家庭保育室太陽

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水谷先生の夜回り日記(04.9.24)



 長崎県佐世保市の同級生殺害の少女に対して、児童自立支援施設への2年間の収容、保護という決定がなされました。私個人としては、現在の日本のシステムと施設の現状では、適切な判断というしかないと考えています。

 しかし、この決定に対してなされた報道や専門家たちの発言には、相当怒りを覚えました。どの報道や専門家の発言でも、その内容は少女個人の生育歴や性格、あるいは趣味やインターネットでの掲示板の問題に終始し、少女の家庭についてや、彼女の通っていた小学校での教育の問題に触れたものが、私の見た中にはありませんでした。

 少女のあの犯行は、ただ少女の性格やインターネットのホームページ上でのトラブルだけが原因として問われなくてはならないことなのでしょうか。家庭の中での子育てやしつけに問題はなかったのでしょうか。あるいは、5年以上も教育を行った小学校の指導のあり方、校長の学校運営、担任の直接の関わりのなかに問題はなかったのでしょうか。もっと大きく見ていけば、私たちの社会構造の中に問題はなかったのでしょうか。

 これから専門家たちによるこれらの点についての分析は行われていくと思いますが、まずは、佐世保市教育委員会、小学校の担任たち、校長によるきちんとした事件の分析と反省、少女の両親によるきちんとした少女に対する子育てについての説明がなされるべきだと考えます。特に、このような事件を起こすことを未然に防ぐことのできなかった佐世保市の教育の責任者、子どもを守ることのできなかった校長や担任、そのほかの教員たちは、この事件に対してきちんとした総括と自らに対する辞職を含めた処分を科すことをなぜしないのでしょうか。

 これでは、子どもたちは大人を信じません。ぜひ、きちんとした始末をつけて欲しいと考えます。

 今、この少女だけがある意味で裁かれました。哀しいことです。大人たちは、みな逃げてしまいました。でも、一人の大人の関係者も裁かれることなく問題が終わろうとしています。

 この少女を、このように育てたのはだれでしょうか。この少女をこのように教育したのはだれでしょうか。この少女に今まで関わったすべての大人たちに問いたいです。あなたに責任はないのですかと…。

 2004年9月22日


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