蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「スキャンダル」

、「スキャンダル」という映画、「冬ソナ」でブレイク後のヨンシュン氏に来た80以上の映画出演オファーの中から選んだもの。
前評判では、かなりエロティック色が強いということだったので、純愛をテーマにした「冬ソナ」から180度違う作品に出るんだなと思っていた。
確かにまだ始まって5分と経たないうちに、さっそくヨンジュン氏のセックスシーンがあり、かなり驚いた。
腰から太もものラインがあらわになっている!どきどき。

しかし、物語が進むにつれ、エロティックなシーンも気にならなくなった。
というのは、主人公のチョ・ウォン(ペ・ヨンジュン)に負うところが多いかもしれない。
彼がたどり着いた先にあった「愛」の形。
それが明確になるに連れて、数々のセックスシーンが純化されたように感じた。

女を“落とす”ことをゲームにして楽しんでいるプレイボーイの彼は、その勝利の証として女性を抱いてきた。
本気で女性を愛することもなく、ただ戯れの日々を送っている。
その彼が、いとこのチョ夫人とある賭けをする。
その賭けの内容は、9年間も亡き夫に操を立てている未亡人ヒヨンを陥落すること。
賭けに勝てば、初恋の相手で今は人妻のチョ夫人を抱くことができる。
負ければ僧侶にならなければならない。
落とす相手が困難なら困難なほど、意欲が湧く。
チョ・ウォンは、今までのプレイボーイ生活で培った、あの手この手でヒヨンを落としにかかる。
観客から見れば、落としのテクニックがわかりやすくて、ちょっと物足りなかったが、チョ夫人とのやりとりを知らないヒヨンにすれば、心を動かされるきっかけになるのだろう。

ヒヨンを落とすまでのチョ・ウォンは、私にとってあまり魅力的なキャラではなかった。
が、しかしである。
強引にヒヨンに口づけをしたチョ・ウォンが、動揺して倒れたヒヨンを見て、何かに気付く。
口づけたあと、強引に抱くのではないかと思っていた観客の期待?を裏切り、ヒヨンに手を触れずに帰る。
そこからのペ・ヨンジュン氏の演技が切なかった。
ヒヨンをようやく抱くことが出来たチョ・ウォン。
まだ自分の気持ちの変化に気付かず、賭けに勝ったことをチョ夫人に報告し、訪ねてきたヒヨンを冷たく追い返す。
チョ夫人が、彼の変化に気付かないはずはなかった。
3人を結んでいた緊張の糸が、ぷつりと切れるように、ゆっくりと3人は破滅へと導かれていった。

嫉妬にかられたヒヨンの義弟に刺されたチョ・ウォン。
瀕死の重傷を負いつつ、馬の背にまたがってヒヨンの元へ行こうとする。
ヒヨンのいる島を眼前にしながら、力尽き崩れ落ちる。
初めて真実の恋に目覚めた彼は、初雪を頬に受けながら、息絶えた。
ヒヨンがチョ・ウォンの真意を知ったのは、彼が死んだ後だった。
まだ誰も足跡をつけていない雪の上を、ヒヨンは歩く。
初めて愛した相手の愛撫を思い出しながら。そして・・・。
チョ夫人もまた、チョ・ウォンへの思慕を胸に、スキャンダルから逃れるためにあてもなく彷徨わなければならなかった。

おしゃれもせず、亡き夫に操をたててきたヒヨンが、チョ・ウォンに心を動かされ、爪を染める。
花をすりつぶした汁を爪に塗り、爪先を葉に巻いて色を定着させる。
ヒヨンと共に爪を染めた侍女が言う。
「初雪が降るまで、色が残っていたらいいですね」

「冬ソナ」も初雪が効果的に使われていた。
韓国の人にとって、初雪はほんとに特別なものなんだな。
チョ・ウォンが息絶えたのも、初雪が降ったとき。
彼の恋の結末を暗示するようなシーンだった。

「冬ソナ」では、もちろんセックスシーンは皆無。キスシーンもフレンチキスが数回程度。(サンヒョクがユジンをレイプしかかったとき、あれはディープキスでしたかな?)
初恋や純愛をテーマにしているだけあって、かなりご清潔なドラマだった。ま、そこが好きなんだけど。

対して、映画「スキャンダル」
セックスシーン満載、恋をもてあそぶチョ・ウォンとチョ夫人が、登場する。
しかし、最後に行き着いたのは純愛。
セックスしながらも、いやセックスをした後だからこそ、チョ・ウォンはヒヨンへの愛に気付き、ヒヨンは本当の愛の大きさと辛さを理解する。
何もプラトニックラブだけが、純愛の専売特許ではないのだ。

「冬ソナ」に負けず劣らず、切なさ全開の「スキャンダル」
ペ・ヨンジュン氏のチョイスは正しかったと言うことか。

(ラストクレジットは最後まで見ましょう。「ハリポタ秘密の部屋」のときのように、おまけ??があります)


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