“お笑い”哲学論のページにようこそ!

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◆人生における繰り返し◆


最近、朝起きると頭痛がします。
原因として考えられる可能性は三つあります。
1. 不規則な生活と寝不足と肉体疲労と眼精疲労と肩こりから派生した、容姿容貌に恵まれ人格的にも申し分ない41歳の男性によく見られる、ただの頭痛である可能性
2. 誰かが私の睡眠中に何らかの有形力を行使しているという可能性
3. ただの二日酔い

もしかしたら最初、二日酔いか何かの原因で、朝に頭痛になるのが続いていたものが、朝は頭痛だ、と身体が学習したのかも知れません。


学習は繰り返しによってなされます。
犬が「お手」を学習するのも、人間が何かを学習するのも、繰り返しによって定着します。
道具でも使い込んでいるうちに、手に馴染んできます。
(正しくは、手が道具に馴染む、と言うべきだと思います)

このように、何回か繰り返すうちに定着するという現象は、広く観察されますが、よく知られた古典的な例は、「パブロフの犬」の実験です。

これは、パブロフ博士が犬に食事を与えるたびに、ベルを鳴らすのを十数年続けたところ、犬が死んだという実験です。
これにより、ベルを鳴らしても、死を防ぐことはできない事が判明しました。
さらに、犬が死ぬ以前には、ベルが鳴るだけで、自動的にパブロフ博士が、犬に餌をやるようになっていたそうです。

似た効果としては、心理学でプラセボ効果(プラシーボ効果)と言われる暗示を与えるという方法も、繰り返しによって効果を現します。

この現象を証明する有名なエピソードがあります。

アメリカで難病に罹った少女がいました。
治療に使われる薬は副作用が激しく、彼女は副作用で苦しんだそうです。
そこで薬の量を減らすため、薬を飲むたびに、バニラだか、レバニラだかの匂いを、いつも嗅ぐようにしていたところ、匂いを嗅ぐだけで薬の効果が得られるようになり、副作用を免れることが出来たということです。
しかも最終的には、患者が“匂いを嗅いでいるだけだ”ということを承知していても、薬効には変わりが無かったらしいのです。

「匂い」が、薬の代わりになるというのが本当なら、非常に便利です。
金が無いときなど、食べ物の匂いを嗅いだだけで、食べたのと同じ効果が得られるだろうし、遭難しても匂い袋のような物さえ持っていればいいでしょう。
ただ、ダイエット中の人は匂いを嗅いだだけで、食事を摂ったのと同じ効果が得られることがあるから、不便な面もあります。

ただ、このエピソードを聞いて、私は疑問に思ったことがあります。
匂いを嗅ぐことによって薬の効果が得られるのなら、匂いを嗅ぐことによって副作用も起こりそうなものです。



繰り返しの効用が大きいことは確かですが、どんなものにも同じように効果があるわけではありません。

繰り返しが、どの程度の効力を持つかに応じて、私は次のように分類しました。

(1) 繰り返しによって、定着するもの
  〔「お手」・ギャンブル・酒・タバコ・怠けぐせ・不健康な生活・不幸な恋愛関係〕

(2) 繰り返しても、定着しないもの
  〔「おあずけ」・英会話・ダイエット・禁煙・親孝行・ラジオ体操・健康的な生活・幸福な恋愛関係〕

(3) 繰り返さなくても、ひとりでに生じるもの
  〔病気・死・ギャンブル・酒・タバコ・怠けぐせ・不健康な生活・不幸な恋愛関係〕

(4) 繰り返すにつれ、悪化するもの
  〔携帯電話の充電能力・掃除機の吸引力・借金・ギャンブル・酒・タバコ・怠けぐせ・不健康な生活・すべての恋愛関係〕






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