蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

『オリビア』絵本原画展

2年程前、大阪のソニープラザにふらりと入った。
ワゴンの中に、Tシャツが山と積まれている。
何気なく手にとると、おしゃまなブタのイラストが、目に飛び込んできた。
それが、私とオリビアとの出会い。
一目で気に入った私は、オリビアのTシャツを2枚、買って帰った。
アメリカ製の、そのTシャツのイラストが、絵本になってブレイクしているとは、知らなかった。
数日前、新聞で「オリビア絵本原画展」の紹介を見て驚いた。
私が気に入って買ったTシャツに描かれている、おしゃまなブタさんは、オリビアという名前だったんだ。

さっそく展覧会場の、美術館「えき」KYOTOへ足を運ぶ。
子ども連れが何組か。ベビーカーを押した若い母親の姿も見られる。
中年の女性の二人連れは、かなりのオリビアファンと見受けられた。

入り口を入るとすぐ、オリビアの人形が筆を持って立っている。
壁には抽象画のような染みがたくさん。
1作目の絵本「OLIVIA」に、全く同じ場面がある。
雨の日、かあさんと弟と一緒に美術館に行くオリビア。
彼女はドガの踊り子の絵が大好き。
いつもその絵の前で、ずっと立っている。
頭の中では、自分が踊り子になって舞台に立っている姿。
抽象画を見たオリビアは、「こんなのわたしでも5ふんでかけるわ」と言う。
そしてうちに帰って、さっそくためしたのが、先の場面。

おしゃまで元気一杯、何をしでかすかわからないオリビアは、そっくりそのまま、我が家のちびたちの数年前。
オリビアに1日中振り回されているかあさんは、夜オリビアを寝かしつけながら、こう言う。
「ほんとに、あなたには、へとへとよ。でも、なんてったって、あいしているからね」

どこか懐かしい、かあさんの気持ち。
毎日子どもを叱りつけながらも、やっぱり愛している、という甘やかな気持ち。
子どものためというより、そんな懐かしい気分を思い出したい自分のために、オリビアの絵本を買って帰った。
(作者はイアン・ファルコナー、訳者は谷川俊太郎)
「OLIVIA」

2004年8月18日~29日 美術館「えき」KYOTO


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