アキハバラ的散財生活

「レザリオン」

打鍵の速さが命?~ビデオ戦士レザリオンがみた未来とは?


さて5インチフロッピーの話題では、みなさん色々「思い出」があるようで、大変参考になりました。当時のPCというとビジネス用ではようやく16ビットが出始めていましたが、一般向きにはまだまだ8ビットマシンが幅を利かせていました。家電売り場でも、ようやく「ぴゅーた君」のような子供用のPCも置かれはじめて、「新しい時代の幕開け」を予感させるような状態にありました。

ただ、当時のPCはMS-DOSもありましたが、まだまだ各社毎異なるOSを使うのが普通で、8ビット機ではBASICが大流行でした。(このBASICも各社毎にまた違うわけですね)SHARPのMZシリーズだけは、現在のPCと同じ発想で(さすがに目の付け所がシャープ過ぎて、売れませんでしたが)、IPLする時に使用するOSテープを交換することで異なるOSを立ち上げることが出来ましたが、それ以外はROMに封印されたBASIC LOADERが自動的に立ち上がりました。(もっともたいていの人はこれでも問題ないんですけどね。今のPCでも突然LINUXが立ち上がったらビックリする人がいるんじゃないかな?)

その後はキーボードが唯一のマンマシンインターフェイスとなります。マウスはGUIを扱うゼロックスやSUNのシステムで使われていましたが(あ、Appleもありますね)、まだまだ一般的ではありませんでした。
だからPCでゲームをするときは、XキーやZキー、そしてシフトキーを上手に操って、プレイすることになります。これが嫌な人は途端に任天堂のファミコン(初代)に流れていったのは言うまでもありません。(でもX1-Turboではゲーム用コントローラがあったような気がしましたが...)

さて、タイトルにも上がっている「ビデオ戦士レザリオン(1984年3月4日~1985年2月3日)」ですが、当時のPCの中で作ったロボットのデータが物質電送実験の中に紛れ込んで巨大ロボットが誕生した、というお話なのです。(ただ物語の年代設定は1998年なので、4年前の日本なんですけどね)当然ロボットを動かすインターフェイスは操縦桿でもレバーでもなく、キーボード。キーボードでその場その場の動きのcommandを打鍵入力することで動かしていくのです。当然、凄まじい量の打鍵量になるので、当時の大人では追いつきません。従ってパソコンオタク少年・香取敬(声:古谷徹)がパイロットに抜擢されて...という具合に物語は進んでいきます。

とにかく打つ、打つ、打つ....当時のパソコンがCUI中心でひたすらプログラムを打鍵しなければいけなかったから...といっても、いくら何でも打ちすぎです。まぁマウスインターフェイスで、戦闘中にコロコロと転がっても困りものなんですが...

当時のアニメージュで佐藤元氏がパソコンに詳しいアニメーターということで、コラムを持っていてこの番組に関する以下のようなQ/Aがあったのを覚えています。

Q:「一回の打鍵でレザリオンが反応しているように見えますが、どのようにしているのでしょうか?」
A:「最後のキーに"RUNが設定されていると思います。」

どういうことかというと、当時のBASICではプログラムをLOADするのと実行するのは別で、"RUNを打鍵することでLOADされたプログラムが実行されます。となると、1つのコマンドを実行するのに2回打鍵しないといけないはずなのに、TVではそのように見えない...という質問に対して、キーの割り当て機能を使って、"RUNが最後の打鍵で必ず打鍵されるようになっているのでは?というわけです。(但し、LOADの代わりにRUN構文を実行することで1行でコマンド実行することは出来るんですが...)

まぁ当時の「パソコン」をめぐる状況というのが少しはおわかり頂けたのではないかと思います。ところで、「ビデオ戦士」というネーミングはどこから出てきたのか?不思議ですよね。マイコン戦士でもパソコン戦士でもよかったはずなのですが...当時の最先端はパソコンはようやく16ビットが出てきた頃だったのですが、ビデオデッキは成熟期にあって、30万ぐらいのハイエンド機からファミリー向けの13万円程度のラインナップまで揃うようになっていました。今のように1万や2万では買えませんが、プラズマテレビやHDDレコーダーを買うような感じで、ベータやVHSが売れていった時期だったのです。

パソコンを題材にしながらも、話題性と画面処理の関係から「ビデオ」というキーワードに至ったのではないかと思われます。CGを模した映像は、当時のPCでは再現不可能だった、という事情もあると思います。(少なくとも当時現存していたPCでCGが出来ると思っていた人は少ないと思います)

それにしても、ひたすらキーボードを打鍵しないといけないGUIのOSがあったらイヤですよね。(あ、OS/2があったバキッ!!☆/(x_x))

2002年6月30日(日)



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