中年よ、大志を抱け!

中年よ、大志を抱け!

インディオを守る素敵な女性



しょっぱなからこういう事を言うのもなんなんですけど、この方、人にはそれぞれ好みがあるとは思うんですが、僕としてはすごい好みのタイプの女性なんです。ちゃきちゃきしているし、ユーモアのセンスはいいし、精悍な感じを漂わせながら、しかもグラマラス。

もし喫茶店で働いてたら看板娘って言う感じで、僕だったら毎日でもその人目宛てに通っちゃうって言う感じなんですけど(なんで喫茶店?)その彼女、実はアマゾンの原住民の村を守る活動をしているんです。

去年、その人のお宅に仕事でお伺いしたときに、あ、彼女はお母さんと二人で住んでいるんですけど、その時はお母さんだけがいたわけです。たくさんのインディオ(ブラジルの原住民)の民芸品が置いてあったんで、「これ、すごいですね」などと言ってたら、「うちの娘がしょっちゅうアマゾンに行ってるんです」というじゃありませんか。

「え、観光にですか?」と聞くと「いえ、仕事で」ということ。

その時は娘さん、つまりエリザさんですが、は、アマゾンに行ってたのでお会いできなかったんですが、「話が聞きたかったです」、なんて話しました。

そのお宅はそのとき初めて行ったきりでしたし、もう行くこともないと思っていましたが、昨日再び仕事の関係でお邪魔する事になったわけでした。もちろん、お母様に会いにいったわけですが、そのときおとついアマゾンから帰ってきたばかりだというエリザさんにあったわけです。

彼女は今から十年ほど前、当時勤めていたテレビ局の仕事で、初めてアマゾンのインディオ、ヤノマミ族の取材に行きました。当時ブラジル国会で演説したあるインディオの発言がきっかけとなり、インディオの居留区を政府として作る事になったのですが、そういう状況を受けての取材だったわけです。

長倉さんというフリーのフォトジャーナリストとともにNHKのETVの取材でした。・・・実は借りてたのを今日見ました。

ご存知の事かもしれませんが、コロンブスによるアメリカ大陸「発見」後、大量の白人とヨーロッパの文明、そしてアフリカからの黒人奴隷が南北アメリカ大陸に流れ込んできました。

ところで、インディオ達は270以上の部族がいて、その言語は百数十種類あるそうですが、インディオの多くは、日本人に顔が似ています。民俗学的には、今から何万年も昔、当時陸続きだったベーリング海峡を渡ったモンゴロイドが南米に達したとも言われています。日本人と共通の祖先を持つ証拠に、日本人の子供と同じようにインディオたちにも蒙古斑がります。壮大だな、と僕は思いました。

そのインディオ達は、コロンブスのころ、推定500万人いたといわれていますが、その後の白人による殺戮と白人が持ちこんだ病気により現在ではその50万人にまでに減ってるそうです。

森林の伐採と、金などの鉱物資源の採掘のため棲家を追われたインディオ達にとって、居留区の設定は白人達の傲慢さに映ってもおかしくないものですが、それでもないよりは随分ましなのです。

しかし、居留地の線引きはスムーズに行ってはいません。農場を持つ白人達や森に分け入ってく金鉱堀り達と多くのトラブルがあるそうです。ある場所では、金鉱堀りによって何十人というインディオが殺されてしまった事もあったったそうです。また、金鉱を掘った後の穴に水がたまり、そこにマラリア蚊が発生して、そのマラリアのために死んでいくインディオも少なくないんだそうです。

さて、エリザさんは、インディオの文化を紹介したり、居留地を守るNGOで働いてるんですが、場合によっては、危険な所にも行くそうです。訳のわからんインディオに殺される、って言うんじゃなくって、不法に材木を伐採してる人達にばったりあって口封じをされたりとか、もちろん、猛獣、毒虫、いろんな危険があるそうです。彼女も、1度、ヤバイ目にあい、死にそうになったことがあったと言ってました。

そんな話しを聞く僕は、もうただただ、へぇ~~~ってばっかり言ってました。

さて、彼女の紹介してくれたインディオの言った言葉をご紹介しましょう。


「白人の文明は自然を壊し奪うばかりだ。しかし、自然を離れて人は生きていけない。白人のやり方はいつか自滅する。現に自滅に向かっているではないか。」

「テレビ、ラジオ、車、飛行機・・・白人の町は騒音であふれている。だから白人はボーっとするか他人と競争するか敵意を持つかするのだ。文明の利器といわれているもののほとんどは危険な物だ。われわれは静かな森の中に住み、森や動物からさまざまなメッセージを受け取り、心静かにすべてのものと共に生きていく。」

「白人達はわれわれの長老にいつも将来はどうなるのかと尋ねる。彼等にとって将来は不安に満ちているようだ。しかし、将来とは、森や動物や精霊とともに息を潜めて待つものなのだ。」

「もしもわれわれ森と共に生きるインディオが絶滅するようなことがあるなら、そのとき天は落ち世界は破滅するだろう。われわれの存在が天を支えているのだ。」

・・・最後の言葉は、はじめ「何それ?」と思ったんですが、良く考えてみるとなるほどなと思えました。

大森林は無限に見えますが、次々に伐採されていけば、やがては破壊されてしまします。インディオを追い払い森を破壊していけばどうなるのか。

また、貨幣経済の浸透によりインディオ自身が文明化されたくらし方をするようになって来てもいます。つまり、インディオ自身が森を守ろうとしなくなるというような状態が続くなら、やがて森林は失われていくでしょう。

重要な酸素の供給源であるアマゾンが失われるということは、それは単にブラジルという一国だけの問題ではなく、地球が死の道をたどるという事につながっていくのです。ですから、実に、彼等の言うとおりなのかもしれないと思うわけです。

また、都会に出たインディオ達が、子供がこじきをしてるのを見て、あんまりかわいそうだから自分の村に連れて行きたくなると言うんだそうです。

村では、子供にそういう思いはさせないし、子供がそんな暮らしをしなければならない文明社会には自分達は行きたくないというんだそうです。

彼女は、ほのぼのとした村がとても好きなんだそうで、そういったものを絶対に守りたいと言ってました。

今回は、ひたむきにインディオ達の森を守る、グラマラスでにこっと笑ったときにチラッと見える白い八重歯が素敵なエリザさんのお話でした。





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