『日はまた昇る』



物語の主人公ジェイクは第一次世界大戦の負傷が原因で性的不能者となった。
そのジェイクの恋人というか、お互いが惹かれあっている中であるブレットは逆に自由奔放で自分の欲求に正直に生きている。
そんなブレットのすべてをジェイクは受け入れる。
受け入れるがゆえに若い闘牛士との愛の手引きまでも引き受けてしまう。
そのジェイクの姿には、一種悟りにも似た超越したなにかがあるように思える。

そんな背景のもと、物語の大半はスペインのパンプローナでの闘牛のフィエスタでの彼らの行動が中心に描かれる。
性的不能と命を落とすくらい熱狂的なフィエスタ。
このかけ離れた対照的な事象は、カミュの『異邦人』におけるまばゆい日差しと殺人の対比にも似ている。
不条理な静と動の対比。
そこに理由など要らない。
『人』であることを超えるためにただ必要な理由があればいい。

ジェイクの愛は『人』を超えた。
ロスト・ジェネレーションが失ったものは、実は人であればだれでもが煩うリビドーなのかもしれない。
リビドーを失っての恋。
不条理な恋。
不条理だけれども、いや不条理だからこそ、その火は誰にも消すことができないのかもしれない。


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