そよ風のように☆

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君に恋した夏(11話)



彼女を抱えていた俺は、とにかく暑さから逃れる事を考える。

代々木駅近くに避暑地と呼べる場所はなく、駅のホームかマックくらいだった。
俺は、お姫様抱っこのままマックへ向かった。
『ね、ちょっと恥ずかしい。降ろして、大丈夫だから』

少し体調が回復に向かったのか?
それとも恥ずかしいからなのか?は、分からないが君は口を開いた。

もちろん、俺だって恥ずかしいが具合の悪い人をほっとけないし、それに君が気になる。
君を降ろしたが、フラフラ歩いてた。肩を支えるようにして、側に並ぶ恰好になる。

『とりあえず、マックでいい?』
水分補給し、休憩出来る場所を他に思いつかなかった。

君は、コクりと頷く。

先に彼女を席に座らせて、飲み物を買うことにした。
カフェオレとジンジャー、ついでに、ポテトSも頼む。

席で待っていた彼女は、幾分顔色がよくなってきているように見えた。

安堵しながらも、彼女の事をもっと知りたい衝動が襲ってくる。


『体調はどう?』
『…うん。大分いいみたい』
躊躇したが、思いきって聞いてみようか?
『送ろうか?君の家は、こっから近い?』
君は虚をつかれたように、一瞬固まって見えた。
君は、話をはぐらかすように話題を代えてきた。

『七瀬夏帆』
『えっ?』
『名前、私の。』
思いがけない答えに面を食らった。
『夏生まれだからね。夏帆だって。安易でしょ、うちの親』
歯を見せて笑う君は、最初にあった時よりも幼く見えた。


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