蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「わたしと小鳥とすずと」

書籍名:金子みずゞ童謡集「わたしと小鳥とすずと」
著者名:金子みずゞ
出版社:JULA出版局

感想:彼女の作品に出会うと、いつも目から鱗がおちる感覚に、驚いてしまう。
特に「大漁」を読んだ時に感じた。
私たちは、大漁を喜ぶ。たくさん魚が捕れれば、それだけ豊かになるからだ。
しかし、大漁を魚側から見てみれば・・・。
捕られてしまったいわしは、そのまま“大量”殺戮された同士になるのだ。
捕った側の人間であるみずゞが、捕られる側のいわしの気持ちに思いをはせる。その感覚が新鮮だった。
彼女のほかの作品も、捕られる側や嫌われるもの、目立たないもの、役にたたないとされるものたちに、優しく寄り添いながら、それらを認める姿勢をつらぬく。
まるで幼子のつぶやきを集めたような童謡集。
子どもの視点を持ちつつ、大人の理性で書きとめた作品の数々は、走り疲れた大人の心を、ピュアな感覚で潤してくれる。



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