蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「第8回六甲アイランド能」




番組は
1、素囃子・・・「盤渉早舞」(ばんしきはやまい)

2、狂言・・・神鳴(かみなり)
       神鳴   茂山千三郎
       医師   善竹 隆司

3、能・・・「鞍馬天狗」(くらまてんぐ)
       シテ(前シテ 山伏)(後シテ天狗)吉井基晴
       子方(牛若丸) 上田 顕崇
       ワキ(僧)   福王 和幸
       ワキツレ(従者)福王 和登
       ワキツレ(従者)山本 順三
       間(能力)   茂山 茂
       間(木葉天狗) 善竹 隆平
       間(木葉天狗) 善竹 忠亮
       間(木葉天狗) 茂山 童司

まず素囃子、この「盤渉早舞」(ばんしきはやまい)は、盤渉は水に縁がある意で、早舞は高貴な人の舞ということらしい。(源次郎さんが解説でおっしゃっていた)

狂言「神鳴」は、都に住んでいた藪医者が、東国に下ろうとして広い桑原を歩いていると、雷が轟きだす。おわてて逃げようとすると、大音響とともに目の前に神鳴が落ちてくる。びっくりした藪医者だが、見ると神鳴が腰をおさえて呻いている。どうやら落ちてきた拍子に腰をぬかしたようだ。神鳴に頼まれて、藪医者はしぶしぶ針治療を始めるが、その痛さに神鳴は大騒ぎ。なんとか治療を終えて様子を見ると、腰の具合は治っていた。感謝する神鳴に治療代を請求する藪医者。それでは、と今後800年の間日照り・水害のないように守ってくれるよう約束し、神鳴は空へかえっていく。

神鳴の動きがなんといってもユーモラス。腰を抜かして、足をジタバタしたり、針を打たれて、その痛さに大暴れしたり、とってもキュート!!(笑)
バラエティ番組で、お笑い芸人がする動きにも似て、なんだか古典芸能に見えなかったよ、その部分だけ。(笑)
狂言って、ほんとうに面白いし、現代に生きる私たちにも共感できる笑いがある。

能「鞍馬天狗」は、花見に来た義経が先客の山伏に声をかけ、実は天狗だったその山伏から兵法の秘伝を授かると言う話。
花見シーンでは、公募された素人の子役達が出演していた。六甲アイランド在住の4~10歳の子どもが5~6人。しずしずと出てきて、しばらく舞台で立っている。もちろんセリフはないが、衣装を着て、舞台に立つのだから、本人も親もいい記念になるだろう。後見さんが一生懸命、子役たちの立ち位置を直していたが。(笑)

舞台の正面は黒い幕。本当は鏡板(松の木の絵)や金屏風なのだが、今回は特別舞台だったからか、黒い幕だった。囃し方や後見は目立たないが、演者は金屏風よりも目立つ。(笑)神鳴の衣装がきらびやかだったから、よけいに演者が浮き出て見えた。計算に入っていたのか、それとも計算外の効果だったのか。この件については、打ち上げのときに大倉源次郎さんにお話したのだが・・・。

中秋の名月の夜。見ごたえのある舞台に酔ったひととき。



2005年9月18日(日) 六甲アイランド 神戸ファッションマート1F
                      アトリウムプラザ特設ステージ


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