想 ~爆音夢花火~

想 ~爆音夢花火~

仮2



突然転がり込み、シャワーからでてきて乾かぬままの茶色のソバージュの髪を揺らしながら隣に座ったバスタオル姿の幼馴染はクスリと小悪魔的な笑みをうかべて微笑んだ

10年も会わぬうちに完璧にオンナのカラダになり、まったいらだったはずの大きく美しい胸の谷間をちらつかせながら

ギッと座ったとたんに軋んだベッドの音がドキリとさせられる

性的な興奮をいやがおうにでも高まらせる

これは現実だ

モニターの中の擬似体験ではない

水をはじく肌がそこにある

10年も途切れていた距離が

あまりにも急すぎるスピードで接近してるような気がしてた


絹ずれの音が薄暗い中でかすかに聞こえ、白いバスタオルはベッドのすぐそばにはらりと落ちた
彼女の裸体が私の上にある
柔らかな肌の感触がたしかにそこにある

ライトは照明を緩めて、白から消える直前の橙の暖色
・・・落ち着く色であるとともに少し性的な興奮が高まるような気がするのは僕の気のせいだろうか

その灯りのなか、彼女は僕に近づいてる
初めて触れた彼女の柔肌
あったはずの理性が徐々に消えてく
理性のスイッチが切られる・・・パチンと。


・・・あとはもうよく覚えてない

-気持ちよかった-

その事実だけだった



そして朝日が照るときにぼんやりと目覚めると、彼女はいなくなってた
彼女があのあと空けたのか、少し空いたカーテンから陽が射してる
春風がそこからゆるやかに入り込む
荷物はない
脱ぎ捨てたシャツや下着もあるはずもない
散らかった部屋が彼女がいたことの証明


巻いていたバスタオルは乱雑にカゴに押し込まれていた
洗濯したようなあとはまったくない
あいつらしい、と僕は思っていた
気まぐれなネコ
雌ネコ・・・
いや、むしろ女豹・・か。
一晩だけ深い関係を持ち、
そしてまた幻のように消えてしまった

また幻のように、僕の記憶の彼方にスッと霧のように消えてしまうんだろうか

薄暗い天井を見上げ、わずかに残ってたセブンスターをすいながらそんなことを考えてた



ホトトギスがなぜか鳴いてる森奥深く・・・といえば聞こえはいいかもしれないが、その中身は日本独特の田舎のありふれた森
野生の植物が乱雑にのさばってる
ここは白神山地や屋久島みたいな観光地のような鮮やかな木々が生い茂っているところではない

AM7時過ぎ
眠りは深かったものの、昨夜の営みで奪われた体力は回復しきってなく、ぼやけた頭をかかえながらなんとなく歩いていた
特に理由があるわけでもない
歩きたかったからで充分だし、それ以上語ることもないだろう
すべての行動に意味づけするほど俺はロジカルな人間でもないし、ヒマ人でもない
ただ、昨夜の彼女の面影をぼんやりと脳裏にかすめながら朝の散歩になんとなくあるきだしてた


途中で母に連れられた幼女とすれ違った
風貌からすると小学校にはいったくらいだろうか
かわいらしいけど、彼女にもこんな時がたしかにあったのだ
成長すれば、この子もあの彼女のような女豹になりうるのか
事実はわかっていたけど、実際に無垢なはずのその子を見ながらそんなことを考えると複雑な気分だった

ー万物は流転するー

ー時代が経っても変わらないものは変わらないー


そんなどこぞの過去の偉人の言葉がほんのすこし頭をかすめた


彼女に出会った最初の記憶は通学のバス停だった


俺はいつも3人でいた
13年も前の話になる

ひとりは今ではビール腹のいわゆるメタボ気味のサラリーマンに
もうひとりは大学からオタクの本性を表しだし、数十キロも太り、今ではなにをしているのやら・・・
そして俺は職ナシでぶらぶらしてる・・・いわゆるニートってやつだ


そんな3人に似つかわしくなく、彼女はそのころから凛として綺麗だった
制服がよく似合い、歌もうまかった
大人になればそんなことはありえないが、高校の学際ではバンドやるやつはわりと一目おかれる
もともと歌がうまかったうえにステージばえしたから、学際にでてから一ヶ月くらいは学校の有名人だった
言い寄る男も増えたとか増えないとか


大学ではバンドのボーカルとして渋谷、下北のライブハウスにしょっちゅう出ていたと風のウワサで聴いた

当時はネットは発達してなかったけど、ネットアイドルにでもなれば月10万アクセスは硬かったんじゃないだろうか

もっとも、気が強くトラブルメーカーであったが・・・


何もなくなった僕と、つまづき歩みを止めている君
ずっとこの関係が続くなんて保証はないけど、高速化する社会からはじきだされ、行く場所のない似たもの同士、しばらく一緒にいることは別に悪いことなんかじゃない
どちらかが別のステージに行くまで寄り添ってることは何も悪くも間違ってもないと思ってたんだ・・・


・・・なんて妄想を昨夜2人でいるときはほんの少し浮かべてたが、
実際は、こんなもんである
あいつは何も歩みを止めてなどない
俺になにもない、というのだけは確かなのだが
いささか小説を読みすぎて現実とのギャップを埋めてなかった自分に笑えてくるな


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