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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第26話「折れた簪」焉陵帝姫(エンリョウテイキ)・褚琳琅(チョリンロウ)は闘茶で清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)に完敗した。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は鑑明が相手で牡丹(ボタン)は上の空だったと揶揄し、気を利かせて鑑明に琳琅を送るよう命じる。しかし鑑明は城門まで見送ると、あとは陳哨子(チンショウシ)に任せて引き返した。一方、偶然、師匠と帝姫の闘茶の様子を見かけた方海市(ホウハイシー)は褚琳琅への疑念を深めていた。褚琳琅と言えば幼い頃から香と茶芸に秀でていたはず、時間が経って記憶が曖昧になることはあっても、一度、極めた技まで振り出しに戻るはずがない。しかし方卓英(ホウタクエイ)は海市が師匠に何かと接近しようとする帝姫に嫉妬して疑り深くなっていると気づき、思わず鼻で笑った。その夜、方鑑明が窓際に下げた捕夢鈴(ホムレイ)を眺めていると、陳哨子がやって来た。尼華羅(ジカラ)へ遣わした者が戻って来たが、帝姫の話の裏付けが取れたという。陳哨子が報告を終えて出て行くと、鑑明はふと綾錦司(リョウキンシ)の典衣・鞠柘榴(キクシャリュウ)の話を思い出した。実は海市の指摘を受けて密かに帝姫の香に注意していたが、確かに何か引っかかるという。すると回廊から陳哨子と海市の話し声が聞こえてきた。「小公子」「夜食を食べて来たんだ、もう寝るよ」海市は陳哨子と別れて部屋に戻ろうとしたが、その時、かんざしが落ちて割れてしまう。方卓英は海市に頼まれ、武郷(ブキョウ)侯府・周幼度(シュウヨウド)を昭明宮に招いた。その洒脱なたたずまいはまるで方鑑明のよう、しかし周幼度は高名な清海公と自分では月と蛍の光ほど違うと謙遜する。そこへちょうど卓英が香料を抱えてやって来た。海市は調香に詳しい周幼度から教えを請いたいと頼み、牡丹と蓮それぞれの香袋を渡す。すると周幼度は匂いだけで帝姫の愛用の牡丹の香だと分かった。「これは牡丹の花蕊(カズイ)・辟寒(ヘキカン)・月支(ゲッシ)など14種類の原料を混ぜて作る 一方、芰荷香(キカコウ)は燻した蓮に芸香(ウンコウ)や都夷(トイ)など7種類の原料を合わせる」ただし辟寒と都夷は相容れない性質のため、合わせて使うと全身に赤い発疹が出るという。例え同じ場所に置いておくだけでも全身に発疹が出るというのだ。周幼度は香譜で帝姫愛用の香の処方を見たことがあるため間違いないと言った。しかも手順を記したのは清海公だという。「つまり師父も調香を?」「私に聞かずとも身近な達人に聞けば済んだのに…クスッ」かつて都では若者たちが集まっては茶と香に興じ、中でも清海公が作る香は異彩を放っていた。しかし皇帝が即位後に質素を望み、今では下火になってしまったという。…師父も最初から帝姫を疑っていたのね、何かお考えがあるのかしら…↓( ゚ェ゚)oO(師父?…いや触角がないから違うw方鑑明が昭明宮に戻ると、涼亭にいる海市たちに気づいた。その時、偶然、香の匂いを確認しようとした海市と周幼度が近づき過ぎて頭をぶつけてしまう。2人の親密な様子に面白くない鑑明、すると海市が師匠の姿に気づいた。( ゚ロ゚)<師父!(; ̄▽ ̄)<お、おぅ…客人か?4人は一緒に食事をすることになった。周幼度はこの機会を利用して海市に姉妹がいるか聞いたが、海市はひとりっ子だという。「なぜだ?」「何でもない」都で見かけた海市を女だと見抜いていた周幼度、そんな周幼度を鑑明は密かに警戒した。海市が周幼度を門まで見送り昭明宮に戻ると、回廊で師匠が待っていた。そこで鑑明は海市にかんざしを贈る。「きつく叱り過ぎた」しかしそんな鑑明のあやふやな態度がかえって海市を傷つけた。「師父が弟子の過ちを正すのは当然のこと、謝罪の必要などないし、ましてやこれも受け取れません 私の気持ちはご存じでしょう?はっきり言ってください、あなたにとって私は何なのですか?」「…気に入らぬなら捨てればよい」すると海市は化粧箱を回廊に叩きつけ、かんざしが折れてしまう。その様子を偶然、卓英が見ていた。翌日、方鑑明は卓英を呼んで碁に付き合わせた。しかし卓英は昨夜の師匠と海市のことが気になって上の空、惨敗してしまう。「師父…海市をずっと従軍させるわけにいきません、嫁に行く年ですよ?女子に戻してやらねば…」「何を言い出すのだ?」「ここ数年、海市はかつての無邪気さがありません 私は誰よりも海市を理解しています、一度、心に決めたら想い続ける…師父? もし師父に師弟の情しかないのなら、いっそ海市の想いを断ち切ってやってください」「…何を言っている?出て行け、今すぐ!」鑑明は卓英に見透かされたようで激しく動揺し、思わず声を張り上げ追い出した。翌日、海市は宮中で帝姫の侍女に呼び止められ、清海公への招待状を預かった。そこで師匠の書斎を訪ね、帝姫から霜平(ソウヘイ)湖で行われる琴の鑑賞に招かれていると伝える。鑑明は招待状を受け取ったが、黙ってまた書物を探し始めた。「師父、何か申し付けは?…なければ卓英と市へ出かけます」「行きなさい」鑑明と海市の関係はさらに拗れていた。方卓英は海市に気晴らしさせようと街へ出た。すると酒楼で思いがけず周幼度と再会する。2人は周幼度を誘って街を散策、しかし海市は心ここにあらずだった。その時、海市はふと露店で売っているかんざしに目を留める。周幼度は海市の目線の先に気づき、造花のかんざしを選んで海市に贈った。まさか方鑑明の馬車が通りかかり、その様子を見ていたとも知らず…。鑑明は折れたかんざしを持って簪店に向かっていたが、結局、そこで昭明宮へ戻った。↓(´゚艸゚)師父…なぜだろう、切ないはずなのに笑ってしまうw方卓英と海市が昭明宮に戻るとなぜか帝姫の姿があった。清海公に琴を習いに来たが、来客中だという。どうやら師匠は鑑賞会に行かなかったらしい。海市は公務で忙しいと師匠をかばったが、褚琳琅は海市が清海公から詩や書を教わったと聞いていた。「小方大人、よければ私に手ほどきしてくれないかしら?」褚琳琅は琴を弾いて聞かせたが、正しく弾けず音を外した。すると海市はすぐ間違いを指摘、師匠から習った運指法で弾いてみせる。「この曲は今の時代とは指使いが異なるのです」その頃、方鑑明は廷尉・宗裕(ソウユウ)の聞き取りが終わり、門まで見送っていた。すると陳哨子が駆けつけ帝姫の来訪を報告、小公子が琴を指南しているという。一方、海市はこの機会に帝姫を探っていた。「帝姫は今日、牡丹香をお使いでしょう?」「鼻は利かないようね?今日、焚きしめたのは芰荷香よ」「牡丹がお好きと聞いて早合点してしまいました」「牡丹香も愛用しているけれど、あいにく今日は違うわ」しかし辟寒と都夷は相容れない性質、合わせて使えば赤い発疹が出ると海市は知っていた。褚琳琅は海市の腕前に感心し、ちょうど新しい香合があるので渡した。金糸細工の美しい香合、中には丸い香が入っているという。そこへ方鑑明がやって来た。「海市が掟を破り、師父としてお詫び申し上げます」褚琳琅は気にしていないと言ったが、鑑明は陳哨子に帝姫の見送りを頼んで海市を連れて行った。皇女が男に贈り物を渡したとなれば大事だ。方鑑明は香合を受け取った海市を厳しく叱り、今後、帝姫と接触するなと命じる。一方的に責められた海市は師匠も帝姫を疑っているはずだと言い返し、何を考えているのか教えてもくれないと嘆いた。しかし方鑑明は海市を守るため、関わるなと冷たい。「師父にとって私はそれほど信用ならぬ役立たずですか?!」海市は思わず不満をぶちまけ、部屋に戻ってしまう。鞠柘榴は帝姫の衣を仕上げ、少府監の施霖(シリン)に託した。褚琳琅は鞠典衣の刺繍を絶賛、如才ない施霖に褒美を渡して下げる。しかし帝姫の侍衛・張英年(チョウエイネン)はうっかり施霖の媚びた態度は目に余ると口をすべらせた。( ̄◇ ̄;)<ぁ…言葉が過ぎました鞠柘榴は帝姫が衣を気に入ってくれたと知り、もう一着作ることにした。すると腹心の蘇姨(ソイ)が頼んでおいた牡丹香を買って来てくれる。「これは前の時代から受け継がれている処方で高値で買わされました」そこで柘榴はこの牡丹香を次の衣に使うことにした。つづく(  ̄꒳ ̄)卓英と柘榴の話はほんわかするわ〜でもカットでw
2022.09.30
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风起陇西(ふうきろうせい)第二計「火に趁(ツケコ)んで打劫(ウバイト)る」蜀漢(ショクカン)の間諜・″白帝(ハクテイ)″こと陳恭(チンキョウ)は自分が司聞曹(シブンソウ)と曹魏(ソウギ)の諜報機関・間軍司(カングンシ)双方から疑われていると知った。ちょうど谷正(コクセイ)から会いたいと連絡が来たが断念、念のため林良(リンリョウ)に谷正にも警告を発しておくよう頼む。一方、陳恭の義兄弟・荀詡(ジュンク)は司聞曹の曹掾(ソウエン)・馮膺(フウヨウ)から裏切り者の白帝を始末するよう命じられ、天水へ向かっていた。すると国境で軍謀司(グンボウシ)司尉・高堂秉(コウドウヘイ)が待っている。抱き合って再会を喜ぶ2人、聞けば高堂秉は北伐失敗の後始末を任され、司聞曹と一緒に南鄭(ナンテイ)に移らず留まっていた。それにしても馮曹掾から凄腕を送ったと急報が届いたが、まさか荀詡だったとは…。「お前がなぜ外勤に?」「…馮曹掾に嫌われたのかなw」蜀漢・成都の丞相府。丞相府長史・楊儀(ヨウギ)は司聞曹が白帝を調べるため送り込んだ密偵が殺されたと諸葛亮(ショカツリョウ)に報告した。馮膺は損失を抑えるため荀詡を天水に派遣したという。荀家と言えば代々諸葛氏に仕える密偵、諸葛亮はふと幼い頃の荀詡に思いを馳せた。『劉備は太平の世を築けるのですか?』『私、諸葛亮が手を貸せば間違いなく築ける…荀詡、忘れるな この地に生きる誰もが値千金だ、大切にせよ』しかし未だ司聞曹に潜り込んだ曹魏の間諜の手がかりはなかった。「急いで突き止めよ、火種になり得る」高堂秉の話では白帝は張郃(チョウコウ)の作戦をつかんだ後、すぐ早馬を飛ばしていた。間軍司の司馬・糜冲(ビチュウ)はその動きを察知して暗殺部隊を派遣、使者は窮地に陥ってしまう。しかし使者は危ないところで次の使者に密書を託し、幸いにも楊儀の元に到着した。「だが白帝は暗号文を使っており、解読用の木版は馮曹掾が管理している 木版がなければ暗号文を解けるはずがない、つまり…」「ということは白帝に問題がなければ…馮曹掾が怪しいと?」「俺は言ってないぞ~w」すると高堂秉は荀詡から頼まれた精鋭たちは関所で待っていると教え、見送った。それから数日後、輔漢(ホカン)将軍・李厳(リゲン)は諸葛亮を弾劾する上奏文を準備、参内することにした。参軍の狐忠(コチュウ)はどうやら白帝が裏切ったらしいと報告、免職されて丞相を恨む李邈(リバク)から直接、聞いた話だという。「はお、これは突破口になる」実は弾劾は単なる芝居に過ぎず、司聞曹の掌握が目的だった。結局、皇帝への謁見は叶わなかったが、侍従の話では皇帝の耳にも曹魏の間諜が潜入している件が届いているという。「これより勅命を出し、将軍に司聞曹を引き継がせるそうです」李厳は皇帝から街亭(ガイテイ)の事案を捜査するよう命じられた。しかし諸葛亮の顔を立てて皇帝は楊儀を罰しなかったという。ともかく李厳は真相を突き止めるためにも人員を刷新すると決め、早速、狐忠と共に南鄭へ向かうことにした。天水の城門に雍(ヨウ)州・郭淮(カクワイ)都督の侍衛一行が到着した。金(キン)侍衛隊長は令牌を見せたが、門衛は郡守の命で西蜀の密偵を探していると断り、念のため馬車を調べさせてもらう。一方、糜冲は陳主簿への疑念を払拭できずにいた。腹心の梁倹(リョウケン)は牛記酒肆(ギュウキシュシ)から一足先に逃げ出した林良を見ていたが、記憶がおぼろげで似顔絵が上手く作れない。そんなある日、馬蹄の跡を調査していた配下が戻って来た。都督の役所から情報が漏れた日に5里圏内にいたのは軍馬のみ、しかし役所の南西にある林道でかすかに残った民間の馬の蹄跡があったという。当日、民間の馬で役所に来たのは陳恭だけ、糜冲は恐らく酒楼にいた男が協力者だと考えた。その頃、人けのない道を歩いていた陳恭は思いがけず雍州刺史・郭淮の侍衛隊に呼び止められた。陳恭は嫌な予感がして逃げようとしたが、いきなり殴られ拉致されてしまう。金侍衛隊長は郊外の山奥に穴を掘らせ、そこへ陳恭を放り込んだ。「お前は西蜀の間諜・白帝だな?すでに正体は露見している 今回お前は街亭に関する情報を盗んだ、証拠は明らかだ!」すると金侍衛隊長はその証拠に都督による直筆の書状と役所の令牌を見せ、仲間を吐けば命は助けると持ちかけた。しかし陳恭は頑なに濡れ衣だと否定、どんなに砂をかけられても決して口を割らない。その時、突然、荀詡が現れ、陳恭を助け出すよう指示した。( ゚д゚)え?おま…はっ!( ๑≧ꇴ≦)出ないぞっ!いくら白帝を調査するためとは言え、陳恭は荀詡の酷いやり口に腹の虫がおさまらない。そんな陳恭の顔を見た荀詡は相変わらずだと失笑した。一方、一向に手がかりをつかめない糜冲は苛立ちを隠せずにいた。しかし配下がついに民間の馬車の鮮明な馬蹄の跡を発見、報告に駆けつける。「ここに特徴的な溝があります!」「試してみる価値はあります」陳恭は荀詡を自分の家に案内し、しばらく工房の2階に隠れるよう勧めた。実は天水郡守・郭剛(カクゴウ)も白帝の正体を突き止めようと糸口を探しているところだという。荀詡は司聞曹の最高機密である″白帝″がなぜ漏れたのか首を傾げたが、陳恭は機密も何も司聞曹に曹魏の間諜が潜んでいると指摘した。「蜀龍(ショクリュウ)だ」恐らく荀詡の動向も筒抜けだろう。陳恭は確かに″張郃は番須(バンス)道を通り街亭を夜襲″と情報を送ったと訴えた。しかし丞相のもとへ届いた時にはすり替わっていたという。「司聞曹の者が来ることは予期していた…まさかそれがお前で、あんな方法を使うとはな」そこで荀詡は馮膺から渡された毒を塗った短刀を出した。本当なら尋問せずに始末するよう命じられたと明かす。陳恭は事情も調べず裏切り者だと決めつけられ、さすがに応えた。すると荀詡は自分も毒を飲んだと教え、白帝を殺さなければ毒消しをもらえないが、それでも真実こそ重要だという。その時、林良が工房の窓に石を投げて合図、慌てて姿を隠した。陳恭の家に突然、糜冲たちがやって来た。先の件で陳主簿を疑ったことを郡守からも叱られ、迷惑をかけた謝罪に来たという。陳恭は恐縮しながら母家へ案内しようとしたが、糜冲は勝手に納屋へ入り、荀詡がいる2階へ上がってしまう。万が一の時に備え金槌を隠し持った陳恭、しかし荀詡はいつの間にか1階に隠れて無事だった。陳恭は母家で糜冲に茶を振る舞い、率直に何を聞きたいのか尋ねた。すると糜冲は例の火事の件でいささか疑問があるという。「郡守にも聞いたが都督は病を患っており、ここ1年は郡守が手配した薬を陳主簿が毎月 届けていたそうだな、調合も手掛けていたとか」「司馬が調べた通りだ、で何を尋ねると?」その頃、林良は物陰から糜冲の配下たちが馬の蹄を調べているのを見ていた。「気をつけろ、その馬は蹴り癖があるぞ?」陳恭が警告した途端、梁倹はいきなり蹴り飛ばされてしまう。「糜司馬、これが謝罪なのか?」「失礼した…しかし馬と言えば不審な点がある」糜冲はあの日、役所の5里圏内にいたのは軍馬のみ、陳恭の馬車だけが違ったと言った。そこで役所の南西の林道で見つけた馬蹄の跡を見せる。「例えばの話だ…陳主簿が情報を送りたいなら情報を預けた従者を馬で行かせればいい そうすれば留置中の7日間で嫌疑を晴らすと同時に情報も送れる」「そこまで言われたら協力するしかないな」しかし陳恭の馬は全て馬蹄を新しく換えていた。郭剛は勝手に陳恭の家を捜索した糜冲に憤慨した。実は郭剛は陳恭に恩がある。かつて天水が奪われた時、当時の郡守・馬遵(バジュン)が無能なばかりに郭剛の軍が孤立した。郭剛は死を覚悟したが、その時、援軍を率いて現れたのが陳恭だったという。「命の恩人だが、だからと言って庇ったりはせぬ、調べるがいいさ、ただし真実を明かせ!」荀詡は曹魏が白帝にここまで肉薄していることに驚いた。「ひとつ気になる点がある…白帝の暗号文を知るのはお前と馮膺だけ、燭龍はどう偽情報を作る?」「本人に尋ねるしかあるまい…とは言え郭剛に情報を送る際、手がかりを残しているはず」情報を迅速かつ安然に送る方法は早馬しかない。曹魏は早馬の記録を残していたが、さすがにひと月も前の記録は残っていないだろう。しかし陳恭は数日前、燭龍が蜀漢の密偵に関する情報を送って来たことを思い出した。蹄の件で出し抜かれた糜冲だったが、配下が新たな成果を報告した。当時、上邽(ジョウケイ)は防衛線を3つ設け西蜀の間諜を警戒、各防衛線で通行証を確認していたという。そこで出火した時点から翌日の夕方、西蜀の間諜を殺した時点まで上邽を出た馬車と人々をしらみ潰しに調べてみたところ、翌日の巳の刻、入城する者に紛れ、城外へ出た馬車を見つけた。どうやら西蜀の間諜は検問の穴を突き、入城する馬車に成り済ましたのだろう。通行証に問題があれば、おのずと城外に出されてしまう。「これが白帝が情報を送り出した方法か…」その馬車の御者は吉利車馬行(キツリシャバコウ)の谷正、交易と消して魏と蜀を行き来していた。つまり白帝は盗んだ機密を南西の林にいた腹心に届け、腹心が谷正に渡したのだ。一方、谷正は漢中から届いた急報を赤帝(セキテイ)に渡し、吉利車馬行に戻っていた。白帝からはひと月も音沙汰なし、何かあったのだろうか。陳恭は妻・翟悦(テキエツ)が大巴(ダイハ)山にこもっていると聞いた。五仙道(ゴセンドウ)が勢いを増しているため、丞相から制圧を命じられたという。「張魯(チョウロ)の残党か?」「ああ、名こそ違うが実体は同じだ」荀詡は連絡するのは自分だけで他に知る者はなく、心配はないと安心させた。その夜、寝衣になった陳恭は肌身離さず持っている平安符を握りしめた。翟悦の平穏無事だけを願って来た陳恭、しかし結局、翟悦は危険と隣り合わせの道を進んでいる。この平安符は任務へ旅立つ朝、翟悦がくれたものだった。翟悦は元気でいるだろうか。つづく( ー̀ωー́ )これが白帝が情報を送り出した方法か~って…どれが( ゚ェ゚)?!よもや2話目でつまずくとはw↓あくまでイメージで
2022.09.28
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※今ならRakuten Vikiで日本語字幕付きが絶賛配信中!(2022.11月現在)虚颜 A Familiar Stranger第1集「小画师换脸替嫁温柔将军」女主の十七は女画師十七が描いた妓女たちの絵が評判となり鎏金坊は大繁盛、今日も妓女たちが十七に絵を描いてもらおうと集まっていた実は十七が妓女の絵を描くのには理由があるかつて遊戯街で行方不明になった姉を探しているからだ姉の肩には梅の花のアザがあったが、今日もアザのある妓女は見つからないそこへ突然、沈沁が現れ、十七に絵を依頼した十七は相国の令嬢がなぜ自分に絵を頼む必要があるのか戸惑い断ったが、沈沁は思わぬ条件を出す「姐姐に会いたくないの?」「姐姐?!姐姐がどこにいるのか知っているのですか?」「会いたいなら明日の戌時、芊影山荘で絵を描いて、そうすれば姐姐の居場所を教えてあげる」翌日の夜、十七は約束通り人里離れた芊影山荘へやって来たすると屋敷の寝所で沈沁と男があられもない姿で戯れている驚いた十七は慌てて引き返そうとしたが、沈沁は酒を取ってくるとごまかして衝立のそばまでやって来た「姐姐に会えなくてもいいの?」沈沁は自分たちの房事を書き終えたら姉の居場所を教えると約束した十七は衝立の小さな穴で二人を垣間見ながら絵を描き始めたしかしうっかり物音を立ててしまう危うく男に見つかりそうになった十七、すると沈沁は咄嗟に野良猫だとごまかし、十七は難を逃れた沈沁の房事の相手は寧王だった沈沁は父が決めた蕭寒声との結婚を破棄すると言ったが、寧王は笑い飛ばす蕭寒声と言えば鎮国公の唯一の子供、撫遠将軍に封じられていた「私を愛しているなら私たちの将来のためにも蕭寒声に嫁いでくれ」寧王はもし蕭寒声が利用できるなら沈沁を取り戻す方法を考えてもいいが、もし違うなら未亡人になってから正式に自分の屋敷に入れる日を待てという「孕っているの!」沈沁は愛する人を引き止めようと思わず口走ったが、寧王は顔も覚えていないような女も同じような脅し文句を使うと鼻で笑った「蕭寒声に嫁いで将軍夫人となり私のために役に立ってくれよ」十七は作画を完成させ寝所に戻ったしかしすでに寝台はもぬけの殻、すると中庭にある広い湯船に浸かっている沈沁を見つける「あなた好きな人はいる?」「私は…」「くすっ、その様子じゃいるのね 私にもいるわ、でも父は朝局を安定させるため、私を会ったこともない男に嫁がせるの」「私は幼くして両親を亡くしました、唯一人の姐姐とも何年も前から離ればなれです あなたの気持ちは私には想像もできないけれど、沈小姐、相国と話し合ってみては?」「ふっ、おめでたいわね…」沈沁は呆れて湯船の中へ潜ってしまう十七は沈沁が本当は姉の居場所を知らず、騙されて絵を描かされただけだと気づいた「帰ります、絵はここに置いておきますから…」しかし湯に潜った沈沁が一向に上がってこないことから、十七は心配になって湯殿へ引き返した「沈小姐?沈小姐?!…そんなに思い詰めないでください」十七は思わず屈んで湯船の中をのぞき込んだその時、突然、沈沁が現れ、十七に抱きついて湯船の中に引きずり込んでしまう山荘に外套をまとい、包帯で顔を隠した謎の人物が現れたすると沈沁は気を失った十七を寝かせ、まじまじと顔をながめる「美しい顔ね…でも今後は私のものになる…」つづく( ๑≧ꇴ≦)1話が正味10分という朝ドラ枠!現在5話まで視聴済み、今のところ面白い…というかこれからどうなるの?!
2022.09.27
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皎若云间月 Bright as the moon第1話「目覚めたら天聖王朝」…私は李蕓(リウン)、ネット小説家よごく普通に暮らしているけれど、実はベストセラー作家なのランキングの常連でファンも多いわそれなのにまさか私の人生が代表作と一緒に″更新″されてしまうなんて…李蕓の小説【俺様社長の指導帳】がランキング1位を獲得した。ファンが更新を今か今かと待ち望んでいる中、そんな人気小説に眉をひそめる男がいる。ある日、穆(ボク)グループの工事現場で漢代の墓が出土、計画が頓挫した。不運続きの穆小七(ボクショウシチ)は責任を負わされ、ついに父から副総裁を解任されてしまう。その時、ちょうど【俺様社長の指導帳】の更新の知らせが鳴った。「まただ…絶対におかしい…」更新された第30章にはまるで予言したように″古墓が出土する″という内容がある。しかも日付は7月20日だ。穆小七はまたも小説通りになったと憤り、作者である李蕓を問いただすことにした。穆小七はちょうどマンションから出て来た李蕓を捕まえ、なかば強引に自分の自宅へ連れて行った。「説明してくれ、私に起こるトラブルと小説の内容が同じだ、しかも小説の方が早い」7月27日の新聞を見せられた李蕓は自分が故意に穆小七を陥れていると疑われたことに気づく。穆小七は今日中に小説を削除し、今後一切、執筆しないと誓うよう迫った。言いがかりをつけられた李蕓は激怒、穆小七の不運と小説は関係ないと突っぱねる。すると穆小七はいきなり李蕓に口づけし、その間にパソコンの削除キーを押してしまう。小説は全て消去された。解放されたものの李蕓は怒り心頭、腹いせにスマホから新たな一文を投稿する。…彼は突然、失踪した、行方は分からない…すると穆小七は本当に行方不明になってしまう。翌朝、李蕓のマンションに突然、黒服の男たちが乗り込んできた。実は穆小七が失踪、最後に会ったのが李蕓だという。「一番、疑わしいのは君だ、一緒に来てもらおう」驚いた李蕓はスマホをつかんで部屋を飛び出し、咄嗟に屋上へ出た。「どこでもいいから私を逃して、捕まりたくない!」李蕓がメッセージで投稿していると、急に激しい頭痛に襲われ、倒れてしまう。その時、暗雲が立ちこめ、雷鳴がとどろいた。気がつくと李蕓は火事に巻き込まれていた。…ここはどこ?なぜここに?(はっ!)みんな死んでる、もしかしてあの世?私、死んだの?!…やがて李蕓は寝台の上で目を覚まし、夢を見ていたと分かった。しかしなぜか見知らぬ部屋で古装姿、さらに見ず知らずの古装の娘が現れる。「小姐(シャオジエ)~お目覚めになりましたか!良かった!」「ヒイィィィ~(゚ロ゚ノ)ノ!あんた誰よ!」「小姐~侍女の彩蓮(サイレン)です!」時は泰熙(タイキ)19年、ここは天聖(テンセイ)の帝都にある雲王府。何と李蕓は雲王府の跡取り娘・雲浅月(ウンセンゲツ)郡主になっていた。李蕓はこれも夢だと考え、どうせなら小説のネタにしようと思いつく。すると突然、混成魔王(コンセイマオウ)こと四皇子・軽染(ケイセン)が駆けつけ、雲浅月を強引に連れ出した。四皇子は雲浅月を助けに来たと言ったが、訳が分からない李蕓は男を殴って逃げ出した。すると市場で自分の似顔絵を持って聞き込みをしている官兵を見かける。どうやら雲浅月が有名な妓楼・望春楼(ボウシュンロウ)に放火したらしい。驚いた李蕓は咄嗟に停まっていた馬車に逃げ込んだが、中に乗っていたのは穆小七だった。「ちょーっ!なぜここに?!あんたのせいよ!失踪なんて嘘だったのね!」しかし男は黙って雲浅月を乗せたまま宮中へ向かってしまう。李蕓は長い宮道を歩きながら、ふとスマホを持っていたことを思い出した。…良かった~これで元に戻る方法を探せる…すると穆小七が突然、スマホを大きな水瓶の中に捨ててしまう。「宮殿に暗器を持ち込むとは何と大胆な…」「武器じゃない、スマホでしょう?!小七、何言ってんのよ!」しかし穆小七に瓜二つとは言え、その振る舞いは明らかに別人のように見えた。容景(ヨウケイ)は雲浅月を皇帝の前に突き出した。聞けば雲浅月は学がなく、あちこちで騒動ばかり起こす問題児、それでも祖父が功臣だったため皇太子の許嫁になったという。しかし今回ばかりは放火して死者まで出し、さすがに皇帝も見過ごせなかった。皇后は浅月が火をつけたと決まったわけではないとかばったが、かえって叔母の皇后が甘やかしたせいだと皇帝に叱責されてしまう。そこで皇太子が合図、秦(シン)都官が現場に落ちていたかんざしを差し出した。「これはご婚約の日、皇后娘娘(ニャンニャン)より下賜された金のかんざし 特別な場合しかおつけにならないとか…朝臣5名の亡骸のそばにあったのがこれです」しかも文官はこれまで雲浅月がやらかした数々の愚行を絵に残していた。李蕓は自分を陥れる魂胆だと呆れたが、ふと死んだら元に戻れると思いつく。٩( ‘ω’ )و <はお!罪を認めるわ!私を殺してちょうだい!驚いた四皇子は咄嗟に浅月と一緒にひざまずき、父皇に再調査を嘆願した。皇后も叔母として責任を取り、罰を受ける覚悟だという。これには皇帝も困惑し、冷静沈着な容景に意見を求めた。「郡主が死を望むなど通常なら考えられぬこと、癇癪のきらいがあるやもしれません まずは郡主を休ませ、回復されたのちに算段しては?」皇帝は容景の進言に納得し、雲浅月を雲王府に軟禁して調査を続けるよう命じた。( ー̀ωー́ )oO(どうしたら現実に戻れるの?女社長ならまだしも殺人犯なんて…チッ!四皇子は李蕓を雲王府まで送った。すると待ち構えていた雲王が放火事件を起こした孫に激怒、興奮して叩き始めてしまう。四皇子は咄嗟に間に入って雲王をなだめ、その間に李蕓は彩蓮と一緒に自分の部屋へ退散した。「で、景世子ってどんな人?」「栄(エイ)王府のお世継ぎです、天聖一の才人で財産家でもあります 文武はもとより商売の才能もおありなんです、皇上も一目置かれているとか でも栄王殿下と王妃は早くに亡くなり、王府を1人で管理しておられます 医術にも精通されているのですが、ご自身の病は治せないとか… お身体が弱いため、四皇子は弱美人(ジャクビジン)と呼んでいます」やはり穆小七と容景は無関係らしい。それにしても一体どうしたら戻れるのだろうか。李蕓は侍女を下げると、手持ち無沙汰で机にあった書物を開いた。「何なに?身体を借りて蘇る者は生者にあらず死者でもない… 寿命の長さは定まらず、遠からず、塵と消え、転生することもなし… え?!鏡を用いて確かめよ?」そこでちょうど机にあった鏡をのぞいてみると、李蕓の姿が消えてしまう。「やだ!私はこの世界に属してないってこと?! つまり私の命の火が徐々に弱まって、消えて灰になる… やだあ~!ここで死ぬわけにはいかない!死にたくな~い!」一方、屋敷に戻った容景は雲浅月の肖像画を描きながら昔を思い出していた。…あの夜、皇太子との縁談が決まった雲浅月は宴を抜け出し、独り池を眺めていたすると容景が通りかかる『雲郡主じゃないか、皆が探していたぞ?』『太子殿下に嫁ぎたくないの』『太子殿下も君が嫌いらしい、確かに雲郡主が教養がなく美貌も十人並みだとみんな知っている 太子どころか普通の家柄の男でさえ願い下げだ』『何ですって!』憤慨した浅月は思わず容景を突き飛ばし、池に落としてしまうしかし容景は泳げず、結局、浅月が助けることになった仕方なく何度か心臓を圧迫し人工呼吸をしようとしたが、そこで容景の意識が戻る『恥を知れ!』『私が助けたのよ?!』『分かったぞ?私が好きだから太子に嫁ぎたくないんだろう?』『はあ?!』『だって口づけしただろう?』『呼吸を助けるためでしょう?頭がおかしいんじゃない?』2人は揉み合っているうち一緒に池に落下、宮中は大騒ぎになった…容景は美しく成長した雲浅月の絵を完成させ、書斎に飾った。「あれから10年経った、出仕してすぐ君に会えるとはな…ふっ」翌朝、目を覚ました李蕓はまだ夢の世界にいると気づいて落胆した。何とか帰る方法はないものか。そこで彩蓮を身代わりにして屋敷を抜け出し、山奥へ向かった。(^ꇴ^)b<落雷に打たれれば魂が飛び出して家に帰れるはずよ!その時、雷鳴がとどろいた。「私はここよ!ここに落ちて!」すると李蕓の頭に雷が落ちてしまう。つづく( ゚ェ゚)今さら感がハンパないタイムスリップもの?確かにツンデレではあるが、果たしてこれが正解なのか分からないw
2022.09.25
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第25話「纈羅の花」翌朝、書斎にいた方鑑明(ホウカンメイ)は外から聞こえる卓英(タクエイ)の声で海市(ハイシー)が戻ったと知った。「その腕はどうした?(はっ)顔に血の気がないぞ?」「淑容(シュクヨウ)妃の治療で副薬用に少し血を抜いたんだ」「血を?!蘭茲(ランシ)での傷が癒えたとたん命知らずな真似を…」「淑容妃は命も危うい状態だったし…もう話は終わり、疲れた」「おい!」鑑明は窓紗から海市が部屋に戻る様子を見ていた。皇帝は気血を損ねた方海市のため昭明宮に補薬を届けさせていた。そこで方鑑明は自ら薬を煎じ、海市の部屋へ持って行く。額に手を当ててみたところ熱はない様子、その時、貧血で朦朧としている海市が鑑明の手をつかんだ。しかし鑑明はその手をそっと下し、帰ってしまう。一方、回復した緹蘭(テイラン)は大好きな書物に没頭していた。「淑容妃、お薬です…まだ静養が必要ですよ?」「…もう少し読ませて」「あとどのくらいだ?」その声は皇帝だった。すると褚仲旭(チョチュウキョク)は改心したのか、急に2度と緹蘭を冷遇しないと約束する。「霜平(ソウヘイ)湖へ行ってみよ、見せたいものがある」緹蘭は侍女たちと霜平湖へ向かった。すると驚いたことに一面に纈羅(ケチラ)の花が浮かんでいる。纈羅とは蓮に似た注輦(チュウレン)の希少な花で滅多に見ることができなかった。目を見張る緹蘭、恐らくこれが皇帝からの謝罪なのだろう。焉陵(エンリョウ)帝姫・褚琳琅(チョリンロウ)は宮中に戻るなり万人がひれ伏す勢いを得た。海市はそんな帝姫に違和感を持ち、成り済ましの可能性を疑う。確かに礼部が素性を徹底的に調べ、皇帝と昶(チョウ)王も認めたが、どうも引っかかる気がした。褚琳琅は見舞いがてら愈安(ユアン)宮に緹蘭を訪ねた。実は自分も尼華羅(ジカラ)に流れ着いた時、気候が合わず、1年の半分は病だったという。その後、縁あって学んだ調香により少しずつ回復、そこで自分が選んだ香料を渡した。「良ければ気休め程度に身につけてみて」褚琳琅はたわいない話をしてすぐ帰って行った。すると侍女・碧紅(ヘキコウ)は長年、落ちぶれていたわりに気取っていると嘲笑する。「淑容妃を見舞うふりをして宮中を探っていましたね」「異郷で苦労をしたから何事にも慎重になるのよ」緹蘭は無礼のないよう釘を刺したが、関わらないことが一番だと心得ていた。瀚(カン)州から知らせが届いた。敵に寝返った蘇鳴(ソメイ)は左菩敦(サホトン)王の参謀となり、小部族をいくつか滅ぼしたという。方鑑明は蘇鳴も手柄を立てることに必死でしばらく黄泉(コウセン)営を攻める暇はないと考えたが、天啓(テンケイ)の防衛は怠らないよう命じた。すると務めから戻った海市がやって来る。「実は気になることがあるので念のため報告します 今日の当番で帝姫に会った時、牡丹ではなく蓮の香りがしました 帝姫には不審な点があると感じます、尼華羅へ誰かを遣わし調べを…」しかし鑑明は皇帝が認めた帝姫を調べることは皇帝の判断を疑うことになると取り合わなかった。顧陳(コチン)氏が清海公を告発した案件は廷尉に一任されたが、証拠集めが困難で時間を有していた。しかし段(ダン)御史が朝議でしつこく清海公を糾弾、そこで宗裕(ソウユウ)は廷尉の審理期間は清海公を参内させず、政から遠ざけるよう嘆願する。すると方鑑明は配慮不足だったと認め、自ら職を辞し、調査に協力すると申し出た。褚仲旭は方鑑明を連れて敬誠堂(ケイセイドウ)に戻ると怒りを爆発させた。「狙いは兵権を奪うつもりだ!」「さようです」鑑明も分かっていたが、群臣の怒りを静めるためにも従ったという。その時、回廊で控える侍従が二人の話に耳をそばだてていた。褚琳琅は皇帝へ挨拶に参じたが、機嫌の悪い褚仲旭に追い返された。仕方なく皇宮を散策していると偶然、霜平湖に浮かぶ纈羅を見つける。纈羅をどうしても欲しくなった褚琳琅は侍女に小舟を出させて摘み始めたが、うっかり落ちそうになった。ちょうど付近で立ち話をしていた卓英と海市が気づき、当番の卓英が助けに向かおうとする。しかしちょうど通りかかった方鑑明がすかさず飛び出し、2人の見ている前で帝姫を抱きかかえて露台に戻った。卓英と海市は急いで駆けつけ失態を謝罪、帝姫を屋敷まで送ることになった。すると褚琳琅は2人が鑑明を師匠と呼んでいたことから弟子だと気づく。「雲麾(ウンキ)将軍・方海市と中郎将・方卓英ね?」「ご聡明だという噂は誠でした…長年、異郷にいらしたのに大徴(ダイチョウ)の事情に精通しておられる」「鑑明は幼友達なの、それに異郷にいても常に心は大徴にあったわ」海市はそれとなく探りを入れたが、褚琳琅の答えはそつがなかった。そこで今度は褚琳琅が持っている纈羅に目をつける。「殿下は蓮がお好きなのですか?」「纈羅も蓮の一種だけど″静客″の別名があるの 幽谷に生育し、誰からも愛でられることなく、優美に咲き、香りを漂わせる…」「恥ずかしながら蓮と区別がつきません」「蓮の葉はけばだち、水面から出て、切れ目がない、纈羅の葉は艶があり、水に浮き、切れ目もある でも香りの区別はつきにくいわ」「…それほどお詳しいとは、誠にお好きなのですね?」褚琳琅は思わず話し過ぎたと気づき、あでやかな牡丹ほどではないと付け加えた。香料を調合する時もまず牡丹を選ぶという。宮中を出た褚琳琅は輿に揺られながら、″南北方周(ホウシュウ)″という流行り言葉を教えた。「都の若者の中で武郷(ブキョウ)侯府の周幼度(シュウヨウド)以外、 あなたたち2人が洒脱で並ぶ者がいないという意味よ」すると褚琳琅は今日のお礼に贈り物を用意したいので清海公の好きな物を教えて欲しいと頼む。しかし卓英は霽風(セイフウ)館が厳格なため、師匠の私事を知らないとごまかした。方鑑明の書斎に海市が花を届けにやって来た。「よくぞ選んだ、夜には開花を見られるだろう」鑑明は膨らんだつぼみを見て喜んだが、海市の困惑する様子に気づく。「(あ)公務もある、今後は花を摘まなくていい」「…私ではありません、師父の書斎に飾るよう帝姫に託されました」一瞬、書斎に気まずい空気が流れたが、海市は改めて帝姫の様子はどこかおかしいと報告した。しかし鑑明は海市が案ずる必要はないと一蹴、すると海市は部屋を出たら言動を慎むと誓って帰ってしまう。鑑明は独りになると美しい花が忌々しくなり、思わず花瓶から抜き取ってごみ箱に捨てた。綾錦司(リョウキンシ)では鞠柘榴(キクシャリュウ)が仕事に追われていた。ちょうど淑容妃の外着を仕上げ終えたばかりだったが、すぐ帝姫の衣に取り掛かるよう命じられ休む暇もない。今夜も独り工房に残って刺繍を続ける柘榴、そこへ急に方海市が訪ねて来た。「香料のことを教えて欲しい…実は帝姫に関わることだ」帝姫と言えば幼い頃から非常に牡丹を愛し、香料の他にも装飾品や部屋のあつらえも牡丹で、幼名まで″牡丹″と名乗ったという。しかし海市が帝姫と会った時、2回とも蓮の香りがした。柘榴は近々、帝姫の採寸をすると教えたが、海市は柘榴を巻き込むつもりはないという。「分かりました、ただ香料の使い分は普通のことですし、2回だけでは偶然なのかも… あ、小方大人、武郷侯府の周幼度殿は調香に長けていると都で有名ですよ」海市は卓英を誘って街へ出た。実は卓英が周幼度を知っていると聞き、今度、紹介して欲しいと頼む。すると海市は卓英の俸禄を使って珍しい香料を買った。「はあ〜分かったぞ、この散財は帝姫を疑うゆえか?」海市は自分の直感だと認め、確実かつ慎重を期すために周幼度の意見が必要だという。一方、鞠柘榴は淑容妃の衣を届けるため愈安(ユアン)宮を訪ねた。まさか褚琳琅がちょうど緹蘭を見舞っているとは知らず、目通りを願い出る。その頃、緹蘭は香料のお返しに皇帝に下賜された石斛(セッコク)の腕輪を帝姫に贈っていた。すると侍女が現れ、鞠典衣の来訪を伝える。褚琳琅は自分がいながら緹蘭が断らなかったことから、皇帝に会いに行く途中だったと言って席を立った。こうして殿前に控えていた柘榴は偶然にも帝姫を見送ることになる。…やはり蓮の香りだわ…褚琳琅が皇帝を訪ねると、ちょうど涼亭で方鑑明と闘茶に興じていた。「琳琅、良い所に来た、得意の闘茶で鑑明と勝負せよ、朕は負け続けゆえ、そなたに託す」「ぁ…でも清海公は茶と香の達人だとか、牡丹、恥をかきたくありません ですがご命令とあれば恥を忍んで披露します」こうして鑑明と褚琳琅の闘茶が始まった。清海公が帝姫を救ったことから、宮中では密かに2人の縁談の噂が流れていた。そんな中、宮中に戻った海市は警護の当番に戻り、ちょうど涼亭にいる皇帝たちを見つける。どうやら闘茶は師匠が勝ったようだ。「…長い異郷暮らしですっかり腕が落ちました」「鑑明、牡丹は心ここにあらずだ、手加減せよ」すると褚仲旭は鑑明に牡丹を送って行くよう命じた。つづく(つД`)ノ やっと周幼度がクル〜ッ!
2022.09.25
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第24話「生き返った心」愛する方海市(ホウハイシー)を守るため自分から遠ざけたい清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)。しかし何も知らない海市は鑑明に拒絶され深く失望し、2人の関係はぎくしゃくした。その日も海市は鑑明たちと黄泉関(コウセンカン)に出立する湯乾自(トウカンジ)たちの見送りに出たが、公務が終わると独りでさっさと戻ってしまう。見かねた陳哨子(チンショウシ)は海市に中衛軍の腰牌を渡す際、礼儀として任務の初日には挨拶するべきだと諭した。海市は不機嫌そうに師匠の書斎を訪ねたが方鑑明が戸を開ける気配はなく、そのまま回廊から声をかける。「罪を認めに来ました」「…必要ない」すると鑑明は勅命が下ったからには自分ですべきこととすべきでないことを把握するよう戒めた。一方、宗室の生き残りを探していた旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は褚琳琅(チョリンロウ)だと名乗り出た娘を朝廷に呼んだ。皇弟・褚季昶(チョキチョウ)はカゴを持って大殿に入ってきた娘を見た瞬間、幼い頃の五姉の面影が蘇り、思わず駆け寄ってしまう。「牡丹姐姐!」褚琳琅は幼い頃から牡丹が好きで、いつもカゴに牡丹の花を入れて持ち歩いていた。すると褚仲旭はこの娘こそ先帝と聶(ジョウ)妃の娘だと確信し、焉陵帝姫(エンリョウテイキ)に封じて帝姫府に住まわせると命じる。しかし臣下たちは当然、皇帝の早急すぎる決断に困惑した。褚季昶はそんな大臣たちの反応を心配していたが、褚仲旭は他人など気にするなという。「そなたは朕のただ一人の皇弟、欲しい物なら何でも手に入れてやる」焉陵帝姫は屋敷に入り、挨拶回りも一通り終えた。しかし淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)は静養中のため、愈安(ユアン)宮だけは訪れていないという。穆徳慶(ボクトクケイ)から話を聞いた褚仲旭は緹蘭がなかなか回復しないことを訝しみながら、冷遇していると誤解されないよう今夜の宴に呼ぶよう命じた。緹蘭はしがない1日、窓辺に座って過ごしていた。元気がない淑容妃を心配しながら見守る侍女・碧紅(ヘキコウ)、そこへ蔵に出かけていた碧紫(ヘキシ)が戻ってくる。「道すがら嬉しい話を聞きました、小方大人(ダーレン)が黄泉営から中衛軍に異動を… 今夜の帝姫の歓迎の宴を全て小方大人が手配したそうです」侍女たちは宮中に心強い味方が戻って来たと喜んだが、緹蘭は複雑だった。方海市を友だと思うからこそ、自分と親しくすることで名声が傷つけられることがあってはならない。「さらに望まぬのは…陛下の八つ当たりよ」そこへ皇帝の使いがやって来た。皇帝は美しい外套や豪華な装飾品を下賜、今夜は帝姫の歓迎の宴に同席するよう命じる。上の空だった緹蘭は侍従に促され勅命を受け取ったが、どんなきらびやかな贈り物を見ても虚しいだけだった。海市は宴を前に中庭を見回っていた。すると偶然、宴に向かう皇帝と淑容妃に出くわす。海市はその場で膝を突き拝礼、緹蘭は海市の姿に思わず顔をほころばせたが、それを見た褚仲旭は嫉妬から急に緹蘭の腕をつかんで強引に引っ張って行った。褚仲旭は酒が身体を温めることから、緹蘭にたくさん飲むよう強要した。そのせいで病み上がりの緹蘭は気分が悪くなり、咄嗟に着替えてくると断って退席する。すると道すがら、危うく池に落ちそうになったところを巡回していた海市が助けた。しかし運悪く皇帝が現れ、二人の親密そうな様子を見て憤慨、急に緹蘭を抱きかかえて連れて行ってしまう。海市は具合が悪そうな緹蘭を心配し、念のため寝宮の前で待機していた。一方、褚仲旭は亡き紫簪(シサン)の部屋に緹蘭を連れ込み、夜伽を強要する。緹蘭はもはや屈辱に耐えきれず、ついに皇帝に反発した。「こんなことをしてはいけない!紫簪姐姐が天から見ています… 愛する人を永遠に失うのは不幸なこと、でも陛下の行為は私に不公平だわ! なぜ私をいじめるの?!」その時、突然、雷鳴がとどろき、激しい雨になった。褚仲旭は奥の部屋に掲げられた肖像画の紫簪が見つめていることに気づき、一気に酔いが覚める。「公平?…俺は愛する人を失った…悪いことなど何もしていないのに…なぜ私なのだ?!」褚仲旭は肖像画の前でへたり込み、泣き崩れた。すると緹蘭は褚仲旭を抱きしめ、子供を優しくあやすようになだめる。「自分を苦しめないで、もう泣かないで…全ては過ぎ去ったこと…」海市が穆徳慶(ボクトクケイ)と控えていると突然、皇帝が淑容妃を抱きかかえて飛び出して来た。「侍医を呼べ!」淑容妃の姿を見た海市は子宮から出血していると気づき、このまま医官院へ直行するよう進言する。すると脈を見た侍医は淑容妃が自分の処方した薬を飲んでいないことに気づいた。もはや手遅れだと聞いた褚仲旭は驚愕、しかし緹蘭はむしろほっとしているように見える。「陛下が私を見ると心を痛めると知っています…これでいいのです」その時、海市が民間の処方を知っていると上奏した。一方、務めが終わった方卓英(ホウタクエイ)は綾錦司(リョウキンシ)に差し入れを届けることにした。しかし鞠柘榴(キクシャリュウ)が独りでまだ刺繍を続けている。「夜も更けた、続きは明日にしたらどうだ?」「…目が見えぬのですよ?昼も夜も違いはありません」その言葉に胸が裂ける思いの卓英、するとちょうど刺繍が完成した。「これを差し上げます」「深夜に刺繍していたのは私に贈るためか?」「日没の頃、やっと花の図案を考えたのです、お好みでしたら受け取ってください」卓英はありがたく受け取ると、皇帝から賜った菓子を勧めた。「これは柘榴の菓子ですね?」「だが松の実が入っていない、私が以前に食べたのとは違うんだ」その言葉を聞いた柘榴は思わず笑みがこぼれる。実は風神様にいつも供えていた柘榴の菓子には必ず松の実が入っていた。褚仲旭は独り医官院の前で悶々としていた。すると気配を感じ、方鑑明が来たのだと気づく。「鑑明…」しかし振り返ると方鑑明ではなく弟子の方海市が立っていた。「こんな時は皆、朕に近づき痛い目に遭うのを恐れるが、怖くないのか?」「私は誠実にお仕えしています、何も恐れません」実は海市も穆徳慶からこんな時、皇帝に声をかけることができるのは清海公だけだと聞いていた。褚仲旭は方海市の真っ直ぐな目を見ると、普段なら似ても似つかない方鑑明と方海市がひどく似ていると驚く。「…師父と私は純臣です」「純臣か、純臣は忠実で温厚なはず、鑑明は幼い頃から従順ではない むしろ当時は朕が鑑明に譲歩するほうが多かった、だがその後、だんだんと変わった」「師父はそんなにわがままだったのですか?」「わがままではない、自由だ…あの頃は朕も鑑明も自由だった 忠実な臣下でも天子などでもなく、我らは共に遊び、共に暮らし、共に学ぶ親友だった」「師父は昔の話をほとんどしません」「方海市、師父に代わり答えよ… お前のそばに良き人がいる、だがその者はいつもお前に思い出させる、最も辛い過去を… お前は愛する人を失った、ただの生ける屍だとお前に悟らせる お前はその者を喜ばせたくも思う、だがある時は傷つけたくなる、同じ痛みを与えたくなる ゆえにお前は一生、その者を愛せぬやも…そのような時、お前ならどうする?」「お答えします… 私ならその人に優しく穏やかに接し、いつも共にいて互いに尊敬し合います 失った恋人と同じように… 愛する人を失うことは最大の不幸、ですが天はまた良き人を与えてくれた その人を喜ばせたいと思い、傷つけ、痛みを味わわせたくも思う 私の心がその人のおかげで生き返ったのです、ならばなぜ優しくしないのですか?」褚仲旭は言葉を失い、ただ呆然と立ちすくんでいた。 つづく(´-ω-。` )緹蘭…
2022.09.24
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风起陇西(ふうきろうせい)第一計「梁(ハリ)を偸(ヌス)み柱を換(カ)う」…3世紀、曹魏(ソウギ)・蜀漢(ショクカン)・東呉(トウゴ)が天下を三分して鼎立(テイリツ)蜀漢の皇帝・劉備(リュウビ)が崩御した後、丞相・諸葛亮(ショカツリョウ)は兵馬を鍛えつつ侵攻の好機を待っていたそして西暦228年、諸葛亮は曹魏への北伐を開始する北伐軍陣営、諸葛亮は将軍たちが集まった幕舎で間諜からの密報を受け取った意外にも張郃(チョウコウ)の軍は番須(バンス)道を通らず、瓦亭(ガテイ)道から蕭関(ショウカン)へ向かうという諸葛亮は自ら主力を率いて瓦亭道で敵軍を迎え撃つと決め、念のため街亭(ガイテイ)の守りを参軍である馬謖(バショク)に任せ、副将に王平(オウヘイ)、また魏延(ギエン)と高翔(コウショウ)を後詰めとして万一に備えさせた『皆の者、この一戦で張郃を破ってこそ長安を落とせる、北伐が成功するのだ!』しかし情報に反し張郃の軍は瓦亭道を通らず、夜を徹して番須道を抜け街亭を奇襲、馬謖は大敗を喫し、街亭を失った王平は命懸けで馬謖と魏延、高翔を救出腹背に敵を受けた諸葛亮はやむなく全軍を漢中(カンチュウ)へ撤退させ、第一次北伐は失敗に終わるそしてこれを機に蜀漢の司聞曹(シブンソウ)と曹魏の間軍司(カングンシ)による諜報機関の暗闘が幕を開けた…曹魏軍は蜀軍に大勝し天水(テンスイ)を取り戻した。城楼から感慨深げに空を眺める天水郡守・郭剛(カクゴウ)、すると天水郡の主簿で盟友でもある陳恭(チンキョウ)が吉兆だと喜ぶ。「郡守は天水を起点として隴西(ロウセイ)で大事を成せるでしょう」「そうなるよう願おう…」その時、まるで急を告げるように風が巻き起こった。漢中に撤退した諸葛亮の軍営では戦機を誤ったとして馬謖が処刑された。例え参軍であっても軍法を厳守しなければならないという諸葛亮、すると丞相府長史・楊儀(ヨウギ)が″白帝(ハクテイ)″の情報にも誤りがあったと指摘する。「我々の重要部署に曹魏の間諜が潜り込んだのかと…司聞曹に大きな穴が生じています」「調べ上げよ」そこで楊儀は早速、南鄭(ナンテイ)の司聞曹に駆けつけた。曹掾(ソウエン)・馮膺(フウヨウ)は暗号文がすり替えられた可能性は低いと言いながら、白帝が謀られた可能性もあるという。実は曹魏も昨年、司聞曹をまねて地方官府に制約されない中書省が司る機関・間軍司を作り、偽りの情報を流しては司聞曹を撹乱していた。確かに楊儀にも曹魏の間諜が司聞曹にいると内通があったという。「一体、どこで問題が起きたのだ?!」「白帝の調査に密偵を遣わしましたが、まだ報告がありません」すると楊儀は声を荒らげ、一刻も早く解決するよう迫った。北伐の失敗で丞相は追い込まれ、朝廷では北伐派と南征派が紛糾、誰かが責を負わねば混乱は避けられないだろう。その頃、天水に潜入している蜀漢の間諜・林良(リンリョウ)が密書を受け取っていた。…牛記酒肆(ギュウキシュシ)か…その日、郭剛は陳恭を誘って久しぶりに金御瑶(キンギョヨウ)で羽を伸ばした。それにしてもあの知謀に長ける諸葛亮がなぜ罠にはまったのだろうか。陳恭は読みを誤ったのだろうと受け流したが、郭剛が否定した。「違う、我々には″燭龍(ショクリュウ)″がいる」「燭龍?」「ふっ、張郃の出陣は蜀漢の間諜・白帝によって10日前には漏れていた」「ははは…″白帝″など伝説上の存在に過ぎません」しかし郭剛は白帝が街亭を奇襲するという情報を盗んで祁(キ)山の蜀軍に届けたと知っていた。その実、密報は燭龍がすり替えた偽物だったという。こうして燭龍の手柄で形勢を逆転できたが、白帝は郭剛にとって依然、悩みの種だった。「司聞曹が天水に密偵を遣わしたらしい、目的は″白帝″を調べ、街亭の事案を解明することだ」闇に潜る燭龍の正体を知るのは都督と郭剛だけ、これが白帝を生捕にできる絶好の機会になるだろう。その頃、間軍司の司馬・糜冲(ビチュウ)は大街に配下を忍ばせ、西蜀の密偵を追跡していた。郭剛はあと1時辰(トキ/2時間)で面白い余興が見られると教えた。すると陳恭が舞姫を下げ、ならば白帝を捕らえる前祝いだと言って2人の新入りの妓女を呼ぶ。ちょうどその時、向かいにある牛記酒肆に林良が現れた。2階にはすでに西蜀の密偵が待っていたが、ふと窓から金御瑶の店先に2つの花籠が掲げられるのを見る。林良は罠だと気づいて踵を返し密偵に指で合図、慌てて店を脱出した。しかし密偵は客になりすましていた間軍司に足止めされ、結局、殺されてしまう。成都(セイト)に戻った諸葛亮は皇帝に謁見、自ら罰を請うた。蜀漢皇帝・劉禅(リュウゼン)は勝敗など兵家の常だと見逃したが、輔漢(ホカン)将軍・李厳(リゲン)は追及の手を緩めない。「これまでの功を笠に着た丞相は先帝の東呉への遺恨を顧みず、 身勝手にも大軍を率いて北伐を断行したのです!」結局、皇帝は諸葛亮を右将軍に降格した。その頃、白帝の調査を始めた馮膺は司聞曹で靖安司(セイアンシ)副司尉・荀詡(ジュンク)を水責めにしていた。しかし荀詡は何度、聞かれても答えは同じだと訴える。陳恭は若い頃、奇門遁甲(キモントンコウ)に熱中しており、李厳の門生だった。司聞曹に推薦したのも荀詡だという。荀詡と陳恭は義兄弟の契りを結び、表妹・翟悦(テキエツ)は陳恭の妻、翟悦も荀詡の属下として五仙道(ゴセンドウ)に潜伏していた。「靖安司における役目は各教派の情報を収集すること… 連絡を取るのは私だけで他に知る者はいません」…翟悦と陳恭が結婚した3人で囲む夕食、しかし荀詡は縁者になると分かっていたら陳恭を司聞曹に推挙しなかったと後悔する『間諜は死ぬまで間諜だ、夫婦で過ごす日々は短い…』しかし翟悦は婿になったのなら家風を受け入れなければならないと笑った荀家と翟家は琅邪(ロウヤ)の諸葛氏に仕えて百余年、代々、密偵として働いている今や両家の生き残りは2人だけ、荀詡にとって陳恭と翟悦だけが家族だった…その頃、役所に戻った李厳は参軍の狐忠(コチュウ)から思わぬ報告を聞いた。実は2時辰前に楊儀が現れ、李厳を驃騎(ヒョウキ)将軍に昇進させ、息子には江州を任せるよう奏上したという。「楊儀によれは丞相がこう言ったそうです、国ために耐えて和を尊ぶのだと…」「信じるものか?!」李厳は憤慨しながら、司聞曹に潜り込んでいるという曹魏の間諜の件を聞いた。しかし司聞曹を作ったのは楊儀、狐忠も内情を探るのに手間取っているという。荀詡は拷問でどんなに苦しめても陳恭が裏切るはずないと訴えた。根負けした馮膺は荀詡の信念を曲げない頑固さを評価し、重要な任務があると教える。実は荀詡は掟の通り陳恭とは一切、連絡を取っておらず、どこで何をしているか全く知らなかった。馮膺の話では陳恭は南鄭を離れた後、曹魏に派遣され、副都督・郭淮の軍門に下ったという。そして軍功を重ねて校尉になり、やがて天水の主簿に着任、兵糧の管理を請け負っていた。「しかし実際は司聞曹の間諜・白帝、これは最高気密だ」( ゚д゚)<陳恭が白帝?!陳恭は曹魏に潜伏し、大量の情報を送り続けてきた。当初、丞相の第一次北伐は順調そのもので攻略できなかったのは広魏(コウギ)と隴西のみ、その状況に危機を感じた曹魏は張郃に関中から隴山を越えるよう命じる。張郃がどの道を通って隴山を越えるかは曹魏の最高機密、考えあぐねていた諸葛亮に白帝から情報が届いた。まさかその情報が偽りだったとは…。結果、諸葛亮は街亭を失い、北伐の大業は頓挫した。郭剛はせっかくの余興を台無しにされ不機嫌だった。糜冲の報告ではすべて燭龍の情報通りだったが、想定外にも何者かが密偵に警告したという。すると陳恭は道すがら白帝が天水にいるならいずれ捕獲できるとなだめた。「…そう願おう、軍務が忙しくしばらくは付き合えぬ、独りで遊ぶなよ?」「ハハハ~もちろん、ではこれで」郭剛は陳恭と別れると、再び糜冲と合流した。「疑念は晴れたな?」「…いえ、現場にいなくても白帝と無関係とは限りません」西蜀に機密が漏れていると知った糜冲は機密に接する高官を調べていたが、最後に残ったの1人が陳恭だった。そこで郡守に頼んで陳恭を妓楼まで誘き出してもらったが、結局、尻尾をつかめない。思えば出陣の10日前、都督の役所で火事が発生したが、その日に機密が漏れていた。「その場に陳恭がいました」しかし郭剛は自分が陳恭に頼んで叔父である都督に薬を届けさせたと教え、自分を疑っているのかと激高する。そもそも火事の現場にいた者は皆、留置され、陳恭が解放された7日後には祁山に機密が届いていた。「もし陳恭が白帝ならどうやって情報を送った?飛んだとでも?!」盟友の陳恭を誠実で裏表のない男だと評している郭剛、まさか陳恭が本当に白帝だとは知る由もなかった。一方、荀詡も陳恭を信頼し、恐らく正体を暴かれ、離間策に利用されたのだと訴えた。しかし馮膺の話ではひと月前、街亭の事案を調べるため密偵を天水に遣わしたが、密偵は曹魏に見つかって酒楼で襲われ落命したという。実はその密偵の居場所を知るのは馮膺を除いて陳恭だけだった。馮膺は荀詡を天水に送り込むことにした。「調査を終えたら始末しろ」そこで猛毒が塗ってある短剣を差し出し、実は荀詡が飲んだ茶にも毒が入っていると暴露する。「戻ったら毒消しを渡す」( ̄▽ ̄;)<そこまでするか?普通…(  ̄꒳ ̄)<外勤の掟だ、仕方がない陳恭が屋敷に戻ると林良が待っていた。酒楼は切迫していて間軍司に気づかれたかどうかまで確認できず、怪しまれた可能性もあるという。「お前を知る者は少ない、すぐには正体を突き止められぬはず、良かった」すると林良は密書を渡した。谷正(コクセイ)が会いたいと言ってきたが、陳恭は念のため会わないと決める。あの様子では間軍司も白帝について調べを続けるはずだ。「今日の分析会で糜冲に聞いた、密偵が天水に来ることは燭龍が知らせたそうだ 郭剛の話では我が軍が街亭で負けたのは私が送った情報がすり替えられたからだと…」「まさか、あり得ぬ!」しかし司聞曹が情報のすり替えなど信じるはずもなく、陳恭は自分が裏切ったと判断されると分かっていた。恐らく西蜀から来た密偵は自分を調べに来たのだろう。その密偵が殺されたとなれば陳恭への疑惑はさらに強まる。今や両国に追われる身となった陳恭、しかし何より恐れたのは曹魏の間諜が司聞曹の中枢に潜り込んでいることだった。「私の経路も危うい…何とかして司聞曹に燭龍の存在を知らせねば…だが、そうすれば…」つづく( ゚ェ゚)…何だか疲れたw文句言いながら宮廷物語を見ていた頃が懐かしいw
2022.09.23
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第23話「踏み出した一歩」皇帝が始めた宗室の生き残り探しで礼部は慌ただしくなった。そんな中、皇弟・褚季昶(チョキチョウ)の姉・聶(ジョウ)妃の娘だと名乗る褚琳琅(チョリンロウ)が礼部に現れる。報告を聞いた方鑑明(ホウカンメイ)は自分が戻るまで保留にするよう指示し宮中を出たが、大街で思いがけず孫を連れた老婆に馬車を止められた。「大人(ダーレン)!訴えたいことがあります!」方鑑明は群衆の手前、馬車を降りた。すると老婆は清海(セイカイ)公が六翼将(ロクヨクショウ)の阿摩藍(アマラン)や顧大成(コタイセイ)ら4人を手にかけたと告発する。「大人が亡くなった日、配下と一緒に屋敷に来たのを見ました」聞けば老婆はかつて顧家の使用人だったという。鑑明は誠意を持って訴状を必ず廷尉(テイイ)に渡すと約束し、自宅で待つよう指示した。しかし老婆は口の中に仕込んでおいた毒をかんで自害、驚いた孫も卒倒してしまう。方鑑明はまだ息のある幼い子供を抱いて馬車に乗った。しかし馬車が城門をくぐる頃、子供が突然、目を開き、隠し持っていた短刀で鑑明の胸を突き刺してしまう。「志は衰えず、不義に天誅を!」すると子供はそこで息絶えた。子供は毒で操られていた。古傷と同じ場所を刺された方鑑明だったが命に別状はなく、あらぬ噂が広まらぬよう陳哨子(チンショウシ)に口止めしておく。「海市(ハイシー)と卓英(タクエイ)にも内密に…」その頃、海市は土産物を届けるため、卓英と一緒に綾錦司(リョウキンシ)を訪ねていた。すると鞠柘榴(キクシャリュウ)が方卓英が選んだ生地で仕立てた衣を海市に贈る。「ぁ…しかし女子の衣装だし…」「小方大人、将来の夫人に贈っては?…サイズもピッタリかと(クスッ」海市は素直に感謝を伝え、実は自分からも贈り物があると言った。しかし卓英はもじもじして渡せず、しびれを切らした海市がばらしてしまう。「越州に帰る前、哥哥から柘榴姑娘に極上の糸を買ってくるよう頼まれたんだ」柘榴は貴重な鮫糸(コウシ)だと知って海市の心遣いに感謝すると、海市は兄の大切な人なら当然だと言った。驚いた卓英は決して無理強いするつもりはないと釈明したが、海市は男なら堂々と気持ちを伝えるよう畳み掛ける。突然のことにポカンとしている柘榴、すると卓英は居たたまれなくなり、咄嗟に務めがあると嘘をついて逃げるように帰ってしまう。海市が衣を受け取って綾錦司を後にすると、物陰から方卓英が飛び出してきた。「方海市!お前ってやつは…何を考えてる?!」すると海市は柘榴も兄を想っていると安心させ、皇帝に婚姻を願い出るようけしかける。婚姻と聞いて悪い気はしない卓英、しかしやはり慎重に進めようと思い直し、勤めに戻った。淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)は侍女たちにせがまれ、庭園にやって来た。すると偶然にも方海市が歩いて来る。緹蘭は慌てて方向転換、しかし方海市に見つかり、呼び止められてしまう。「淑容妃?」「ぁ…」緹蘭は背を向けたまま、皇帝に冷遇される身でありながら、またも不興を買ってしまったと話した。「こんな私と関われば迷惑になります…」「淑容妃、例えどんな境遇に置かれても永遠に友人です あ…黄泉(コウセン)関に出立する前に挨拶に伺っても?」「どうぞお構いなく…人の目もありますのでお急ぎを…」「…分かりました、失礼します」海市は淑容妃の力になりたいと思ったが、困らせないようおとなしく下がった。陳哨子は念のため皇帝にだけ清海公の怪我の件を報告し、昭明宮に戻った。褚琳琅の肖像画を確認した方鑑明は海市にも気を配るよう頼み、なるべく早く都を離れさせねばならないという。「敵は私の過去を蒸し返そうとしている…老女を使ってまで私を陥れようとした どうやら手を緩める気はないらしい、嫌な予感がする」鑑明は腹心である海市、卓英、陳哨子まで巻き添えになることを何より恐れていた。海市はその夜、鞠柘榴が仕立ててくれた衣に袖を通してみた。水のように美しい衣、しかし運悪く、誰かが部屋の戸を叩く。「…誰?!」「私だ」海市は師匠だと分かってそのまま戸を開けた。美しい海市の姿に息をのむ方鑑明、しかしすぐ気を取り直し、早めに軍営へ戻るよう告げる。「…良く似合っている、だが誤解を招かぬよう控えろ」「はい(ショボーン)あ、師父、なぜ廷尉の者が来たのですか?」海市は昭明宮から帰るところだった宗裕(ソウユウ)たちと出くわし、暇があれば訪ねるように言われたという。すると驚いた鑑明は武将である海市が廷尉と関わってはならないと釘を刺し、宮中で少々、問題があったとだけ伝えた。その夜、方鑑明は突然、吐血した。太医は薬を飲めば安定すると言ったが、古傷が完治していないうちに新しい傷が重なり、こうして回復しないまま無理をすれば寿命を縮めかねないと諌める。陳哨子は太医の言葉に呆然となったが、鑑明は何も言わず太医の見送りを頼んだ。方鑑明は独りになると鮫人・琅嬛(ロウケン)の言葉を思い出した。…方鑑明、海市を愛しているの?…流觴(リュウショウ)方氏の主は代々、不幸な最期を遂げている。すでに大勢の恨みを買った鑑明、恐らく長寿を全うすることは天が許さないはずだ。…それでも海市が無事でいてさえすれば何も望むまい…褚仲旭は褚季昶と一緒に礼部が選別した宗室の生き残りの肖像画を確認した。しかし絵を見ても分からず、結局、礼部に一任する。そこへ湯乾自(トウカンジ)が黄泉関へ戻る前の挨拶にやって来た。「実はもう1つお話が…陛下、雷州の部族の中で注輦(チュウレン)は最も弱く、頼りは大徴(ダイチョウ)のみです 淑容妃は病弱で不安を抱えておられますが、宮中で気遣う者は誰もいないとか」驚いた褚季昶は兄の奥向きのことに臣下が口をはさむとは無礼だと叱ったが、褚仲旭は続きを聞いた。「口出しなど恐れ多い、ただ淑容妃には世話になりました、具合が悪いと聞いて心配しています 何とぞ陛下、淑容妃にお慈悲を…」褚仲旭は湯乾自を罰することはなかったが、幼なじみであっても心配は無用だと追い返してしまう。しかしやはり緹蘭の身体が心配になり、清泉(セイセン)宮にある温泉を使うことを許可した。鞠柘榴が見たいと言っていた虹が出た。方卓英は柘榴を霜平湖まで案内し、湖面にも美しい虹が映っていると説明する。「よく見ると木のツルや露のしずくにも虹が映り込んでいるよ」「なら途中にあった水たまりにも映っていたかしら?」「うん」柘榴は卓英の繊細な一面を知り、嬉しくなった。「今後は見たい物や思い出したい物がある時には私が話してあげるよ」卓英の優しさに柘榴は思わず顔をほころばせ、卓英の顔を見たいと願わずにはいられなかった。黄泉関に戻ることになった海市は久しぶりに張承謙(チョウショウケン)や弟分4人と合流、酒楼で飲んだ。するとその帰り道、会仙楼(カイセンロウ)で盛り上がっている講談師の話を小耳に挟み、一気に酔いが覚めてしまう。講談師はあろうことか清海公を忠臣殺しが明るみに出るのを恐れて姿を隠した男だと揶揄し、皇帝に媚を売りながら力を蓄えていたが老女に告発されたと面白おかしく話していた。激怒した海市は講談師の机に短剣を刺して話を遮ったが、咄嗟に張承謙が止める。「軽率に動いてはならぬ」海市は講談師の話から師匠が告発されたと知った。そこで翌朝、皇帝に謁見、中衛軍で働きたいと直訴する。棋譜を解いていた褚仲旭はその時、ちょうど黒石を置こうとしていたが、海市が咄嗟に止めた。「陛下、そこに置いたら黒が負けます」「なぜ朕が黒を勝たせたいと思うのだ?」「陛下、陛下は引き分けをお望みなのでは?どちらかを勝たせたら退屈しのぎにはなりません」「ふっ…面白い」←( ๑≧ꇴ≦)面白くなったのかw褚仲旭は海市の異動を認め、早速、聶妃の娘だという褚琳琅の護衛を任せることにした。左衛(サエイ)で将軍たちと協議中の方鑑明に思わぬ報告が届いた。驚いた鑑明は慌てて昭明宮に戻り、海市の部屋に駆けつける。「なぜ異動を願い出たのだ?!」「人手が足りぬと聞いたので」「その必要はない、すぐ戻れ!」鑑明の複雑な思いなど知る由もない海市はいつまで身を隠していればいいのかと食い下がった。「顧陳(コチン)氏の噂が消えるまでですか?」「…噂の件には関わるな」しかし海市は愛する鑑明をそばで守りたいと願い、師匠の汚名をそそぐと訴えた。「あの時なぜ口づけを?…私が心にいるのになぜ遠ざけるのですか?」鑑明は溺れた海市を助けた時、眠っている海市の額に密かに口づけしていた。「そばにいたいのです」すると海市はついに一歩ふみ出し、鑑明に口づけしてしまう。方鑑明は海市の行動に驚き、発作的に海市を突き飛ばした。「(はっ!)すまない」しかし海市は深く傷つき、師匠の手を振り払ってしまう。「師父に近づけたと思ってた…でも私のうぬぼれだったのですね、もう諦めます」すると海市は逃げるように部屋を出て行った。つづく( ゚ェ゚)・・・
2022.09.17
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第22話「鮫人との再会」方鑑明(ホウカンメイ)の計らいで方海市(ホウハイシー)は故郷に戻り、母と再会を果たした。ようやく普通の娘に戻れた海市、鑑明とも師弟関係を離れて穏やかな時間が流れる。その夜、海市は夜空を見上げ、思った通り漁村の月は美しいと喜んだ。「月だけはずっと変わらない…永遠というものを教えてくれているみたい」しかし鑑明は永遠などないという。「滄海変じて桑田となる…月にも満ち欠けがあり、満月もいつか欠ける ″永遠″とは恐らく人の執着に他ならない」「…なら執着すればいいわ」一方、天啓(テンケイ)では旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)が悶々としていた。実は清海(セイカイ)公が鵠庫(コクコ)の間者を引き取り育てたと密告する上奏文があったが、聞けば当人は方海市の故郷へ出かけたという。「反対を押し切って方卓英(ホウタクエイ)を紅薬原(コウヤクゲン)から連れ帰ったからこんなことに… 矛先は霽風(セイフウ)館に向いている、朕が握り潰さなければ鑑明は窮地に立たされていたのだぞ?」褚仲旭はひとしきり八つ当たりしてから陳哨子(チンショウシ)を下げた。愈安(ユアン)宮では床を離れた淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)が眠れずにいた。窓辺には方海市からもらった捕夢鈴(ホムレイ)が下がっている。「これがあれば悪夢を見ないって本当かしら?」心の拠り所だったウサギの小乖(ショウカイ)も今では綾錦司(リョウキンシ)で小白(ショウハク)と仲良く過ごしているらしい。「なら良かった…良かったわ」しかし緹蘭は今にも孤独と不安に押しつぶされそうになっていた。葉(ヨウ)母は娘の行く末を心配し、こっそり方鑑明に海市の世話を頼んだ。「都で私の代わりにあの子を気にかけてやって… 食べ物や衣は足りているか、辛い思いをしていないか」「はい、約束します」翌朝、鑑明は葉母の勧めで投げ網を見学に行った。葉母は急に手伝いを頼まれ、海市にすぐ戻ると声をかけて出かけてしまう。その時、急に刃物が突き刺さる音が聞こえた。「阿娘(アーニャン)?」海市が不審に思って外へ出てみると脅迫文を発見、母を救うため丸腰で崖まで駆けつけた。刺客は葉母と引き換えに方卓英が鵠庫の間者だと告発するよう迫った。その時、海市は急なめまいに襲われたが、機転を利かせて筆と墨を要求する。そこで証言すると見せかけ、まず筆と墨を投げて母を拘束している男を撃退、さらに呆然となった刺客から剣を奪い、見事な武功で母の元までたどり着いた。しかし刺客たちに崖っぷちに追い詰められてしまう。すると方鑑明が現れた。「師父!」「お早いお出ましだな~」「漁村の女子を丸め込んで霽風館の見張りを消したくらいで私の耳目を塞げるとでも思ったか?」( ゚ェ゚)<師父?!@葉母方鑑明と海市は敵に応戦、しかし崖から落下した刺客が咄嗟に海市の足首をつかんで道連れにした。鑑明は瞬時に海市の腕をつかんで助けたが、海市は刺客が暗器を出すのを見て驚き、自ら師匠の手を離して海へ落ちてしまう。「はいし~レモン!」その時、暗影団が到着、鑑明は証人を残せと命じ、海市を追って海へ飛び込んだ。方鑑明は海底に沈んでいく海市を見つけた。するとそこへかつて海市を救った鮫人・琅嬛(ロウケン)が現われる。琅嬛は海市の腕を捕まえると、鑑明に引き渡した。…方鑑明、海市を愛しているの?それなら連れて行きなさい…↓え?友達?w海市が目を覚ますと師父の顔が見えた。「師父…めまいがする」「頭を打ったのだろう、眠れば良くなる…」鑑明は海市の布団を直してやると、生捕りにした刺客を一足先に都へ護送した。宮中に戻った方鑑明は陳哨子から密告の件を聞いた。しかし都で奪洛(ダツラク)の顔を知る者はいないはず、鑑明は左王と方卓英は他人のそら似だと言ってごまかせばいいという。褚仲旭はようやく戻った鑑明と海市に苛立ちを隠せなかったが、鑑明は自分が留守の間に敵が何を仕掛けるか探るためだったと明かした。「まさか越州まで追ってくるとは想定外でした、海市を脅して私を告発させようとしたのです」すると褚仲旭は3日のうち刺客の口を割らせるよう命じ、さもなくば海市を罰すると迫った。方鑑明は黒幕を明かす見返りに安然な生活を保証した。すると刺客は自白を決意、しかし驚いたことに指示したのは皇弟の褚季昶(チョキチョウ)だという。褚仲旭はただ一人の弟が自分を陥れるはずないと一蹴、しかし鑑明はだからこそ潔白を確かめるべきだと諫言した。綾錦司(リョウキンシ)の典衣・鞠柘榴(キクシャリュウ)は清海公に春用の衣を届けに来たという口実で昭明(ショウメイ)宮を訪ねた。方鑑明は何か報告があると察して人払いすると、柘榴は叔母の部屋で見つけた密書を差し出す。「こうした伝書はすぐ燃やすのが決まりのはず、それにこれは姑姑の手法とは微妙に違います もしや毒死に関連があるのではないと…」「表沙汰にすればかえって名誉を損なう、私が調べるので綾錦司では不問に…」「はい、分かりました」すると方鑑明は柘榴も身の安全には十分、気をつけるよう念を押した。褚仲旭は弟を呼び出し、刺客と対面させて様子を見ることにした。すると刺客は後から部屋に入って来た昶王にすがりついて命乞いする。褚季昶は驚いて逃げ回ると、弟の無実を確信した褚仲旭が姿を見せた。刺客は咄嗟に割れた茶器の破片で昶王を脅したが鑑明に阻止され、結局、自分の首を切り裂いて自害してしまう。褚季昶はあまりの恐ろしさで失禁、褚仲旭は寝宮で休ませた。すると褚季昶は兄に疑われていたと気づき、自分が兄を陥れるはずないと嘆く。「″儀王の乱″のあと宗室は凋落し、何人もいた兄弟姉妹たちもいなくなりました 今や皇兄と臣弟のみ、互いだけが頼りです! 臣弟はいつも皇兄の役に立ちたいと思っていたのに…死をもって潔白を証明してもいい!」褚仲旭は不憫な弟をなだめ、褚季昶を傷つけた反省からある勅命を出した。褚仲旭は″儀王の乱″で散り散りになった宗室の生き残りを探すと決めた。朝廷は大反対、皇子や帝姫を自称する者が現れたとしても正否の判断ができないと訴える。しかし方鑑明はあえて皇帝の私事のため異を唱えず、褚仲旭は半ば強引に宗室探しを強行した。皇帝の勅命が布告された。朝廷が懸念した通り宗室を名乗る者が多く集まり、その確認のため礼部は人を割いている。そんな騒ぎの中、褚季昶の姉に当たる聶(ジョウ)妃の娘の面影が残る女子が直接、礼部に現れた。ちょうど出かける予定だった方鑑明は驚き、とにかく自分が戻るまで保留にするよう指示する。つづく(  ̄꒳ ̄)宗室探しも敵を誘き出す作戦だろうな〜ってことは皇帝も弟を疑ってるの?確かに弟は怪しい…ってか卵いくつあるんだw
2022.09.16
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第21話「里帰りの旅」紫宸(シシン)殿での祝宴が終わった。方海市(ホウハイシー)は湯乾自(トウカンジ)に昭明(ショウメイ)宮で滞在すると断り、師匠にそれとなく目配せして遊廊を進む。するとすぐ後から方鑑明(ホウカンメイ)が来たと分かった。「今夜の月は美しいです、故郷の月のように明るくて丸い…」すでに故郷の記憶もあいまいな海市、それでも月の美しさだけは覚えているという。「師父から教わった詩です ″山之高 月出小 月之小 何皎皎 我有所思在远道 一日不見兮 我心悄悄″…」「…忘れた」「師父が忘れても私が覚えていれば十分です、ふふ」鑑明は相変わらずそっけない態度だったが、海市が歩き出すと自然と口角を上げた。↓師父、わろてる…注輦(チュウレン)のため姉を模倣することで寵愛を得た淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)。すると翌朝、穆徳慶(ボクトクケイ)が皇帝の命じた涼薬を差し出した。「陛下は今に至るまで嫡子がなく、掟に照らして生むことは叶いません あ、ですが今、皇后のお席は空いておりますし…古いしきたりに従わなくても…」しかし緹蘭は深く傷つきながらも、自ら避妊薬を一気に飲み干してしまう。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は結局、朝議で注輦への援助を決定、その夜も緹蘭を夜伽に呼んだ。「紫簪(シサン)を演じたいのであろう?…今後、天啓(テンケイ)では作法を忘れるが良い これからは日夜、共にいよう、先はまだ長い…」こうして緹蘭は姉の身代わりという屈辱に耐えながら、朝になれば涼薬を飲む生活が続いた。( ゚ェ゚)もういらんですよ、皇帝のエピw海市は方卓英(ホウタクエイ)の何気ない仕草を見て左菩敦(サホトン)王のことを思い出した。「鵠庫(コクコ)左部の新王に会ったことはある?」「…突然、どうした?」「新王に会ったけどビックリしたわ___髪の毛と目の色以外は瓜二つだ! そう言えば紅薬原(コウヤクゲン)で師父に拾われたはず…(はっ!)もしや新王とは…」「おい!似ているヤツなんてたくさんいる、ただの偶然だ」すると卓英は何でもかんでも詮索しないようたしなめ、話をはぐらかした。海市は釣りに出かける方卓英と鞠柘榴(キクシャリュウ)を見送った。日中は日差しが強いため、卓英は柘榴を気遣って夜に出かけることにしたという。しかしその帰り道、海市は偶然、巡回する兵士の中に紛れ込んだ湯乾自に気づいた。…湯乾自?なぜ宮中に?…海市は湯乾自の後をつけてみると、驚いたことに愈安(ユアン)宮の中へ消えた。湯乾自は回廊で密かに淑容妃の様子を盗み見ていた。どうやら緹蘭は子供を望まず避妊薬を飲み続け、激しい腹痛に耐え忍んでいる。緹蘭の思わぬ苦境に胸が痛む湯乾自、一方、方卓英と鞠柘榴は釣りを楽しみながら、次第に距離を縮めていた。方鑑明はこの休暇に臨碣(リンケツ)郡の海辺に行くと決め、海市を里帰りさせることにした。そこで海市は出発前、方卓英に淑容妃への贈り物を預ける。それは迦満(カマン)人から習った捕夢鈴(ホムレイ)で海市の手作り、この鈴を吊るすと夢を見ないでよく眠れるという。↓回廊でばったり…くるりんパッ!( ゚ェ゚)だからいらんって___こういうエピ↓馬車で居眠りする計算高い海市(←下種の勘繰りw( ゚ェ゚)師父、わろてはる___褚仲旭は宮道を移動中、偶然、緹蘭のウサギを抱いている女官を見かけた。なんでも淑容妃がウサギの面倒を見ることができず、綾錦司(リョウキンシ)に預けに行くところだという。褚仲旭は緹蘭の怠慢に呆れながら、今夜も夜伽に呼んだ。しかしいつまで経っても緹蘭が現れず、代わりに侍女・碧紫(ヘキシ)がやって来る。碧紫は淑容妃が風邪だとごまかしたが、憤慨した褚仲旭は本当かどうか自分で確認すると言った。緹蘭が目を覚ますと、眠っている間に碧紫が金城宮へ出かけたと聞いて呆然となった。一歩間違えば碧紫が自分の巻き添えになってしまう。その時、碧紫が駆けつけ、皇帝の来訪を知らせた。緹蘭は寝台から降りて拝礼、すると褚仲旭は自分の夜伽を拒んだとして外でひざまずけと命じる。驚いた碧紅(ヘキコウ)は涙ながらに恩情を求めたが、緹蘭は罪を認めて外へ出ようと立ち上がった。しかしそこで失神してしまう。侍医は毎日の涼薬が淑容妃の身体に合わず、激しい痛みの発作に襲われていると説明した。「よく今日まで持ちこたえました」聞けば淑容妃は自ら治療を拒み続け、侍医も手をこまねいている状態だったという。自暴自棄のような緹蘭の行動に戸惑う褚仲旭、しかし素直に緹蘭を心配することもできず、侍医に治療を命じて帰って行った。鞠柘榴はこれまで通り繍女たちと同じ居所を使っていた。しかし蘇姨(ソイ)に促され、典衣だった叔母の部屋に移ることにする。柘榴は独りになるとしばし叔母との思い出に浸り、ふと涙があふれ出した。「姑姑を殺し、綾錦司を害した犯人を必ず見つけ出します…」すると柘榴は偶然にも机の下から暗号が刺繍された密書を発見する。…今日、瀚(カン)州の北は平静、すべては平安…鵠庫左部は黄泉(コウセン)関外に至った柘榴はこれが瀚州に潜ませた間者から叔母に届いた情報だと分かったが、なぜ叔母はこんなところに隠していたのだろうか。実は密書は他にもあった。…その捕虜は女子…方海市は方鑑明の想い人であり、蘭茲(ランシ)に潜ませた間者だ故郷へ到着した海市は母と再会、2人は抱き合って喜び涙した。海市は方鑑明を軍で一緒に育った友人だと紹介したが、そのせいで葉母は娘たちの関係を誤解し、方鑑明が娘の夫にふさわしい相手なのか質問攻めにしてしまう。「家柄が違いすぎるかしらねえ~」「阿娘…( ̄▽ ̄;)」鑑明はまんざらでもない様子だったが、海市は気まずそうにうつむいた。つづく(@_@)かあさん、本番まであとどれくらいでしょうか?※張玉娘の″山之高″より「高い山から昇る月 小さくとも美しい 思い人は遠いところ 1日会えぬと心が寂しい」″宮廷の諍い女″でも甄嬛が詠んでましたね〜懐かしい
2022.09.09
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飞狐外传 Side Story of Fox Volant原作は泣く子も黙る金庸先生の小説「飛狐外伝」清朝乾隆時代を舞台に両親の敵討ちを誓った少年・胡斐の成長を描く両親を殺され、四叔父に育てられた少年・胡斐しかし叔父は奪われた胡家刀譜を取り返そうとして殺されてしまう胡斐は叔父が取り戻してくれた刀譜で武術の腕を磨きながら成長、父の仇討ちのため江湖に足を踏み入れる道中、紫の衣を着た腕利きの娘・袁紫衣と出会った胡斐二人は偶然にも悪事を働く鳳家を懲らしめたが、袁紫衣は鳳家と何やらいわくがある様子やがて胡斐は両親の敵である苗人鳳を発見しかしその時、苗人鳳が…( ๑≧ꇴ≦)!!!胡斐はわけあって苗人鳳のために薬王谷へ、そこで弟子・程霊素と出会う次々に明かされる父の死の真相胡斐は黒幕がいると気づき、義侠心あふれる苗人鳳への思いにも変化がそりゃそうだ、見るからに怪しい人がいるいるw(」゚ロ゚)」<胡斐、うしろ〜うしろ〜…みたいなそしてついに真犯人を見つけ出し…※あくまでイメージですw〓登場人物〓主人公 胡斐(コヒ)胡一刀の遺児、父の敵である苗大侠への復讐を誓う袁紫衣(エンシイ)紫色の衣で颯爽と登場する武芸達者な娘程霊素(テイレイソ)薬王の弟子我らが苗人鳳(ビョウジンホウ)胡斐の父・胡一刀は好敵手何者かの策略で胡夫妻を毒死させてしまう今も黒幕と胡一刀の遺児を探し続けているミャオ大侠福康安(フクコウアン)乾隆帝の私生児、武林の解体を目論み武術大会の開催を思いつく馬春花(バシュンカ)胡斐の姉のような存在、福康安に見染められ恋仲になるなんとPちゃんが田帰農 えーっ!Σ(°∀°ノ)ノ呉聘役ですっかり良い人のイメージがついたのに、あえて汚れるスタイル?wそして今回、四爺@茗微と高盟主@山河令が鳳家の親子こうして知っている顔を見つけるのも楽しいでも素錦@桃花は…ねえ?(←何?w今まで武侠ものはちょと…と敬遠していた方にも時代劇風になって見やすくなっていると思いますちなみに胡斐と言えば私にとってはこちら″雪山飛狐″懐かしい!当時はNECOさんの武侠枠で放送されるドラマをひたすら見続けていました中でもこれは…w何しろ出てくる女性キャラがねえ〜この作品以来、すっかりアンアンが苦手になった思い出( ˘ω˘ )今回のメンバーの方が武侠迷には好評なのかな?私はむしろ男主は父親役のほうがハマっていると思ったわこのまま少年役の胡斐のまま親子で良かったのでは?…んなわけないか(´゚艸゚)∴ブッYouTubeでも配信してくれるというふとっぱらに感謝し、視聴はマストでも話は想像ができるのでミャオミャオしか見ないと思う・・・|ω・`)ごめん
2022.09.06
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第20話「英雄たちの帰還」淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)は自分の使命を果たすため、差し入れを口実に皇帝を訪ねた。皇帝は謁見を許してくれたが注輦(チュウレン)のために来たことは一目瞭然。激怒した旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は緹蘭を追い出し、特使・蒲由馬(ホユウバ)を天啓(テンケイ)から即刻、出立させるよう命じる。すると清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)が注輦との関係を心配して嘆願にやって来た。「朕は関わらぬからな、お前の好きにせよ」「御意」一方、綾錦司(リョウキンシ)の典衣となった鞠柘榴(キクシャリュウ)は失明しながらも、その才能は健在だった。春用の布が届けば手触りだけで品質を見抜き、少府監の施霖(シリン)も気が抜けない。これを機に方卓英(ホウタクエイ)は遠くから柘榴を見守るのを止め、そばで力になろうと決めた。そこで唐突に友になりたいと申し込み、これからは度々、綾錦司に来て交流を深めたいという。柘榴は卓英に風神様の面影を感じながら、喜んで申し出を受け入れた。(  ̄꒳ ̄)<で、なぜウサギの名前が小白(ショウハク)だと?( ̄▽ ̄;)<ぁ…白いウサギと言えば小白だろうな~って嘘です、前から知ってました春になり黄泉(コウセン)関から兵士たちが帰還、方海市(ホウハイシー)は湯乾自(トウカンジ)と共に参内を命じられた。官服に着替えて朝堂へ呼ばれた海市、一番前には師匠の姿がある。すると海市は鵠庫(コクコ)の前左菩敦(サホトン)王を殺して迦満(カマン)との同盟を結んだ功績が認められ、従三品の雲麾(ウンキ)将軍に抜擢された。清海公以来の異例の出世に大臣たちは騒然、海市も困惑する。「陛下、こたびの功績は黄泉営の兵士たち皆のおかげ、昇級は恐れ多くお受けできかねます」方鑑明も海市には早過ぎると撤回を申し出たが、褚仲旭は海市の度胸と智勇を高く買っての抜擢だと説明した。「まさか本気で辞退するつもりか?」「ぁ…陛下に従います!」その時、居眠りをしていた皇弟の昶王・褚季昶(チョリチョウ)がうっかり鷹の卵を落として割ってしまう。大臣たちは失笑、すると皆の注目が昶王に向いたのを利用し、湯乾自はそれとなく指を動かした。…湯乾自が誰かに合図を送ってる…海市は密かに湯乾自の様子を見ていた。方鑑明は昭明宮に戻ると海市に罰を与えた。「私の教えを忘れたのか?」「目先の成功や利益を得ようと焦るべからず…」海市は手の平を打たれながら戒めを暗唱していたが、やがて痛みに耐えかね、手を引っ込めてしまう。「これ以上ぶたれたら皮が裂けますぅ」「従三品は重臣だ…お前は女子、早い出世は危地に身を置くも同じ」鑑明は海市が権力争いに巻き込まれることを危惧したが、海市は早く師匠と肩を並べて戦いたいと訴えた。「師父!それより湯乾自が朝議で誰かに合図を送っていましたよ?」「分かっておる」「湯乾自は蘇鳴が送り込んだ間者では? あ、それに師父、左部の晋王・奪洛(ダツラク)は卓英にそっくりで…」海市は子犬のような眼差しで師匠を見上げながら矢継ぎ早にまくし立てた。今や海市は唯一の泣き所、鑑明は浮き足立って報告どころではない。「私は大事な人に会うためだけに戻って来たのです!」すると鑑明は海市を意識するあまり、居たたまれなくなって出て行ってしまう。(」゚ロ゚)」<しふぉ! バタン!>][昭明宮の中庭に満開の霽風(セイフウ)花樹があった。方卓英の話では師匠が旧館から移植させたという。根付くかどうか心配していたが、霽風花は海市の帰りを喜ぶように美しく開花した。その夜、方鑑明は寝床で気を巡らせていた。すると婚礼衣装をまとった美しい海市を追いかける幻想を見てしまう。手を伸ばしてもなかなか海市を捕まえられない鑑明、その時、海市の胸に弓矢が刺さり、鑑明は驚いて目を覚ました。海市は鞠柘榴に北方の土産を届けるため、方卓英と一緒に綾錦司を訪ねた。ちょうど柘榴は露台で刺繍をしていたが、海市は柘榴の目が見えないと気づく。その時、突風が吹いて刺繍糸が飛ばされた。海市は咄嗟に糸を拾ったが、柘榴は色が識別できないので教えて欲しいと頼む。「左手が青、右手が紫…」「ではこれが薄い桃色ですね」すると卓英は天気が良い日に釣りに行こうと誘った。帰りの道すがら、海市は自分たちが宮中にいれば綾錦司を救えたかと思うと胸が痛んだ。しかし方卓英は生き残れたことが不幸中の幸いだと捉え、いつか必ず黒幕を捕まえると誓う。海市はふと朝議での湯乾自の様子を思い出したが、卓英には何も言わなかった。注輦をめぐり旭帝と淑容妃の関係は暗転、再び溝ができた。思い詰めた緹蘭は紫簪(シサン)を模倣するという愚策に賭けようと決める。その時、帰郷した方海市が土産を持ってやって来た。しかしもはや皇帝から冷遇されている身、緹蘭は自分と関われば方大人まで巻き込むと懸念し、体調が悪いと追い返してしまう。その夜、紫宸(シシン)殿では盛大な祝宴が開かれた。褚仲旭はすっかり酔いが周り上機嫌、臣下たちが気兼ねなく飲めるよう先に引き上げる。すると寝所で紫簪が愛用した様式の衣装をまとった緹蘭が待っていた。「紫簪…」「…阿旭」しかしその声を聞いた褚仲旭は我に返り逆上、緹蘭の首をつかんでしまう。「紫簪とそなたの区別がつかないと思ったか?!…朕の名を呼ぶな!」かつて紫簪は注輦の使者が来ると憤慨し、追い返していた。『父上は欲深い人よ、あなたが情にもろいと知っているの 阿旭、だまされたり利用されたりしないで…』『だったら私より長生きして情にもろい私を守ってくれ』『あなたより長生きするわ、だって私がいなくなったら阿旭が独りぼっちになっちゃうでしょう?』褚仲旭は愛しい紫簪のことを思い出し、涙が込み上げた。しかしその悲しみは緹蘭への激しい憎悪となり、そのまま寝台に押し倒して衣を剥ぎ取ってしまう。つづく(°_°)何を見せられてるのかと小一時間w師父の妄想とか蟹エピとかいらないんですけど___
2022.09.04
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第19話「心のともし火」急ぎ天啓(テンケイ)へ戻り、再び方海市(ホウハイシー)と離ればなれになった清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は鑑明の温情も虚しく逃亡した蘇鳴(ソメイ)に深く失望していた。「この世も、この朝廷もうんざりだ…最初から知っていれば玉座など争わなかったものを…」しかし鑑明は改めて忠誠を誓い、今回の謀反を止めることができなかったが、次はないと安心させた。方卓英(ホウタクエイ)は想い人の苦難に心を痛めていた。そこへ大師兄の様子がおかしいと聞いた方鑑明がやって来る。卓英は蘇鳴を取り逃したと報告、殺すべきだったと後悔した。「いずれその機会は来る…こたびの責任は全て私にある」「師父、必ず挽回してみせます!」すると卓英は海市が戻ったら3人で霽風(セイフウ)花の下で飲みたいと言った。褚仲旭は鑑明の顔を立て、鞠七七(キクシツシツ)が裏切り者であっても、故郷へ返すことを許した。綾錦司(リョウキンシ)で独り生き残った鞠柘榴(キクシャリュウ)、すると清海公が叔母との告別に来てくれる。「そなたの命と共に恩讐も消えた、安心して帰郷せよ」方鑑明が鞠七七の遺骨に頭を下げると、柘榴も一緒に平伏した。そこで鑑明は柘榴も帰郷したければ手配すると言ったが、柘榴は皇宮に留まって叔母の志を継ぎたいという。「苦労するぞ?典衣の職務については?」「はい、典衣から全て教え込まれています、残された仕事もすでに引き継いでいます」先祖代々、鞠家は方家の家臣、柘榴は朝廷に忠誠を誓うと覚悟を伝えた。(  ̄꒳ ̄)え?裏切り者の姪なのに任せて大丈夫なのか?師父?その夜、方鑑明はようやく傷の手当てを受けた。太医は刀傷が癒えるまで静養するよう勧めたが、鑑明は軽症だと聞く耳を持たない。しかし今回ばかりは深刻だった。「このまま公務を続ければお命は風前の灯となります」一方、方海市は張承謙(チョウショウケン)たちと黄泉(コウセン)営に戻った。湯乾自(トウカンジ)は海市たちの活躍を称賛、これで大打撃を受けた鵠庫(コクコ)左右両部とも数年は身動きが取れないという。「辺境が平安なら朝廷も安泰だ」奇しくも共に静養する時間を得た方鑑明と海市、2人は遠く離れていたが、互いに相手を思いやっていた。あの夜から褚仲旭は淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)に上奏文を読み上げさせるのが日課になった。皇帝と淑容妃、頑固者同士も一緒に過ごす時間が増える中、次第に警戒が解けて行く。↓うたた寝してしまった緹蘭の顔にいたずら書きする陛下そんなある夜、侍女・碧紅(ヘキコウ)が嬉しそうに愈安(ユアン)宮へ戻ってきた。宮女たちの話では厳寒で凍った霜平湖に水灯が浮かんでいるという。「神業でもなければ冬の湖面を溶かせませんよ?淑容妃、見に行ってみませんか?」緹蘭たちは寒空の中、霜平湖へ出かけた。すると驚いたことに氷が溶けて水上にたくさんの蓮型の灯籠が浮かんでいる。「龍尾神のご加護ね…」「ここまで龍尾神の力は届かぬぞ」「(はっ!)陛下にご挨拶を…」「淑容妃、大徴(ダイチョウ)では本来、龍尾神を祭ることはありません 宮中には生き神様がいらっしゃいますから@陛下」穆徳慶(ボクトクケイ)の話を聞いた緹蘭は皇帝が自分のために準備してくれたと分かった。今頃は暖かい注輦(チュウレン)、故郷では恩月節を迎え、人々は灯籠を流して賑やかな街へ繰り出しているだろう。「望郷の思いを叶えていただき感謝します」褚仲旭は嬉しそうな緹蘭を見て満足げだったが、急にくしゃみが出た。緹蘭は皇帝が身体を冷やしたと気付き、温かい粥を作って御所へ届けた。そこで褚仲旭は独りで食べるのも味気ないと、緹蘭も一緒に食べようと誘う。すると緹蘭は作法として食事中、一言も話さなかった。「姉妹でも違うのだな…」褚仲旭は紫簪(シサン)との食事を懐かしんだ。紫簪は話に夢中になると箸が止まり、好物がなければ食が進まず、菓子ばかり食べていたという。「意地の悪い者には仕返しもした…ふっ」当時、方鑑明が宴をのぞき見している注輦の使者を見咎め、″使者も偏食で紫簪と同じだ″と嫌味を言ったことがあった。それを聞きつけた紫簪は半年もの間、鑑明が王府に来ても好物を出さなかったという。「完璧だからといって人を愛するわけではない、教えられた作法は忘れるが良い …今後は金城宮の出入りを許す、独りの食事はつまらぬ、共に食べよう」緹蘭は姉に遠く及ばないと分かっていたが、皇帝の言葉に救われる思いがした。静養のおかげで方鑑明の身体は回復した。海市もすでに完治、春になれば参内のため帰京する。海市との再会に人知れず胸を躍らせる鑑明、そんなある日、淑容妃が皇帝に寵愛されていると聞きつけたのか、注輦の使者がやって来た。蒲由馬(ホユウバ)は注輦が水害で避難民であふれていると報告、援助して欲しいと訴える。しかし方鑑明が密かに目配せし、長旅で疲れていはずだと半ば強引に使者を下げた。↓弟の鷹が大きくなってる!てっきり朝議で卵を落として割ったと思ってたw注輦は毎年、天災を理由にしては法外な金を要求して来た。かつて紫簪は注輦が無心してくる度、先帝への口添えは必要ないと言ってくれたことを思い出す。当時は愛する紫簪の故郷を無下に出来なかった褚仲旭、しかし紫簪を失った今、何もかも耐え難くなっていた。皇帝は愈安宮に現れなかった。仕方なく緹蘭は独りで食事を始めたが、そこへ注輦大使との面会が許可されたと知らせが来る。緹蘭は衝立越しに叔父と再会、すると蒲由馬は故郷が水害で王も心労で痩せてしまったと嘆いた。「陛下にお目取りし支援を嘆願したのですが、受け流されてしまいました かつては当時の旭王が先帝に頼んでくださった、それは紫簪殿下のお口添えがあったからこそ…」蒲由馬は緹蘭から皇帝に窮状を訴えて欲しいと迫り、帰って行った。褚仲旭は蒲由馬が愈安宮から帰った後、緹蘭が泣き腫らしたような目をしていたと聞いた。「女子に難題を迫ったか…」注輦は淑容妃を取り引きの駒にするつもりだろう。褚仲旭は憤慨し、緹蘭を避けるように敬誠堂(ケイセイドウ)に閉じこもった。緹蘭は皇帝の気持ちを察し、自分から会いに行くようなことはしなかった。しかし碧紅が大使の要求に応えてはどうかと進言する。「王城が浸水だなんて相当ひどい状態です、このままでは疫病が蔓延する恐れも…」「疫病なんて、誰に吹き込まれたの?」「あ…」碧紅はうっかり口を滑らせ、気まずそうにうつむいた。つづく( ゚ェ゚)…つまらん@陛下w
2022.09.03
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覆流年 Lost Track of Time8月31日からマンゴーさんで配信が始まったジェットコースタードラマw現在3話まで視聴しましたが、何しろスピード感がすごい(  ̄꒳ ̄)な に _ _ _ こ の ド ラ マ _ _ _女主・陸安然(ルーアンラン)は蘇城最大の商号を持つ陸家の娘第1話で侍衛に成り済ました二皇子の慶王・穆澤と恋に落ち、結婚を約束戦から戻るのを今か今かと待つ安然ですが、手紙のひとつも来ませんすると突然、宮中から慶王に嫁ぐよう勅命が届き、ここでようやく侍衛と思っていた許嫁が皇族だと知るんですねしかし嫁ぐ日にいきなり生母が危篤…どうやら第二夫人がやらかしたのか?あるある~と思っていたら、そんな話をすっとばして、第2話でもう5年後~(  ̄꒳ ̄)な に _ _ _ こ の ド ラ マ _ _ _慶王妃となった安然には可愛い息子がいました腹黒そうだった妹妹も急に丸くなっているけど、何か見逃したのか私___?そして当然ながらw意地悪な側室が出て来ます懐妊した側室は事故に見せかけ安然の息子を溺死させ、激高した安然は剣を片手に復讐へ…しかし慶王が現れ阻止慶王は密かに側室を叱責しますが、政略結婚のため追及はせず、結局、事故として処理これがきっかけで安然と慶王の関係に亀裂が…と思ったらさらに数ヶ月後~(  ̄꒳ ̄)な に _ _ _ こ の ド ラ マ _ _ _側室の子供も無事に産まれ、王府では祝宴安然は寝殿に閉じこもっていますが、そこへ九皇子が現れます実は九皇子も第1話で安然に一目惚れ、でも出会うのがちょっと遅かったのね~その夜、安然は偶然、慶王が亡き息子を忍んで飛ばした灯籠を目撃書斎に駆けつけてみると、そこには息子の玩具が入った箱がありました安然はちょうど戻って来た慶王にガシッと抱きつき、息子を忘れていなかったのね~と感激の涙こうして2人は再び仲良し夫婦に戻りますめでたしめでたし?と思ったら、今度は戦に行った安然の弟が戦死あまりのショックで安然は倒れてしまいます(  ̄꒳ ̄)な に _ _ _ こ の ド ラ マ _ _ _安然、長年のストレスがたたって昏睡状態陰ながら安然を見守る九皇子は太医から血参で助かると聞いて手に入れますそんな中、慶王は陸弟の戦死が皇太子による罠だったと突き止め、朝議で追及どうやら弟、不正に気づいて皇帝に上奏しようとしたため殺されたんですねこうして皇太子は失脚、しかし皇帝も頭に血が上り倒れてしまうのでした安然はついに目を覚まし、慶王が弟の敵を討ってくれたと知りますまたしてもダッシュで慶王に抱きつく安然しかしいよいよ慶王の裏の顔が見えてきます…( ๑≧ꇴ≦)キィャァー実は慶王兄弟の生母は身分が低く若くして逝去しており、皇后が母親代りでした皇帝が倒れて動揺する皇后は慶王を頼りますが、そこで恐ろしい計画を持ちかけられることに…さて大方の予想通り皇后の薬を飲んだ皇帝が急逝…ってオイオイオイオイ( ̄▽ ̄;)こうして第3話の冒頭では早くも慶王が新帝に即位、安然は皇后となりましたとさ(  ̄꒳ ̄)な に _ _ _ こ の ド ラ マ _ _ _陰謀あるある〜ですが、何しろ展開が早すぎて嫌なこともあっという間に過ぎていきますwしかしなぜここまでしか紹介できないのか…実は本題は4話からなんですね(  ̄꒳ ̄)そう来たかそれにしても慶王役のジンチャオ、またこんな役なのか?!さすがにそろそろキャラ変してはどうかな~と老婆心wwwYouTubeでもマルチサブで絶賛、配信中です!
2022.09.03
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※原作はBL作品ですが当ブログでは非対応です山河令 Word of Honor最終話「天人合一/もう一つの結末」周子舒(ジョウズーシュー)は身体から釘を抜き、余命はわずかだった。「猶予はない、晋(シン)王が武庫を開けるのを阻止せねばならぬ」衝撃を受けた張成嶺(ジャンチョンリン)は極悪人である晋王のために師匠が犠牲になるなど納得できない。「師父、なぜ晋王を殺さぬのですか?!」しかし周子舒はこれも大義のためだと言った。西北を支配する晋王の地位を狙うものは多く、晋王を殺せば皆が一斉に蜂起してしまう。周子舒が晋王をあえて負傷させるにとどめたのは勢力の均衡を保つためだった。「成嶺、戦が起きれば民が苦しむ… そうなれば四季山荘の心残りだけでなく、戦による亡魂まで背負うことになるのだ」「…ごめんなさい、師父」ついに琉璃甲(ルリコウ)を集めた晋王、次は必ずや陰陽冊を狙うだろう。万が一にも陰陽冊で晋王が全快すれば周子舒の努力が水の泡に帰す。「お前との縁は思ったより浅かった、しかし弟子としてこの言葉だけは覚えていてくれ 太師父の口癖でもあった、″仁義に生きる侠客は国と民に尽くせ″と…」周子舒は必死に涙をこらえる成嶺を抱きしめた。「無用の身で有用なことを成せるのはこの上ない幸せだ、だから悲しむな」周子舒は七爺(チーイェ)・景北淵(ジンベイユエン)と大巫(ダーウー)・烏渓(ウーシー)に張成嶺と温客行(ウェンコーシン)の世話を頼んだ。すると景北淵は晋王の本当の狙いは陰陽冊ではないと指摘する。周子舒も知っての通り晋王と七爺は沙陀(サダ)族の末裔、祖先が反乱を平定して国姓を賜り、節度使に任じられて現在の繁栄を得た。しかし過去をたどると沙陀族は拓掲(タクケイ)の王族に隷属している。「代々、受け継がれた伝説によれば、かつて先祖が中原の果てに宝庫を残している 宝庫には天下安泰の秘密が隠され、探し当てれば衣食に困らず、流浪せずに済むという 宝庫には6個の鍵があり、六族の族長が保管していた…琉璃甲の話と似ていないか?」これまでただの絵空事だと思っていたが、周子舒の父親を殺したのが前晋王だと聞いて昔のことを思い出したという。「老晋王は当時、間もなく秘密を探し出せると言っていたが、結局、進展はなかった すると塞ぎ込むようになり、酔う度に嘆いていたのだ ″長年、探していた物が消え失せた″、″裏切りられた″と… ちょうどその頃だ、お前の父君の死を知ったのは」周子舒は龍雀(ロンチュエ)から聞いた武庫の経緯を思い出した。…お前の師父が見つけた前王朝の地下宮殿を私が改良して完成させた…錠も鍵もお前の師匠と友人が遊歴中に入手した「まさか師父の友人とは父上だったのか」韓英(ハンイン)が父は暗殺されたと言った時はにわかに信じられなかったが、周子舒はようやく合点がいった。周子舒はすぐ出立することにした。「成嶺、俺の言づけを復唱してみろ」「師父は重傷ゆえ七爺と大巫が治療のため、海の向こうへ連れて行きました…ゥッ… 帰りを待つ間、私と師叔で四季山荘を再建するよう命じられました」「出来損ないめ!泣き顔では師叔を欺けぬぞ!」しかし周子舒は愛弟子の想いを汲んで諦めた。「あの世で俺が恨みを募らせていいなら…勝手にしろ」「(はっ)精進します!」こうして周子舒は昏睡している温客行を残し、独り武庫を目指した。一方、蝎王と段鵬挙(ドワンポンジュー)たちついには雪原に眠る伝説の武庫に到着していた。趙敬(ジャオジン)は輿の中から段鵬挙が琉璃甲をはめ込む様子を眺めていたが、なぜか肝心の鍵が合わない。驚いた蝎王は必死に鍵を差し込もうとするも失敗、そこに突然、周子舒が現れた。段鵬挙はすぐ振り返ったが時すでに遅し、首を切り裂かればったり倒れてしまう。「周子舒!…解放したのに、なぜ谷主は私を欺いたのだ!」蝎王は偽物の鍵を投げ捨て激怒、すると周子舒は琉璃甲に偽物があれば当然、鍵にも偽物があると涼しい顔で言った。どうやら晋王は来ていない。「…まあよい」しかし武庫の門を覆っていた氷を壊したせいで、日が昇ると同時に気温が上がり、雪崩が起こった。蝎王たちは武庫どころではなく一斉に逃げ始めたが、周子舒はこれが天意だと目をつぶる。その時、温客行が駆けつけ、いきなり周子舒のかんざしを抜いた。周子舒は気配を感じてふと目を開けた。すると温客行がかんざしのからくりを解いて鍵に戻し、武庫を開門する。「走るぞ!」雪崩に巻き込まれる蝎王たち、しかし温客行と周子舒は危機一髪のところで武庫の中へ逃げ込んだ。温客行は周子舒を晋州から救出した時、身支度を手伝いながら自分のかんざしを挿しておいた。死を偽装する計画だったため、安心して鍵を預けられるのは周子舒だけだったという。「両親は鍵の利害を知ってかんざしに作り変えた あの時、鬼谷がどんなに探し回っても見つけられなかったはずさ、私の頭にあったからな …ったく周子舒!何て大馬鹿なんだ!あの老妖怪に感謝しろ!」実は張成嶺は師匠を救うため葉白衣(イエバイイー)を頼っていた。『愚か者どもめ!始末に負えぬ奴らだ!』すると葉白衣は七爺たちが止めるのも聞かず、温客行を夢から目覚めさせようとする。『お節介です!運命を共にする仲ゆえ、荘主が死ぬと知ったら…』『縁起でもない!私より先に誰も死なせぬぞ!』周子舒と温客行は地下宮殿に入った。かつて師匠たちはここで鍛錬していたのだろうか。今ではその面影もないほど殿内は老朽、そこで2人は早速、正殿の奥にある書庫へ向かった。噂通り確かに武林門派の奥義書があったが、つぎの石室にはなぜか農耕に関する書物ばかりが並ぶ。2人はさらに地下へ降りた。すると温客行は仰々しい化粧箱を発見、その中からついに″六合心法″を発見する。「あったぞ!」しかし周子舒はその部屋に備蓄された穀物を見ていた。封印には拓掲文字が記されていたが、どうやらこの穀物で飢えをしのぐことは無理らしい。「いつから放置されていたんだろう?20年やそこらでは朽ちないはずだ」「(はっ)そうか!分かった!これが天下安泰の秘密だ!」伝説によると秘密を探し当てれば沙陀族は衣食に困らないと言っていた。ここにあるのは農具や穀類、拓掲語に訳された農書、これこそ拓掲の祖先が残した秘密だったのだ。遊牧民が農耕を習得し自給自足の暮らしを送れることができれば、確かに天下安泰になる。すると温客行は晋王が穀物と農具のために労力を費やしと思うと笑いが止まらなかった。周子舒はこれで全ての謎が解けた。あの時、龍雀も師匠が苦労して琉璃甲を得たが、中には大した物がなかったと証言している。恐らく父は前晋王の依頼でこの宝庫を探し当てたのだろう。しかし穀物しかなかったと報告しても、前晋王の性格からして信じるとは思えず、師匠まで巻き添えになると悟ったのだ。「父君は師父に宝庫の意義さえ伏せたのやも… だから師父はここを武庫として提供したんだ、空っぽの庫だからな 晋王が知ったらどんな顔するか見たいな~(´゚艸゚)∴ブッ」すると周子舒はその前にまず雪に埋もれた地下宮殿で生き延びなければならないと呆れた。「俺たちは閉じ込められたんだ もし出口を見つけて脱出できるとしても、氷雪を食べてどれほど生き延びられる?」「ふっ、葉白衣が氷雪で何年、生き長らえたと?」葉白衣は六合心法で若さを保って神仙のように生きていたが、当然、弊害があった。実は長明山にこもっていたのは人天の境界を踏み越えたが最後、極寒の地に住み続け、氷雪しか口にできないからだという。ひとたび俗世の料理を食べれば雪が溶けるように老化が始まる。葉白衣が2人と知り合ってから急に白髪が増えたのはこれが理由だった。「老妖怪は生ける屍の状態に嫌気が差し、むさぼり食ってたんだ…」周子舒と温客行は向かい合って座った。六合心法とは破壊と構築、地獄の苦しみを得た後に経脈が再構築されて生まれ変わる。だが体質により苦しみの長さが異なるため、2人で助け合い修行せねばならなかった。相手が限界に近づいたら真気を送り共に乗り切る。すでに触覚も失った周子舒は痛みを感じないと笑ったが、温客行は葉白衣と大巫からすでに助言をもらっていた。「修行を始めてお前が視覚と聴覚を失おうと慌てることはない 体内の気の流れに集中しろ、難関を越えれば五感は回復する、それを何度が繰り返す」「分かった…始めよう」やがて周子舒は完全に何も聞こえなくなった。すると温客行は今なら正直に話せると気づき、全てを明かす。「阿絮(アシュー)、お前は天窗(テンソウ)の首領で疑り深いはずだろう?なぜ私を信じ切れる?」その時、温客行の髪が真っ白になった。…葉白衣は周子舒が眠らせた温客行を目覚めさせ、周子舒を救う方法があると教えたただし温客行の命と引き換えだという『どうする?』『願ってもない!』すると葉白衣は温客行に六合心法を授けると決めた…温客行は自分を欺こうとした仕返しだと笑った。「今回の嘘は大したことじゃないだろう? 残された者こそ辛く苦しい…お前は私の師兄だ、引き受けてくれ」…猛烈に暴れる六合の真気に血肉の身体は耐え切れぬ…自らを犠牲にした者から鍛錬した真気を受け取ってこそ経脈を再構築して生死の境界を越えられる…その者は経脈が壊れて白髪に変わる…ある者の犠牲により天人合一の呪いを受け私はここまで生き長らえたが…すべてはこの日のためだったのだな周子舒は全ての感覚を取り戻し、そっと目を開けた。しかし目の前の温客行は白髪となり、ふいに力なく腕が落ちてしまう。周子舒は咄嗟に温客行の両手を受け止め、ようやく温客行が自分のために犠牲になったと知った。月日は流れ、張成嶺は幼い弟子たちに昔話を聞かせていた。「雪崩によって蝎王と趙敬は雪山に葬られ、頭目を失った毒蝎は江湖から消えた」「では師父、武庫の2人はどうなったのですか?」「六合心法を会得するには自らの身体を喜んで犠牲にしてくれる者が必要だ 六合の真気を相手に渡した者はいくら武芸に秀でていても、 即死を免れたところで最終的に経脈が途絶える…」「2人は会得できたのですか?」しかしそこへ高小怜(ガオシャオリエン)が可愛い少女を連れて現れ、話は終わってしまう。「でぃえでぃえ!」「念湘(ニエンシアン)~良い子だな」成嶺が娘を抱き上げると、小怜は門弟たちに何の話をしていたのか聞いた。「高(ガオ)師姑、六合心法のお話です」「成嶺ったら、またある事ない事ばかり話して…」一方、雪山では独りの少年が修練に励んでした。「前輩!ご指導ください!」「良かったぞ、お前の年頃の我が弟子より数段上だ、ただ剣の出し方に若干、迷いがある」少年が崖を見上げると、周子舒の姿があった。その時、眩い光を背に白髪の温客行が現れる。「阿絮、また子供を惑わせたな」すると2人は少年がいることも忘れ、しばし手合わせに興じた。父親が息子を迎えにやって来た。「でぃえでぃえ、私は未熟ですか?母上は達者だと…」「お前のせいではない、お二人は生涯、やり合ってきた また神々の戯れだ、いつ終わるともしれない、さあ、もう母上のところへ帰ろう」「うん!」その少年の父親は鄧寛(ドンクワン)だった。完( ゚д゚)えーと…正解がお分かりの方はご連絡くださいwちなみに本国配信では成嶺師匠の場面で終わりでしたで、番外編として″神々の遊び編″が配信されていますさらにWOWOWさんとLaLaTVさんではエンディングの場所が入れ替わっているという…謎wせっかく楽しく視聴できたのに…まあ私にとっての最終話は阿湘の死だったのかも( ̄▽ ̄;)あらすじが遅くなりましたが、お付き合い頂いた皆様、ありがとうございました(^ꇴ^)ノ
2022.09.01
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