Primal Scream - The Orchard Tomorrow Ends Today LP PRSR-001
プライマルスクリームと云うグラスゴーのバンドです。87年のファーストアルバムが大好きで大好きで、"Gentle Tuesday"や"Sunshine for you"などの弾ける青春のキラメキポップス、ヴォーカルのボビーギレスピーの甘く調子外れな歌声には痺れました。彼らはセカンドアルバムで大きく路線を変え、まあ、云ってみれば”全然面白くなくなった。”魔法が解けたかのように突然に。その後もフェルトやストーンローゼズのメンバー、更にマイブラのケヴィンも参加する掟破りのドリームチームに成り、メディアで名盤と謳われるアルバム諸作を発表していますが、個人的には殆どが興味の範疇ではないです。
やはり興味の矛先は1stアルバム以前のEP、ノットオンLP、デモ、未発表曲です。そんな欲求のひと欠片を満たしてくれる便利なブートレグが御座います。1stEPの7インチはクリエションレコードの"ALL FALL DOWN"とされていますが、それより前に発表されなかったシングル曲が此のブート中7曲目の"The Orchard"とのこと。この完成度極めた傑作が何故お蔵入りに成ったのか不思議なくらいの本当に素晴らしい出来。
一番大好きな曲は2ndシングルの"Can You Keep A Secret"です。12インチのジャケットはアルバムのカット写真と同じ。振幅の高鳴りが脈打つようなリズム隊に、瑞々しいアコギのカッティング、純真無垢なヴォーカルもイノセントな傑作。高らかに昇華するメロディも美味。ギターカッティングの名手Little Beaverを思わせる人力ディスコ風な煌きも最高のテイクです。後に発表されたPEEL SESSIONの音源でも奇跡的な輝きの中再現されており、臨場感共々非常に幸福な気分になります。アルバムヴァージョンでは3分と少々物足りないですが、EXTENDED MIXは5分半の素晴らしい持続力。(試聴)また同シングルでは"GERMAN GIRL"も5分以上のミックスが聴けて、大変オススメです。
メロディ
ヴォーカル
コーラス効果
器楽
BPM効果
ポップ
煌めき
イントロ
長さ
ボーナス(人力ディスコ風カッティング)
9
9
7
8
8
9
10
8
9
10
ネオアコースティック指数
87
【ネオアコースティック指数
87
】
FANTASTIC SOMETHING / HOME IN ANOTHER HEART
「songs in a small room」siesta89 (2001)
バンドのキャリアで個人的に一番好きなのが"HOME IN ANOTHER HEART"です。ごく丁寧に爪弾かれるアルペジオにただ心奪われます。圧倒的なボリュウムに包まれる安心感。深く柔らかいウッドベースの響きはただ暖かく、揺ぎない脈動を感じさせます。ヴォーカルやハーモニーもシンプルで、素朴。無添加の無農薬野菜。時間が経っても、色褪せず強い輝きを放てるタイプの音楽だと思います。時代に弄ばれ消えるヒットチャートには最早興味ありません。何十年も経てば幾つかの音楽を忘れると思いますが、この曲を好きだったことはきっと覚えていることでしょう。(試聴)なんとバンドのひとりアレックスヴァイスのMYSPACEを教えてもらいました。(更新2007年で止まってる・・・)2の"falling"は音源化されていない未発表曲だと思います。 MYSPACE
The Jazz Butcherの元ギタリストで、中心人物でもあったようです。バンドはジャズとポップと、斜に構えたエッセンスを抽出したネオアコサウンドでしたが、まさに肝であったマックスアイダーの脱退前・脱退後ではサウンドががらりと様変わり。87年以降輝きがうつろい、勢いと捻りを失った替わりに、彼の素晴らしく感動的なソロアルバムを聴くことができました。80年代らしいドラムのエコーたっぷりで、ジャズの息遣いは瑞々しく上出来、この作品のファンは多いのではないでしょうか。緩急の激しい構成(ほぼ交互にBPM高低)で、然し乍ら柱となるポップセンスは鋭くたくさんの名曲が揃います。
全て名曲!と断言したいくらい良いレコードなのですが、なかでも"MY OTHER LIFE"はギタリストのこだわりを感じるキャッチーなギターポップ。筋肉の締まったリフが曲全体の疾走感と煌きをグレードアップ、この辺はマックスアイダーの才能爆発といったところでしょうか。サイドギターのジャングリーな響きとリードの絡みがなんとも爽やかな心地です。畳み掛けるヴォーカルも巧い。曲は一瞬で終りますが大変な充実感、これはてんこ盛りなオケと彼の汗知らずヴォーカルのバランスの妙ですね。続くアッパーなナンバーを挟んで3曲目にスウィートなジャズヴォーカルを持ってくるところがまた、ニクい。駆け引きには自信がある、なるほどキス上手ってなわけです。
バンドが枚数を重ねるごとに世界が熟成される様子が分かります。ラストの4枚目を貶しているサイトが在りましたが、とんでもない!A面の"This Is The Shirt"は他の3枚に勝るとも劣らない、煌くサウンドの青春元気一杯ポップス。それも、この一曲だけは飛び切り明るく、喜びを謳歌して居るようです。シャツ、というのもなにか爽やかさ、青さの象徴であるような気がしますね。B面"People In Love"は途中スティールドラムの乾ききった音色や大人数の厚いコーラスも大変魅力的です。絢爛な音造りでひ弱なネオアコとは対象的、ロータスイータースやハウスマーティンズなんかをマッチョにさせた印象です。メロディの質感やセンスが明らかに変化したこの一枚だけは、前作からの流れを断絶する異質の作品かもしれませんね。87年産と云うことでオブスキュアネオアコとしては少々遅めですが、然し乍らこれこそ熟成されたサウンドの頂点のひとつ、と云う気も致します。
スタイル・カウンシル、二枚目のシングル"Money Go Round"のB面曲。その後ミニアルバム「INTRODUCING」に収録、また1stアルバム「CAFE BLEU」ではよりソウルフルなテイクで再録しています。83年作と云うことで既に25年経っている訳ですが、古さを全く感じさせない何とも爽快な作品。こういうのを聴いていると、80年代を生きたかったと真面目に思いあぐねます。