ブロクイズ(旧わくわくなたけのこ)

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本当に強い組織 踊る大捜査線と心理学



本当に強い組織とは何か



現在、激しい市場競争の中で多くの企業が新しいビジネスモデルの創出など、生き残りをかけたさまざまな模索や施策を行っている。ところが、「優秀な社員の流出」「目標達成意欲の低下」「会社方針への無関心」など組織内での問題が浮き彫りになってきている。組織内での不祥事もニュースになることが多い。本当に強い、良い組織とはどのような組織なのだろうか。組織を取り巻く従業員と組織の関係に焦点を当て、検証してみた。

なぜ組織戦略が叫ばれるようになってきたのか。その原因を簡単に言えば産業、企業の停滞や競争力低下という厳しい状況が表れるようになってきたからということが挙げられる。日本の企業は高度成長期に見られた組織に代わる組織を模索しなければならなくなった。日本的な組織といえば、職務の概念が曖昧なために部門によって重要なコア機能と、周辺的な機能に分けて考える傾向がある。「人に合わせて職務を配分する」属人主義といわれるものが一般的であり、それゆえ日本企業では守備範囲の広いゼネラリストが評価されるといわれていた。また「KAIZEN」(現場の第一線で働いている従業員が、自らの工夫によって自分の担当している仕事を改善すること)に代表されるように、権限が組織の下部に多く配分し、経営者と従業員の間の情報の共有化が進んでいることが日本企業の強さの秘訣といわれていた。(出所 石田英夫 企業と人材)そういう点で日本企業ではボトムアップ型の意思決定の仕組みを持つとされている。

一方、欧米企業で見られるピラミッド組織は部長が自分の考えで決定を下し、部下に指示や命令を出すという、トップダウン型の意思決定の仕組みを持っていた。会社の外から優秀な人材を確保してくるといった外部調達(いわゆる中途採用)を多く取り入れるなど、合理的・効率的に職務に合わせて人を配分してきた。ポスト高度成長期型として日本は後者である、欧米型の組織への変革を図ったのである。

しかし、次第に欧米型の組織の欠点が浮き彫りになってきた。まずピラミッド型の意思決定について挙げる。ピラミッド型組織は上に立つ人間が下の人間よりも正しい答えを知っていることを前提に成り立っている。ゆえに指示命令が出せる。ただしいくら指示系統がしっかりし、組織の実行効率が優れていても、戦略が適切でなければ成功できない。適切な戦略を生むためには現場を基点とした環境の分析が欠かせない。しかしめまぐるしく変わる外部環境、組織の誇大化が叫ばれる現在において、ピラミッド型組織ではどうしても上と下との情報の共有化、つまり意思決定が遅れてしまう。実行効率も低下し、変化に対応できなくなってきているのである。次に、雇用の多様化の問題を挙げる。不況が叫ばれる中、仕事を中心に考え、人員配置を行う欧米型の組織においては、従業員の終身雇用はもはや当たり前の時代ではなくなった。人件費の削減や、生産性の効率を重視した人員配置を行うためリストラがいたるところで見られている。また、かつては正社員とアルバイトしかなかった雇用の形態も多様化しつつある。アルバイトやパートに加え、嘱託・契約社員、さらに派遣や業務委託(請負)などのアウトソーシング(業務の一部を外部に委託すること)も一般的になってきた。いわば必要な人材を必要なときに採用する「ジャストインタイム採用」である。会社に必要な人材を新卒ではなく中途採用や通年採用する傾向が強くなってきたことは社員を「育てていく」という余裕が企業側になくなりつつあることを意味する。

これに対して個人も終身雇用の意識を持って入社するのではなく、能力開発 や個性発揮、理想のライフスタイルの実現などそれぞれの希望を重視した就職・転職を行うようになってきた。つまり、企業と個人が互いに拘束しあう「バインディングモデル」とも呼べる旧来の日本型雇用システムから、人材の流動化を前提とした新しい雇用システム「モビリティモデル」への移行が始まっているといえる。雇用する側とされる側が、ほとんど一体感のない他者として付き合い、結びつきの弱い関係になっている。結果、企業にとっては魅力あるステージに変革しなければ優秀な人材を採用できない、また、流出してしまうといった問題が浮きぼりになってきているのである。

結果、欧州企業を模倣したモデルではなく、新しい組織の開発が必要を迫られてきている。企業は「人」である従業員によって組織されている。どんなに優れた施策を打っても、それを運用する側に意思や意欲、つまり高いモチベーションがなければ成果は得られない。
そこで必要なのが、個人の価値観が多様化するなかで、どうすれば従業員一人ひとりのモチベーションを高められるかという、これまでと違う新しいマネジメント、つまり「モチベーションエンジニアリング」を導入することが必要である。採用、配置・異動、昇進・昇格、給与や報酬、教育訓練、勤務体系などあらゆることに関して現在、自社の従業員は何を求めていて、それがどの程度満たされているのかを認識すること、そして、そこで抽出された問題を解決していくことが確実な組織強化への道ではないだろうか。市場動向も現場の人間である従業員が一番良く理解しているだろう。従業員を理解することで今、どのようなことが市場で起こっているのかも理解できる。ピラミッド型で見られた「タテ」の関係性だけでなく、「ラインとスタッフ」「営業と製造」「顧客と営業」などの「ヨコ」の連携をいかにしっかりとつなぎ、有効に図るかといった課題の解決に取り組むことも必要だ。そのためには組織内での親密な連携関係の中で培われた信頼関係の形成が欠かせない。長い時間の中で人材価値をトータルに見極めていかなくてはならない。

ある重大な事実に気づくのではないだろうか。新たな組織形態を検証してみると実は従来から、日本の企業が当たり前の習慣として行なっていたという事実に。例えば社員の人事評価を行なう際、テクニカルな能力や業績だけでなく、積極性や協調性といった情意的要素を合わせて評価するという方法も、わが国の企業では広く行なわれていた。もちろん欧米の組織経営から学ぶべきことは多々あるが、株主利益の最大化を目的とした米国型経営と、社会貢献の最大化を目的とした日本型経営は、その経営思想の根本において異なっている。組織戦略を考える際にはかつての日本型経営の原点へと回帰し、さらに新しい時代の日本型経営を創造していかなければならない。そして、その日本型経営ビジョンの先に21世紀の日本型資本主義のビジョンを誇り持って描いていかなければならないであろう。


二人の石切り職人

旅人が、ある町を通りかかりました。
その町では、新しい教会が建設されているところであり、
建設現場では、二人の石切り職人が働いていました。

その仕事に興味を持った旅人は、
一人の石切り職人に聞きました。

あなたは、何をしているのですか。

その問いに対して、石切り職人は、
不愉快そうな表情を浮かべ、
ぶっきらぼうに答えました。

このいまいましい石を切るために、
悪戦苦闘しているのさ。

そこで、旅人は、もう一人の石切り職人に
同じことを聞きました。

すると、その石切り職人は、
表情を輝かせ、生き生きとした声で、
こう答えたのです。

ええ、いま、私は、
多くの人々の心の安らぎの場となる
素晴らしい教会を造っているのです。

これからの強い組織を考える際には1.わが国独自の特性を見直すこと、2.それを現代の条件の中でアレンジし、3.有効な戦略を選択することが必要不可欠であろう。しかし、何よりもこの先必要になってくるのは従業員のモチベーションに他ならない。
どうすれば従業員のモチベーションを上げることができるのか。成果主義に伴い、企業は給料や年収といった報酬、また地位や役職といった報酬、この2つにばかり目を向けてきてしまった。しかし仕事には目に見えない3つの報酬がある。働き甲斐ある仕事を任されたり、実際成功させたりした時の喜び。仕事により腕を磨くことで職業人としての能力向上への本源的な喜び。また人間としての成長による喜び。これからの時代、企業は経済的価値だけでなく、社会的価値や人間的価値を大切にしなければならない。この『2人の石切り職人』という寓話は、企業に一つの問いを投げかけてくる。あなたの企業の社員は果たしてこの寓話における、どちらの石切り職人なのだろうか。そして、あなたの社員はこの二人目の石切り職人のごとく、目を輝かせて仕事に取り組んでいるだろうかと。
「モチベーションを上げてください、やる気出してください」と言えば、社員のモチベーションは上がる。そんな簡単なものではないことを私はこの経済学研究部という組織で身をもって学んだ。もちろん部活動で目に見える報酬などあるはずがなく、地位や役職でモチベーションが操作できるはずもなかった。しかし、この組織が「目に見える価値」ではなく、「目に見えない価値」の大切さやすばらしさを教えてくれたことは、これからの組織戦略を考える際の良い経験になったと思う。


(参考文献)
人事管理入門(今野浩一郎 学習院大学教授) 
GOODNESS-『良い』会社にする 『良い』会社になる (田坂広志 多摩大学教授)
週間プレジデント『会社と人の心理学』(ダイヤモンド社)
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