とうとう よ・そ・じ

とうとう よ・そ・じ

「I miss you」




1)Yさんとの出会い ***************************************

高校2年の頃、僕は生徒会副会長になった。

副会長と言っても別に勉強が出来るとか、お利口さんだからではなく、

スエイにやらせたら面白いんじゃないか、と言う無責任な仲間たちに

担ぎ出されただけだった。

当然、生徒会室もただの部室状態。ただのたまり場。

スエイは「喫煙場所」と呼んでいた。

生徒会長と副会長は生徒会選挙で選出される訳だが、書記や会計やその他諸々のメンバーは
生徒会長と副会長が選定し、生徒会で承認(と言ってもスルーパス)で決まる。

実は、生徒会長は女の子で、この子は本人がやる気があって立候補した由緒正しい生徒会長。

この生徒会長の友達で書記になったのが同じクラスのYさんだった。

Yさんはとても色が白く、鼻筋の通った一見外人さんぽい(フィービーケイツみたいだった)、
髪の毛も少し茶色がかっていた。(1980年央頃はまだ茶髪は一般的ではなかった)

僕は、彼女を一目見た時からはまってしまっていたんだと思う。

やる気の無かった生徒会活動も、Yさん会いたさに真面目に参加していた。

Yさんとは生徒会活動の連絡や相談で時々電話で話し、メンバーのうわさ話やらで結構仲良く
なっていた。

時には深夜遅くまで話し込み、彼女には他校に彼氏がいると言う話も聞きいた。


2)「I miss you」 *************************************************

確か、文化祭の準備をしていた時だと思うが、たまたま生徒会室に僕一人。

お菓子を食べながら、なんとなく机の上の生徒会議事録ノートをパラパラめくった。

最初の数ページは議事録、そのあとはずーっと白紙だったのだが、後ろの数ページが

寄せ書きノートの様に、誰が書いたかわからない「詩」や、「エッセイ」で綴られていた。

今の生徒会のメンバーが書いたのか、先輩方が書いたのかも定かではなく、それぞれの時間軸も

よくわからないのだが、暇に任せて読んだ。

目に付いたのは女の子が書いた文で、今彼氏が居るんだけどうまくいってない。
別の気になる人がいて、とても迷っている。

と言う内容だった。

なぜか、僕は「これはYさんが書いた文で、別の気になる人は僕のことかも」なんて、
根拠もなく思い、ドキドキした。

暫くして、またこのノートを見たのだが、この女の子のエッセイが追記されているのに気づいた。

それからは、生徒会室に来るたびにこのノートの後ろのページをこっそり見る日々が続いた。

この女の子はYさんであると思いながら・・・・・。

女の子のエッセイはだんだん「別の気になる人」への思いが募っていて、

「今なにしてるの?」「少しは私のこと考えたりする?」「会いたい」「I miss you」とか・・・。

でも、この女の子がYさんであって、気になる人が僕である証拠も根拠も全くない。

(前述したが、生徒会室は生徒のたまり場と化していて、役員以外もたくさん出入りする)

ただ、これは僕のことだと思いたかっただけだ。

だから、別のページに僕も「I miss you,too」と一文だけ書いた。

とてもドキドキしながら。

これがYさんに伝わってくれればと願いながら。

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3)スエイ勝負に出る

文化祭も無事終わり、年が明け、僕は一大決心をした。 Yさんをデートに誘おう。 と。

計画は、・・・試験期間の最終日に、午前で試験が終わるので、午後にデートする・・・・・

いままで、女の子をデートに誘ったことなど一度もない。

もう、試験どころではなかった。電話を持つ手が震えた。 何度も受話器を置いた。

でも、やっぱり彼女に会いたい。 気持ちを伝えたい。 彼女と一緒に過ごしたい、色々話したい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

結局、試験最終日の朝に電話をした。

スエイ「もしもし、スエイだけど、今イイ?」

Yさん「うん。どうしたん?」

スエイ「あのーもし暇だったら、今日午後、二人で映画でも見に行かへん?」

Yさん「・・・・・・うーん・・・ちょっと考えさせて、午後、帰ってから電話する」

試験どころではなかった。 僕は完全に勘違いをしていた。 
エッセイの彼女はYさんではなく、ましてや「気になる人」はスエイでは無い・・・・・・

・・・無い・・・・・・ 無いじゃん!!!

そして、その日の午後、Yさんから断りの電話があった・・・・・「用事がある」との事。

もう、今までのように気軽く電話も出来ない。 僕はふられたんだ。


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4)信州への修学旅行(スキー実習付き)。

1月の中頃、信州への修学旅行へ行った。 僕の高校は2年生で修学旅行。(うちだけかな?)

僕とYさんは同じクラスなので、当然行動は一緒。集合も、バスも。

僕は、先日のことがあったので彼女とは出来るだけ顔を合わさなかった。

ただ、この期に及んでも「あの時は本当に何か用事が有ったのかもしれない」と心のどこかで思ってた

結局、Yさんとは言葉を交わすことなく夜行バスで信州からの帰途についた。


ところがだ、バスのトイレ休憩で戻ってくるとYさんが 「隣に座ってイイ?」 と言ってきた。

もう、夜も遅くバスの中は真っ暗。 大部分は旅の疲れで眠り、少しだけヒソヒソ声が聞こえる車内。

彼女は僕の隣に座った。・・・・・ (何で?) ・・・・何がなんだか??

彼女は「暫く電話をしていないネ。」とか、「最近どうしてる?」とか、いつものたわいもない話をした。


1時間も経っただろうか、話がとぎれ、彼女は寝息をたてはじめた。

そして、彼女の体が僕の肩に寄りかかってきた。 僕の頬に彼女の髪が・・・。

とてもイイ匂いがした。 心臓が破裂しそうになった。 聞こえるのは彼女の寝息だけ。

僕は、彼女がこのまま起きない事だけを願った。 ずーっとこのままでいたい。 彼女が僕のことを好きかどうかなんてどうでもイイ。


30分経ったのか、1時間経ったのか、バスが急ブレーキをかけた。

頭上の荷物がドサッ。 バスは路肩に停車し、室内の電気がつけられ、みんなが席を立って荷物を元に戻した。

僕の隣にはいつの間にか他の女の子が座っていた。

・・・・・・・・・・・ 何で?


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5)バレンタイン

毎年の事だが、僕には縁のないイベントの日がやってきた。

まあ、クラスのお節介な?女の子が格安チョコを「ほれっ」という感じでくれたの以外は何もない。

ロッカーの中も、下駄箱の中も、鞄にこっそりも何もない。

ましてや、Yさんからなんて何もない。(少し期待していたが・・・)

あの夜のことは何だったんだ? わざわざ僕の隣に座ったのに・・・。単におしゃべりしたかっただけ?

いつものように何事もなくバレンタインが終わった。

翌日、用もないけどたまり場の生徒会室でぼーっとしていた。
すると、Yさんが扉のところから「スエイくんちょっと」と呼ぶ。

僕は???と近づくと、小さな声で 「話があるから」 とそのまま廊下の突き当たりまで引っ張って行かれた。

彼女は紙袋を僕に渡し、「昨日に間に合わなかったの。私不器用だから、なんか汚くなっちゃって、気に入らなかったら捨てて」と言い、そのままスタスタとどこかへ行ってしまった。

僕は????のまま、袋の中をのぞいてみた。  白い手編みのマフラーだ。  ??????

なぜか辺りを見渡した。 誰か見てなかったか? と。 誰もいなかった。

家に帰って袋を開けてみるとマフラーとメモ用紙が入っていた。

メモには「間に合わなくてゴメン。 でも頑張ったから、努力は認めろ!」と書いてあった。

マフラーは所々薄黒くなっていた。 「汚くなった」はこれの事だ。 

僕は???のまま。
嬉しいには嬉しいのだが、僕はふられたはず・・・・・。

・・・・・・・・ 何で?

その夜はマフラーに顔を埋めて眠った。とてもイイ匂いがした。


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6)たこ焼き食べる?

その日は春のとても天気のいい土曜日だった。

午前で授業が終わり、僕は相変わらず生徒会室でぼーっとしていると、窓の外からYさんの
「スエイく~ん!」と言う声が聞こえた。

外を見ると、彼女が手に袋をもって立っている。茶髪だった髪の毛が黒色になって、太陽の
光が髪をキラキラ輝かせている。

Yさん「スエイ君、たこ焼き買ったんだけど、外で食べない?」

( どこで、いつ買ってきたんや? )

スエイ「オー? 食べる食べる」

僕は玄関へ回り、靴を履いて彼女の元へ走った。

スエイ「どうしたの?髪。」

Yさん「ん~。 黒に染めて、ストレートパーマにしたの。 変?」

スエイ「いや、変じゃないよ。 でもイメージ変わったね。」

Yさん「たこ焼き食べたあと~・・・・。どっか遊びに行かへん?」

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僕は生まれて初めて好きな女の子とデートをした。

ふたりで電車に乗り、ふたりで街を歩き、ふたりで色んなお店に行って。

突然の展開で、どこに行く、何するなんて全く考えていない。

でも、話したいことは山ほどある。

いつも、一人で見ていた物も彼女といると違って見える。

彼女の笑顔。・・・・ 彼女を笑顔にしているのは僕。

僕を笑顔にしているのは彼女。

時間はあっという間。    ふたりの時間は、あっという間。


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夕方。 海の見える感じのいい喫茶店に入った。

彼女はなんだか深刻そうな顔になった。と、言うより泣いていた。

彼女「今日、学校さぼって大阪に行ったの。・・・」

彼女「で、付き合ってた人と別れてきたの。」

スエイ「??????」

彼女は、自分は悪い女の子だと言うことを泣きながら話した。

タバコ吸ってた事。 お酒飲んでた事。 外泊、夜遊びしてた事・・・・。

彼女「スエイ君 私のこと 嫌いになってへん?」

彼女「私、あんまりいい子じゃないけど、 ずっと一緒にいてくれる?・・・

スエイ「??う、うん。 エエよ。・・・・ 僕も一緒にいたい。

彼女「ゴメンね。スエイ君に釣り合う女の子じゃなくて・・・・。」(泣き続ける・・・)

スエイ「そんなこと無いよ。僕は今のYちゃんが好きやもん。」


今までの一喜一憂して来たのは、この瞬間の為なんだと思えた。


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7)最終話「I miss you」

帰りは、泣き続ける彼女の肩をずっと抱いていた。

彼女の家の前で別れ際に手紙を手渡された。

「読んだら捨ててネ」と・・・・

その手紙の内容は、

ずっと、好きだった事。

デートに誘われた時とても嬉しかったこと。でも、二股はスエイに悪いと思ったこと。

そのあと、スエイが彼女を避けたのが悲しかった事。

修学旅行のバスの中でわざとスエイの肩にもたれ掛かった事。

茶髪や、パーマじゃスエイにふさわしくないと思った事。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


僕の頭の中に、ここ半年間の事がよみがえってきた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そして、手紙の最後にあの言葉が有った。


I am gonna be able to see you every day.

But, I miss you.


>>>>>>>>>>>>>>>>> 最後まで読んでくれてありがとう! >>>>>>>>>>>
最後までお付き合いいただき本当にありがとうございます。
「こんなオモロない話、読みたないゾ!」と言うお叱りの言葉も無く、
暖かく見守っていただけて、感謝です。


↓↓↓↓この時の日記抜粋(字は汚いけど嬉しそう)↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
昔の日記


注釈)実家の日記で記憶違いが判明しました。
   「I miss you」が、キーワードではなく「Only you」でした。
   でも、記憶には「I miss you」なんだけど・・・・まっいっか~。




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