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神頼みな毎日
パチュリー
魔理沙はアリスが怖くて仕方なかった。
「あれは隙を見せたら、絶対殺られるぜ」
数日前のこと、魔理沙はアリスに家に招かれてついていった。お茶をしながら話をするのはよくあることだったが、アリスのほうから誘ってくるのは珍しいことだった。
そうしたら家に入った途端、アリスは後ろ手で鍵を閉めてから、ゆっくりと接近を図ってきたのである。はあはあ言いながら手までわきわきさせていて、異常なほど犯罪臭を振りまいていた。
しまいには人形も何体か浮遊し出し、魔理沙を囲むのである。アリスの目はその血が滴るのではないかと思うほど血走っていた。
魔理沙はとにかく恐怖した。先程までの優しいアリスが一変、何か得体の知れないとんでもなく恐ろしい物に変化してしまった。魔理沙には分からない。アリスの発する犯罪臭にも、その意味も。
ただただ状況の変化についていけず、そうしてついに魔理沙は思考のリセットを図った。そうせざるおえなかった。考えず、脊髄反射で、魔理沙は零距離マスタースパークを放った。状況のリセットでもある。アリスの家は魔理沙が背にしていた部分を残して、全て消し飛んだ。
それから魔理沙は箒に跨って全速力で逃げた。あの一瞬で酷い恐怖感が身体の芯に完全に張り付いており、その場にいることに耐えられなかったのだ。凶悪な破壊力を前に消し飛んだアリスの心配をしている暇も無い。
心配なんかできるわけもなかった。
主人の姿はみえないが、されど人形たちがわらわらと魔理沙に襲い掛かってくるのである。よほど魔力がこもった代物なのか、どの人形も魔理沙の速度に平気で付いてくる。先程のマスタースパークのせいか、五体満足の人形は少ない。頭が無かったり、腕が無かったりする。それが逆に恐ろしく、下半身のない人形が足や腕やにしがみついてくる様は地獄絵図であった。
こうなるとさすがの魔理沙も恐怖にわんわん泣きながら、とにかく箒を飛ばした。今年一番の飛行速度をたたき出し、さらにその超高速のなかで繰り出す巧みな急旋回で、少しずつ人形たちを引き剥がした。
アリスが操っているならばこれほど遠距離まで魔力の糸が続くのだろうか。結局人形を完全に振り切った時、魔理沙は紅魔湖上空に居た。
そこで無邪気に遊ぶ氷精と妖精たち。少し遠くに紅い館も見える。辺りはとても静かで、平和だった。そうしてようやく自身が異常な状況から脱したことを実感として知り、魔理沙はその安堵に再び声を上げて泣いた。内に溜まった恐怖心を吐き出すように。
◇
魔理沙はアリスが怖くて仕方なかった。あれ以来会っていない。
おそらく動機は、普段の自分の行いにあるのだろうと魔理沙は考えていた。例えばよくアリスの家からマジックアイテムを失敬するし、弾幕勝負ではこれでもかと言うほどボコボコにしたりした。魔理沙は自分がいろんな所から怒りを買っていることはちゃんと自覚していたから、アリスもおそらくそれが原因なのだと考えた。ただひと悶着あった後でもアリスはしばらくすれば自分と普通に接してくれていたし、あの時も優しくお茶に誘ってくれたのだ。怒っていないと思っていた。それが罠であったことに、魔理沙は怒りよりも悲しみと後悔を感じた。
悪いのは結局自分である。が、行いを改める気もない。あんな怖い思いをしたのだから、さっさと謝ってしまいたいとも思ったが、それで許してもらえる保障はないのだ。正直会うのは怖い。そうなるとほとぼりが冷めるまで会わないことにするしかなかった。
ある夜のことである。魔理沙は家の窓から月を見上げていた。毛布を頭からかぶりながら。
「? なんか月がだぶって見えるような……」
あの日以来、魔理沙の夢にはたびたび人形たちやアリスが現れた。いずれも悪夢であり、和解してハッピーエンドなんて夢はひとつもなかった。おかげで魔理沙は心地よかったはずの夜の闇すら怖くなってしまい、寝つけもしないのだ。最近はこうしてなんとか夜を凌ぎ、朝になったら霊夢のもとに行きそこで寝る生活を繰り返していた。霊夢は迷惑がっていたが、彼女のもとなら大抵の危機は回避可能であると踏んだのだ。実際襲い掛かってくる危機など無くても、その安心感は最高の睡眠薬になりえる。
「こ、これは何か異変の予感だぜ。霊夢のところに行こう」
実は別に異変など感じ取れていなかった。しかしもし異変がなくとも、口実として霊夢のところへ行ける。異変が無いとしても、家に帰るのが面倒だから泊めてくれといつもの調子で言えばいいのだ。そう魔理沙は考えた。久しぶりに夜に寝れる。しかも一人じゃないと、その希望に胸を躍らせた。随分臆病な、まるで幼子のような精神が定着してしまっている。
こうして魔理沙は家を出た。いつもの真っ黒な服装に、スペルカードを持てるだけ持って。武器を大量に持ち歩くのも恐怖から逃れるためだった。力を持っているだけで少し安心できるのだ。
博霊神社は静まり返っていた。魔理沙が戸口を叩いてみても霊夢は出てこないし、ためしに開けてみようとすると、鍵がかかっている。
「もしかして、本当の本当に異変が?」
冷え切り、漆黒の闇のなか。魔理沙は思考を巡らせる。どうやら本当に異変が起きているようだ。じゃなければ霊夢が居ない理由に説明がつかない。となればこれは大変なことだ。霊夢が居なければ泊まりも安眠も無しだ。いやいや、そうじゃなくて。
魔理沙は賽銭箱の前でぐるぐると歩き回った。異変ならば、お祭り騒ぎにも似たドンパチがどこかで行われている筈である。弾幕あるところに光あり。夜の怖さだってその賑やかさの中なら和らぐだろう。それならそこに行くのも悪くない。
今はどんな異変なのかも分かっていないが、いつかはこの異変の中心にたどり着く。適当に飛んで、適当に倒していれば原因にたどり着けるのは今までの経験から知っている。そしてそこには霊夢だっている。異変が片付いたらお泊りも実行すれば万々歳である。きっと散々疲れているだろうからぐっすり眠れるだろう。
そこまで考えて、しかし魔理沙は飛べたてなかった。
「適当に飛ぶって……」
怖いじゃないか。
「ひ、一人じゃ無理だぜ」
誰もが耳を疑う弱音を吐き、ついには神社に一人たたずんでいるのも死ぬほど恐ろしくなってきて、魔理沙は情けなくなってきた。自分はどちらかといえば昼より夜の空を翔るほうが好きだったはずなのに、いつの間にかこんなに臆病になってしまった。
手足の冷えは夜の空気のせいだけではない。恐怖が体温を奪っているのだ。このままここに居続けるのは無理だ。
魔理沙は必死に考えた。いっそのこと異変なんか放っておいて家に戻ろうか。いや、でもそれはきっと怖い。暗い室内でただ一人。霊夢たちは異変に向かってるから、何かあった時助けてくれない。真の意味で一人。
「ん、霊夢……たち?」
そして閃いた。冬の異変のときは、原因の中心である白玉楼に霊夢のほかに咲夜も訪れていた。
「そうだ。何も異変を解決しに出てるのは私や霊夢だけじゃない。他の奴だって動くときは動くんだ」
おそらく咲夜は既に出張っているだろうから無理だが、別に同行人は霊夢じゃなくてもいいのである。
そこまで考えて、脳裏にアリスの顔が浮かんだが、魔理沙は首を振った。一番適任だが、今回ばかりはそうもいかない。と言うかそれが原因で一人で行動できなくなっているのだ。
「となると思いつく奴がいないぜ……。いや、待てよ?」
これは酷く可能性の少ない賭けであるが、まだ候補はいる。自分と釣りあい、組めるに足る人材が。
◇
「なによ。夜にも来るの? 勘弁してほしいわね」
紫色の魔女はそう言って眼を細めた。既に魔道書を広げ始めている。辺りに立ち込め始めるパチュリーの魔力に、魔理沙は首を振った。
「夜でも来るぜ。ただ今回は違う。迷惑はかけない」
「紅魔館にやってきた時点で迷惑よ。咲夜が居ない分五割増しで騒がしかった」
「あれはメイドが勝手に騒いだんだ。あと門番が私の話を聞かなかったのが悪い」
魔理沙はちゃんと正面から正式に入ろうとしたのに門番は話を聞かず弾幕を展開してきたので、面倒なのでマスタースパークで吹き飛ばした。門番も門番だが、普段の行いが悪い魔理沙のせいでもある。
そうするとマスタースパークを放ったことで館のメイドが全員戦闘態勢に移行、警戒レベル最大のお出迎えとなった。その騒がしさのおかげで魔理沙の恐怖はいくらか和らいだので、そう悪いものでもなかったが。
「で、月の異変のことかしら。それなら咲夜とレミィが出かけていったけど」
パチュリーは本を閉じて、うんざりした様子でそう言った。
「月の異変、か。あながち私の勘も捨てたもんじゃないらしいな。……で、レミリアまで出かけただって? 一体どういうことなんだ」
そういえば夜ならあの小さい吸血鬼も出歩けるだと気付く。いつも館に引きこもってメイドとお茶をしているイメージしか魔理沙にはなかったから、レミリアが出ると言う可能性は気付けなかった。
「満月も近いし、少しはしゃいでいるのね。貴方たちの真似事よ」
最近レミリアは霊夢にべったりである。色々影響されているようだ。それにもともと割と活動的な性格のようだし、動ける時には動きたいのだろう。パチュリーはやれやれと手を振った。それから本当に子供なんだからと小さく呟いた。
「そうか。ところでその真似事、お前もやってみる気はないか?」
「は?」
不意をつかれて、そんな声をあげるパチュリー。魔理沙はぐいっと顔を近づけて、
「月の異変とやら、私たちで解決しようじゃないか」
魔理沙はあくまで自然に、冷静に、かつ情熱的に話題を切り出した。……つもりである。
「なんでそんなこと。それに咲夜たちが出てるし、紅白だって出てるでしょうに」
意味が分からないとパチュリーは言い、あと顔が近いと魔理沙を押し戻した。
「それに行きたければ貴方一人で行けばいいじゃない。ここに攻め込んできたときだって、冬の事件のときだって、紅白とだって一緒に行動しなかった貴方が、なんで急に」
「そ、それは……」
たしかに不自然だった。仮に誰かと組んで行動するにしても、そのパートナーにパチュリーがあがることはさらに不自然なのである。だがもちろん魔理沙は理由を話すことはできない。夜が怖くて一人で飛べませんだなんて言えるわけが無い。
あっさりと断られ、魔理沙は焦った。が、
「……ほら、咲夜はレミリアと二人で出かけたんだろう。……そ、それに霊夢も他の奴と組んでるんだ」
「紅白が?」
「そ、そう。だから今回は二人で一組。そうじゃないと不利だろう」
もちろん霊夢が誰かと組んで行動しているとは思えない。が、とっさに出た嘘という奴で、なんとなく理も通っていた。
「でもなんで私?」
「お前と私なら!」
「なら?」
「最強の魔法使いチーム。詠唱組の完成じゃないか」
「詠唱組……」
なんとしてもパチュリーに行く気になってもらわなきゃならない魔理沙は、冷や汗を流しながら演説を続けた。いつも影の努力家である魔理沙だったがこんなにもとにかく頑張ったのは初めてであった。一体なにをそんなに必死になっているのか魔理沙自身よく分からなかったが。
しだいにパチュリーも迷いはじめ、
「たしかに百聞は一見にしかずとも言うし、たまには実体験としての知識も必要かしら……」
などと言い出した。そして、
「いいわよ。今日は比較的調子もいいし、たまには」
努力が実った。
「よぉし! それじゃ善は急げだ」
魔理沙は箒にまたがるが、パチュリーは準備してくると言い、大体三十分くらい魔理沙を待たせた。
「じゃあ小悪魔。夜明け頃には帰ってくるから。よろしくね」
「はい。いってらっしゃい」
ようやく現れたパチュリーは外行きの服に身を包み、また大きな魔道書を一冊抱えていた。そして魔理沙の後ろへと腰を下ろす。
「……それじゃ掴まってな。飛ばすぜ」
二人は闇に翔けだした。他のチームから大きく遅れを取りながら。
が、問題はすぐに浮上した。
「寒いわ。魔理沙」
「ああ? そんなに着込んでいるのにか?」
パチュリーは外行きの厚い服に、上着を二枚羽織っていた。いつものネグリジェ姿とはえらい違いである。正直それでは暑いのではないかと思うくらいだったが、
「速度が速すぎるのよ。もう少し遅く飛んで」
そう言われては仕方ないので、魔理沙は少し速度を落とす。少しでも急ぎたかったが、たしかに頬に当る風は冷たいし、外に出慣れていないパチュリーにはそれだけで負担なのかもしれない。それに今ここで帰るなどと言われては魔理沙が困るのだ。
時折現れる妖精や毛玉を魔法弾で撃墜しつつ、やがて魔理沙たちは森林地帯にさしかかった。いつもならさっさと上空を飛んで越えてしまうが、パチュリーを同乗させているので高度が出ないので森の中を突っ切ることになった。ただそうなると必ず現れるのだ。
「はい、こんばんは」
「魔理沙。蛍よ」
「ああ、そのようだな」
夜の森は通るべからず、妖怪に襲われる。だが魔理沙たちにはあまり関係のないことだった。
「さぁその人間を置いていきな!」
妖蛍、リグル・ナイトバグはそういうとびしっと親指を突きたてた。自慢のマントを翻し、颯爽とした登場である。と、同時にあたりに薄明るい小さな点滅がふわふわと現れた。
「初めて見たわ。可愛らしいものね」
「え」
パチュリーの言葉にリグルは驚き、少し顔を赤らめた。嬉しそうに、
「そうかな。ありがと」
「別に貴方のこと言ってないわ。蛍のことを言ったのよ」
「えええっ! わ、私だって蛍だもんっ」
「可愛くない蛍ね」
パチュリーの悪い癖である。テンションが上がってくると、人をいじくって遊ぶのだ。特に小さい女の子を見ると、親友のレミリアを思い出し、彼女にするように意地悪を言って遊びたくなる。
「ううう」
「おい、パチュリー。いいからさっさと行こうぜ。そうでなくても私たちは遅れてるんだから」
「そうだったわね。蛍が珍しくてつい」
「ええい、馬鹿にしてッ、今日はムカつく奴ばかりだ! 絶対に通さないぞ!」
リグルは吼えるとともに上空へ舞い上がった。と同時に辺りを無数の蟲が覆う。
「今、ムカつく奴ばかりって言ったな。あいつ」
「間違いなく、紅白やレミィたちのことでしょうね」
「あいつに聞くのが早い、か」
蟲の大群は塊になって飛んでくるも、魔理沙はそれをいとも簡単に回避した。それから魔法弾を的確にリグルに撃ち込んでいく。パチュリーを背に乗せていていつもより速度も精度も劣ると言うのに、それでも弾幕勝負の実力の差は歴然としていて徐々にリグルはボロボロになっていった。
「ねぇねぇ魔理沙」
「え、なんだよ」
だが突然背後のパチュリーに話しかけられて、仕方なく魔理沙は高度を上げて空へと戦域離脱を図った。眼下では蟲が黒くうごめいている。リグルも様子を見ているようで、手は出してこない。
「なんだ? 戦闘中に話しかけられると気が散るんだが」
「私にもやらせてよ。久々に出てきたのに、後ろで見ているだけなんて意味が無い」
パチュリーの提案に魔理沙は驚いた。するとパチュリーは魔理沙の箒から降りて、高度を下げていった。慌てて魔理沙も後ろからついていく。
「なに、今度はあんたが相手?」
マントもなんもボロボロで、それでもリグルは不適に笑った。
「そうよ。相手をしてあげるわ」
パチュリーは本を開き、そして詠唱。
「日符、ロイヤルフレア」
煌くような閃光が魔方陣を描き、空中に大きなそれが描かれたかと思えば、次の瞬間には地獄の業火が辺りを飲み込んだ。踊る赤とオレンジが闇を白く染め、そして蟲たちを焦がした。
「飛んで火にいる、ね」
「ひえええ」
あまりにも突然大魔法が展開されて、リグルは逃げる間もなく火中に落ちた。蟲の大群である黒い塊とともになんとか火の手から逃げて、どこかへと消えていった。
やがて魔法も効果を失い、辺りにはいつもどおりの闇が戻った。
「な、な、な……」
「片付いたわ」
「なにやってんだお前っ!」
「え?」
魔理沙は呆れてそう言った。パチュリーは訳が分からない顔をして、ただ眉をひそめるばかりだった。
「あのな。私たちはこれから異変の主犯を叩きに行くんだ。こんなところで害虫退治が目的じゃない」
「分かってるわ」
「道中は長いんだ。今みたいに襲ってくる奴だっている。中には強力なやつだってな。それなのにいちいちそんな大呪文使ってたらいくら魔力があっても足りないだろう」
「な、なるほど」
パチュリーはこういった事例は初めてだった。いつも図書館で侵入者にたいしてスペルを使うことはあっても、自らどこかに攻め入るなんてことは初めてだったのだ。だからそういった魔力の配分までに気が回らなかった。
「だからあんな小さな魔法弾ばかり使っていたのね。じわじわ追い詰めて苛めてるのかと思ってたわ」
「はぁ……」
「でもあんな撃ちかたした事ないから、んー」
そう言うとパチュリーは小さな円を指で描いた。そうするとそこは青白く光り、魔方陣となる。パチュリーが近くの木を指差すと魔方陣から細いレーザーが射出され、木に穴が開いた。
「これを使えばいいわ。即席だけど、貴方のと大して代わらないでしょう」
「あ、ああ。それで頑張ってくれ」
パチュリーは再度、自分が戦闘をすると言い出した。攻撃手段も確立したので、しっかりできると。魔理沙はもう止める気力もなく、任せた。
「ていてい」
レーザーが闇から飛び出してくる魑魅魍魎を焼く。
「一本だけだとなかなか当てにくいわね。もう少し増やそうかしら」
そういうとパチェは新たに三個、陣を描いた。さらに少しずつレーザーの出力を上げて太くもしてみた。攻撃範囲が広がり、よく当るようになる。
「なるほど。最低限の力で敵を倒すというのも重要な要素のようね」
「ああ。ところでパチュリー、ひとついいか?」
「なにかしら」
「霊夢でもそんなに遅くは飛ばないぜ」
リグルと戦った場所から殆ど進んでいなかった。なぜならふわふわと浮かぶようにパチェは移動し、敵が出てきたら一度停止してしっかり狙いを定めて撃つからである。進むわけが無かった。
「こうしよう。お前は私の後ろに乗って、撃つ。移動は私だ」
「あまり早くしないでね」
「……分かった」
結局移動を魔理沙が担当することになった。パチュリーが後ろで魔方陣を構え、攻撃を担う。
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