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2004年1月~6月
全部で33作品読みました
人間水域
松本清張
ものすごく久々に松本清張さんの作品を読みました。前衛水墨画の世界に現れた二人の美女。実力以上にその美貌でマスコミにもてはやされた二人は、更にのし上がっていくために財界の有力者に取り入って庇護を受けようとさまざまな努力をする。そしてその先にあったものは・・・。一度地位を得てしまうとそれを失うことが出来なくなってしまう人間の弱さや、権力者を利用しているつもりが実はただ遊ばれていただけだったりしてと、やるせなくなってしまう作品です。
でも面白いです。
2004年06月26日01時57分04秒
死者を笞打て
鮎川哲也
タイトルを見るとハードボイルドっぽい印象を受けますが、実はコメディーな推理小説でした。文中の推理小説家「鮎川哲也」が知人の編集者に急遽ページが抜けちゃって困っているから何とか短編を一つ頼むと泣きつかれて、大昔に書いた未発表作品にちょっと手を加えて渡しました。その雑誌が発売されると作者いじめで有名な書評家にその作品は盗作だと指摘される。なんでも今は廃刊になってしまったローカルな雑誌に10年前以上前に発表されていたものだと言う。何とかその雑誌を手に入れ読んでみると、あらあら本当にそっくりな内容で盗作と言われても仕方がない内容でした。
自分の疑いを晴らすべく作家「鮎川哲也」は真実探しの調査を始めます。そしてラストは以外な結末が待っていました。
2004年06月23日10時45分06秒
祇園小唄殺人事件
和久峻三
タイトル通り京都が舞台になっています。なので文中の会話も京都弁で表現されており、ちょっと読みにくいです。途中まるでこれはガイドブックかい?と思いたくなるくらい、細かく京都の町並みを描写しているのですが、ストーリーにまったく関係ないので無駄だと思う。この作品の主役は検事さんだけど捜査は警察がします。その警部補がちょくちょく来ては検事と仲良くしながら身内の批判をしているってのも???な感じでした。トリック自体もあっさりしていて、イマイチな作品でした。
2004年06月17日01時53分03秒
特急ワイドビューひだ殺人事件
西村京太郎
特急ひだでも殺人事件は起きますが、それは事件の始まりに過ぎないです。話の本題はJR相手に脅しをかけて、人質はJRを利用している乗客全員っていう話です。犯人との駆け引きが面白かったですね。読んで損のない作品です
2004年06月16日01時20分27秒
寝台特急あかつき殺人事件
西村京太郎
この作品も時刻表をトリックとした殺人事件でアリバイ崩しが大変でした。大阪発で佐世保行きの寝台特急が殺人の舞台だったんで大阪、佐賀県警がメインの捜査なんですが、無理やり警視庁の十津川警部も参加しています。そして最後はまたも海外に高飛びをしようとして、その直前にアリバイを全部崩して逮捕です。最近このパターン多い気がします。
2004年06月14日00時55分22秒
特急さくら殺人事件
西村京太郎
推理小説なんだからこれくらい不思議だらけの殺人事件を題材にした方が面白いと思います。西村さんの作品と言うとタイトルに地名がつくことが多いですが、最近僕が読んだ本ではその場所で殺人事件がおきただけで、その後の展開はある程度のところで犯人がわかり、後はそれを裏付けをとる事に終始しているだけの話が多かったので、今作のようにかなり終盤まで犯人もわからず展開も読めず、トリックもわからないってのは良かったですね。読んで損のない作品だと思います。
2004年06月10日10時52分36秒
宗谷本線殺人事件
西村京太郎
北海道でおきた殺人事件の話ですが、読みやすい事を除けば可もなく不可もなくといった感じでした。ラストの海外に高飛びしそうな犯人を罠にかけて現行犯で捕まえるってパターンは前にも読んだ事のありそうな気がします。
2004年06月08日01時17分12秒
彼らの夏、ぼくらの声
山際淳司
スポーツノンフィクションの4冊目です。今回も短編集ですが、一つ一つの話がそれなりに長かったので、まあ今まででは一番良かったです。
2004年06月06日00時32分13秒
スタジアムで会おう
山際淳司
こちらもスポーツコラム集です。今回のは2ページで一つの話が終わるショートコラム中心です。ナンバーあたりを購読している人には逢う本かと思いますが、僕は話はある程度長いほうが好きなんで、ちょっとイマイチって感じでした。
2004年06月02日10時45分51秒
空が見ていた
山際淳司
スポーツノンフィクション短編集ということで、前に読んだ「スローカーブをもう一球」と同じテイストです。スポーツ好きな僕ですが、あんまりなじめなかったです。
2004年05月30日01時19分11秒
スローカーブを、もう一球
山際淳司
スポーツノンフィクション短編集です。タイトル通り野球の話もありますが、ボクシングやボートの話も載っています。一人にスポットを当てて、その人の生き様やスポーツにかける情熱を描く作品が多かったですね。
2004年05月26日10時49分43秒
剣は湖都に燃ゆ
黒岩重吾
天智天皇の子、大友皇子と天皇の弟、大海人皇子が激突する壬申の乱。そのちょっと前、大海人皇子が都を離れ、挙兵準備を進めている時の、家来たちの恋物語などいくつかの短編が収められています。本編(壬申の乱)のサイドストーリー集といった感じです。そんなに面白くなかったですね。
2004年05月24日10時25分00秒
北風に起つ
黒岩重吾
長かった。600ページを越える作品ですから。これで1冊ですもんね。通常なら2冊分以上です。
6世紀初頭、空白の大王位を狙う北方の雄、継体と大王には血統的になれないが、蘇我氏の繁栄をねらう蘇我稲目の知略を描いた作品です。実際に読んでみて、ちょっと周りくどいかなって思う部分もありましたが、面白い作品でした。
2004年05月20日10時26分40秒
病葉の踊り
黒岩重吾
短編集です。殆どの話の主人公が、病気を持っていたり、株で失敗したりとかなり悲惨な状態です。そんな中を後ろ向きながら、どうにか生きている人たちの生き様を描いた作品が多いです。読んでいて、スカッとすることはまずありません。
2004年05月01日01時47分33秒
紅蓮の女王
黒岩重吾
推古女帝が即位するいきさつ、それを裏で操り、さりげなく勢力を増している蘇我馬子。政治家としての馬子の活躍と、推古女帝の激しい愛情を描いた作品。面白かったですよ
2004年04月22日01時27分22秒
孔雀の道
陳舜臣
イギリス人父と日本人母のハーフの女性が主人公です。戦時中は日本に住んでいましたが、戦争が終わり母も火事で亡くなってしまったためイギリスに戻っていました。27歳のとき父が死んだのを気に、日本を訪れ母の面影探しを始めます。話を聞けば聞くほど、母の人間像が見えなくなってきます。一体それはなぜなんだろうと、思いつつも小さな糸を頼りに、面影探しを続けます。そして最後にわかった事実は、もの凄く意外なものでした。
結構面白かったですよ。
2004年04月18日01時05分24秒
日本のエーゲ海、日本の死
西村京太郎
先日読んだ越後湯沢殺人事件と途中から殆ど同じ内容になってしまいました。こちらの作品は二つの一見まったく関係なさそうな殺人事件がきっかけで、二人とも同じバッチを持っていたことから始まります。この小さな糸をたどって捜査して行くうちに政治家の不正と実行した秘書というのが浮かび上がってきます。後はその秘書、そして指示を出した政治家をどう逮捕するか、という話しになって行きます。
2004年04月11日23時23分16秒
越後湯沢殺人事件
西村京太郎
十津川警部の大学時代の友人が湯沢に買ったリゾートマンションに遊びに行き、中へ入ったところなぜか死体があった。警察に通報すると、なぜか犯人扱いされてしまった。その彼の冤罪を晴らすべく十津川警部が事件を担当することとなった。しかし次々と起こる殺人に対して、動機がまったく見つからず困ってしまいます。今回の事件解決の肝はホモでした。
木曾街道殺意の旅
西村京太郎
定年退職した元刑事が木曾の宿場で失踪した。さらにその妻が病院で焼死してしまい、元刑事もその病院のそばの雑木林で死体で見つかる。事件の概要がわからないまま、さらにまた死者が出る。木曾で一体何がおきているのか?を十津川警部が調べていきます。警部の推理で犯人が中盤でわかってしまい、あとはどうやって捕らえるかだけになってしまったのが、ちょっと残念でした。
2004年04月03日00時40分02秒
特急しおかぜ殺人事件
西村京太郎
宝石商の女社長がお遍路姿で自宅からタクシーに乗って東京駅へ行った。そしてその数日後に行方不明になり、その後四国の海で死体が発見される。その女社長に代わって会社を継いだ本副社長も四国へ向かう途中に殺された。そしてその会社に融資していた金融会社の顧問もやはり四国で殺された。というのが大筋で、タイトルの特急しおかぜ殺人事件というのはちょっとちがうかなーーって気がしました。最初に殺された女社長の隠れた恋人が復讐のために、何人もの殺人をしているんだけどその恋人の正体が意外だとは思うけど、それ以外はそんなに面白い作品ではなかったような気がします。
2004年04月01日02時00分53秒
渇く
瀬戸内寂聴
僕、瀬戸内さんってお坊さんか尼さんかって思っていました。実は作家さんだったのですね。この作品はインドに見せられた女性と優しすぎるが故、妻に別れられてしまった男との愛物語です。お互いに思いあっていながらインドに行ってしまった女性。振られたと思い、悲しんでいたら不治の病にかかってしまった男性。男性の容態を聞き女性はあわてて日本に帰ってきて、残り少ない余生を二人でインドで過ごし、やがて男性に死が訪れます。わずかの期間でも毎日毎日を精一杯生きれば、思い残すことなどないと言うことに気付くのです。本筋とは別にインドのことがかなり詳しく紹介されていますよ。
2004年03月28日02時54分19秒
原発への警鐘
内橋克人
原発について取材を進めるにつれ、どんどん原発への不信感を募らせていった著者の想いがよく伝わってきます。この本は結果的に反原発となってしまっているので、この1冊だけで全てを決めてしまうのはまずいと思うけど、僕自身は原発にはやや反対派かなって思っていまして、それは賛成派の意見が僕を説得できないからなだけで、筋の通った説明をされてば賛成派になってもいいかなと思っています。でも、放射能って怖いよね
2004年03月25日01時34分00秒
リミット
野沢 尚
バンコクで行われている幼児の臓器密売という闇商売。しかしバンコクでは感染症が広がってしまい、程度のいい臓器が見つからなくなってしまった。ならば、健康で栄養もきちんしている日本の子供の臓器で商売したらどうだろう。日本の子を誘拐して海外に連れ出し臓器摘出してお金にかえるのだ。我が子を誘拐された婦人警官が子供を取り戻すために誘拐犯たちに挑む作品です。
前半の200ページは臓器摘出の被害にあった子供たちのことが描写されていて、読んでいてとっても悲しくなりました。後半はアクション小説に変わって行ったので良かったのですが。最後には意外な真犯人も出てきて、とっても面白い作品でした。でも6,7歳の子供を持つ親は、前半が悲しすぎるので、読まないほうがいいかもしれません。
2004年03月17日02時02分54秒
人魚姫
水樹あきら
15歳の王子が人魚に恋をしてしまった話です。強引で強情な王子は一途に人魚との結婚を望みます。魔女に頼み、足をつけてもらいます。そこへ悪い魔女が現れ、その人魚を連れ去ってしまいます。人魚の肉は不老不死の効果があるからです。さらわれた人魚を取り戻すために、王子は旅に出ます。そんなお話です。
神様なぜ愛にも国境があるの
草鹿宏
日本人でカメラマン志望の青年とスイスで由緒あるホテルの一人娘の恋物語で、実話らしいです。
子供時代、親から愛されなかった青年はいつか海の向こうを夢見るようになり、カメラ一つ持ってヨーロッパへと旅立ちました。偶然立ち寄ったスイスで、この女性と知り合いお互いに好意を抱くようになります。しかし女性の母親はホテルの跡継ぎとして立派な婿を迎えて欲しいと願い、うす汚い日本人との交際を認めようとしませんでした。ちょっとしたトラブルから青年は危険人物と認定され、スイスに2年間入国禁止の厳しい判決をされてしまいます。スイスを追い出された青年はドイツ、イタリアと渡り歩きながら、再開を願いながら極貧の生活をしています。女性と母親の仲はどんどん悪くなる一方です。祝福されてこそ結婚の意味があると考え、何度も誤解を解こうと頑張った女性も、ついには家出をしてしまいます。この家出をきっかけに母親も少し考えてくれるようになり、ついに母親も理解してくれて、結婚をすることが出来ました。ここまで人を信じ続けられるのかなーって思うくらい凄い話です。
2004年03月06日01時38分05秒
胃袋を買いに
椎名誠
11本の不思議系な短編小説集です。つまらないわけじゃないけど正直言って意味がわかんないです。
突然我が家だけが陥没して行く話しや、朝起きたらなぜかとてつもなく口臭がくさくなって、周りの人がばたばたと倒れていく話など、意味不明な作品ばかりです。
2004年03月06日01時20分17秒
我が心は石にあらず
高橋和巳
終戦後のある地方都市での話です。地歩都市の有力企業が合同で、勉強は出来るが金銭的に困っている子に学費を援助し、教育を受けさせる、そしてその学費はその都市の援助してくれた企業のいずれかに入社し、10年間働くことで返済を免除されるという制度が出来ました。主人公はその制度の最初の適用者です。その制度に選ばれるということは、その都市で一番の秀才ということになり、その都市ではエリートとしてやっていけるということになります。しかしエリートであるが故、心に複雑な悩みを抱えることとなり、やがては破綻してしまうという内容です。文章がやや哲学的で回りくどい表現がおおかったりしますが、まあまあ面白かったかなと思います。
2004年02月28日02時20分40秒
恋愛論
橋本治
タイトルに惹かれて読み始めてみたのですが、つまんなかった。今年のワースト候補です。一応エッセイなんですが、エッセイを書くとなぜか著者は自分自身のことをを馬鹿馬鹿だとへりくだりすぎです。著者は東大卒なんで、全然馬鹿じゃないのに。そのくせ、一般の人々はこういうけど実はそうじゃない、僕だけが気付いているみたいな感じで高飛車な態度だったりして。
あと文中に(笑)が多いのもちょっと気になりました。
今度はこの著者の書く小説を読んでみたいですね。それが面白ければいいのですが、そっちもつまんなければ、もう二度とこの作家の作品は読まないでしょう。
2004年02月18日01時08分15秒
悪霊を撃て
谷恒生
ハードボイルドな作品でした。急成長した船舶企業がさらに力を増すために、ある政治家に総裁選の費用を提供し、その見返りに企業をバックアップしてもらう。そのために用意周到に船を沈める計画をし、実行する。そして150億という莫大な保険金を手に入れる。しかし、唯一の生存者がそのからくりを知り、復讐のために帰ってきた。そんな感じのないようです。
ハネムーン探偵は7カードで
山浦弘靖
久々に少女小説を読みました。少女物の王道を行く作品で、主人公の女子高生は超モテモテです。主人公にアタックしている男性人はみんないい男です。一応探偵物なんで、エリート警察官が多いですが。
この話ではさらに、ハワイの原住民の皇子と相思相愛ながら、女王にその恋を邪魔され殺されてしまった王女さまの生まれ変わりだというとこも判明しました。凄い話です。
自白の風景
深谷忠記
冤罪がテーマの作品です。昔警察官だった頃一人の青年を殺人犯と決め付け無理やり自白させた後、証拠をでっち上げた男が、今度は自分が起こしていない交通事故でつかまってしまい、無理やり自白させられ、犯人にされてしまう話です。一番印象的なところは「誰でも条件さえそろえば一瞬のうちに犯罪者にされてしまう」と。恐ろしい作品です。
黒いトランク
鮎川哲也
名作の復刻版ということで、話は1949年が舞台のミステリーです。かなりトリックが複雑で、よく考えながら読まないとわからない話です。面白かったかというと、実は微妙です。
薔薇恋
渡辺容子
33歳の専業主婦が主人公です。旦那は実家がお金持ちでハンサムで仕事もできる、はたから見たら完璧な男ですが、実はDV(ドメスティックバイオレンス)をふるう暴力夫だったのです。しかも頭がいいので、絶対に洋服で隠れる部分しか殴りません。それでも数年前に母を亡くし、身寄りがない主人公は家を出る決心ができません。ある日、ふとしかきっかけでガーデニングに目覚め、それが縁で素敵な男性と恋に落ちてしまいます。しかし彼に真DVの事実を打ち明けることもできずにいますが、ついにばれてしまいます。最後は彼の助けもあって、家を逃げ出します。
DV夫をギャフンといわせるようなシーンがなかったのがちょっと残念でしたが、割と面白かったです
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