聡明の旅館

聡明の旅館

第三話



第三話 「悲しき宣告」


 ジジジ・・・
手術中を示す明かりがついた。
ヨウジはいてもたってもいられない様子で辺りはウロウロと歩き回る。
「ハルミ・・・頼む・・・生きててくれ・・・」
ヨウジは心の中で祈るしかできないでいた。
「なぜ・・・こんなことに・・」
そう考えてるうちにハルミの両親が到着した。
「ハルミは!?ハルミ~!!!」
狂ったように叫んだ。
「落ち着いてください!・・ハルミはきっと大丈夫です!」
ヨウジはそういうしかなかった。
少しすると手術中の明かりが消えて医師がでてきた。
「ハルミは!ハルミは大丈夫なんですか!?」
「命は助かりましたが・・まだ油断は出来ない状態です。」
そう医師はいった。
「よかった・・・本当によかった。」
ハルミの両親がホっとしている横でヨウジは胸をなでおろした。
ヨウジの見ていないところで医師は両親を呼んだ。
「ちょっとこちらにきてもらえますか?」
・・・・・・・

~翌日~

ヨウジはハルミの見舞いに行くことにした。
病院につくと早速ハルミのいる部屋を聞くことにした。
「咲野晴海さんは何号室ですか?」
「320号室です。」
そういわれて足早に部屋に向かった。

ガラガラ・・

ハルミは昨日からまだ目覚めてない様子だった。
ヨウジは傍のイスに座り、ハルミの顔を見た。
「よかった・・。何事もなくて。」
ヨウジはようやく安心した。
「お前のために買ってきたものがあるんだ。
 リンゴ好きだろ?ってか定番だよな。」
そぉ笑いながら眠っているハルミに語りかけた。
「んん・・・・」
するとハルミがおき始めたようだ。
「ハルミ。おはよう☆」
ヨウジがハルミに優しく言った。
だが、なにかハルミの様子がおかしい。
・・・・・
そのときハルミが・・
「だ、だれ?・・・何も見えない・・・ここは・・どこなの?」
ハルミは失明していたのだ。
「ハルミ!俺が見えないのか!?ヨウジだよ!」
「ヨウジ?・・・思い出せない・・・」
なんとハルミは・・・
事故と昨日の出来事によって受けたショックにより
失明と記憶喪失になっていたのだ。
ヨウジは走って医師のところへ行って問いただした。
「ハルミは無事だったんじゃないのか!!!!」
医師のむなぐらを掴んで怒鳴った。
医師はその手を払って言った。
「やはり・・・前日の事故で神経をやられていたので
 失明する確率は80%あったんです・・。
 助けることができなくてすまない・・。」
そう医師が告げた。
昨日両親を呼んだのはこの事を告げるためだったのだ。
「なんでだよ・・・なんでなんだよ!!
 なんでハルミじゃないといけなかったんだ!!
 失明なんてあんまりじゃないか!!・・・」
「失明はまぬがれなかった・・。
 記憶喪失は一時的なものだが・・・
 もぉ二度と光は戻ることはないだろう・・。」
医師のその言葉がどれだけヨウジの胸をきりきざんだか・・
「もぉ二度と」
その言葉はヨウジの頭から離れなかった・・・
「あのとき俺が・・・あんなことを・・・ちくしょぉ・・!!!」
ヨウジは前日にハルミに告げた事への後悔が心臓をしめつけた。
ただ泣いた・・・泣きに泣いた。
ハルミへの思いと後悔と悲しみが涙となって表へ流れ出た・・。
もぉ二度と・・・
もぉ二度と昔のハルミには戻れない・・・・。
変えることの出来ない運命はあまりにも残酷だった・・。


             ~つづく~


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