ワインを貨幣として財を貯蔵蓄積する長所は大まかに言って、投資性、追跡捕捉の難しさ、無記名、換金時の安全性そして滅却性というところだろう。これらの点で時と場合によっては宝石や貴金属、また現金よりも都合の良い場面がある。
投資性に関してはこのところの趨勢からローリスク、ハイリターンで有ることは判るだろう。毎 VT 生産される本数は決まっていて飲まれてしまう分だけ減って行く一方、ある年数まではワインが熟成するので価値は高まって行く。実際99 LT などはここ5年で価格は3倍になっている。これは貴金属や並みの投資を遥かに上回る。ただ問題はブルーチップとして投資に耐えるワインの数が少ないので、大きなファンドを作るのが難しいことだ(過去に幾つかのワイン投資ファンドが破綻しているがこれはファンドが大きくなるにつれて詐欺まがいになったように思える。対象を DRC だけ、募集額を10億程度に絞れば良いリターンが得られたと思うのだが)。
無記名性と消費財としての滅却性からの追跡捕捉の難しさ。これは税をやっている人ならば判るだろう。銀行からの数百万円単位の引き出しに対して税務当局が追跡に入ったとしよう。まず無記名債権は引き出した直後の発行を見られて捕捉されるのがオチだ。現金、宝石、貴金属を買って隠そうとしてもその代わりを説明するには食事、ギャンブル等くらいしか無く、使い道を合理的に説明する事は不可能だろう。が、どうだろう、 1 本十万程度のワイン(これは昨今別に珍しいことでは無い)を何ケースかオークションで落とし、クレジットカードで払い、口座引き落とし。その後ワインは飲んで(これも十万円程度のワインならよく有る話だ)空瓶は捨ててしまったと言えば(私も含めて古参のワインファンはエチケットや空瓶に執着しない人が多い)一応説明が付く。まあ、勿論自分は違うが、古参のワインファンの中で、コレクションの時価が1億円に達している人は結構いるのでは無いだろうか。
(この項続く)
Intermezzo 2022/09/04
雑感 2022/05/20
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