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“お笑い”哲学論のページにようこそ!
◆自他の区別と恋愛での錯覚◆
多くの人が抱いている大きな不満の一つは、
「自分の思う通りに、自分を扱ってもらえない」
あるいは、
「自分は、(評価されて欲しい人に)正当に評価されていない」
というものではないでしょうか。
私の推測によれば、この不満(不幸)は、生命の誕生と同時に生まれます。
私の記憶でも、この不満は、ライバルの誕生(弟の誕生)や、集団生活の発生(幼稚園入園)と同時に発生します。
不思議なことに、この不満を持つ人は、私がそうだからよく解かりますが、“正当に評価されない”ほうが、いいような人たちです。
こういう不満を訴えても、まともに誰も相手にしないから、いいようなものですが、それにしても、なぜ正当に評価されかねないような、危ない橋を渡るのでしょうか。
私はこの問題に取り組み、考え抜いた末、一つの答えを得ました。
五分間考えただけなので、まだ細部を詰めていませんが、私はこういう問題に答えを出すのが得意です。
とくに間違った答えを出す点では、人後に落ちない自信があります。
私の理論によれば、すべての人間は多かれ少なかれ、「自分は特別な存在だ」という信念を持って生まれています。
(イヌ、ネコ、インフルエンザ・ウイルスなども、自己保存と種の保存本能によって、そう判断できます)
子供の頃は、自分の周りが世界のすべてです。
そして世界は、自分の周りに存在する以上、自分が世界の中心だと考えるものです。
しかし、大人になるにつれて、自分は特別な人間ではなく、大勢の中の一人に過ぎないのではないか、という疑念が次第に芽生えてきます。
周りの人間を見ても、それぞれ自分勝手に、自己の利益を中心に、行動しているのが見えてきます。
誰もがそれぞれ、自分にとって自分は特別だ、と思っているのだから、他人から見れば、自分は特別ではない、という結論が明らかになってきます。
ただ、一部の人は、「私以外、みんな勘違いしている愚かな人々だ」と考えることで、自分だけは特別だ、という信念を守ることはできます。
(エリート意識、選民思想などは、このような不幸からの逃避行為です)
しかし、自分は特別だと信じ続けても、他人と接触しているうちに、「特別な人間に対するにしては、扱いが、他の人と同じではないか」と疑う機会が増えてきます。
こういう場合、最も自然な結論は、「ゆえに私は特別ではない」というものですが、多くの人はこれと違った結論を導き、「ゆえに私は、本当の自分を正当に認められていない」と考えます。
ここに「正当に評価されない」という不満が発生します。
これは自己同一性に矛盾を生じさせ、精神を蝕む原因になります。
始末の悪いことに、「お前のどこが特別なのか」と問われたら、特別な存在であるはずの自分の中をいくら探しても、客観的に特別なところが、一つも見つからないのです。
他人と違う、アンクル・E・マッケンジーという名前を持っているとか、脂肪の付き方が独特だ、などと考えて納得しようとしても、「それのどこが特別か」と言われたら、返す言葉がありません。
自分が特別でないことに気づいた時、あるいは気づきそうになった場合、あくまで自分は特別だという信念を守る方法が、私の理論では二つあります。
一つは恋愛です。
(もう一つについては、思いついた時点で、改めて述べます)
思春期において、自分が特別でないことに気づいた時、あるいは気づきそうになるのと、時を同じくして、恋愛を求めるのが、その証拠です。
奇しくも私は、若い女性が愛に悩んだ末、「わたしを探して」という、自分探しを始めたページに出逢いました。
愛を失うと、自分も見失ってしまうのです。
それは、なぜでしょうか。
恋愛(結婚でも可)の中では、相手が特別の存在になります。
これは錯覚であるため、相手のどこが特別なのか、周囲の者の目には解かりません。
(時間が経てば、当人同士も、どこを特別だと思ったのか、解からなくなります)
鼻の形、目、アゴ、手、この辺りなら、まだ客観的に違いが見えますが、中には「やさしい」などと、およそ曖昧で不確かで、誰でも(一時的には)所有および行使できるモノを、特別だと思い込むのです。
何でもないモノを、何の正当な理由もないまま、特別視するのです。
何のために、そんなことをするのでしょうか。
自分が特別視している当の相手から、特別だと思われたら、自分も特別な存在になれる(ワケはないが、特別な唯一無二の存在だと思うことができる)。
「愛する人に、愛されたい」と思うのはこのためです。
(愛してくれる人を愛するようになるのもこのためです)
恋愛(とか結婚)は、ちょうど「こっちも特別扱いするから、そっちも特別扱いしてくれ」という取引のようなものです。
我々は、このような無理なやり方をしてまで、自分は特別な存在だと実感しようとしているのです。
恋愛における幸福とは、「自分という存在を、唯一の特別な存在として認めてもらう」のと同時に、「自分も認めてあげられる」という自己満足に過ぎないのです。
恋愛は、自分は特別な存在だと思っている幼児的状態から、自分は特別でも何でもない人間だと悟るまでの、移行期に発生する、過渡的現象です。
通常、この過渡的現象は、思春期に始まり、死ぬまで続きます。
年を取ると恋愛から卒業したように見えますが、実際には、恋愛の対象から外されて、やむなく遠ざかっているだけです。
恋愛がダメとなったら、特別視されるためには、権力や金に訴えるしかないでしょう。
あるいは、子供を特別な人間に育てようとします。
それもなければ、年を取っているとか、病気であるとか、不幸であるとかの事実に頼って、特別扱いを要求することになります。
長々と述べましたが、私の理論の骨子を要約すると以下のようになります。
1、 みんな、特別でも無いのに、特別な存在である、と思いたがっている。
2、 みんなと違って、私だけは特別である。
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