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『オレキバ』 呉勝浩 『所轄 警察アンソロジー』ハルキ文庫に収録。 初版 2016年10月18日
大阪市のある商店街で深夜、2台のリアカーを先頭に日雇い労働者数十人が歩いて続いていた。一台のリアカーに乗った青年が、ラップを歌いながら、菓子パン、小銭、缶ビールなどさまざまな物を投げ捨てていた。後に続く日雇い労働者たちはそれを拾っていた。もう一台のリアカーにはDJが乗っていた。この動画がインターネットにアップされ、瞬く間に再生回数を増やしていった。この動画は「オレキバ動画」と呼ばれた。
しばらくして、この動画に出演していたDJが、リアカーに全裸で載せられ、病院の前に放置されていた。体は痣だらけで、骨折もしていた。
そうこうするうち、オレキバ動画を撮影した沖光が、オレキバ動画の中心人物・ザッキーの部屋で発見された。全裸で両手がガムテープで縛られ、口はガムテープでふさがれていた。
本書『オレキバ』の特徴は第一に、二つの事件の動機がかわっていることだ。西成署は、二つの事件とも矢内の犯行とみて、取り調べを強化した。 動画を見てむかついた、というのが動機と考えた。
しかし、鍋島は何か腑に落ちないものを感じていた。二つの事件の犯人が違うのではないかと。そして、所轄とは別に独自に捜査をすすめた。
第二に、本書は大阪の西成区を舞台に設定している。そこはかつて釜ヶ崎と呼ばれていた。日本一の日雇い労働者の街で、暴動も日本一多い。1961年から24回。労働者と警察が衝突している。一番最近では平成20年6月。原因は大抵、警察による日雇い労働者の弾圧である。
この地域の特徴が、犯人の動機となる。
短編ではあるが、現代の西成区の特徴を反映した内容になっている。
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