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新国立劇場 14:00〜 4階正面 ドン・カルロ:セルジオ・エスコバル ロドリーゴ:マルクス・ヴェルバ フィリッポII世:ラファウ・シヴェク エリザベッタ:セレーナ・ファルノッキア エボリ公女:ソニア・ガナッシ 宗教裁判長:妻屋秀和 テバルド:山下牧子 天の声:鵜木絵里 新国立劇場合唱団 東京フィルハーモニー交響楽団 指揮:ピエトロ・リッツォ 演出:マルコ・アルトゥーロ・マレッリ なんとまぁ、2006年以来8年ぶりの再演だそうです。 十字架、というか、十字をモチーフに舞台を構成した演出は結構印象に残っていて、その前の演出の方が....と思いつつも、これはこれで悪くない、と思っていたのをよく憶えています。 で、改めて当時のブログを読んでみたのですが......あー、言ってること、ホント変わんねーや(笑) 唯一違うとすれば、この演出が、「この話を知ってる人」にしか分からない類いの物になってしまってるではないか、という点でしょうか。まぁ、正直、この点は今もそう思うんですけど、ただ、もう最近はそういうの当たり前になってしまって、うるさく言うの諦めたという面は、あります。その問題は確かに変わらないんですけどね。言ってもしょうがないかな.....もう.....それさえ除けば、この種の演出としてはよく出来てるんだし。 ただ、これの前の、ヴィスコンティ原案の新国の演出、これだって2001年だからそんなに昔でもないのだけど、ああいう演出はもうなかなか出来ないのでしょうね。アイーダのゼッフィレッリのとか、ああいうのはひょっとすると生き残るのかも知れないけれど、もう、ある意味オーソドックスなタイプの演出は、お金の面でも、受け止められ方や意味合いとしても、ちょっと出来なくなっているのかも知れないですね。前世紀から観てる人間としては、ちょっとつまらなくはありますが。でも、現実問題として、そういうスタイルの演出は、今ではむしろ絶滅危惧種になりつつあるのではないかという気がしています。実際、今年観た舞台を思い返してみても、オーソドックス(何を以てそう言うか?ということもあるにせよ)な舞台は殆ど無かった気がします。ザルツブルクでも、ペーザロでもそうだったし、新国立劇場でも「これはオーソドックスだね」という舞台は無かったと思います。この間のドン・ジョヴァンニ、あれくらいがむしろオーソドックスに思えるくらい。 さて、演出の話はともかく。 今日は歌手がかなり良かったと思います。但し、諸手を挙げて万歳!というのとも実はちょっと違うけれど。 外題役のエスコバルはかなり良かったと言っていいと思います。最初聞いた時「これはPA?」というくらいに響いていた。思わず口パクか?みたいにチェックしてしまいましたですよ。本当に。昔、それこそ新国が出来て数年くらいの頃、「新国はPA入れてるのでは?」という話があって、当時からCDみたいな聞こえ方をする、とか言っていたのだけれど、ここ最近は「PA入れたらもっとよく聞こえてるだろ」という感じのばかりだった。(それもどうなの...) エスコバルは、かなり声が飛んでるタイプのようです。こういう人を聞くのは久し振りです。新国に限らず。ただ、声に任せて歌ってる感が無きにしも非ずかと。声に余裕があるので、決して荒っぽくはならないし、歌い飛ばしても居ない。丁寧は丁寧。ただ、ここまで行けるのなら、ここぞという所でのもう一押しが、それも、歌い回しの方で入れて欲しいと思うのですが、そこまでではなかった。 そうねぇ。例えば、アライザやドヴォルスキーもこのくらい歌っていた。それに伍するくらいではあると思う。ただ、彼らは、パヴァロッティ、カレーラス、ドミンゴに肩を並べるまでにはいかなかった、というのが正直なところではないかと。そういう意味でのあと一押しの何か、というのが、どうだろう。これからの人ですからね。これからに期待。でも、そういう意味で、少なくとも今日のエスコバルは偉大なテノールとまではいかなかった。そんなところでしょうか。 このエスコバルが一頭群を抜くといったところですが、それに伍する面々も立派。特に良かったと言っていいのはフィリッポII世とエリザベッタ。この二人はかなり良かったと言っていいと思います。フィリッポは、3幕の「一人寂しく眠ろう」。これは良かった。エリザベッタは、全般に良かった。勿論、4幕のアリアは良かったけれど、彼女の場合は全般に通して安定した表現力があったと思います。 一方、エボリ公女はソニア・ガナッシ。懐かしい名前です。今日はこの名前で期待して来た面はあったのだけれど、率直に言って最初はどうなることかという感じ。それが段々に調子を上げて行って、3幕のアリアはお見事。正直言って、かつてロッシーニなどで聞いた美声という感じではないし、あまり調子いいとも思えないのだけれど、きっちり存在感を出してきたのは立派。歌が上手いですね。 主役級の中で相対的に一番精彩を欠いたのがロドリーゴ。しかしまぁ、これは他がかなりの出来だからこうなるのであって、決して悪くはなかったと思います。ただ、他の面々に比べると、将に「華が足りない」状態、かと。普通にこの歌唱で持ってきたら、「ロドリーゴが良かった」って言われるでしょうね。 妻屋の宗教裁判長以下は省略。となってしまうくらいの出来でした。 オケは、東フィルなんだけれど、確かに今日はよく出来ていた。 公平に言って、よく出来てると思います。これは聞いて損は無い。最近の新国の公演の中でもこれだけ揃っているのは珍しいのではないかと。 但し、それを承知で敢えて言えば、エスコバルの話じゃないけれど、果たして偉大な演奏であったか?と言われると.... 何が不満なんだろう? 自分でもよく分かりません。強いて言えば、歌ってない部分、歌ではなく勢いに任せて乗り切ってしまっている部分があったように思います。例えば、2幕2場など、合唱が前に出るような場面など、そうだし。それが全否定されるようなものかというとこれも難しいのだけれど....でも、本当にいい演奏というのは、そう言う所がきっちり嵌っていくものだと思うんですよね。かなり完成度が高いだけに、惜しいと思う。 来週も観るつもりなので、そこでもうちょっとそういう面も気にしつつ観てみようと思います。
2014年11月30日
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オーチャードホール 15:00〜 2階右手 D.スカルラッティ:ソナタ嬰ハ短調L.256/K.247 / ソナタホ長調L.257/K206 シューマン:8つのノヴェレッテ 〜 第1番、第2番、第4番、第8番 ショパン:スケルツォ第2番 op.31 / バラード第1番 op.23 アルベニス:組曲「イベリア」第1集 〜 第一曲「エポカシオン」第二曲「エル・プエルト」 リスト:巡礼の年報 第3年 〜 第4曲「エステ荘の噴水」 ドビュッシー:版画 〜 第2曲「グラナダの夕暮れ」/ 喜びの島 <アンコール> アルベニス:パヴァーヌ カプリツィオ グラナドス:スペイン舞曲集第5番「アンダルーサ」 リスト:愛の夢 ピアノ:小山実稚恵 小山実稚恵の毎年2回が恒例のこのシリーズ、2017年までに全24回で計画されて、今回が第18回目。いよいよ残す所4分の1になりました。前回聞けていない気がするのだけれど、いよいよ佳境に入ってきた、といったところでしょうか。 今日はあまり寝ていなくて、結構眠かった.... プログラムとしてはちょっとピアニスティックよりな選曲でしょうか?スカルラッティとシューマンで前半。ちょっと軽すぎないか?と思いましたが、シューマンが意外と長かった。 後半はショパンのスケルツォとバラードがやはり聞き物。バラードは久し振りに生で聞きましたが、やはり小山実稚恵は力があるので結構デュナミークもあって、いい演奏でした。 後はプログラム最後の「喜びの島」かと。 本当はこういうプログラム、割と受けはいいかとは思うんですけど、個人的にはピアニスティックな演奏はあまり好きではないです。ショパンのバラードとスケルツォは良かったんですが。
2014年11月29日
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紀尾井ホール 18:00〜 2階左側 ハイドン:アンダンテと変奏 Hob.XVII-6 op.83 シューマン:フモレスケ 変ロ長調 op.20 ショパン:3つのマズルカ op.59 / ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 op.58 <アンコール> モーツァルト:グラスハーモニカの為のアダージョ K.356 ショパン:スケルツォ第2番 / ワルツ第12番 ピアノ:ジャン=マルク・ルイサダ 3週間ぶりのエントリーですが、その間まるで聞きに行ってない訳ではないんですけどね。N響とか、新日とか、今日は今日でダブルヘッダーだったし....まぁ、おいおい。(多分書かないんだろうな) で、ルイサダです。 ブログでは2008年にモディリアーニ四重奏団とやったコンサートのことを書いてるだけですが、実は確か去年も忙しい合間を縫って聞いた筈。最近、毎年11月に来てる気がするのですが、なんだか毎回割引チケットが出るんですよね。で、聞きに行ってしまう、と。 とはいえ、去年はどうだったか憶えてない。まぁ、忙しかったので、行けてるのかどうかも定かではないので。 で、どうだったか?そうですねぇ..... なんとなく、ブーニン二世みたいな気がするのは私だけでしょうか。いや、まぁ、ブーニン自体どう評価すればいいのか、というのはあるのですが。 一応、RCAから未だに輸入盤仕様で録音が出ている以上は、扱いとしてはグローバルなんだとは思うんですけどね。ただ、最近の録音がことごとく日本での録音というのはどうなんだろう..... いや、勿論演奏がよければそれでいいんですけど。 で、どうだったか? いい演奏ではあった。ただ、ちょっとどうかなぁ、という気も。 気になるのは、フォルティッシモ。この人はとても柔軟な手を持っているのか、デュナミークのコントロールが実に自在なんですね。ピアニッシモかと思えば突如強烈なフォルティッシモを叩き付けることが出来る。しかも、そういう面に於いては、オーソドックスなピアニストなので、フォルティッシモが力強くて深い。それは確か。 ただ、このフォルティッシモが、、特に最も強く弾くそれが、どうも他の音と遊離してるんですよね。タッチが違い過ぎる。それは表現の幅の広さと捉えられない訳でもないけれど、やはり違和感を感じるのも確か。これがショパンだと、割合一貫したタッチで揃っているし、その延長線上に強烈なフォルティッシモも来るから、趣味はともかく、違和感はあまりないのだけど、どうも、ハイドンやシューマンだと、ちょっと落差が激しいかなと思うのですね。特にハイドンでこの強烈な、いわば刺々しいフォルテは、ちょっと好みではない。 全体に、演奏としては、いいと思います。言えばキリはないけれど、こういうピアニストを聞くのもたまにはいいものです。皆が皆ポリーニやブレンデルのように弾ける訳ではないのだから。 アンコールの一曲目、モーツァルトのグラスハーモニカの為のアダージョ、これはペダルを踏みっぱなしで残響を目一杯使ってグラスハーモニカのイメージを出していて、まぁ良し悪しはあれど、これはこれで面白い。ポリーニはこういうことしないだろうな。そういう意味では面白い。 面白いを言えば、シューマンのフモレスケ。私はこの曲、少なくとも生で聞くのは多分初めてなのだけど、思いの外の大曲で、20分以上掛かったのだけれど、ルイサダの演奏のせいもあってか、あっち行ったりこっち行ったりという感じで、面白かったと言っていいのかなと。 ただ、今日一番良かったのは、多分ショパンのソナタ。3番はあまり派手ではないけれどある意味ショパンらしさ、ソナタらしさがよく出ている曲。ルイサダの表現、スタイルは、こういう曲に合っているようです。それはアンコールのスケルツォでも同様。まぁ、言ってしまえば、重厚、とまでは言わずとも、しっかりした表現が求められる類いの曲に合っているのでしょう。多分、バラードなんかでも。 今日は3連休の最終日の夜ということで、結構入ってましたが、ちょっと気になったのは客層。 まぁ別にいいんですけど、なんとなく、お客が中途半端と言うか....ええとね。たとえばポリーニとかシフとか、まぁそうまで言わずとも、ピアニストとして王道?を歩いてる人達、いますよね。ルイサダって、どうも、そういうメインストリームから微妙に外れてるイメージがあるんですよね。 まぁ面白ければそれでいいんだけど、なんとなく中途半端な感じがしたんですよね。やってる方も聞いてる方も、何処かこう、外れてるというか外してるというか....それでいいやぁ、といった感じがちょっとするんですよね。ディレッタント的というか、もっと辛辣に言うなら、ミリミリ詰めた所で勝負しない、という前提での遊びと言うか..........特に聞く方がね............まぁ、感じ、に過ぎないので......
2014年11月24日
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オーチャードホール 15:00〜 1階後方 ミミ:バルバラ・フリットリ ロドルフォ:ジュゼッペ・フィリアノーティ ムゼッタ:小川里美 マルチェッロ:堀内康雄 ショナール:森口賢二 コッリーネ:久保田真澄 ベノア:折江忠道 アルチンドロ:柿沼伸美 パルピニョール:岡坂弘毅 藤原歌劇団合唱部 多摩ファミリーシンガーズ 東京フィルハーモニー交響楽団 指揮:沼尻竜典 演出:岩田達宗 2007年に出した演出の再々演。初演の時は観たのだけど、再演は見逃してたかな... 佐伯祐三の絵をモチーフに、というか、リスペクトした、ってとこなんでしょうか。ともあれ初演の時から好きな演出です。もう観る機会無いかな....と思っていたので、これは嬉しい。ただ、初演の時のインパクトに比べるとちょっと、なのは、3階から1階に降りてしまった故の見え方の差かな? で。 正直言えば、しかし、今回は、フリットリに尽きます。 あのですね。久し振りにちゃんと歌の上手い人の歌を聞いたな、という感じなのです。 声の綺麗な人はいつでも居る。声のでかい人は幾らでも居る。でも、ちゃんと歌を歌える人というのは、最近は特に少ない。この20年くらいで一番変わったのがそれだと思います。そう、たとえば、ソプラノでいえばフレーニみたいな人が本当に居なくなってしまった。グルベローヴァが未だにトップレベル扱いされてしまう理由も、そこにあります。明らかに衰えているのに、歌えば、歌の上手さが際立ってしまう。そういう面では、例えばネトレプコなんかは、上手いと言えば上手いけれど、やはり声の魅力で勝負してる面は否めないと思います。 そういう種類の歌の上手さが、フリットリにはあるんですよね。正直言うと、声量的にはまぁ十分といったレベル。声の綺麗さでは、際立って綺麗、魅力的、という感じじゃない。でも、上手いんですよね。1幕、「私の名はミミ」でまず「おっ」と思ったのが、それ。 まぁ、最近如何にそういう意味での「いい歌手」を聞けていないか、ということなんですけどね。 フィリアノーティは、明らかに調子悪し。風邪ですかね?とうとう4幕ではひっくり返ったり、歌えなかったり。ただ、それでも、最後の最後「ミミーー!」の絶唱の所はきっちり決めてきたり... こういう褒め方もどうかと思いますけれど、プロとしての処理の仕方というものを心得てます。元の声がいいので、それも得してますわね。多分。 後の日本人キャストは、まぁ、無難にこなしましたかね。堀内康雄は十分伍していたと言っていいかと。小川里美は、私はこういう声は好きではない。でも、役として合わない訳ではないし、よく歌ってました。もうちょっと歌に表情があってもいいな、と思う箇所もあったけど。 沼尻竜典は、私はどうも「暴れる小馬」みたいなイメージがあるのですが、今回は自らを上手く御していたのか、いい意味で大人しい演奏に仕上がっていました。人によって好き嫌いはあるでしょうが、私は良かったと思います。 まぁ、フリットリを聞きに行ってフリットリを聞いてきた、って感じでしょうか。で、予定通り良かった、と。
2014年11月02日
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