vol.01ホテル・ニューハンプシャー



 vol.01 この人生観が好き
【ホテル・ニューハンプシャー】
「一番好きな映画ってなに?」そう聞かれて一つ決めるのって、凄く難しい。
取りあえず思いついたものを挙げてみてふと考える。
「コレが私の一番???、何でこの映画が頭に浮かんだのかな?」

人によって、頭に浮かぶ理由は様々。
 ●最近観て印象が強い。
 ●役者が好き!
 ●監督の演出が好き!
 ●映像が好き!
 ●ストーリーが好き!
  ......etc、

で、結局私の中で、最終審査に残った好き映画の理由の共通項は、
「この映画で表現されている人生観が好き!」という事みたい。

そんな基準で考えたら、まず最初に取り上げたくなったのが、
「ホテル・ニューハンプシャー」なんです。
この物語は、ホテル経営を夢見る父と、その家族の人生を描いています。
アメリカ映画らしく明るく強かなタッチで描かれているけど、
この家族には色んな悲劇や試練が降りかかってきます。
でもそれらをドラマティックに表現せず、あくまで淡々とユーモアを混ぜて描いているのです。
「うそでしょー!」って位、奇特な事件が起きても、
この家族はそれに順応して強かに、普通のテンションで生きてるんですよね~。

この物語の核となる、父親の座右の銘は、「開いた窓は見過ごせ・・・」。
なんのこっちゃ?、って感じですが、実はその意味はとても深いんです。

「生きていれば辛い事も起こる。その事に捕らわれて悲観に暮れれば死にたくなるかも知れない。
そして2階の窓が開いていたら、飛び降りたくなるかも知れない。でもそんな時は窓を見過ごそう。
人生を諦めず自分の夢を無くさなければ、きっといい事がある。」
・・・そんな父の人生観をお伽話にして繰り返し家族に聞かせるのです。

こうやって書いてしまうと、一見都合のいい楽天主義な話に取れてしまうけど、
実際はそんな父の思いをうち砕くかの様に、次々と間の悪い不幸に見舞われるんですね。
でも負けずに生き抜く。運命に順応しようとする父と家族・・・。
一見夢見がちで凡庸とした父親だけど、実は非凡な位強く人生の本質を見据えた人に見えてくる。

それに対して周りの人々の多くは俗世のあらゆる事に捕らわれていて、その設定もおもしろいんです。
集団レイプする少年達、戦争、セックスも政治に利用するテロリスト、
容姿コンプレックスで熊の縫いぐるみを着て生きる女、
政治思想のために命を捨てなければならず、最後に処女を捨てる女・・・。
特異な設定の人々が、むしろ精神的には平凡で、世俗の悩みに捕らわれた人間くさい人々に見えてくる。
そうして父の楽天的な人生観が、どんどんリアルに説得力を増してくるんですね。

そして、ここに出てくる役者がとても光ってて魅力的。
ブスだと思い込んでるナスターシャキンスキーも、成長が止まって子供のままになった妹役のコも
デリケートで良いけど、私が一番好きなのは、長女役のジュディフォスター。
彼女の強さ、明るさ、しなやかさは観ていて気持ちよく、なんだか勇気づけられてしまいます。

「事実は小説より奇なり」と言いますが、実際、フィクションよりリアルな人生の方が、
奇抜で不可思議だったりする・・・。
そしてそんな人生をどう受け止めるかは自分次第。シリアスに悲観ばかりせず、タフに生きたいな~。
・・・・この映画を観るたびにそう感じて、何だか元気になる音樹でした。・・・・・・!


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