蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「ムーミン谷の素敵な仲間たち展」

大阪 心斎橋大丸で開催中の「ムーミン谷の素敵な仲間たち展」を見る。連休中なので混んでいる事を覚悟していた。
が、2月に見た「リサとガスパール絵本原画展」よりも、空いている。
ちび2人を連れていたので、ゆっくりじっくり鑑賞するというわけにはいかなかったが、それでもトーベ・ヤンソンの豊かな世界を堪能できた。
会場の入り口にはムーミンの大きなぬいぐるみが置いてある。
おもわず「か~わ~いい~!」と叫んでしまう。
ムーミン1

会場内には、所々に人形作家谷口千代さんの、紙粘土で作ったムーミントロール人形が展示されている。
トーベの描いたムーミンの世界を丁寧に表現してあり、誕生日プレゼントとして谷口さんからこの人形を贈られたトーベが、とても喜んだと言うのも頷ける話である。

トーベによるムーミンの絵のほかに、風刺雑誌「ガルム」でのイラストや、「不思議の国のアリス」の挿絵、風景画や人物画などの油絵の作品も展示されていた。
トーベの油絵が見られるとは思っていなかった。
抽象的な作品あり、印象派に似たタッチの作品ありと、油絵ではトーベ独特のスタイルが確立していないという印象を受けたが、色彩の温かみと穏やかさは、非凡だと感じた。
しかし何といっても、ムーミンの絵は秀逸。
挿絵画家は、他のどんなジャンルの画家よりもセンスの良さが重要なのではないかと思う。
モノクロのほんの小さなイラストでも、さりげないセンスの良さがなければ、ただの落書きになってしまう。
1枚のイラストで、原作の雰囲気を表現し尽くさなくてはならない。
トーベ・ヤンソンの描いたムーミンの絵は、どんな小さな作品でも、胸がキュンとなるほどの懐かしさと優しさと、そしてちょっぴりのシビアな味付けがある。
図録

子どもの楽しむものと侮るなかれ。
トーベ・ヤンソンの手によるムーミンの世界は、大人も夢中になる奥深い森である。

トーベ・ヤンソン「ムーミン谷の素敵な仲間たち展」
2004年4月21日~5月3日 大丸ミュージアム・心斎橋


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