教えない教育実践日誌

教えない教育実践日誌

やる気と自覚の話



というのは、私が教師だからで、教師になって15年、常に「やる気のない」学生たちをどうすればいいかという問題に直面しているからです。

そして母親としても、どうすれば子どもが、「学ぶことは自分のために必要だ」と自覚して、自発的に学ぶかというのは、ずっと私のテーマでした。

そのための確実な方法をつかんだとは言い難いのですが、一つだけ絶対これはやらない方がいいと思うのは、強制して勉強させることです。

その人にとって学ぶことが必要なのは分かっているのですが、それを、やらされていると感じながらやるのと、自分にとって必要だと自覚してやるのとは、まったく違うと思うのです。

「記録表をつける」というようなことでも、自分がやってみようと思ってやるのであれば何ともないし、結構おもしろがることができるのに、教師に強制されていると感じたとたんに、自分の勉強時間を管理されているという感覚になって、やっていることがとても苦しくなったりします。

強制することだけでなく、はじめに書いた「外発的動機による動機付け」の一番の問題も、ここにあるような気がします。

「一番になれたらすごい」「○○中学入ったらバラ色の未来が待っている」「百点とったらゲームを買ってあげる」などなどの言葉で釣られて勉強していた子どもたちは、ある日自分が誰かに誘導されていると感じる時が来ます。

私の知っている「やる気のない大学生」の多くは、大学に入れば何かすばらしいことが待っていると思っていたのに、現実には特に楽しいことが待っているわけでもなく、失望してやる気を失っています。

何かを無理にやらせることが必要な場合もあるのでしょうが、「学ぶ」ということに関しては、本人の自覚を待つ以外に方法はないような気がします。

なぜなら、強制力が働かなくなるときが必ず来るからで、人はその時、自分をどうコントロールすればいいかという問題に直面するのだと思います。

強制力を働かさないで、競争させたり、モノで釣ったりせず、学ぶような方向に持っていくのは実に難しいです。

けれども人が「内発的動機」によって学びはじめるということは、そこから人生観が変わるというようなかなり大きな変化なので、教師としての仕事はおしまいという気がします。

そしてこういう教育を私は「教えない教育」と呼んでいます。




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