2003年08月26日
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今日は、パンや料理の話ではなくて恐縮だが、絵本の話をさせていただこう。
先週末の土日(8/24-25)に、奈良教育大学で絵本ギャラリーin奈良というイベントが行われた。そのイベントで、河合隼雄さんが講演会&サイン会を行うという情報を嫁さんが見つけてきてくれた。実はなにをかくそう、私は河合隼雄先生の大ファンなのである。

河合隼雄さんのことを知らない人のために、ざっとプロフィールを紹介しておこう。河合さんは、「日本ウソツキクラブ」という怪しげな団体の会長であり、ウソやいいかげんな話が好きで、そして講演会では駄洒落をポンポンと飛ばす、きさくなおじいさんである。無類の絵本好きでもあるので、今回、大学で講演会をやることになった。そんないいおじいさんが、ユング派の臨床心理学の大家であったり、文化庁長官をなさっているのも、やっぱりウソみたいな話である。著書が多いので、教育や心理学をかじったことがある人なら、一度は名前を見たこともあるだろう。下記URLに、著書一覧があるのでご参考までに。
■河合隼雄プロフィール
http://www.sogensha.co.jp/02wada/02k4.htm

今回の講演テーマは「絵本の中の自然」である。ここで、河合さんが紹介した絵本と、コメントをメモしておく。河合さんの語り口の面白さが伝えられないのが残念だが、皆さんの中の、自分の好きな絵本や作家と同じのがあるかもしれない。




■床下の小人たち
著者: メアリ・ノートン /林容吉


前フリで「最近、うちには小人がいることがわかりまして。小人がよく物をどっかにやったり、変なところに置いてみたりするんですよ。」といいながら、この本を紹介していた。ストーリーは、人間の家の床下に仮住まいする小人が、その家の男の子に姿を見られて・・・という内容。




■よあけ
著者: ユーリ・シュレヴィッツ /瀬田貞二


本題に入っての最初に紹介されたのがこの絵本。ストーリーらしいストーリーはなく、夜明け前の静まり返った世界から、夜明けが訪れたその瞬間の情景がはっとするような絵とともに描かれる。コメントは「日の出の瞬間のこの色の変わり方、景色の拡がり方がすばらしいですね。」



■たそがれ
著者:? 訳:イマイヨシタカ(?聞き取れず)
「よあけ」があれば「たそがれ」もあります。ということで紹介された一冊。ストーリーは、たそがれ(夜)は実は「たそがれじいさん」が作っているんだよという話。楽天ブックス、Amazon、はてはGoogleでも検索したが見つからず。知っている人は情報ください。
コメントは「時々難しい質問をする子供がいますね。『たそがれじいさんが病気になったらどうなるの?』とか。そういう時は、『そんなバカなこと言っちゃだめ』なんて言わないで、『そうだね、どうなるんだろうね』と、子供の問いかけをそのまま受け止めてあげてください。子供は大抵、自分で答えを用意しています。そして、話がどんどん膨らんでいきますね」




■トリとボク
著者: 長新太


ストーリー:公園の池にいるトリたちが、群れでいろんな形を作って遊んでいるのを、ボクだけが知っている。トリはボクの家族のことまで知っていて、ボクはそれをお母さんにも言おうと思うのだけれど、やめておく。ボクだけが知っている秘密だから。
コメント:「秘密というのは子供の自立に欠かせないですね。しかし、変な秘密を持ってもらうのも困りますよね。秘密は諸刃の剣です。」




■お日さまをみつけたよ
著者: マイ・ペトローヴィチ・ミトゥーリチ /松谷さやか


ストーリー:春が来たのが面白くない暗闇好きのふくろうが、お日さまを山のほら穴に閉じ込めてしまう。そこでうさぎと熊がおひさまを探しにでかけていく。
コメント:「北国の人は春や太陽に特別な愛着を持っています。これはロシアの昔話ですが、日本の天照大神の話と共通してますね。これは子供たちにとっても、お父さんやお母さんが突然いなくなったりすることと共通する大事な話。」




■かぜのこもりうた
著者: くどうなおこ /あべ弘士


ストーリー:ゾウの坊やが迷子になってしまうが、風がこもりうたをうたってくれる。
コメント:「子供は親から離れたくないけれど、離れていってしまう。離れてしまって迷子になったときに、風が助けてくれるのが面白いですね。我々大人は、風の声を聞くちからがなくなっているんではないでしょうか。工藤さんの
『のはらうた』
もいい本です。」




■ゆっくりがいっぱい!
著者:エリック・カール
エリック・カールといえば、
「はらぺこあおむし」
が有名だが、この本はマイナーすぎるのか、Amazonでも、楽天ブックスでも見つからなかった。Googleで検索すると、下記URLにあったが、在庫切れ(涙)
http://www.kaiseisha.co.jp/cgi-bin/find.cgi?page=kinkan
ストーリー:ナマケモノは本当に怠け者。いろんな動物たちがやって来ても、返事をしない。そのうち、恐い動物がやってきて、「自分はなんで怠けているんだろう?」と考え始めて・・・
コメント:「ナマケモノは怠けているわけじゃないんですね。ゆっくりがいっぱいなんです。これが彼の生き方なんです。ともすれば親は『早く○○しなさい!』と言ってしまいますが

講演はこれでおしまい。サイン会では、90分、列がとぎれることなく続いた。もちろん、私ももらってきた。
20030826_hayao.JPG


私が河合さんのことを知ったのは10年くらい前である。当時、学生だった私は児童養護施設で学習補助のボランティアをやっていた。主に中学生・高校生くらいの年代の子供を担当するのだが、いわゆる思春期の難しい年頃を相手に、なかなか良い関係が築けずに困っていた。その時になんとなく手にした本が河合隼雄と谷川俊太郎の対談を本にした
「魂にメスはいらない」
である。この本に載っていた箱庭療法の事例と、谷川俊太郎の詩に強く感動し、癒され、二人ともいっぺんに好きになってしまった。それからというもの、河合さんの著作をむさぼるように読むようになったのだが、ある時、だいたいどの本にも同じことが書かれているなということと、本にある種の麻薬的な効果があることに気がついてからは、意識的に遠ざけるようになってしまった。麻薬的な効果というのは、現実の問題は何一つ解決されていないにもかかわらず、河合さんの著作を読むだけで癒されていい気持ちになってしまうという効果である。

ところが、就職して関西に引っ越し、養護施設から離れてしまったにもかかわらず、逆に河合さんの著作どころか、実物に会うチャンスが増えてしまった。河合さんのフルートの演奏会も見に行ってCDを買ったりもした。今回の絵本ギャラリーでは、間近でサインしていただきながら、他愛ない言葉を2~3言交わしただけであるが、ファンとしてはとてもうれしかった。いつか一緒に仕事をしてみたいものである。





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最終更新日  2003年08月27日 21時01分25秒
コメント(15) | コメントを書く


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Re:河合隼雄@絵本ギャラリー(8/26)  
白うさぎ17  さん
「はらぺこあおむし」<br>。。。絵本の専門店で目にした事があります。<br><br><br> (2003年08月26日 06時45分48秒)

Re:河合隼雄@絵本ギャラリー(8/26)  
MoCo  さん
なんだろう…何だろう…カレルチャペックといい、パリのパン屋さんといい、河合先生といい、もしかしてwhiskey_in_the_jarさんと私は生き別れた双子?<br>私も河合先生の大ファンです。っていうかほとんど命の恩人です。多忙すぎて頭おかしくなってカウンセリングに通って治療してた頃、河合先生のご本と出会いました。<br>斎藤茂太先生などの他の著書も試しましたがどれも私には「冷たかった」。でも、河合先生のご本はどれも温かくて優しくて、すーっと身体に入っていく薬みたいでした。奈良での講演にも是非行きたかったんですよ!!<br>あの聴衆の中にいらしたんですね??<br> (2003年08月26日 09時35分05秒)

Re:河合隼雄@絵本ギャラリー(8/26)  
檸檬12  さん
こんにちは!!<br><br>私も絵本が大好きなんです。<br>子供の読むもの・・なんてあなどれませんよね。<br>結構、ドキドキわくわくウルウルしちゃいますよね。<br>私のお気に入りは「あらしの夜に」なんですけどね。<br><br>それより、驚きました~~!!<br>パン作りの日記だったので<br>てっきり女性の方だと思い込んでいました!!<br> (2003年08月26日 13時05分42秒)

Re:河合隼雄@絵本ギャラリー(8/26)  
にかく師匠  さん
パン好きにはもってこいですねぇ.....<br>パンかぁ...最近食べてませんね (2003年08月26日 15時23分15秒)

Re:河合隼雄@絵本ギャラリー(8/26)  
umi33  さん
「河合隼雄」さんの本私も持ってます~。<br>ちょっと心理学かじったもので。。。(^^;<br>なので心理学者と言うイメージが強かったのですが<br>それ以外にも色々な活動をされてるのですね!<br><br>そうそう「ナマケモノ」は怠惰な訳ではなくて<br>ちゃんと理由があって「ゆっくり」なんですよね。<br>最近それを知ったんですよ。<br><br>それにしても子供も居ないし甥っ子も姪っ子もいないので絵本ってあまり触れる機会がないです。<br>子供の頃好きだったのは沢山あるんですけどね。<br><br>あ、そうそう「ロンドンフルーツ」のお茶<br>私もたまに飲んでます。<br>カモマイルとローズヒップのミックスがお気に入りです。<br>それにしてもそちらはすごい気温なのに<br>負けないで色々焼かれてますね!<br>作成中はエアコンつけるのでしょうか?<br>じゃないとしたら、、うーんサウナみたいでしょうね。<br><br><br> (2003年08月26日 18時01分39秒)

Re:MoCoさん  
>もしかしてwhiskey_in_the_jarさんと私は生き別れた双子?<br>いやー、共通点が多くてびっくりですね。双子とまではいかないまでも、きょうだいだったかも。<br><br>>あの聴衆の中にいらしたんですね??<br>いました。左の端っこの前から2番目。(といってもわかんないか) (2003年08月26日 21時05分30秒)

Re:檸檬12さん  
こんにちは!!<br>>私のお気に入りは「あらしの夜に」なんですけどね。<br>知らなかったので、調べてみました。<br><br>http://www5b.biglobe.ne.jp/~dozikko/story_arasi.htm<br>----------ここから引用<br>あらしの夜、‘彼ら’は小屋の中で出会った。<br>なんだかとっても気が合うのだけれど、<br>真っ暗で相手の姿も見えず、雨に打たれて風邪で鼻もきかず、<br>相手の正体がわからないまま、また会う約束をして、彼らは別れたー。<br><br>ある晴れた日に、‘彼ら’は再会した。<br>お互いに相手を見てびっくり。<br>‘彼ら’は、オオカミとヤギだったのだ!<br>----------ここまで引用<br><br>おー!いったいどうなるのか、先が気になるー。今度見つけて読んでみます。情報ありがとうございました。 (2003年08月26日 21時20分51秒)

Re:河合隼雄@絵本ギャラリー(8/26)  
こんばんは!<br>日記楽しく拝見しました!特に先生のコメントはどれもふむふむ、なるほど・・・と頷いて読みました。<br>特に印象に残ったのは、<br>>「時々難しい質問をする子供がいますね。『たそがれじいさんが病気になったらどうなるの?』とか。そういう時は、『そんなバカなこと言っちゃだめ』なんて言わないで、『そうだね、どうなるんだろうね』と、子供の問いかけをそのまま受け止めてあげてください。子供は大抵、自分で答えを用意しています。そして、話がどんどん膨らんでいきますね」<br><br>というところです。子どもの素直な気持ちをそのまま受け止めてあげられる大人でいたいですよね。<br>だって、みんな子ども時代があったのですから・・・。<br><br>ところで、whisky in the Jarのmp3サイトに行ってみました。<br>Thin Lizzyヴァージョンもありましたね!!!<br>(ついでながらMetallicaも・・・。)<br>私が始めてこの曲と出会ったのは、Thin Lizzyのアルバムで、でした。彼らは他のアルバムでもケルトとロック(ハードロック)の融合した素晴らしい曲をやっていますので、機会があったら他の曲もぜひ聴いてみてくださいね。 (2003年08月26日 21時25分28秒)

Re:河合隼雄@絵本ギャラリー(8/26)  
白うさぎ17  さん
今朝ほどの青虫は、^^●〇●〇゛な感じでカラフルだったような記憶があるってを書き忘れてました~<br>もしかしたら記憶違いかも?<br> (2003年08月26日 21時28分51秒)

Re:umi33さん  
>あ、そうそう「ロンドンフルーツ」のお茶<br>私もたまに飲んでます。カモマイルとローズヒップのミックスがお気に入りです。<br>ロンドンフルーツおいしいですよね。うちは、嫁さんがお茶好きでよく買っては溜め込んでます。<br><br>>うーんサウナみたいでしょうね。<br>サウナみたいです。「これで痩せれるぞー」と言い聞かせながら焼いてます。(さすがに昨日はクーラーつけました。でも、今夏はまだ2回目かな?)<br><br><br>-----<br> (2003年08月26日 21時41分49秒)

Re:白うさぎ17さん  
>今朝ほどの青虫は、^^●〇●〇゛な感じでカラフルだったような<br>あ、うまい!そうです、そんな感じです。それで、いろんな食べ物をどんどんどんどん食べていくんですよ。 (2003年08月26日 21時44分54秒)

Re:ぴゅあ♪9788さん  
ぴゅあ♪9788さん<br>>子どもの素直な気持ちをそのまま受け止めてあげられる大人でいたいですよね。だって、みんな子ども時代があったのですから・・・。<br>そうですね。最近は、世の中の傾向として何らかの「正解」をすぐに教えすぎているように思います。<br><br>>彼らは他のアルバムでもケルトとロック(ハードロック)の融合した素晴らしい曲をやっていますので、機会があったら他の曲もぜひ聴いてみてくださいね。<br>MP3.comのリンク先では試聴できませんでしたが、機会を見つけて聞いてみようとおもいます、情報ありがとうございました。 (2003年08月26日 21時57分33秒)

Re:河合隼雄@絵本ギャラリー(8/26)  
もんぶらん さん
河合隼雄さんの著書の麻薬的な効果・・・<br>うーん、それは言い得て妙かもですね。<br>お兄さんの河合雅雄さんの「少年動物誌」をちょうど読んだところです、これもとてもおもしろい! (2003年08月26日 23時21分18秒)

Re:もんぶらんさん  
>お兄さんの河合雅雄さんの「少年動物誌」をちょうど読んだところです、これもとてもおもしろい!<br>ああ、お兄さんも結構いろんな本書かれてますよね。私はまだ読んだことがないのですが、機会を見つけて読もうと思います。 (2003年08月27日 21時01分25秒)

Re:河合隼雄@絵本ギャラリー(08/26)  
心はすべて数学である さん
≪…「絵本の中の自然」…≫で、
時間の過ぎ行くさま・・・ 時間軸の数直線は、
『かおすのくにのかたなかーど』から・・・

令和2年5月23日~6月7日 の間だけ
射水市大島絵本館で・・・ 


数の言葉の⦅自然数⦆は、
電子図書『もろはのつるぎ』

(2020年05月22日 14時32分33秒)

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