「プリンとスピッツ☆」

「プリンとスピッツ☆」

初ライブ ???? TOUR 96-97


私はこの日を一生忘れない。

秋、Tさんから誘われた時は「今をときめくスピッツのライブチケなんて
取れるわけないよね、テキトーに返事しておこう」と
ぜんっぜんスピッツなんて好きでもなんでもない、むしろ流行りモノ嫌いなので
わざわざスピッツを遠ざけてて生活してきた私。
思えばこのとき、はっきり行きたくないという意思表示をしていたら
私の20代は打ち込むことがなく、腐りきっていたことだろう。
八方美人でなんでも受け入れる性格が幸を奏した記念の日でもある。

秋が深まりだした頃、Tさんからチケット取れたとの連絡が入ったときは
無論、後悔の嵐だったことは言うまでもない。

12月12日、市民会館で待ち合わせたTさんの手には「グリコポッキー」。
いつもは超クールなTさんのはしゃぎようを見て内心、だるいわ、なんて
思ったしまった。

初めてのコンサート、初めての荷物チェック、熱気で包まれた会場。
次第に私は何かの前触れであるかのような言いようのない期待に
胸がときめいてきた。

そして、スピッツ登場。
テレビで見かけた草野さんのイメージと違った青い光沢のある
シャツに違和感を覚えながらもライブ中は満遍なくメンバーを
観察した記憶があるが、23列という限りなく最後列に近い
座席では、ほとんどライブ中全体を見渡したという形になった。

今、資料を見なければセットリストを思い出すことはできないが、
一つだけ忘れられない曲がある。

それは、「ナナへの気持ち」

ロビンソン、チェリーなど王道の純粋ポップスグループだと思っていた
スピッツが単調・コミカル、サビはどちらかというと一変して
切ない曲調。
こんな曲、歌うんだ!!
自然と顔がほころんでしまうかわいい曲に思えて
なぜかし合わせな気分で一杯になった。

ライブ前にTさんにCDを借りてはいたものの一通り聴いただけで
特に印象に残らなかった局がライブではこんなに
私の気分を盛り上げてくれた。

さらにポッキーのCMでなにげなく聞き流していた「渚」。
崎山さんのドラムが力強く私に届いてきて体中に心地よく
広がっていく。
歌よりも??さんの一糸乱れないドラムに心を奪われていた。

ライブが終わる頃には開演前のぼんやり早く時間がすぎてくれることを
願った自分を恥ずかしいとさえ思った。
こんなことならもっと早くから流行りモノであろうと目を向けて
いい音楽を楽しんでいればよかった。

こんなに純粋に「スピッツ」に感動することはその後は
徐々になくなってしまったので、このときの自分の感想はある意味貴重だ。

その後、2月に高知でライブがあると知った私は必死でチケットを探してみたが
「sold out」の文字をどこかで見つけ、あっさり引き下がった。
まだまだ未熟で、その程度のファンだった。
                            (2005年5月28日)


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