あなたがくれた刹那の時間

あなたがくれた刹那の時間

突然の雨



ザッーーーーッと。
かなり大降り。

みんな走って車に向かったり
タオルを頭に乗せて車まで行ったりとしていました。

その中私は両手に沢山の荷物の袋を下げたまま
立ち止まってしまいました。

大雨に打たれながら
思い出したのです。パパのことを・・・


私は雨女です。
パパとのデートのときもよく突然の雨に降られました。
おしゃれをしている私は濡れたくないので走ってお店の
軒まで行ったりします。

パパはどんなに大雨でも走ったり、雨を避けたりすることを
しませんでした。
パパの美学なんでしょうか??よくわからないけど・・・
雨に濡れるだけで済むのに走るとズボンに泥がかかるから?

走っても歩いてもどうせ濡れるんだからそんなに変わらないよって。


へぇ~そうかな?と思っていた。

家を出るときに雨が降っていてもパパは傘をささない。
理由はわからない。
私も特に聞きはしなかった。

今とてもそのことが不思議に思える。

雨に濡れながらも堂々と歩く後姿を私はかっこいいと思いながら見ていた。
その後姿を見失わないよいうに一生懸命に傘をさしながら
歩いていた。

そういえばパパは歩くのがものすごく早かったな~。
ついていくのに本当に一生懸命だった。
あるとき思った。
このままじゃ私はいつか置いていかれる。
独りぼっちになっちゃうって・・・

手をつないだり腕を組んでるときは大丈夫だけど
パパが前を歩いているといつも不安だった。

で、私が考えたのがパパの前を歩くということ(笑)
エスカレーターでも私が一段上に乗ってパパの方を見ていた。
私が前を歩くとパパはいつもあきれてた。
「昔の女の人は男の3歩後ろをあるくと言われてたけど
 お前は俺の前をあるくんやね~・笑」って。

ついに私がついていけないとこに置いて行かれちゃったね。

そんなことを考えながら昔のことが走馬灯のように頭の中をよぎっていた。

「お嬢ちゃん、どうかしたとね?傘がないんね?
 濡れようが、風邪ひくばい」っと知らないおじいちゃんが
自分の傘に入れてくれた。

一気に現実に戻ってきた。
買い物したものも私もずぶ濡れだった。

おじいちゃんが車まで傘に入れて連れて行ってくれた。

「彼氏にでも振られたんね?」とおじいちゃんに
聞かれて私は涙が溢れてしまった。

「男は一人じゃないんよ。またいい出会いがあるよ。」って
おじいちゃんが言った。

「でもその人は一人しかおらんのよ」と私は言った。

「そうね、辛かったね~」っておじいちゃんは自分の買い物の
袋からアンパンを出して私にくれた。

「まあこれでも食べて元気だしんしゃい」って・・・
自分の車に乗っていってしまった。


とっても優しいおじいちゃんだった。
私ありがとうも言ってない。

近くのお店だからまた会えるかな?

でも会わないほうがいいかも・・・

だって私のことお嬢ちゃんって(笑)
ずぶ濡れで年齢不詳だったんだと思う。

もしくは、みのもんたのように女性は全てお嬢ちゃん??

おじいちゃん心配してくれてありがとう。


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