ちょっと別の話題を。
2017 Rouget の Cros Parantoux のリリース価格が68万円だと聞いておもわず仰け反ってしなった。 30 年近く前に私が買っていた価格は(蔵では無く酒屋)45ドル程度だから150倍になった訳だ。まあ、買う人はいるのだと思うが、幾ら何でも開けて飲むというよりコレクションとしてセラーに飾るのだろう。
人は何故ワインを飲むのか?当たり前だが飲んで美味しいと感じ、そして幸せを感じるためであろう。ところがワインも中級を過ぎると初心を忘れ他人よりも知識、経験、能力が優れている、人よりも優れたワインを持っているという優越感から幸せを感じるようになる。そして SNS によりその優越感が可視化された。単にワインを飲み美味しいと感じるのが主体性幸福感であればこの優越感は相対性幸福感だ。ワイン通のやっかいなのは初級はその主体的幸福感が主であるのだが、中級、上級となるにつれこの相対的幸福感の割合が多くなる事だ。そしてその相対性幸福感を感じるためにワイン通はマウンティングしがちなのだあろう。
インターネットが発達し当たり前になり、そのインターネット上でリアルタイムにあるワインについて価値観が共有され共通知になりそれがマネタイズされて行く。その過程で或るワインはそれを所有すると言う事で Status Goods (地位財)と変質していった。この Rouget の Cros Parantoux や DRC などは最たるものであろう。女性にとってのバーキンと同じ課金ゲームだ。他に素晴らしいバッグがあってもやはりバーキンでなければならないのだろう。
昔のように自分を味覚を信じてコスパが高い自分の好きな作り手を見つけ、買い、それをセラーに置き、いつかそれを空ける時を夢見て何十年も人生を精進するなんて悠長な事は流行らなくなってしまった。
まあ、そういう自分もこう言う写真を載せてマウンティングしているが(笑)。
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