薬剤師てるちゃんのサプリメント日記

薬剤師てるちゃんのサプリメント日記

α-リポ酸


「ダイエットによい」「糖尿病によい」「老化防止によい」
などといわれているものです。

アルファリポ酸は人間の細胞ひとつひとつにある
ミトコンドリアというところにあり、
生体がエネルギーを作るときに必要な補酵素のひとつです。
そう、もともと身体の中に存在する成分であり、
身体がしっかり働くために不可欠な栄養素なわけのです。

そのような栄養素として”ビタミン”が有名ですよね。
ビタミン(ビタミンC・E・Bなど)は
身体の中でつくることができないので、
食べ物から摂る必要があるのですが(大切なんですよ☆)、
アルファリポ酸は身体の中である程度つくることができるので、
”ビタミン”とは区別して
”ビタミン様物質”といわれています。

「様」がつくだけなんですけどね、、、、
このビタミン様物質、他にも有名なものがありますよ。

「コエンザイムQ10」もそうなんです。

コエンザイムQ10と似ている点は
体内に存在する量が、年齢とともに減少してしまうこと。
だからアンチエイジング~抗加齢~に良いと言われているんですね。

アルファリポ酸は、エネルギーが作られる工場”クエン酸サイクル”
で働き、ブドウ糖の消費率をUPさせることから、
ダイエットによいと言われています。
また活性酸素に対する働きも注目されており、
アンチエイジングとしても人気の高いサプリメント成分です。

アルファリポ酸(別名チオクト酸)は医薬品としても利用されています。
激しい肉体疲労時にリポ酸の需要が増大したときなどに使用され、
「効果がないのに長期間使用すべきでない」
という注意書きもあるのです。

@@@@@@

人気のサプリメント”αリポ酸”による、
「インスリン自己免疫症候群」が増えていという記事がありました。

「インスリン自己免疫症候群」というのは、
インスリンなど血糖の薬など服用していないのに、
突然”低血糖発作”(動悸・冷汗・ふるえなど)を起こすもの。

この病気の約半数は、
低血糖発作の4~6週間前に、
チオール基(-SH基)をもつ薬剤(メチマゾール・ペニシラミンなど)
を服用したことが原因となっていることがわかっています。

今回”αリポ酸”がその原因になることがわかったのです。

α-リポ酸は構造上ではチオール基(-SH基)を持っていませんが、
口から摂取した後、体内で一部は還元されて
SH基を持つジヒドロリポ酸に変化するからなのです。

α-リポ酸は、医薬品として扱われていましたが、
2004年にサプリメントなどへの使用が認められたもの。
抗酸化作用が強く、ダイエットやアンチエイジングなどで人気です。

こんな症例がありました。

 ●少し前から四肢および舌のしびれをがあり、
  その後全身倦怠感を感じるようになった。
  突然、意識障害で救急車で病院へ。
  入院検査。
  インスリン自己免疫症候群とわかったが原因は不明。
  再度、詳細に問診し色々聞いてみたところ、
2カ月前までサプリメントとしてα-リポ酸を服用していたことが判明。
  α-リポ酸によるインスリン自己免疫症候群と診断。

まさに、サプリメントを摂っている患者にとっても、
医師にとっても「まさかサプリメントが原因とは!!」と言ったところです。

医薬品として扱われていた時でさえ、知りえなかった副作用が、
サプリメントとして不特定多数の人に使われて、
初めて見つけられた副作用なんです。


とはいえ「インスリン自己免疫症候群」はそれほど症例数が多い病気ではありません。
また誰にでも起こる訳ではなく、
遺伝子でHLA型DR4(DRB1*0406)を持っている人が
-SH基を含む薬剤(α-リポ酸含む)を服用すると、
発症するリスクは高いとされています。
日本人では6~8%とそれほど多くはないとされています。

過度に心配しすぎる必要はありませんが、
何かあった時、
病院で診察を受ける時など、
α-リポ酸に限らず、
「○○というサプリメントをいつも飲んでいます」
と伝えておくと安心かと思います。

また安心できるメーカーの商品を選ぶことは大切ですし、
色々と相談にのってくれる所を見つけておくのも大切です。
特に今、薬を飲んでいる人、病院に通っている人などは
そのことも加味して、サプリメント選びをしてくれるところで購入するといいですね。

医療関係者は、
サプリメント摂取についても、詳しく聞き取ることが大切かと思います。

(参照:日経メディカル2010年3月号「トレンドビュー」、wikipedia)


以下追記2010.12.10

以前のブログで、
アルファリポ酸を飲んだ健康な人が、
低血糖発作(動悸・冷汗・ふるえなど)などを起こす、
「インスリン自己免疫症候群」が増えていることについて書きました。

その時の記事はコチラ↓
http://plaza.rakuten.co.jp/teruchansup/diary/201003260000/

そのブログを読んだ方からこんなご質問を頂きました。

>あるお店でダイエットのためリポ酸のカプセルを1日6錠飲むように薦められています。
>1錠110mgなので660mg飲んでいます。
>サプリのパッケージには摂取目安が100mgになっているので、
>とても心配になってきました。他にも数種類を3ヶ月契約しているので・・・
>効果が出るまでは続けてみても良いでしょうか?

α-リポ酸は、身体の細胞のミトコンドリアに存在し、
生体のエネルギー産生反応における補酵素として働く物質。

身体が働くために必須なものなのです。

しかし、食べ物からしか取ることができないビタミンとは異なり、
体内で合成することができるため、
「ビタミン」ではなく、「ビタミン様物質」という分類になります。
また抗酸化作用もあるため、様々な働きを有しています。

その働きは、「疲労回復」「ダイエット」「アンチエイジング」などの他、
「運動時によい」「糖尿病によい」などとも言われています。

もともとは「α-リポ酸」は「チオクト酸」として
医薬品として利用されていたものですが、
2004年より一般のサプリメントに配合してよい成分となり、
一般の人でも買えるようになりました。

医薬品としてどのように使われていたかというと、

チオクト酸(1日1回10~25mgを注射(静脈、筋肉内、皮下))
チオクト酸アミド(顆粒剤、経口で1日10mg~60mg)

適応と働き:
 肝臓の代謝をよくして、肝機能障害を改善したり、
 脳の代謝の関与したりする作用がある。
 激しい肉体疲労により生理的機能が低下しているときや、
 小児のライ症候群(インフルエンザなどにかかった後、
 急性脳症や肝機能が低下して生命が危険になる症状)などに用いられる。
 また、中毒性の難聴(いわゆるストマイ難聴)や騒音性の難聴などで、
 内耳組織の代謝が悪くなっているのを改善する。

添付文書の副作用の欄には:
「食欲不振、悪心、下痢。発疹、頭痛、めまい、心悸亢進」
と記載がされています。

もともとビタミン様物質であり、
食べ物などにも含まれている成分ですので、
比較的副作用は少なく、安全性は高いと言えるでしょう。

少し気にしたいのが量のことでしょう。
医薬品では1日60mgまでとなっているのですが、
サプリメントとして販売されているのは、それ以上なのです。

特に規定などはないのですが、
日本では、1日の目安量は”100mg”程度と言われています。
今回ご質問頂いた方のサプリメントのパッケージにもそのように記載があるようですね。
(アメリカでは1日600mgの商品などもあります)

これは本当に不思議な現象で、
医薬品とサプリメントの逆転現象なのです。
コエンザイムQ10でも同じことが起きています。

確かに安全性は高い成分ではありますが、
サプリメントとして多くの人に使われるようになって、
初めて「αリポ酸により動悸・冷汗・ふるえなど低血糖発作」を起こす事例が判明し、
問題になっています。

医師の判断によるものならまだしも、
600mgは量的には多いように思いますよ。
多く飲めば効くものもありますが、
αリポ酸についてそうなのかさえしっかりとしたデータはありません。

それにご本人が何より「心配」していると言うこと自体、
あまり飲み続ける意味はないでしょう。
「こんなに飲んで大丈夫かな~?」と思いながら飲んでいたら、
免疫が低下してしまい、体に悪い反応が起きても不思議ではありません。

お店の方とも良く相談してみて下さいね。



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