蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「赤毛のアン」

このアニメが放送されていた1979年、リアルタイムで見て、感動した。
なんと言っても映像が美しい。プリンスエドワード島の風景が、まるで印象派の絵画のように描かれている。音楽も風景に合っていて、広々とした森や草原に立っているような、錯覚を覚える。
そして個々のキャラクターが魅力的で、口やかましいリンド夫人でさえ、親しみが湧くほどだった。
このアニメは全50話で1年間放送されたのだが、私が昨年買ったのは90分に編集された完結版。
アン・シャーリーがマシュウとマリラの元へやってきてから、マシュウが死ぬまでを収録している。
久し振りに見たら、涙が止まらなくなり、あっという間に90分が過ぎてしまった。
今更ながら、ルーシー・モンゴメリの書いた原作の素晴らしさに感動する。
アンが成長してからの会話は、珠玉の名言集ばかりで、人生の実りというものを感じることが出きる。
アンが年老いたマシュウに、自分が男の子だったら、今ごろマシュウの仕事を手伝って、マシュウに楽をさせてあげるのに、と言う。
するとマシュウは「1ダースの男の子より、おまえにいてもらうほうがいいよ」と答える。
ああ、感動!もう涙が止まらない。
マシュウが死んだとき、マリラもアンに「こんな時でもないと言えないけど、今までおまえを自分のお腹を痛めた子どものように思ってきたんだよ」と言う。
マリラはアンに対して厳しくて、なかなかアンに優しくする場面がなかったのだが、その一言でまた涙が溢れる。
もちろんマリラの厳しさは、決していじめや自分の感情のままに接すると言うものではなかったけれど、いつもマシュウと比べて『マリラって恐いな』と思っていたので、なおさらその一言が心にしみる。
アニメ「赤毛のアン」は、見終わった私の心を清清しくしてくれた。




© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: