林の奥深くへ、すると予想通り刺客が現れる。一方、海市が乗った馬車は天啓(テンケイ)へ続く林の中を走っていた。海市は窓から景色を見てみたが、偶然、2頭の馬を発見する。「先生、馬がいます」「…皇宮の馬か」すると方諸は再び仮面をつけて馬車を止め、趙(チョウ)叔にのろしを上げるよう頼んだ。「海市を連れて馬で逃げよ」褚仲旭と衛兵は刺客に包囲された。しかし方諸が駆けつけ、見事な武功で刺客を蹴散らし皇帝のもとへ駆けつける。「もう戻ったのか…息抜きもできぬ」一方、馬で逃げた趙叔たちの前にも曲者が現れた。「私がおとりになる、行け!」趙叔は馬の尻を叩いて逃がしたが、乗馬の経験がない海市に馬を御せるはずもない。「誰か~助けて!」馬にしがみついた海市は林の中へ迷い込み、自ら渦中に飛び込んで行った。「うわあーっ!」海市は馬から投げ出され、よりによって皇帝に直撃、押し倒してしまう。すると刺客が一斉に皇帝に襲いかかり、褚仲旭は咄嗟に少女をかばった。方諸が危ないところで2人を助けたが、その際、刺客に仮面を壊されてしまう。その素顔を見た刺客たちは呆然となった。まさか清海(セイカイ)公?!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<死んだはずでは?!やはり刺客は儀(ギ)王の残党だった。「儀王殿下の敵が2人そろったぞ!覚悟しろ!」褚仲旭は黙って方諸が残党を始末するのを見守っていたが、突然、右胸に矢が命中する。しかし衝撃を受け、膝をついたのはなぜか方諸だった。「潔癖なお前を血で汚すのは忍びない…狩りは終わりだ」褚仲旭はついに剣を抜いて応戦、そこへ暗衛営が駆けつけ、刺客は慌てて退散した。海市は目の前にいる男が皇帝だと知った。…この人が皇帝?真珠税のせいで父さんは死んだ、なのに救う手助けをするなんて…海市は思わず石をつかんで報復しようとしたが、方諸が咄嗟に止めた。復讐の機会を逃し、去って行く皇帝の背中を睨み続ける海市、その時、毒にあたった方諸がばったり倒れてしまう。褚仲旭は宮中へ戻った。側仕えの穆徳慶(ボクトクケイ)は胸に矢が刺さった皇帝の手当てをしようとしたが、なぜか追い出されてしまう。褚仲旭は独りになると鎧を脱いで衣をはだけた。しかし胸にはやはり矢傷がない。「傷が鑑明(カンメイ)の身体に…」一方、褚仲旭の代わりに深手を負った方鑑明こと方諸は霽風館に運び込まれた。危ないところだったが毒が全身に回る前に排出に成功、翌朝には床を離れる。すると寝所の前で海市が待っていた。方諸は暗衛営には常に危険がつきまとうと教え、後悔しているなら帰ってもいいという。しかし海市は恩返しを誓った以上、二言はないと答えた。海市は弟子入りの儀を終え、方諸の直系の弟子になった。そこで方諸は今日から自分の″方″を名乗ることを許し、海市の名は方海市になる。「小公子にご挨拶を!」暗衛営の配下たちは一斉に拝跪し、指揮使の新たな弟子を歓迎した。将軍・蘇鳴(ソメイ)は皇帝から暗衛営が捕らえた儀王の残党を任された。しかしどんなに痛め付けても残党たちは口を割らず、頭を抱えてしまう。「残党を根こそぎ絶やさねば陛下に顔向けできぬ…」するとその夜、何者かが門の外に残党を置いて行ったと報告が来た。どうやら殴られたようで気を失っている。「牢に入れて問いただせ」一体、誰がここへ運んできたのだろうか。方卓英が任務を終えて霽風館に戻ると、弟弟子が待っていた。「師兄!」「師兄なんて他人行儀だ、哥哥と呼んでくれ、新しい家族だぞ」すると海市は真っ先に母の様子を聞いた。「母さんなら無事だ、伝言を預かって来た ″母のことは心配いらない、学業と武芸に励むように″と…」卓英は懐から葉母に託された品を出した。「これは…父と母がずっと使っていた網針です、ありがとう、哥!」男として新たな人生が始まった方海市は師匠のもと稽古に励み、数年で武芸に熟達した。しかしいつまで経っても留守番ばかり、そこで師匠に出仕したいと訴える。「大人になったらだ」「師父…いつもその一言で退けるんですね」その頃、蘇鳴は儀王の残党の根城を襲撃し、最後の1人を追い詰めていた。「これはこれは…通平城(ツウヘイジョウ)の戦から出世の一途の蘇将軍 蘇将軍は敵がどこにいるかご存じないのか? あなたの父君を死なせた方鑑明は生き延び、銀面で正体を隠しながら褚仲旭に近侍しているぞ!」残党は数年前、狩場で面の外れた男の顔をしかと見たという。すると不倶戴天の敵の名を聞いた蘇鳴はいきなり残党を斬り捨て、配下に1人も逃すなと命じた。方諸は卓英と海市に弓術の腕試しを命じた。そこで海市は合格したら皇宮へ勤めに出てもいいか尋ねたが、方諸は何も言ってくれない。ともかく2人は中庭に出ると、交互に3射して最後に的に残った方が勝ちと決めた。先手の卓英は見事に的の中心に命中、しかし後手の海市が卓英の矢を弾き飛ばして真ん中に命中させてしまう。さすが小公子!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<見事な弓術だ!2射目も同様に海市は卓英の矢を吹き飛ばし、最後の3射目になった。海市はまた卓英の矢を弾き飛ばそうと矢を放ったが、その時、師匠が投げたつぶてが弓を弾き、外してしまう。( ゚ロ゚)!!<師父!「弓の技を磨くには心の鍛錬が必要だ…邪念を抱いて放つゆえ矢が定まらぬ、基本に返れ」すると方諸は精進するよう命じて行ってしまう。卓英は思わず出仕する域にはまだ達していないということだと言った。( ತ _ತ)チッ…つづく( ๑≧ꇴ≦)何が何だかさっぱり分かりません!w方諸=方鑑明だけど幼名かしら?そう言えば身代わりになっちゃう話、花千骨だったかな?ありましたね
2022.07.02
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