tomo_hの映画ログ

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2014.10.03
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カテゴリ: 映画ログ
ファーストシーンは髭の濃い彫りの深い顔つきの男たち。住んでいるのは森に近い掘立小屋の集落、家の周りには車の残骸や雑多な物が積まれている。これはトルコかイランの映画か?と思わずパッケージを見直すと監督ダニス・タノヴィッチとある。あの「ノーマンズランド」の監督のボスニアの映画であった。この人たちは何人か?ヨーロッパに出稼ぎにきた中東人か?だが、そうではなくロマつまりジプシーの人たちであった。彼らは何世紀も前からヨーロッパの各地にひっそりと町から離れて暮らし独特の集団を形成している。バルカン半島にはロマは多いようであった。

さて、ドキュメンタリーのような感じのするこの映画に登場するのはムジチ一家だ。ロマ集落の一角に小さな家があり、パパのナジフ、ママのセナダ、女の子二人でサンドラとシエイラの4人家族だ。子供は5歳と3歳くらいだろうか。毎日は平穏の日々だ。仕事は集落の男たちがほとんどそうであるらしく、鉄くずを集めて売って暮らしている。捨てられる廃車も彼らはきれいに分解して鉄の部分を集め売りに行く。鉄なら何でも集めて売って、ささやかではあるが食べるには間に合っているようだ。今日も寒い外からパパが帰り、みんなで食事する。ジャガイモやベーコンやほかの物を鍋で焼いたものを食べていたが美味しそうだ。

ところがある日ママがお腹が痛いといって寝込んでしまった。妊娠中の胎児が死んで流産しかけている。遠い街の病院へ行ったが保険に入っていないので手術には大金がいると告げられた。分割払いもダメ、結局家に帰る。こうして2度も行ったが手術してもらえなかった。ロマの支援会にも頼んだがダメだった。元が放浪の民で社会機構に属することを避けてきたというか、オミットされてきたロマは保険に入らないことがあるのだろう。金があれば問題ないがパパにはない。そしてママの状態は放っておけない容態になってきた。

こんな家族の危機を描く映画だが、演じているのはこの体験をした本人たちだそうでロマ族の人なのだ。観ていて感じたが彼らは血のつながりが強い。まずは家族だ、パパは子煩悩で娘を可愛がる。困った時は近所のひとの力を借りる(金はダメだ)それでだめなら親類に助けを求める。社会から除外されればされるほど血族が固まる。あるいは余計孤立してしまう事の原因かもと私は想像した。ロマの暮らし方、置かれた社会の位置などがこの出来事でかなり分かった。結果が良かったので微笑ましい物語になったが、もし悪い方へ行っていたら気の毒なことになっただろう。思わず物語に引き込まれ感動した映画である。

(おまけ)国の片隅で鉄くず拾いしながら静かに暮らすロマ達が印象的。都会では犯罪者のように白い目でみられることもあろうが、集落での暮らしは穏やかで幸せそう。危機が起きなければよいが。「おれたちだって戦争に行った、死んだ身内もいる」と言っていたが、兵役は来ても社会保障が届いていないようだ。

鉄くず拾いの物語





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Last updated  2014.10.04 00:28:58
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背番号のないエース0829 @ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
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