『美味しんぼ』鼻血騒動を耳にした時、まず浮かんだのはあの映画でした。
”鼻血”と言えば”白血病”。
”白血病”と言えば”セカチュー”。
長澤まさみが、崖の上で突然気を失い、鼻血を一筋流したあのシーンです。
『世界の中心で、愛をさけぶ(2004年)』の女子高生ヒロインは、急性白血病で若い命を失います。
病気が初めて彼女の前に姿を現したのが、このシーンでした。
白血病は血液のガンで、血液の中に白血病細胞が増殖することによって、正常な血液細胞(白血球・赤血球・血小板)が減少し、さまざまな健康被害が出ます。
映画の中で、長澤まさみが気を失ったのは、赤血球減少による貧血によるもので、鼻血は血液を固まらせる血小板が減少したための症状でした。
さらに白血球減少のため感染症の防御ができないので、集中治療室に入院を余儀なくされます。
身体をどこかにぶつけると内出血をし、青あざになります。
歯を磨いても、血が止まりません。
さまざまな症状が、ヒロインの悲運に重なって起こります。
ガンは遺伝子の異常によって発症する病気で、放射線被曝も原因の一つと考えられています。
だからと言って、福島原発事故で被ばくした人たちが、白血病に罹ったかどうかは今の段階ではわかりません。
ガンが発症するには、時間がかかります。
人間の身体を構成する60兆個の細胞の大きさは、10~30㎛(1㎛は1000分の1mm)しかなく、ガン細胞が何十回も細胞分裂をして、塊にならなくては見えないからです。
ガン細胞が存在しているだけではガンという病気ではありません。
ガン細胞が増大し、他の臓器機能を妨げることでガンという病気になるのです。
それで、『美味しんぼ』の主人公・山岡(実際は作者の雁屋哲)や、その他スタッフの鼻血はガンによるものとは言えず、白血病によるものではないと考えてもいいでしょう。
『太陽を盗んだ男(1979年)』で、プルトニウムの触れたジュリーも被曝して鼻血を流しますが、同様の理由で白血病由来のものとは考えられません。
http://plaza.rakuten.co.jp/sontiti/diary/201309140000/
同時に髪の毛も抜けてしまいますが、あの当時は放射能にあたると髪の毛が抜けると誤解されていました。
セカチューでも長澤まさみは丸坊主になってしまいますが、これは抗がん剤の副作用によるものです。
核実験で被曝し白血病に罹った患者の髪の毛が抜けているのを見て、放射能で髪の毛が抜けたと見られたのでしょう。
もし、髪の毛が抜けるほど被曝してたら、即死です。
鼻血にしても相当被曝しないと、血管は破られないと専門家は言っています。
だから、雁屋哲や井戸川前双葉町町長はウソを言っている、と言っているわけではありません。
福島原発事故について公表されている内容だけで判断しても、鼻血が出た住民が多数いたのは事実だからです。
つまり、白血病や大量被曝以外にも鼻血がでる原因がある、というのが真相に近いのではないか。
白血病によるとは言えないのだけど、”今は”という但し書きが付くのです。
パイロットやキャビンアテンダントだって毎日被曝しているではないかという指摘もありますが、レントゲン撮影もこれらはすべて”外部被曝”で、原発事故や核爆弾による放射性物質を体内に取り込むことで起こる”内部被曝”とは異なります。
放射性物質を吸って鼻の裏に付着して、常時被曝を受けている状態はどうでしょう。
どっち道、原発事故とそのストレスが鼻血の原因なのは間違いありません。
だから、政府や大手マスコミが”風評被害”などと決めつけるのは、逆に怪しいのです。
未曽有の災害で、未曽有の事故が起きたのだから、未曽有の事象が現れても当然です。
バッシングよりも調査が先だと僕は考えます。
福島原発事故の被曝による被害の予測は、同じく放射性物質をまき散らしたチェルノブイリ原発事故の記録を調べるしかありません。
事故から約10年後の1993~96年にかけて、チェルノブイリ原発事故の避難者2万5564人のアンケート調査が行われました。
その結果、約20%の人が鼻血が出たことが解っています。
さらに貧血も増えたという人も多く、疲れやすく風邪もひきやすいという白血病前段階の症状の人も50%以上と多数存在しました。
そして、甲状腺に異常が出た人は約30%います。
心理的なバイアスがかかっているとしても、事故がなければ健康だった人たちですから、責任逃れはできないでしょう。
特に小児性甲状腺ガンは、原発事故の被ばくによるものだと、IAEA(国際原子力機関)とWHO(世界保健機構)の国際共同会議で報告されました。
小児性甲状腺ガンは通常の100倍の発症率だったので、さすがに認めざるを得ない数字でした。
そして、福島の場合は、この数字を上回るペースで発症しているという報告もあります。
韓国の客船セウォル号沈没で、300人以上の乗客が命を落としました。
亡くなった乗客のほとんどは、客室から移動するなという放送に従って、その場を離れなかった聞き分けの良い高校生でした。
動くなと言った乗務員は、さっさと逃げて救助されたのに。
健康に被害はないから避難の必要なしと言われた福島の住民は、政府と東電を信じて汚染にさらされたままです。
本当にそれでいいのか疑問がぬぐえません。
不安を抱きつつ動けずにいる住民のストレスは相当なものでしょう。
それで鼻血が出たと言ったら”風評被害”だと口を塞がれるのでは、専制国家も甚だしい。
福島の住民にとって何が一番適切な対処法なのかを、利権抜きで考えてほしいと切に願います。
福島原発事故検察審査会強制起訴裁判 2017年07月02日
フクシマを繰り返すな 2016年03月10日
『東京が壊滅する日』 広瀬隆著 2015年08月07日
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