旅の途中、寄り道の日々

旅の途中、寄り道の日々

こんなに寒い夜なのに



無断転記禁止です。

では『こんなに寒い夜なのに』始まります。




世界は不公平だ。

神様なんているんだろうか。

いるなら一発ぶん殴ってやりたい。

「なぁ、そう思わないか?」

俺は相棒のトナカイに話しかける。

「アホなこと言ってないで早く仕事に行きますよ」

「ちくしょー!なんで俺がクリスマスの夜にこんなトナカイと一緒にいなきゃいけないんだよ!」

「それはあなたが第45代目“サンタクロース”だからでしょ」

そう、俺はいつの時代も子供に夢を与える役目のサンタクロースなのだ。まぁ、まだ成り立てだが…

「いや、確かにそうだけどもよ!俺だってまだ24歳だぜ?本当なら彼女と…」

(妄想中…)

「いや、アンタ彼女いないでしょ」

妄想ぶち壊しやがった、トナカイのくせに…

「とにかく、今年からサンタクロースはアナタなんですから先祖代々のお仕事してくださいよ」

そう、去年まで俺は普通のどこにでもいるような青年だったのだ。

俺の親父が急に事故で死ぬまでは…

それはどこにでもある様な死に方だった。

横断歩道を渡っていたら居眠り運転してきたトラックが突っ込んできたらしい。

夢を与える存在としてはなんとも現実味あふれるあっけない終わり方だ。

「それはわかってるけどよ」

「それなら早く・・・」

「俺、どこの家に何を届けるか分からないんだけど・・・説明もされてねぇし」

「ああ、それなら大丈夫ですよ」

「どういうことだ?それに日本中の子供達のプレゼントを配るのがサンタなんだろう?」

「ええ、そうですよ。サンタ日本担当のあなたの仕事です」

「それにしてはプレゼントが少なくないか?」

大体大きさにして20リットルの袋1個分というところだ。

「ああ、それはあれです、時代の進歩というやつです、中をのぞけば分かりますよ」

俺は中をのぞいてみることにした。

「うっわ、ちっさ!」

中にはとても小さくなったおもちゃ等や人形などがたくさん入っていた。

「某宇宙局が開発した縮小機械を使って小さくしてます、袋から出すと元のサイズに戻りますよ」

「サンタってすごいんだな・・・」

「ええ、そうですよ、子供達に夢と希望を与えるために科学技術の粋を集めてますから」

「すごいな・・・で、場所は?」

「進めばわかります、時間も余りないですし行きましょう」

「そうか、よし行こう!」

「はい!まず1人目は・・・」

ここから先は省いて説明しよう。

すごかった、何がすごかったって走る速度は半端無いしプレゼントの届け先は全てコンピューターによる解析で最も効率のいいルートが常にリアルタイムではじき出されて自動でソリが進むのだ。

ちなみにトナカイはというと・・・

俺に指示を出していた。

「ここ!この家の子供にはヘリコプターのぬいぐるみ!」

「その隣の家の子には人形!」

どうやら走ることはほぼ無いらしい。

という感じで全国の子供達にプレゼントを配った俺は最後の家に来ていた。

「ここが最後か?」

「ええ、この家が最後です・・・」

「だが、トナカイ、プレゼントはもう無いぞ?」

「ええ、この家の子供が望むプレゼントは物じゃなかったんです」

「物じゃない?どういうことだ?」

「ん~実は僕にもよく分からなかったりするんですよね」

「まぁ、他の家でもそうしてきたようにとりあえず中に入りましょう」

そうして、中に入った俺は靴下の中身を見る。

尚、どうやって家に入ったかは聞かないほうがいい、この技術は秘密中の秘密らしいのだ。

中の紙には・・・

『サンタさん』

と書いてあった。

あーなるほど、確かにこれは物じゃないわ。

というかどうしよう。

サンタの正体がバレる事はご法度とされている。

ただ、サンタは良い子の願いを叶える存在・・・

とりあえず、俺は悩んだ後、結論を出した。

手紙を書いておこう。

『××××ちゃんへ、サンタです。メリークリスマス』

とりあえずこれだけ書いておけばいいだろう。

サンタがここに来たということだけ分かればいいだろう。

俺はその手紙をサンタの帽子と一緒に靴下の中にプレゼントとして入れた。

「遅かったですね」

トナカイは外で待ってた。

「ああ、ちょっと難解な願いでな」

「おや?帽子は?」

「プレゼントにした」

「そうですか。あなたがいいならそれでいいです」

「さっ、帰るぞ」

「はい」

俺はサンタ、クリスマスの夜に良い子達にプレゼントを届ける存在。

雪が降って寒いけど、心が暖かくなったからまぁいいか。

                終




あとがき^^;

ちょっと時期はずれなこのお話。

話が迷走してますが最後のオチだけまとめれたので良しとします(笑)

読んでくれた人に感謝(‐人‐)


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