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蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~
「不二才」
午後2時半に京都着。南座を目指します。途中鴨川の橋を渡るんですけど、いや~懐かしいなぁ~。京都には大学時代、毎週のように訪れていた街ですから。歩いている人も空気も、大阪や神戸とは違う、独特の雰囲気を持っている街です。好きだな~京都。
南座に着くと、染五郎さんのファンになって初めての差し入れをしました。ちゃんと差し入れ受付の場所があるんですね。いつもはその場所を横目で見ながら通っていたのですが、今回初めて染五郎さんに差し入れをしました。(ジヌくんには毎回貢物を持っていっている私なのに・・・)
南座のロビーはとても狭いのですが、舞妓さんや着物を着たお客さんが一杯で、とても華やかでした。そうそう染五郎さんのお母様・紀子さんとお姉さま・紀保さんが来られていました。紀子さんは、相変わらずとても美しい方でした。紀子さんには、2001年に大阪の料亭「大和屋」で行われた“大和屋思い出に残る催し”に行った時、お会いしたことがあります。その時ぶしつけにも一緒に写真を撮っていただいたんですよね。玄人筋でもなく、もちろん素人のようでもなく、独特の艶をもった方でした。
座席はさすが「その字組」で取った甲斐がありました、3列目の花道近くです。花道から3番目かな。手を伸ばせば届く距離ですよ~♪
今回のタイトル「不二才(ぶにせ)」とは、鹿児島弁で“見てくれは悪いが心の温かい男”の事を指します。
「今回の“傾奇芝居おどり”は、この世の嫌われ者のカラスを不二才と見立て、その視線を通して真の“智・仁・勇”の心、その『三位一体』の果て、そして「死」とはー、といったテーマを芝居、舞踊の粋を超えた斬新な演出で展開されてゆきます。」(パンフレットより抜粋)
パンフレットが語るように、今回も斬新な舞台を見せてもらいました。第1回は平成15年「傾奇おどり 魑魅魍魎的」を、第2回は平成16年「傾奇芝居 麻布十番ん」を染五郎さんは関西のファンに見せてくれています。私は「魑魅魍魎的」は見たのですが、残念ながら「麻布十番ん」は見られませんでした。
「魑魅魍魎的」を見たときは、「へ?何?これ?」と思って、いまいち理解が出来ませんでした。どう欲目で見ても、染五郎さんの独りよがりと言うか、自己満足の舞台としか思えなかったんですよね。1年後の「麻布十番ん」はどうだったか、見ていないのでわからないのですが、今回の「不二才」は・・・よかったです!
上手い具合に、独りよがりと斬新さのバランスが取れていたように感じました。傾奇といっても、やはり観客が楽しんで満足してこその舞台だと、私は思うんですよね。だから今回の舞台は、いい意味で染五郎さんも観客も双方が充分に楽しめた舞台でした。
10日前に見た萬斎さんの狂言レビューに通じるところがありました。萬斎さんも染五郎さんも、それぞれの世界であるところの狂言や歌舞伎を従来の形から新しい形に変えていくという試みをされているように感じました。
まず「智のカラス、楓嵐(ふうらん)」役の尾上青楓さんが登場。真っ赤なマントを羽織り、ポップな曲を歌いながら踊ります。歌詞にはこれからのお話の説明を織り込み、(ミュージカルのよう?)まさに歌舞伎レビューという印象を受けました。そして「仁のカラス、紫薫(しくん)」役の尾上紫さんがおびえながら登場。楓嵐と紫薫のやりとりのあと、待ってましたの染タ~ン登場。前述の2人(2羽?)は花道から登場したので、染タン演じるところの「勇のカラス、麟斗(りんと)」も同様かと思いきや、なんとすっぽんから現れたのでした~。
はい、私は3列目、眼のまん前ですよん~。花道近くで見るときは、2~3列目が美味しいと思われます。1曲踊ると役者さんは、もう汗びっしょりですから、花道横の席にいると、汗のにおいも感じますし、役者さんの表情がバッチリ!
染タンはカラス役のため、黒い衣装に身を包んでいます。上半身は着物のように打ち合わせのあるもの。襟部分は銀色。下半身はフレアスカート状。黒い生地の左腰のあたりから右足首にかけて、斜めに銀色の線が入っています。袴のように腰で紐を締めるようになっているので、体の線がとても綺麗に見えます。もちろん役者さんのスタイルがいいからなのですが、あの衣装は動いてよし、止まってよしのデザインでした。
で、染タンは頭にはロシア風の黒の帽子をかぶり、髪はカラスの濡れ羽色(笑)のストレートロングヘア!そう女装をしているのです。メイクもそれらしくしていて、その艶っぽさに一目でノックアウト!
女っぽい仕草で踊る染タンに、劇場は湧きに湧きました。染タン、サイコー。(笑)BGMはインドのポップスのようで、照明は真黄色、いやウコン色?(笑)
BGMも染タンの選曲なのでしょうか?インドのポップスあり、邦楽あり、クラシック風あり、なんでも来い!の舞台でした。そうそう特筆すべきはエンディング曲でしょうか。なんと私の大好きな曲がかかったのです。感動の余り涙が出そうでした。舞台では、それぞれが生きる意味、知恵・優しさ・勇気などの本来の形を悟り、外見を飾り立てることをやめて一生懸命に生きようとしながらも、力尽きて倒れてしまう場面だったのですが、(クライマックスですね)そこでTOGI+BAOの「大河悠久」が聴こえてきたのです!カンドー!
そういえば染タンは「じゃぱねすくな男たち」で東儀さんと共演してましたからね。彼のアルバム「春色彩華」を聴いているのかもしれませんね。
でもあのアルバムの中で、私が1番好きな曲をエンディングに選んでくれるなんて・・・と密かに喜んでいました。(そうそうBAOのメンバー、ツァオ・レイーくんは染五郎さん似です。笑)
TOGI+BAO「春色彩華」についての過去日記は
ココ
と
ココ
ここ
でTOGI+BAOのアルバム「春色彩華」の視聴が出来ます。
舞台が終わっても鳴り止まない拍手に、出演者が再度舞台に登場。アンコールに答え、何度も手を振ります。何度舞台の袖に引っ込んでも、観客の熱狂的な拍手の音に、とうとうアンコール曲を青楓さんが歌ってくれました。染タンたちはバックで踊ります。その後スタンディングオベーションで観客が染タンを舞台に留めておくことに。染タンは観客にお礼と抱負などを語り始めます。その間も、ひっきりなしに「染五郎、日本一!」とか掛け声がかかります。今日の舞台には大向こうさんがいなかったのですが、観客は心得たもので、まるで大向こうさんのように絶妙のタイミングで拍手をおくっていました。
目標はラスベガス!と息巻く染タンに「私もついていく~!」という声が。染タンはすかざす「それ、自分がラスベガスにいきたいんじゃないの?」と突っ込みます。(笑)歌舞伎の舞台と言うよりも、ある意味「ファンミーティング」(爆)のようなノリでした。
観客も出演者も大いに楽しんだ舞台でした♪(でも一番楽しんでいたのは、ほかならぬ染五郎さんだったと思いますね。笑)
2006年1月29日 京都・南座
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