このごろ思うこと

このごろ思うこと

孫の小学校選び 2003年11月



 孫の入学をひかえ、娘は1年がかりでインターネットを使って、小学校探しを始めました。個性的で繊細な感性の子供を温かく包み、のびのび育んでくれる学校をと、以前から興味のあった、シュタイナースクールの情報を集め、NPO法人で運営している各地のスクールを訪れました。(特徴のあるカリキュラムのため、学校法人として認可されていないのです。)北海道の学校が一番気に入ったようで、入学手続きを検討していました。

 以前に書いたので、ご存じだと思いますが、娘はシングルマザーです。孫が産まれた頃は私の会社で働いていたので、生活は充分やっていけていました。しかし、津留が亡くなり仕事が無くなってからは、パートタイムの仕事で幼稚園の費用やお小遣いを稼ぐ程度で、生活費などは親がかりでした。

 一度離れてみるのもいいと思ってはみても、私の頭からは「お金はどうするの」という心配が消えませんでした。引っ越して、家を借り、学校へやり、生活しなければなりません。ずっと親がかりできた娘にそんなことができるのでしょうか。孫は耳鼻科系が弱く、冬になると幼稚園をお休みすることが多いのです。北海道で病気になれば娘も仕事に就けないのではないかと心配の種はつきません。

 本音を言えば、孫が可愛くてしかたないし、私も主人もだんだん歳をとっていくので、一緒に住んで欲しいと思っています。しかし娘には親元を離れて生活したいという強い決心があるようでした。

 私の主人は「ねばならない」の強い人で、娘は幼少の頃から、「お前のお婿さんは、パパが見つけてあげるからね。この家を継ぐのはお前だよ。好きな人をつくって家出などしたら必ず見つけ出して、殺してやる」とよく言われていたそうです。私がいる前ではそのようなことを言ったことがないので、知らなかったのですが、最近娘に聞きました。私や娘に手をあげることもしばしばでした。幼い子供にとってそれは強烈なブロックとなって、男性を愛する事や自己表現をすることにストップがかかっていたのです。

 娘は妊娠・出産を機に家を出て、一回り成長し実家へ戻ってきました。再び始まった父親との生活のなかで、壁にぶつかってはブロックをはずし、自分の意思や感情をきちんと表現し、恐れる事なく伝えられるようになっていきました。親の自我によるコントロールから離れ、自分の道を踏み出していく時期が来た、そう感じているようでした。私はそんな娘を、そして自分の心の葛藤を、ただ静観していました。

 そんな時です。突然新しい道が拓けました。津留さんの娘が通っている東京の私立小学校で運動会が行われ、私たちは応援に行ったのです。津留さんの娘の方が孫より11ヶ月お姉さんで、兄弟のように一緒に過ごしていた時期がありました。絶対学校へは行かなと言っていた津留さんの娘が、一目見て気に入ったという学校です。

 そこは広々とした敷地に森を思わせる緑が茂り、一学年一教室がまるでこびとさんの家のようなたたずまいで点在していました。いよいよ運動会が始まりました。全児童の徒競走では、アナウンス担当の教頭先生が、子供たち全ての名前をご存じで「○○ちゃんがんばれ!」とひとりひとりに声をかけているのにはびっくりしました。

 少人数制の家族的な温かさ、子供と正面から向き合い、大きな愛で包み込む先生方、そして何よりイキイキした子供たちの姿に触れ、娘の心に変化が起きました。シュタイナー教育でなければ、という固執した考えを手放し、子供の為にと気負っていた肩の力がすっと抜けたのだそうです。

 娘はこの学校なら大丈夫と心を決め、孫は先日、無事入学テストに合格しました。2人は学校の近くに部屋を借りて引越しますが、電車で2時間弱の距離なので、互いに行き来することも出来ます。この適度な距離が、私や主人と娘との新たな関係性を育んでくれる、そう感じています。

 私のお金に対する不安は「今・ここしかない」とずっとアファメーションを続けているうちに、「絶対何とかなる」と確信が入りました。「今・ここ」には何の問題もないのに、意識が未来に飛んだ途端、不安感がやってきます。まだ起きてもいない事を心配して何になるでしょう。まだまだ未来は今の時間軸の延長線上にあると錯覚してあれこれ心配してしまいます。心配感を充分感じつくしもう要らないと浄化しました。

 しっかり決心すると宇宙はサポートを開始します。「幸せテクニック」の本が好評で、テープやビデオの注文がたくさん入るようになりました。そして娘は、人に役立つ仕事ができればと、介護を学び資格を取得中です。人当たりが優しくて、おっとりした娘にピッタリの仕事ではないかと思います。

 もう少ししたら、家探しを始めます。2つ家があると思えば、豊かな気持ちになれます。時折別宅で過ごすというのも、気分が変わっていいじゃありませんか。またまた楽しみが生まれたこのごろです。



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