蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「万作 萬斎 新春狂言 2009」

毎年1月と7月、年に2回野村萬斎さんの狂言を見ていたのですが、昨年は夏の舞台を見逃してしまい、結局新春狂言しか見られませんでした。

それでもやっぱり萬斎さんの新春狂言を見ないと、新年を迎えた気がしません。今年は1月22日に行ってきました。
今年の干支は丑なので、今回も丑にちなんだ番組が組まれていました。

1年ぶりの狂言ですが、なんだか馴染むというか、心地いい空間です。
場所は生まれ変わったサンケイホールブリーゼ。
昔のサンケイホールにも何度か通った事がありますが、新しくなったビルは白を貴重にしていて清潔感溢れる建物で、ホールの方は黒を基調にしていてモダンな雰囲気です。

狂言用にしつらえた舞台も、いつものように門松もなく、黒をバックにシンプルな作り。
能楽堂で見る狂言の方が好きですが、こういう斬新な舞台も面白いかも。


番 組


舞初 「雪山」  舞 野村萬斎  ほか連吟

レクチャートーク  野村萬斎

「筑紫奥」

奏者 野村万作
筑紫の奥の百姓 深田博治 
丹波の国の百姓 野村万之介


「木六駄」

太郎冠者 野村萬斎
主    高野和憲
茶屋   石田幸雄
伯父   野村万作


もうおなじみになってしまった謡初の「雪山」
今回は萬斎さんが1人舞い、謡は連吟で。
毎年趣向を変えて楽しませてくれます。

これまたおなじみのレクチャートークも、笑いを交えながら、これから演じられる狂言について萬斎さんがこなれた調子で語ります。これも「雪山」同様、楽しみの1つ。

「筑紫奥」は、筑紫と丹波のお百姓が、都に年貢を納めにいくお話で、笑い声あふれるおめでたい番組です。丹波のお百姓が納めに行く年貢の中身は、特産品の柑類(かんきつ類)で、都のお役人に持ってきたかんきつ類の名前を読み上げます。
また筑紫のお百姓が納める年貢の中身は、唐物(中国からの渡来品)で、金襴緞子、唐絵、沈香、紫檀などです。土地柄やその時代の社会の様子もわかり、なかなか興味深いです。

「木六駄」は、今年の干支の丑にちなんだ番組です。太郎冠者が主に言いつけられ、12頭の牛に、薪や炭を積んでお歳暮として、都にいる主の伯父に届ける道中のお話です。
太郎冠者が雪の中を、12頭の牛を追いながら歩いていくのですが、もちろん牛の姿も、雪もありません。目に見えない12頭の牛をどのようにして表現するかが、この番組の見所だとか。言う事をきかず、あっちにいったりこっちにいったりする牛を必死に追う太郎冠者が、なかなか面白いです。

そういえば今年は素囃子がなかったんですね。好きなんですけど。
お囃子の音色を聴くと、日本人の血が騒ぐ気がするんです。残念。


申年の「靱猿」からはじまって、酉年は小舞「鵜之舞」、戌年は「犬山伏」、亥年は・・・なぜか「釣狐」(笑)、もしかして別の日に干支にちなんだ番組があったのかしら?子年は「水汲」で、これには動物のねずみは出てきませんが、ある“ねずみ”が出てきます。詳しくは 以前の日記 をご覧ください。

今年の牛は「木六駄」で、来年のことを言うと鬼に笑われるかもしれないけれど、寅年の虎は、何の番組に出てくるんでしょうか。楽しみです。


2009年1月22日 大阪 サンケイホールブリーゼ


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