平成12年


 6月にショートステイに行くと父が母に告げたら相当怒って拒絶する。「なぜ決めてから私に言うのか。最初から相談しろ。権利がある」と。それはそうだが介護しているほうは自分達の事しか考えられなくなっている。もう5年だ。嫌にもなる。母に言えば絶対嫌だと言われるのが解っていたから言うのがどうしても後になる。「M病院の時だってそうだ」と言われる。私達は確かに自分達の事しか考えていないようだ。少し反省した。又、母は「お父さんが遊びに行きたいからそういうことをするんだ」など父の昔の悪行を散々いう。
 ああ嫌だ。親のそんな話は聞きたくない。昔から喧嘩ばかりして子供の前でだっていつも仲が悪くて嫌だったよ。又そんな夫婦喧嘩聞きたくない。

友人が言った。
私がもしあなたのお母さんのように寝たきりになって夜ふっと目がさめたらその時はものすごい恐怖だろう。
と。
本当に母の背負った運命は過酷なものだ。私もそうなるかもしれない。そうなった時家族がいない身だったら私は発狂してしまうだろう。


平成12年11月13日(月)
 私は外面が良い。しかし家の中では……
今日は父が夕方でかけたいというので3時頃実家へ行く。夕食迄滞り無く済みしばらく寝転がって休む。そのうち父が帰宅。11時お風呂に入っていると何となく母の叫び声が聞こえるような気がし脱衣所へ出る。声は確実に聞こえる。が私は慌てない。叫ばせておけば良いのだ。いつもなら父が即座に母の元へかけつけ対処する。しかしほとんどがたいした事ではないのだ。ほっておけばいいのに。今夜は父も疲れているのか出てこない。声が益々大きくなるので行くと「肩が寒い」と大騒ぎ。このヒステリックな叫びを聞くと私もキレる。自分を押さえて布団を肩にかけると「この布団の隅、布団が無い」中の布団が布団カバーとずれていて本体が肩にかかっていなかったらしい。よくもそんなところまで気が付くものだ。  昔は母の状態ももっとひどく、呼ばれる回数も半端じゃ無かったのに私も一生懸命介護をしていた。自分で言うのも変だがよくやっていた。何とかして直してあげたいと言う気持ちでいっぱいだった。今はそう言う気持ちがなくなっている。自分の生活の方が大事になっている。


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