One of my favorite things is ...

2020.05.15
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カテゴリ: データ分析
小田垣教授の考察を紹介したブログに対して、「ベイズ統計(事前確率→事後確率)を学んでください」とのコメントをいただきました。

「早期収束を図るために検査を拡大する方法がある」という主張に対して、「検査の拡大」には問題点もある、という的確なご指摘です。

この指摘の背景には、ベイズ統計で言うところの「事前確率の低い人(症状のない人・感染していない人)」に対して検査を行った場合、仮に精度の高い検査であっても、事前確率が低い人が多い場合には、多数の偽陽性者(感染していないのに感染しているとされる人)が出てしまい、検査の意味がなくなってしまうどころか、多数の偽陽性者の対応に追われて医療崩壊が起きるという考え方があるのかもしれません。

「本当に感染している確率」については、ベイズの定理を使わなくても、「条件付き確率」で解ける問題のようです。いかにも、来年の大学入試で出そうな問題です。

私は、「ベイズ統計」については、概説書レベルの知識しかありません。確かに、病気の診断についての例題が、ベイズ統計の概説書に載っていました。ベイズの定理を書き表すには、数式エディターを使う必要があるので、ベイズの定理についてはまたの機会にまとめてみようと思います。

さて、例えば、スペインの抗体検査の結果では、5%程度が「感染した可能性がある」ということだったので、95%の人は「感染していなかった」ということになり、集団免疫獲得までは、まだまだ時間がかかりそうです。この「感染していない人が多い状態」が、多数の偽陽性者の問題を起こすようです。


【下記の計算の誤った部分を訂正しました:太字の部分が誤りでした:お詫びして訂正します】

仮に、検査の精度について、「感染者を感染者として正しく検出できる確率が70%」「感染していない人を誤って感染していると判定する確率が1%」とします。

スペインの抗体検査の例にならって、全人口のうち、「感染者が5%」「感染していない人が95%」の割合だとします。

10万人の集団について考えると、前提として「感染者は5千人」「感染していない人は9万5千人」ということになります。

この場合、
「感染していて、感染していると判定される人数」は、5000人の70%の3500人です。

「感染していないのに感染していると判定される人数」は、95000人の1%の 950人 です。

「感染していると判定される人数」は、 3500+950=4450人 です。

10万人の集団から1人を無作為で選んで検査を実施して「感染していると判定された」ときに、「本当に感染している」確率は、3500÷ 4450=78.7% ということになります。

「感染者」が少ないと、集団の全体を検査した場合、「感染している」という判定であっても、「実際に感染している」確率は 78.7% と高くはない、ということになるようです。

このような場合に重要なのは、「感染している可能性が高い人(症状がある人)」を検査するようにスクリーニングすれば、「感染している」という判定が正しい確率を上げることができるということのようです。


「全人口」に対する検査には意味がない、という主張は、上記の例のように、多数の偽陽性者を生んでしまうという意味で正しいと思いますが、日本の現状は「症状がある人(事前確率が高い人)」への検査が十分できていないのが問題なので、「検査を拡大すべきだ」という主張も正しいと思います。


単純化すると、検査拡大への反対論の趣旨は、「無症状者を多く検査すると多数の偽陽性者が生じて医療崩壊が起きる」ということのようです。

それに対して、検査拡大論には「症状のある人の検査ができていないのは問題なので、検査を拡大すべきだ」というものと「とにかく全員を検査すべきだ」というものがあると思いますが、少なくとも前者の「症状のある人は検査できるようにすべきだ」というのは妥当なものだと思います。


「とにかく全員検査すべきだ」という主張の場合でも、「偽陽性なのに重篤な症状」ということはまれでしょうから、感染していると判定されても無症状の人は病院ではなく、軽症者・無症状者用の隔離施設に隔離するということであれば医療崩壊を起こすことはないと思います。

真の陽性であっても、偽陽性であっても、軽症者や無症状者は病院以外の隔離施設に隔離すればいいのだと思います。そもそも、重篤な症状があれば、「偽陰性」であっても入院は必要です。

まあ、「全員のPCR検査」は極論で、今のところ現実的ではないと思いますが。


どうやら、「検査拡大」と「軽症者・無症状者用の隔離施設」は必ずセットにすべきもののようです。それから、医療機関が大量の検査を実施することになると、医療機関の大きな負担になるので、検査専門の「検査センター」もセットに加える必要があります。

つまり、「検査拡大」「検査専門の検査センター」「大規模な隔離施設」の3点セットが必要だということだと思います。これは、「韓国方式」そのもののようです。

なお、偽陽性の誤判定率1%(特異度99%)とした場合でも、検査数が多くなると、偽陽性は少なからずあるようなので、隔離施設内で偽陽性者が真の陽性者にならないように、隔離施設は「個室」にして、隔離施設内での感染を抑制する必要があると思います。

でも、岩手県では400人以上検査していて、陽性者ゼロということは、偽陽性はかなり少ない可能性もあります。

特異度99%という仮定は、一見高そうに見えますが、それでも低いのかもしれません。特異度が99%であれば、岩手県で1人くらいは陽性者がいてもいいのではないかと思います。特異度を95%と仮定して、「偽陽性者が多いはずだ」という主張もあったりしますが、その95%の場合であれば岩手県で20人前後陽性者がいてもいいはずです。まだ、試行数が少なくて収束していないだけで、40000人検査すれば、2000人偽陽性がでるということなのでしょうか。

特異度が95%とかであれば、400件検査して、1人も陽性者がいない事態というのは、ほぼあり得ない状況なのではないでしょうか。400件では、特異度の検証をするための数が足りていないということでしょうか。岩手県の検査が1000件くらいになった時に陽性者がどれくらいになるのか注目されます。

そもそも、「陽性者を必ず入院させる」という対応が間違いなのであって、「陽性者のうち、入院の必要がある人を入院させる」という当たり前の対応をするのであれば、検査の精度は問題ではないと思います。もちろん、陰性であっても入院の必要があれば入院させる必要があります。

入院が必要な症状があれば、陽性判定の有無にかかわらず、入院の必要はあるわけで、「検査拡大が医療崩壊を起こす」という説には論理の飛躍があるように思います。

結局、「無症状者を入院させる」という対応が間違っている、ということなのではないでしょうか。新型コロナのように、軽症や無症状者が多い場合は、病院とは別の大規模な隔離施設が必要だということなのだと思います。

2月の段階では、病態がよくわからなかったので、仕方がなかったと思いますが、3月には「軽症者・無症状者の隔離施設」の対応ができたのではないかと思います。

偽陽性が問題になるのは、「陽性者を無条件に入院させる」という間違った対応を前提にしているからだと思います。

「無症状者を多く検査すると多数の偽陽性者が生じて医療崩壊が起きる」という主張の前提は、「トリアージをまったく行わない」ということのようです。適切なトリアージが行われるのであれば、検査を拡大する方向が正しいのではないかと思います。

検査拡大を主張する人と、検査拡大に懐疑的な人では、「トリアージの有無」という、議論の前提条件が異なっているので、議論がかみ合わないのではないでしょうか。

また、
「病院の病床数は増やすことは不可能」「軽症者・無症状者隔離施設は存在しない」といった前提に基づいて考えている場合が多いのではないかと思います。確かに、短期的にはその前提は正しいと思います。しかし、長期戦を想定した場合には、その前提自体を変える必要があると思います。

2009年の豚インフルエンザ(新型インフルエンザ)が流行した時、初期の患者は軽症者であっても強制的に入院、隔離され、「インフルエンザなのに、公費で3食昼寝付きか」という感想を持ったことを思い出しました。

私の場合は、秋に罹患したので、私費でタミフルを購入し、自宅療養でした。しかも、大流行時なのに、抗原検査のために、鼻腔に長い綿棒を挿入されて、非常に痛い思いをしたという、いやな記憶があります。大流行時に発熱があるという、事前確率が高い状態だったので、検査なしでタミフルを処方するという診断も妥当だったのではないかと思います。

新型コロナの場合は、「無症状の感染者」が特徴のようなので、症状のある人はもちろん検査し、陽性者の周囲の人も幅広く検査する必要があるとすると、やはり、検査は拡大した方がいいのだと思います。

検査拡大反対論の中でも、「検査能力拡大賛成、検査慎重実施」というのはわかりますが、「検査能力拡大不要」という考え方は何か違うと個人的に思います。





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↓実効再生産数を計算できる Webアプリがあります。


​↓倍加時間についてです。

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​【ダッシュボード 「COVID-19 Transition Graphs」 を試作】​​
中国本土以外の地域への感染が拡大しているため、国別、地域別の感染者数の推移を簡単に確認できるダッシュボードを試作しています。​

随時、ページを追加しています。グラフのデータは、右上部分の操作でダウンロードすることができます。

アメリカの「地域別の変数」を前処理して、「州別」での推移をグラフ化できるようにしました。

また、州コードのフィールドを作成してコロプレス地図も作成しています。

楽天ブログでは「iframe」タグが使えないので、Bloggerのページから利用できるようにしています。

無料で利用できる、グーグルの「データポータル」のダッシュボードです。データさえあれば、簡単に作成できます。「国」別、「地域」別に日ごとの感染者数の推移を見ることができます。

↓ダッシュボードの試作です。下記リンクのページから利用できます。
​​

ジョンズ・ホプキンス大学の 「JHU CSSE」の「Covid19 Daily Reports」のデータを利用しています。

直近のアメリカのデータは地域分類が細かくなっていて、1日当たり2千行くらいになっています。
EdgeブラウザやIEブラウザなど、Chromeブラウザ以外での利用の場合はうまく表示されないことがあるようです。

上記のダッシュボードのデータの出所のサイトです。マップがメインのダッシュボードです





↓WHOのサイトでも、感染者数、地域などの「Situation Report」が日々更新されています。関心がある場合は、一日に一度見るといいのではないかと思います。







↓日本のインフルエンザの「定点当たり報告数」をグラフ化できるダッシュボードを試作。都道府県別にグラフ化可能です。



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 新型コロナウイルス(2019-novel coronavirus)対策もインフルエンザ対策と同じで、手洗い、うがい、マスク着用(咳エチケット)、免疫力アップなどが対策になるようです。​



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Last updated  2020.07.31 18:35:31
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