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昔、アメリカ映画で「俺たちに明日はない」という作品がヒットしたことがある。それの「君たち」バージョンだ。
本書には「日本ヒューマンリアクト」という会社が登場する。本来、会社がリストラの対象にした社員は人事部が呼び出し、退職を迫るのが一般的なやり方だ。
しかし、日本ヒューマンリアクトは、会社が退職させたい社員を人事部の代わりに面接をして、退職するよう説得する、つまりリストラの請け負い業者だ。他人を不幸にして稼ぐという反社会的な業務を行っている。
主人公・村上真介(33)は、東京の中堅どこの広告代理店で適当に働いていた。日本中を吹き荒れる不況の波はその会社にも当然、押し寄せた。真介がリストラの対象になったのだ。その面接をしたのが、日本ヒューマンリアクトの社長・高橋だった。そして、真介は失業した。
ところが、しばらくして自分を失業者にした日本ヒューマンリアクトから、会社案内が届いた。社長の高橋から目をつけられていたのだ。面接を受けて、採用になった。
本書で真介が面接をする企業は5社だ。毎日、5人ずつ面接をする。
いちばん興味をひかれたのが、かつての高校の同級生の面接をした時だ。高校のときには学年で常に1番、一橋大学に入り、日本を代表する都市銀行に入行した池田という行員だ。
池田の父親は数人の人を使う建具職人だった。腕は良かったが、経営や人を使うのはからきしだった。池田は子どものころから、企業の経営に興味を持った。だから一橋大学では経済学部経営学科で学んだ。
銀行に入り、下積みを経験した後、企業精査部というかねてから希望していた部署に異動になった。企業にお金を貸すときに、銀行はその経営実態を当然、調査する。そして、その企業を立て直す方針を立てるのだ。
池田の担当になった企業は、順調に再建されていった。
ところが、ある都市銀行と合併し「ひかり銀行」というメガバンクになった。それがきっかけとなって、為替電信部北米課に異動になった。やりがいもなく、上司とも合わない。このままでは自分がだめになってしまう、と考えていたときに、リストラの対象にされた。
そして、同級生で池田から見れば高校時代、歯牙にも欠けていなかった村上が、面接をはじめた...。
面接のときにはいつも川田美代子(23)がアシスタントで、ついている。仕事は、真介にファイルを渡すだけ。でも、この美代子が存在感を出している。彼女がいることによってこの作品の完成度が上がっているように思う。
このリストラばやりの中、よくリストラ請負業者をいう職業を考え出したものだ。実際にこういう企業があったら、日本も終わりだ。
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