tomo_hの映画ログ

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2015.01.23
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カテゴリ: 映画ログ
ウエス・アンダーソン監督の今迄での最高傑作だ。彼は若いのでこれからはもっとすごいのが出来るだろう。ヨーロッパのど真ん中の山の中の名門ホテル、グランドブダペストホテルで繰り広げられる華麗なドラマ、多彩な登場人物たち、でもどこか現実のものとしては影が薄く、幻の物語、影絵のようだ。つまりこれは消えてしまった古いヨーロッパ文化へのオマージュだろう。1935年から始まっていても、この優美なホテルには第2次大戦もヨーロッパの戦火も及ばない。ここは下界の嵐はこないが、すでに文化の灯は消えて残るはほのかな残照のみ。ヨーロッパ社会が作った金持ちと使用人の存在が作る特別の甘美な世界がここにあるし、それはかっては確かにヨーロッパにはあった。テレビドラマでもてはやされている「ダウントン」シリーズもひょっとしたらそういうものへの憧れなのかも。

今だってヨーロッパには文化がある、立派なホテルがあるといえるが、近代科学の世の文化と、昔の文学芸術中心の文化は違う。その前世紀の遺物的な古く黴臭く美しいホテルに住まう古く懐かしき人々の織りなす物語を楽しんだ。主人公のレイフファインズ、Fマーリーエイブラハムはじめジュードロウ、エドワード・ノートン、マチュー・アマルリックらは喜んで小さな役でも引き受けただろう。「ダージリン急行」「ムーンライズ・キングダム」も忘れられないが、あらたに「グランドブダペストホテル」が脳裏に加わったのは映画ファンとして何よりのの喜びだ。

(おまけ)シュテファン・ツヴァイクにインスパイアされたとあるが、そんな匂いがこの映画にはある。ビル・マーレイ、ジェイソン・シュワルツマンの二人の顔がないとアンダーソン映画観た感じがしないが、もちろん、二人は出ている。

グランドブダペストホテル





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Last updated  2015.01.23 19:12:50
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背番号のないエース0829 @ ニーナ・ホス 「水を抱く女」に、上記の内容について記…
背番号のないエース0829 @ ニーナ・ホス 「水を抱く女」に、上記の内容について記…
背番号のないエース0829 @ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
アイスクリーム@ Re:エリザベート愛と哀しみの皇妃(オーストリア、ドイツテレビドラマ)(08/09) 綺麗事ではなくメロドラマ仕立て。 勝ち…
zebra@ ボクからの(おまけ) もう少しコメントします。 tomoさんの記事…

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