tomo_hの映画ログ

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2015.01.07
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カテゴリ: 映画ログ
ジェイソン・ステイサムが久々に古巣のロンドンの下町に戻る。現代のロンドンの下町では、どっと外国籍の人が増えた。ジェイソンが用心棒兼カツアゲ屋として雇われるのが中国人、彼が助けられる修道院のシスターがポーランド人、と見知らぬ国の人ばかりになっている。そして昔なら悪党の一人ぐらい姿を隠すことはたやすい街だったのに、表通りには無人監視カメラがあって、姿をとらえられると脱走兵であるステイサムは逃げなければならない、世知辛い世の中だ。そもそもジェイソンが逃げなければならなくなったのはかってアフガンで私的な怒りに任せて現地人を殺して、その場をハミングバード(無人監視偵察機)に写されてしまったからだ。如何に部下を待ち伏せでやられたからと言って、無実のアフガン人を殺すことは軍法会議ものだ。こうして彼は本名も使えずホームレスの中に交じって暮らしていたのだが、、、

いさかいがあってジェイソンは屋上のある家の天窓から誰かの家の室内に侵入する。かなり金持ちの家だ。独身男らしいインテリアだが、飾ってある写真はどうも普通でない。明らかにゲイの人の趣味である。だから金はあってもこんな下町の隠れマンションみたいな家に住んでいるのだろう。喧嘩で怪我したジェイソンにとってありがたいことにその家の主は10月まで留守にすると留守電にメッセージが入っている。約半年以上を無断で住まわせていただける好都合な家だった。いつまでもこの家の金で生活できない。彼は仕事に就いたがそれは中国人の食堂の皿洗い兼用心棒兼カツアゲ屋兼殺し屋という物騒な仕事だった。荒稼ぎはできた。さてこのような状態の彼に一つのなすべき事柄が起きる。

ホームレス時代に親しかった少女は娼婦にされ無残に殺された。復讐を誓う彼だった。そして相棒というべき人が何と修道院のシスター、クリスティナだ。ジェイソン・ステイサムと修道女、考えられないほど合わない存在のように思えるが、無料配布の食事をもらったころから互いに顔は知っていた。二人のやり取りが面白い。

ジェイソン・ステイサムのように人気があって次々出演する人は作品の選択が今後の方向を決するので大切だ。この映画は方向として間違っていない。彼の大暴れはあの「アドレナリン」シリーズで頂点に達して、その後、徐々に暴れるよりも中身重視の作品になりつつある。この映画でも少しは暴れるが、むしろ怪しげな暗黒社会での彼の動き方に重点が置かれ、唯一の理解者のシスターとの淡い恋が味わいを添えている。お互いに、また追われる脱走兵の身分と、アフリカへ転勤する修道女の身分に戻って別れたが、その最後の場面は悲しく美しい。劇場の前の深夜の広場の路上に座る二人。まるで聖母マリアの膝に泣き伏す罪びと、または「嘆きのピエタ」とも見えた。二人ともいわゆる型通りの信仰の人ではない。しかし神の存在が信じられない人間同士でも、罪びと同士の許し合いの涙の贖罪があった。ちなみにジェイソン・ステイサムの泣きべそ顔(あまり似合わない)は初めて見た。

(おまけ)勝手に見知らぬ金持ちの留守宅の間借り人になったステイサム。ホームレスから脱して身ぎれいにして、その家にあった背広を着ると、別人のよう。「モデルかい?」などといわれていた。それにしても「ハミングバード」って優しい名前に似合わず恐ろしい機械だ。そしてロンドンの下町も様変わりしたものだ。

ハミングバード





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Last updated  2015.01.07 15:55:34
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背番号のないエース0829 @ ニーナ・ホス 「水を抱く女」に、上記の内容について記…
背番号のないエース0829 @ ニーナ・ホス 「水を抱く女」に、上記の内容について記…
背番号のないエース0829 @ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
アイスクリーム@ Re:エリザベート愛と哀しみの皇妃(オーストリア、ドイツテレビドラマ)(08/09) 綺麗事ではなくメロドラマ仕立て。 勝ち…
zebra@ ボクからの(おまけ) もう少しコメントします。 tomoさんの記事…

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