tomo_hの映画ログ

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2014.09.24
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カテゴリ: 映画ログ
テレビのバラエティ番組を全く見ないでいると、疎遠になってしまうのがお笑いコンビの人たちだ。私は「インパルス」という人たちを今まで見たことも、名前を聞いたこともなかった。だから主演の二人を見て、どういう関係の俳優だろうと思った、映画の新人でもなく舞台の人でもないが、素人ではない。常に顔を見られることに慣れている人のようだし。と感じた。お笑いコンビとは後で知って驚いた。映画の中身はそれほど軽いものではない。富士の裾野の樹海での出来事だ。ここはご存知のように自殺の名所として知られている。

竹内哲と阿部の二人は自殺しに行ったのではない。二人はテレビ番組製作の会社の社員で、作った番組が好評なら次回も仕事が来て、悪ければ人の手伝い仕事に回されるという不安定な立場にいた。他人のやらないような目新しいテーマを見つけ、レポートして印象付けなければ忘れられるというところに追いやられた。哲は樹海の自殺者をレポートしようと阿部に持ち掛ける。

樹海、青木が原、へ入るには本栖湖口他8つのバス停が接して存在する。二人は自家用車の中に陣取りバスが着くたびに降りてくる人の中から怪しい素振りの人を探した。もしその人が林道を外れ樹海へ足を踏み入れて行ったら、間違いなく目指す目標だ。こうして段々自分たちも樹海に近づき、とうとう樹海の中に入り歩き回るようになった。樹海では毎年の一斉捜査で必ず数十人の遺体が見つかる。しかし見つからない遺体はもっと数があるはずで、自殺者たちは見つからないことを望んでさらに奥の奥へと入ってゆくのである。溶岩流の固まってできた樹海の大地は土が浅く、木の根が縦横に地表を走っていて、湿気が多く苔が根を覆っている。緑の迷路で今どこにいるか観ようとしても大きな木がかぶさっているのでわからない。迷ったら最期なので、二人は幅広のビニールテープを何巻も買って出口の樹から体に結んで伸ばして歩いていた、戻りたかっら紐をたどればよい。だが、ひもがほどけた、二人は真っ青になる。ここは鉄を含む地層のため電波も磁石も狂ってしまうことがある。

樹海の中で一人のホームレス風オジサンに出会い、出られたわけだが、このおじさんも樹海で出会い収録できた「樹海に入った人」のひとりだった。
この映画はテレビドキュメンタリーの樹海の自殺者を追うだけの物語ではない。何度も何度も樹海に足を運び中に入り、いろいろの人に会い(白骨になった人も)取材者であるはずの彼らは自分たちの東京での生活に、知らず知らずに影響を受ける。出会った人の生きた道に思いをはせ、番組を作る目的以上のことを感じとった。大げさに言えば自分の人生に対する見方が変わったのである。死ぬ人にも理由があり、死のうとしたがやめた人にも理由がある。私の感想としては死ぬのも生きてゆくのも疲れる事である、ということだった。

(おまけ)番組は高視聴率を取った。表彰され金一封をもらった二人。だが笑顔になれないのは取材した事がらの重さが心を占領しているからか。
哲の板倉俊之と阿部の堤下敦はお笑いコンビであっても、そのために映画を壊したりしてはいない、それどころか雰囲気がテーマにふさわしい人たちだ。

樹海の二人





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Last updated  2014.09.24 22:16:51
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背番号のないエース0829 @ ニーナ・ホス 「水を抱く女」に、上記の内容について記…
背番号のないエース0829 @ ニーナ・ホス 「水を抱く女」に、上記の内容について記…
背番号のないエース0829 @ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
アイスクリーム@ Re:エリザベート愛と哀しみの皇妃(オーストリア、ドイツテレビドラマ)(08/09) 綺麗事ではなくメロドラマ仕立て。 勝ち…
zebra@ ボクからの(おまけ) もう少しコメントします。 tomoさんの記事…

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